転生したらネコちゃんだったから自由に生きていきます。   作:田中滅

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今回の見所!スイヒョウとシオンが怖い!フウとクウが暴走!そして、ネコちゃんはやっぱり可愛い!以上!


第六十二話 尋問を頼んだら、捕虜が悲惨なことになっちゃった

(……こ……こ………は…………余は一体…………?)

 

魔国連邦(テンペスト)首都リムルの牢獄。捕虜という形で生かされた男、ファルムス王国国王のエドマリスは目を覚ます。右腕に繋がれた錠、決して手厚い歓迎とは言えない状況に彼は周囲を見渡す

 

「目が覚めましたか?」

 

「良い目覚めと呼ぶには余りにも簡素な寝床である事は認めます。ですが……謝罪の念は御座いません」

 

「こ、ここはどこだ!?ヌシは誰じゃ!?余が誰か分かっておるのか!?余は大国、ファルムスが王、エドマリス----」

 

「知っています」

 

「存じております」

 

牢獄の向こう側から聞こえたのは、二人の女性の声。片方は紫の髪にスーツ姿の鬼人、もう片方は毛先の一部が水色の銀髪を靡かせる露出度の高い服装のゴブリナ。見覚えのない二人、エドマリスは彼女等に名乗ろとするが、喰い気味に答えを返される

 

「此処はジュラ・テンペスト連邦国の地下牢の一つです。私は盟主リムル様の第一秘書シオンと申します」

 

「私は軍事司令部参謀長ネコリア様の書記官スイヒョウ。我々が仰せつかったのは、捕虜の尋問。手荒い真似は正直に言えば、好ましくはありません。然しながら、ネコリア様並びにリムル様の命を無碍にする事は私の意に反します。故に貴方にはファルムス王国の内情についての全てを話してもらいます」

 

「殺さなければ如何なる手段も問わないと……お許しはいただいております」

 

「……な、何を言って………捕虜だと……?」

 

目の前に立つ魔人たちが何を言ってるか理解出来ず、エドマリスは捻り出した様に問う

 

「貴方は我等が主人様たち(・・)を前に大敗を喫した事を御忘れですか?戦の末に貴方は捕虜となり、この国(テンペスト)へと連行されたのです」

 

「先程も、スイヒョウ殿が言いましたが貴方にはファルムス王国の内情についての全てを話してもらいます。………ですが、我々個人としては御二方の御配慮に少しばかりの申し訳なさも否めません……この気持ちは、貴方の国が招いた惨劇の果てに自分が殺された事への怒りではありません……」

 

「今回の件に限っては私たち(・・)全員の弱さ故に起きてしまった誤ちと捉えるのが筋かと思っております。この身に二度目の命を戴き、我々の主人たち(・・)に、また(・・)仕えられる喜びは計り知れません」

 

二度目の命というスイヒョウの言葉に、エドマリスは呆然となるが彼女たちの話は続けられる

 

「御存知ですか?リムル様並びにネコリア様は人間がお好きです。我々たち配下の魔物が無闇に人間を傷つける事をよしとはしないでしょう」

 

「そ、そうか!では!穏便に話そうぞ!余も主らに協力するのはやぶさかではないぞっ!」

 

「ふふっ………落ち着いてください。我々の話はまだ途中です。確かにネコリア様も、リムル様も人間に対しては有効的に接する事を命じられました。それでも(・・・・)

 

「やはり許せない事もあるのです」

 

冷たく凍てつく氷の瞳を向けるスイヒョウ、種族が示す通りに鬼の形相を浮かべるシオン。この時、エドマリスは理解した。人間は魔物を狩る側だと思っていた。其れは否、人間は魔物に狩られる側であったのだと理解した

 

「貴方の決断がリムル様に人間を殺させた………千に刻んでも尚足りない!!」

 

「ネコリア様の愛らしくも暖かく綺麗な御手を人間の血で汚させた……氷漬けにしても私たち(・・)の敬愛する主人たち(・・)の気持ちを土足で踏み躙った怒りだけは溶けないっ!!!故に!!」

 

「「この世に生を受けた事を、未来永劫、後悔させて差し上げましょう!!」」

 

其処からは悲惨の一言、牢獄に響き渡る断末魔にも似た絶叫にレイヒムは怯え、肉塊と化したラーゼンを前に震え上がることしか出来なかった

 

「フウ………お味噌が足りない」

 

「もう一つあるから大丈夫。フウは用意周到だから」

 

「さすがはフウ。クウは良いお姉ちゃんを持った…」

 

「ひぃぃぃぃぃ!味噌だけは!味噌だけはやめてくだされっ!!!」

 

「ソウカ………さん。貴女の妹さんたちは何を考えてるの?」

 

「分かりません………」

 

味噌片手にレイヒムに近寄る妹たちを前にソウカは呆れた様な表情でミュウランの問いに答えるしかなかった。其れから、何時間が過ぎただろうか、傷付き、凍傷で息をするのも限界なエドマリスは近付いてくる足音に気付いた

 

(この足音は…………あの二人ではない!)

 

先程までとは異なる二つの足音、片方は普通の足音、もう片方は軽やかに踊る様な軽い足音。恐ろしさを忘れた頃に響いた音、救世主が現れた様に感じたのだろう、エドマリスは鉄格子の向こう側に手を、ある筈もない左腕を伸ばす

 

「……た……………助けてくれ。そこの………娘たち(・・)…頼む……ここから、出してくれ…………余が間違っていた。其方等の主殿たちに釈明したい………お願いじゃ…………面会の許可を………余は、ファルムスが国王----」

 

「「知ってるよ/わ」」

 

助けを求めた筈、喰い気味に放たれた声に恐る恐る彼は見上げた。その声の主たち(・・)を。佇んでいたのは仮面の魔人と猫耳をぴこぴこと動かし、愛らしい鍵尻尾をふりふりと揺らす魔性の美少女。片方は見覚えないが魔人の方を彼は知っていた

 

「俺の声をもう忘れたのか?」

 

「そこ、あたしたち(・・)の間違いでしょ。あたしはあの時、別の姿だったから見覚えはないかもだけど……声は覚えてるわよね?小童」

 

「………………っ!!」

 

忘れていた、忘れたかった、忘れようとした。然し、内と外の両方に一瞬で刻まれた恐怖を拭う事は不可能だ。彼女の声を聞いた瞬間、恐怖が蘇り、恐れ慄く

 

「ひぃぃぃぃ!!た、たす…………助け…………っ!」

 

「国王が聞いて呆れるわね。自国の国民に釈明するよりも、あたしに命乞いとか、笑えない冗談にも程があるわ」

 

「そこ、俺たち(・・)の間違いだろ。捕虜をどうするかについては今後の会議次第だ、それまでにじっくりと考えておくんだな」

 

「そうね。だって、これはあたしたち(・・)とアンタが背負っていく業にゃんだから」

 

そう告げると、盟主のリムル=テンペストは参謀長のネコリア=テンペストと共に去り行く。自らが背負うべき業という名の鎖と共に……




対策を練る為に参謀長としての真価を発揮させるネコリア。然し、近付く無数の気配に気付き……

ネコリアの真骨頂その43 実は足音が軽快

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