転生したらネコちゃんだったから自由に生きていきます。   作:田中滅

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今回の見所!ネコちゃんはお知り合いがたくさんいらっしゃっる!以上!


第七十五話 相棒と一緒に魔王を倒したら、魔王の一角に勧誘されちゃった

参謀長(ネコリア)。最後の仕事だ」

 

名を呼ばれた瞬間、先程までの巫山戯た態度が嘘の様に彼女の纏う空気が一変した

 

「お任せを……魔王陛下(リムル様)。このネコリア=テンペストが幕を降ろしてあげるわ、覚悟しなさい」

 

魔性の笑みを浮かべ、美しくも艶やかな黒髪を掻き上げた彼女は相棒にして主君でもある魔王(リムル)の命に従い、眼前の新たなる〝覚醒魔王〟足るクレイマンに視線を向け、啖呵を切る

 

「見よっ!私は……私は遂に!力を手に入れたぞっ!!ハハハハハハハッ!ハアーッハハハハハハ!」

 

「終わった?」

 

「……………は?」

 

捲し立てるかの様に一方的に口を開くクレイマン。しかし、返ってきたのは予想外の反応、その魔性の笑みで笑い掛ける彼女は軽く欠伸をしてみせる

 

「聞こえてなかったなら、もう一度だけ言ってあげる……百済ない話(・・・・・)は終わったって聞いたのよ」

 

「百済ないだと?私の話が百済ない?今そう言ったのか?お前は」

 

「あら、気を悪くさせたかしら?でもね……戦いに言葉は要らない……違う?クレイマン」

 

「良いだろう……ならば、小細工は無しだ…喰らうがいい……この私の最強の奥義を!龍脈破壊砲(デモンブラスター)!!!」

 

眼前の敵を瞬間的に倒すべき存在であると認識したクレイマンは彼女目掛け魔力砲を撃ち出す。最強奥義と呼ぶだけに威力は計り知れず、形を龍に変えた魔力砲を前に彼女は魔性の笑みを崩さない

 

呪法(じゅほう)養命樹(ようめいじゅ)!!!」

 

魔力砲を前には、ネコリアが両手を広げ、勢いよく打ち鳴らすと地面から急速に生えた木が禍々しい養命樹に姿を変え、魔力砲を喰らう

 

「これでも……勝てないというのか!!なんだ!なんなんだ……お前は!!」

 

「なにって言われても何処にでもいる可愛いネコに決まってんじゃないの。見てわかんにゃい?」

 

「ちょっとおバカだけどな」

 

「それから自意識過剰なのだ」

 

「それと寝坊助なのよさ」

 

「極めつけにセンスが皆無である」

 

「引っ掻かれたいの?四馬鹿」

 

話の腰を折り出す四人の友人たちにしゃきん、と音が鳴りそうな勢いで爪を立てるネコリアは笑顔であるが瞳の奥が笑っていなかった

 

「さてとクレイマン。お前の最強奥義は俺の強くて可愛い相棒ちゃんには通じないのを理解してもらえたか?そうそう、俺に同じ技を撃っても無駄だからな?ネコリアに出来る事は俺にも出来る。それを踏まえた上で今一度だけ問おう……お前の知り得る情報全てを話せ。素直に話せば苦痛を与えずに()にしてやると約束してやる」

 

「まぁ怖いわねー」

 

「ネコリアがな」

 

「あたし任せかいっ!!!」

 

脅しを掛けるリムルが放ったまさかの落ち発言にネコリアはくわっと両眼を見開きながら、吠えた

 

「ふふふふふっ!私は妖死族(デスマン)!!例え、殺されようとも何度でも復活するっ!貴様たち(・・)は永劫、この私に怯えて暮ら---」

 

クレイマンが言葉を最後まで言い切る事はなかった。それは何故か?リムルに顔面を殴られ、極め付けにはネコリアの踵落としが頭上に振り下ろされたのである

 

(ほう……思考加速を施すと同時に自然エネルギーでクレイマンを縛り付けたか…やるなぁ?彼奴等)

 

その様子を傍観していた赤髪の青年は二人の魔人を観察しながら、意味深に笑う。彼の名は〝ギィ・クリムゾン〟、十大魔王が一人にして最凶の魔王である

 

