転生したらネコちゃんだったから自由に生きていきます。 作:田中滅
第七十一話 我が威を示す為に、本気を出しちゃった
「布石は充分………始めなさい、ゲルド」
『承知』
〝忘れられた竜の都〟周辺の高台。闇夜に浮かび上がる金色の瞳が見据える先にはゲルドの率いる〝
「な、なぜ急に距離を………まさか!罠か!?動くな!この場に待機---!?」
司令塔であろう魔人が何かを言い掛けた瞬間、ゲルドのエクストラスキル《土操作》が発動し、大地を瞬く間に陥没させ、巨大な穴を形成する
「うわっ!なんだこれ!足を取られる……!!」
「あ、危なかった!飛翔出来る者がいなければ我が隊は全滅だったぞ…!」
足を取られ、這いあがろうにも這いあがれない魔人たち。然し、飛翔可能な魔人たちは早々に退避していたが彼女は其れを見逃す筈は無い……否、ある筈がなかった
「ガビル……ソウカ、フウ、クウ。打ち落としなさい」
「「「「お任せを。我等が主人様!」」」」」
次に呼び掛けたのは〝
「何時もながら、我々の主人様の御慧眼には惚れ惚れするのである。なぁ?妹
「当然です。愛らしさと叡智を兼ね備え、千里先の状況を創り出すのが我等が主人様ですよ」
「すごい。流石はフウの主人様」
「そこ…クウ
軽口を叩き合いながらもたたき落とす手を止めないガビルたち。その様子を見守る彼等の主人である彼女は愛らしい鍵尻尾をふりふりと揺らし、跨る自らの脚である紅の狼の背を撫でる
「ふふっ……敵意の喪失も時間の問題ね。我等が
「わふっ!これもネコリア様の作戦があってこそだぞっ!さっすがは参謀長様だな!」
「ふふっ…ありがとう。エンカ」
優しく笑い、エンカの頭を撫でる。眼下に広がる戦場を前に彼女は、期待通りの報告を出来ると歓喜に満ちていた
「姉上。アルビス殿たちが指揮権を姉上に委ね、総大将としての指示を仰ぎたいと申しております」
「必要ないわ。あたしはあたしのやりたい様にやる、指揮権はベニマルに委ねなさい。其れが陛下からの御指示よ」
影より姿を見せたムジナからの進言に対し、ネコリアは黒髪を掻き上げ、魔王たる相棒からの指示を告げる
「ではその様に……黒天衆!」
「「「姫様のお呼びとあらば!黒天衆揃いましてございます…!」」」
姉であるネコリアからの指示ならば、疑うことはあり得ない。故にムジナは自らの配下にして同胞である隠神刑部族の〝
「姉上………ネコリア参謀長閣下からの指示を戦場全体に通達!全軍の指揮は侍大将ベニマルに委託!」
「「「心得ましてございます…!」」」
指示を通達された〝
「さて………次はあたしたちの出番よ。我が配下たる九幹部に告げる!戦場を駆け、暴れ、その威を示せ……!!全ては偉大なる魔王が一角!リムル=テンペスト陛下の名の下に!!」
「「「「「「「「我等の命は参謀長閣下とともに!」」」」」」」
参謀長からの指示、其れ即ち彼女直属の配下には優先すべき勅命。紅の狼は大地を駆け、黄の武人は大地を穿ち、蒼き華は風と空を従え、白き狐と黒き狸は火花を散らし合いながらも敵を薙ぎ払う。そして、彼女らの主人である参謀長も魔性の笑みとともに、戦場に降り立つ
「気に食わない気配があるわね………ムジナ!イヅナ!一緒に来なさい!」
「姉上とならば何処までも!」
「お姉さまの向かう先が私の向かう先ゆえ!」
身に覚えのある気配に気付き、ネコリアは大地を蹴り、瞬く間に戦場の中でも激戦区と呼べる場所まで移動する。その側に控えたムジナ、イヅナも同等の速度で彼女に追随し、同様の場所に辿り着く
