転生したらネコちゃんだったから自由に生きていきます。   作:田中滅

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今回の見所!ネコちゃんの十八番ボケが炸裂!以上


第六十五話 人と魔が紡ぐ未来、行き着く先が気になっちゃう

「ネコリア。議題を」

 

「はいはい、ホントに猫遣いが荒いわねぇ……えっと、議題は覚醒魔王になった事で如何なる魔王も足元に及ばないあたしの可愛さを如何に世界に発信していくかだけど」

 

「そう、ネコちゃんのかわ…………って!ちがーーーうっ!人間と魔物の今後に関わる大事な会議だぞっ!?何を当たり前の様に何時も通りのボケを放り込んでくれてんのっ!?」

 

「そうです、我が師よ。会議に横槍を入れるのは良くありませんぞ。此処は私の可愛いエレンちゃんについての議題に決まっています」

 

「パパ。うるさい」

 

「反抗期っ!?」

 

今日も今日とて、何時もと変わらない平常運転の相棒と娘第一主義の親馬鹿、二人が師弟であるという事を誰もが納得する中、呆れた様子のリムルは代表者たちに視線を向ける

 

「御二人は以前にシズさんと同郷だと仰られておりましたが…」

 

「ああ、俺とネコリアは異世界からの転生者で元は人間だった」

 

「御師匠様が転生者……初耳ですな」

 

フューズからの問いに答えを返したリムルの言葉にエラルドが反応を示し、師と仰ぐ彼女に視線を向けた

 

「あら、にゃに?人間だと不都合があるの?エラルド」

 

「いえ、貴女様が何者であろと私の御師匠様である事は変わりませんよ。貴女様は貴女様だ」

 

問い掛けながらも、彼が如何なる答えを返すのかを理解している様に彼女は笑う。愛らしい鍵尻尾をふりふりと揺らし、彼を見据えていた

 

「外遊先で法皇直属近衛師団筆頭騎士の聖騎士団長ヒナタ・サカグチからの襲撃を受けたが、ネコリアの迅速な対応で退ける事が出来た……だけど、間に合わなかった(・・・・・・・・)

 

「命一つ分の対価を支払ってまで退けた御褒美がまさかの国崩し………だから、あたしたち(・・)は魔王にならなければならなかった。その対価に犠牲になったのがファルムス王国軍………でもね?事実と理想は釣り合わないのが自然の摂理なのよ」

 

「でだ、俺たち(・・)は考えた。この血で染まった手をどうすれば取ってもらえるかを………公にする筋書きは大きく変えようと思う」

 

その発言は周囲に(どよ)めきを生んだ、如何なる理由に変えようと事実が覆る事は有り得ない。然し、リムルとネコリアが掲げる理想にはその筋書きが必要なのである

 

「〝暴風竜〟の仕業にしようという魂胆か。其れならば、受け入れる以外の選択肢はないな、その存在は伝説であり紛う事なき〝天災〟だ」

 

「ふっ……天才(・・)か」

 

(良い方向に解釈してるわね…このバカドラゴンは…)

 

(黙ってくれないかな……このオッサン)

 

世間の認知を良き方向に自己解釈するヴェルドラを呆れた眼差しで見るネコリアとリムルは彼の呑気さに呆れ果てていた

 

「なるほど、確かにそういう筋書きならば我が娘に降りかかる火の粉は防げますな。魔王の誕生による暴風竜との交渉が可能になったと世間に認知させる方が都合は良いですからね」

 

「パパ………それってなんか姑息ぅ」

 

魔王化を促した元凶である愛娘(エレン)を庇った筈が、容赦無い一撃がエラルドの親心を抉る。流石のネコリアも弟子の哀愁漂う背中に苦笑を浮かべるしかなく、慰めの声を掛けられない

 

「反対意見があるなら言ってくれて構わない。特にヴェルドラには、俺の罪をかぶってもらうことになるが…」

 

「そこ、あたしたち(・・)の間違いでしょ。というか、その程度の事で異議を唱える器の小さいドラゴンじゃないわよ。そうよね?親友(ヴェルドラ)

 

心配するのも杞憂と言わんばかりに、彼女はその金色に染まった双眸で彼を見詰め、問う

 

「当たり前であろう?我はお前たち(・・)の友なのだぞ。親友たちの(カルマ)は我の(カルマ)だ、共に背負うのは必然に他ならん。〝暴風竜〟の威を存分に使うがよい」

 

「流石はヴェルちゃん♪ドラゴンが出来てるわねー」

 

「クアハハハハハハ!当然であろう!我は天下無双の暴風竜ヴェルドラ=テンペストなのだからな!」

 

(扱いやすいわー、ホント)

 

(絶対に意地悪な事を考えてるな……この馬鹿猫は)

 

意識を共有している訳ではないが、互いの考えを理解しあう関係性にある二人はその考えが手に取るように理解可能である。故にリムルはふりふりと鍵尻尾を揺らす彼女が何を思っているかを即座に見抜いていた