「クレイマン…之が最後(・・)よ」

 

「黒幕は誰だ?」

 

「わ………私が仲間を………………ましてや、依頼人たちを裏切ることなどない。それが……それだけが!中庸道化連の絶対のルールなのだ!!」

 

最後の問い即ち最期の忠告。其れに対する解答は求めていたモノではなかった。失ったモノは数あれど、同じ志を抱く仲間に対する情だけは失っていないクレイマンは守り通すべき絶対的な決まりを高らかに叫ぶ

 

「さて……此処からは選手交代だ。魔王を名乗る以上、自分の席は自分で用意しないとだからな。だから、ネコリア。俺に譲ってくれるか?」

 

「逆に断るにゃんて選択肢があるの?リムル。アンタの欲はあたしの欲、アンタの業はあたしの業、アンタのモノはあたしのモノ……何時もそうやって、アンタとあたし(二人)は災厄を退け、自らの手で全てを薙ぎ払ってきた………好きしなさい、リムルのやりたいように(何時も通りに)ね」

 

「感謝する……流石は俺の相棒ちゃんだな」

 

金色の双眸が重なり合い、笑い合う二人の魔人(リムルとネコリア)。長いようで短くもある二年の月日を過ごした彼等の間に最早、会話等は必要皆無。視線を合わせるだけで、互いの思考は伝わる。故に彼女(ネコリア)は代名詞である魔性の笑みで(リムル)に笑い掛けた

 

「さて……相棒(ネコリア)に成り代わり、俺は今からクレイマンを処刑するけど、反対の人はいるのかな?」

 

「好きにしろ」

 

新たなる魔王(リムル)からの問いに最古の魔王(赤き悪魔)は無慈悲な答えを返す。彼からすれば、誰が魔王になろうとも関係無ければ、咎める理由等も有りはしない。其れ即ち〝喜狂の道化(クレイマン)〟の味方は存在しないという意味である

 

(大丈夫です………必ず戻ります………暫しのお待ちを……我が王(カザリーム様)……)

 

「忘れてたけど……アンタが復活するのは不可能よ?」

 

「…………は?」

 

思惑があったクレイマンの思考は見目麗しい猫耳美少女の一言で打ち砕かれた。何を言われたかも理解出来ずに素っ頓狂な声を挙げた道化(クレイマン)を前に、彼女(ネコリア)は魔性の笑みを浮かべていた

 

「お前の考えは既に把握していた。俺は死者蘇生を可能にする凡ゆる可能性を検索したんだ、何度も何度もな」

 

「そこ、あたしたち(・・)の間違いでしょ。アンタの計略に奪われたモノを取り戻す為にあたしたち(・・)は魔王になったの。その報いを受けなさい……クレイマン」

 

「終わりだ……暴食之王(ベルゼビュート)

 

〝覚醒魔王〟に至る過程で、リムルが新たに会得したユニークスキル《暴食之王(ベルゼビュート)》。其れは彼の専売特許が進化を果たした最強の力。成す術も無く呑まれ逝くクレイマン、彼は何を間違え、何処で道を踏み外したのだろう。今となっては、其れは誰にも理解不能である

 

(……………ラプラス、キミの忠告通り……大人しくしていれば良かったよ……本当に………キミはいつも正しいな…………)

 

「次に会う時は後悔しない道を選ぶのね……永遠に眠りなさい…〝喜狂の道化(クレイマン)〟」

 

永遠の眠り()〟に誘われる魂の声に耳を傾けながら、ゆっくりと瞳を閉じたネコリアは目の前に来たる死を受け入れ、慈悲深い言葉を紡ぐ。彼女也の強敵と認めた上での送る言葉、その〝永遠の眠り()〟が誰からも望まれず、知られていないモノであっても強敵を前に彼女は言葉を紡いだ

 

「見事だ、お前が今日から魔王を名乗る事を許そう。それでだ……お前は如何する?お前の働きも評価に値する、故に望めべば魔王を名乗る事を許そう」

 

リムルの働きに満足したギィは彼に賞賛を送りながら、もう一人の魔人に問う。すると、彼女は優しく笑う

 

「素敵な御誘いはありがたいけど……あたしは魔王を名乗るつもりはないわ。ギィ・クリムゾン……いえ、こう呼ぶべき?〝原初の赤(ルージュ)〟」

 