「…………あら、妙に気に食わないと思えば……記憶の片隅に残っているかも疑わしいレベルの
にやりと笑う彼女の前に浮かぶのは二体の大妖、その名を〝
「塵芥と消えなさい……仙法・
極限まで高めなければ、繰り出す事が出来なかった火球は僅かな魔素で発生可能となり、かつてと同程度の魔素を送り込めば、赤き火球は大妖を呑み込み、瞬きもしない間に〝
「………ネコリア様。俺に指揮権を委託したのは此れをやりたかったからですね?全く……」
「ごめんね?ベニマル。消化不良は彼方の神官さんで発散してもらえる?まぁ……彼方に戦う意思があるならだけど…」
魔性の笑みを浮かべながらも、騒ぎを聞き付けたであろうミリムの配下である神官たちを束ねる神官長を指差す
「ほう、貴殿が指揮官殿か。ガビル殿並びにソウカ殿の主人という……なるほど、確かにミリム様と同格の魔素を感じる……是非とも手合わせを願いたいものだ」
「イヤよ。ベニマル、相手をしてやんなさい」
「…………手合わせしたいのは確かですが俺に飛び火させんでもらえますか?ネコリア様」
「え〜………あら、面白い気配がするわね。出てきなさい、フォスにネム…ステラ」
弄りがいのないベニマルにジト目を向けていると、更なる気配を感じたネコリアは物陰に呼び掛けた。名を呼ばれ、三人娘は体を震わせる
「………ネコリア様…」
「うぅ〜……見つかったのぉ〜…」
「流石はネコリア様ね!やっぱり隠れるだけ無駄だったわ!あっ!ミッドレイ様!」
「む、誰かと思えばステラではないか。何をしておるのだ」
「何もしてないわ!」
「そうなのぉ〜。別に聞き耳とか立ててないのぉ」
「わっー!ネムは余計なことを言わなくていいのです!何も聞いてませんです!はい!」
「わふ、賑やかだなー」
「変な魔物だ………おっと、つい思ったことを…」
「態とだろ…バカキツネ」
「なに?バカタヌキ、やるなら相手になるゆえ。歯を食いしばりなさい」
「何はともあれ、あとはリムル様の御帰還を待つだけですね。ネコリア様」
「う〜ん……そうね。あら……こっちにも動きが……ミリムに妖狐と人形、あとは雄牛とクレイマン……展開的には此方も興味深いわね……聞こえる?ネコツー」
剣であるライメイからの進言に納得しながらも、《千里眼》で視界共有していたもう一人の配下であるネコツーに呼び掛ける
『聞こえるよー。ちょいヤバな感じだけど、わたしとギンレイちゃんには手助けは流石に無理だから……例のヤツをやっちゃう?ネコリア様』
「ええ…お願いするわ。じゃあ、任せたわよ?ベニマル」
「はい、大将としての責務を完遂致します。参謀長閣下もお気を付けくださいませ」
「「「「いってらっしゃいませ、参謀長閣下」」」」
配下たちに見送られ、彼女は笑う。魔性の笑みを浮かべ、鍵尻尾をふりふりと揺らし、猫耳をぴこぴこと動かし、身を翻し、両手を打ち鳴らす
「仙法・眠子寝入り!!」
『仙法・逆口寄せ!!』
二つの仙術が二つの場所で重なり、本来ならば招かれなければ到達不可能な場所に彼女は顕現する為に姿を消す。その行く末が、行き先が魔王となった相棒のいる場所であることは明白、故に配下たちは彼女を見送ったのである
「「「「「「「「御武運を我等が主人様…」」」」」」」
呼び出されたネコリア、十大魔王を前に彼女は相棒とともに友を救い出す為に威を示す!!
NEXTヒント さぁ、お前の罪を数えろ
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