 

「ところでだ、リムルにネコリアよ。捕虜はどうするのかを考えておるのか?其奴等の口から今の筋書きが語られるとは限らんぞ」

 

「……ああ、その件に関しては対策済みだ。ネコリア」

 

ガゼルからの疑問に頷きながらもリムルは企み笑顔を見せ、ネコリアに呼び掛ける。すると彼女は指を鳴らし、スイヒョウにある物を配布させる

 

「今、配ったのは今回の件に関する筋書きの台本みたいなモノよ。先ず、ファルムス王国には滅んでもらうわ(・・・・・・・)

 

「ほう……これはまた貴女様らしくもない直接的な結論ですな。戦争を仕掛けるおつもりか?」

 

師であるネコリアの言葉に彼女の思慮深さを知るエラルドは問う

 

「半分正解だけど半分不正解……この戦争に用いるのは武力よりも知力よ」

 

「知力ですか……?」

 

言葉尻に含みを感じたフューズが聞き返すと、彼女は魔性の笑みで応える

 

「そう、投獄している現王に魔国連邦(テンペスト)への賠償を行わせるのよ」

 

「然し、あの国は一部の貴族を除いて腐っています。賠償に応じるでしょうか?」

 

「其れが狙いだよ、フューズ君。賠償問題は切っ掛けに過ぎない、本当の目的はファルムス王国内に内戦を起こさせることだ。だから俺たち(・・)は考えた」

 

にやりと笑うリムルの姿に全員の視線が集まる。そして、彼の視線の先に座る一人の男が立ち上がる

 

「彼は英雄ヨウム、ガゼル王と我等が陛下の弟弟子よ。その彼を新たなる王に据える事で新しい国を建国し、人間と魔物双方の架け橋となってもらう。以上が魔王リムル=テンペストの御考えよ」

 

「ほう……リムルの他にも弟弟子がおったか。して、小僧よ?お前の決意を聞かせてもらおうか……!」

 

刹那、ガゼルの放った覇気を前にヨウムは無謀と理解していながらも堪え、ぎりっと奥歯を喰いしばる

 

「リムルのダンナ並びにネコリアの姐御には返しきれない大恩がある。俺はこの二人に利用される事に既に腹を括ってる、あの日、英雄になれと言われた日から、二人の結論が俺の歩む道標……だから!信じてくれる二人のためにも!惚れた女のためにも!俺は全力でやるだけだぜっ!」

 

「ば、バカ…」

 

「ドワーフの王よ、此奴は馬鹿だが恩義に報いる男だ。貴方の様に〝英雄王〟と呼ばれる時まで、このグルーシスが見届ける事を御約束します」

 

「……であるか。ならば俺からは何も言わん、何時でも頼るが良い」

 

決意の固いヨウムを前に、その顛末を見届けると確約するグルーシス。その姿に弟弟子と妹分と対話した日の会話を想起し、ガゼルは彼を認めると発言する

 

「プハハハハ! これは愉快だ!警戒している私の方が滑稽ですな…では、私なりの結論を答える前に、リムル殿並びに我が師よ。一つだけ伺いたい」

 

「ちょっとぉパパ!勿体ぶらずに、さっさと答えてよぉ!」

 

「ちょっ!お嬢様!今は不味いですって!」

 

勿体つけるエラルドに対し、相も変わらずなエレンが異議を唱えるがカバルが咎め、当の本人は娘を言い聞かせる

 

「それで……なんだって?聞こうかエラルド」

 

「発言を許可する。申せ我が弟子よ」

 

放たれた〝魔王覇気〟を前にエラルドは手を差し出す

 

「魔王リムル並びに我が師ネコリアよ、貴殿たち(・・)は、魔王としての力を如何様に扱うおつもりかを御聞かせ願いたい」

 

エラルドの問い、その先に待つ二人の答え。其れに誰もが息を呑む

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと!魔国連邦(テンペスト)は何処なのよさっ!」

 

迷宮妖精(ラビリンス)〟のラミリスの叫びが木魂するジュラの森。現在、彼女は魔国連邦(テンペスト)に向かう道中で迷子になっていた

 

「ラミリス様……ですから地図を見てくださいと言いましたでしょう…」

 

「地図なんか何処にあるのよっ!ギンレイが持ってるのはどう見てもチーズじゃないのよさっ!」

 

「うっかりとしていました、私としたことが」

 

「うっかりですむかっ!!」

 

(……………何時になったら……辿り着くのだろうか……)

 

人知れず、迫る魔王と配下たち。その道中は長く、途方もない道のりである事を魔王(リムル)参謀長(ネコリア)は未だ知らない




彼等が導き出す答えの先にあるのは新たな未来か?将又、破滅か?そして三度目の正直!遂に彼奴が登場なのよさっ!

ネコリアの真骨頂その45 実は弟子に甘い部分もある

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