「転生を繰り返しても相変わらずの怠惰なネコだな?お前は……ヴェルリア……いや、今はネコリアだったか。良いだろう、お前の好きにしろ」

 

「ありがと」

 

「ゔぇっ!?ネコがヴェルリア!?ちょっとちょっと!それ聞いてないのよさっ!アタシ!!」

 

「なんか有名人?」

 

「聞いたことがある……興味は無かったがな」

 

「確か…三百年以上前に名を馳せた黒い猫の魔獣がそのような名前だったな」

 

〝ヴェルリア〟、前世よりも遥か昔に彼女が生きていていた頃の名前。その名を知るギィが昔を懐かしむのに対し、ラミリスは驚愕し、魔王の一角であるディーノ並びにレオン、ダグリュールは其々の反応を見せる

 

「な……なにぃ!?ヴェルリア!?ヴェルリアだと!まさかネコがヴェルリアだったのかっ!!」

 

「クァーハハハハハ!!サプライズは大成功であるな!ネコよっ!皆、お前がヴェルリアの転生体であるとは気付いておらなかったようだぞっ!」

 

「あら、ヴェルちゃん。体臭がしないから気付かなかったわ」

 

「おい、妖気(オーラ)を体臭とか言うな。我が臭いみたいだろう」

 

「実際、鼻曲がりそうにゃんだけど」

 

「どれだけ臭いのだっ!!我はっ!?」

 

「確かに臭いのだ!ヴェルドラ!さては風呂に入ってないのではないか?ダメだぞ!」

 

「師匠……流石にお風呂は入らないとダメだと思うのよさ」

 

「お前たちまでもかっ!!」

 

息の良さを披露するネコリア、ミリム、ラミリスの三人娘。最早、彼女たちが集まれば姦しいというよりも喧しいの間違いである

 

(ネコリア……記憶の共有があるとはいえ、私の存在を明かすのはやり過ぎよ)

 

(そうは言ってもね、リアねーさん。隠すだけ無駄よ)

 

(そうだよー、今更じゃん?それに見覚えある人がいるよー!ほら!アソコに!)

 

頭に響く別人格たちの声に耳を傾けていた彼女は猫耳をぴこぴこと動かし、前世の人格である亜結が興味を示した方向に視線を向ける

 

「私に何か御用ですか?私は魔王ヴァレンタイン様の忠実なる侍女に過ぎませんが」

 

「そうね…」

 

視線に気付いた銀髪のメイドの言葉に、ネコリアは苦笑気味に返事を返す。何やら理由がある様だが今は言及するべきではないと悟ったようだ

 

「おいミルスよ!久方振りに会う我が友基ヴェルリアの転生体であるネコを前にその態度は無いのでないか?見てみろ、我が友の尻尾が下に下がっておるではないか」

 

「おい!ダメだぞ!ヴェルドラ!〝 バレンタイン(・・・・・・)〟は、メイドに化けて正体を隠しているつもりなのだ!」

 

「なにぃ!?」

 

「はぁ……バカ二人がごめんね?〝 ルミナス(・・・・)〟…」

 

メイドに呼び掛けるヴェルドラ、更に追い討ちを掛けるミリムの発言にメイドは青筋を浮かべ、呆れるネコリアに目配せする

 

「貴様が謝る必要等はない……全てはその忌々しい邪竜が悪い……久方振りじゃな、ヴェルリア……いや、今はネコリアか。お前に会う日を待ち侘びておったわ、このバカモノめが」

 

名を呼ばれた瞬間、メイド基〝 ルミナス(・・・・)〟の服が給仕服から黒いシックなドレスに変化し、双色の眼がぎらりと光る

 

「ホントに……この女だけは…三百年以上振りに会う相手にも容赦ないわねぇ……」

 

「ネコちゃんってマジでおいくつ?」

 

「引きちぎるわよ」

 

「なにをっ!?」

 

今日も今日とて、謎の文句にリムルの突っ込みが冴え渡るのであった

 




集いし、八人の魔王。後にその名を馳せる彼等は新たな呼び名と共に動き出す。各々の相棒並びに配下たちと共に!

NEXTヒント 八つの星

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