転生したらネコちゃんだったから自由に生きていきます。 作:田中滅
リムル「寒いから炬燵から出てこないんだよ」
なるほど、ネコちゃんは可愛い猫だから、エロわらびもちと違って、寒さに弱いんだ。ちなみに熱燗が飲みたい今日この頃な作者ちゃんです
ネコリア「そうなのよ。冬は嫌い、でも熱燗はあたしも好きよー」
リムル「水でも呑んでろ、お前らは」
「深々と降り積もる雪が袖を濡らす………って言うけど、流石にこんにゃに積もるとイヤになるわね…寒いのってキライだわ」
「ネコちゃんって秋以外に好きな季節無くないか?夏も嫌いなんだろ?確か」
ある冬の日。窓から見える一面の白銀の世界を見ながら、ため息を吐く相棒にリムルは彼女が秋以外の季節を嫌っていると横槍を入れる
「暑い夏が嫌いなのよ、夏祭りとか海の家なんかは好きよ。あと春も嫌いじゃないわよ?花見酒が楽しめるもの」
「食べ物ばっかりじゃねぇか!全く……やっぱり、新雪には飛び込まないとだろ!そーいう訳で!アイキャン・フラーーーイ!!」
僅かに考える素振りを見せ、口にした季節に関する単語全てが食べ物一択という彼女らしい、発言に突っ込みを放ち、勢いよく窓を開けたリムルは白銀の世界に飛び立つ。それはもう勢いよく、雪が積もれば、一度は誰もがやる新雪に足跡を付けるを全体で表現する様に、彼は飛び立った
「ネコリア様。暖かいお茶が入りましたわ……あら、リムル様はどちらに?」
「その辺で冷凍ゼリーになってるわ」
スイヒョウの淹れた茶を啜り、相棒の所在を問われたネコリアは呆れた眼差しで彼の飛び立った白銀の世界に視線を落とす
「ネコリア様!ウチの愚妹を見ませんでしたかっ!?あのバカ、朝起きて直ぐに寝巻き姿で飛び出していったのですが…!」
執務室に飛び込んできたのは、肩で息をするくらいに息を荒くしたライメイ。どうやら、彼女は朝一番に白銀の世界に姿を消した妹の行方を探しているようだ
「ライメイ?妹の教育もままならないとは、それでよくもまぁネコリア様の剣を名乗れますわね?ウチのハルナを御覧なさいな、気立ても良く、愛想も良く、更には料理上手……シオンとは雲泥の差ですわ」
「確かにハルナは
「ふふっ……何を言うかと思えば、貴女が礼儀についてを語りますか?使者に対し、無礼を働いた挙げ句の果てに街を消し飛ばす寸前の騒ぎを起こした
「「……………やんのかっ!!」」
穏やかに見えながらも、一瞬の沈黙の後に胸倉を掴み合うスイヒョウとライメイ。その姿を側から見ていネコリアは呆れた表情でため息を吐く。その息が目視出来る程に白く見えるのは季節故の事象である
「それにしても積もった雪を見るのは久し振りね。最後に見たのは転生前だから、三百年前になるのね……時の流れは早いわねー」
「わふっ!コレが雪かー!白くてフワフワだなー!大自然の脅威ってアニサマは言ってたけど、本当かだぞ?アネサマ」
「エンカ、ランガの言う事は大体が犬目線だ。お前には教えておくが……雪は見た目に反し、食べても美味しくない」
「わふーーっ!?食べても美味しくないっ!?ネコリア様が調理してもダメなのか?アネサマ!」
「ああ、幾ら姉上が可憐で愛らしく料理上手でも雪は調理不可能なんだ。だから食べては駄目だ、分かったな?エンカ」
「わかったぞ!」
(い、言えない………小さい頃に雪を食べられると思ってたなんて…)
雪に興味津々なエンカを諭し、雪についての知識を彼女に享受するムジナ。その様子を見聞きしていたネコリアは、自分が小さい頃に雪を空から降る食べ物的な何かであると勘違いしていたとは言えず、明後日の方向に視線を逸らす
「ワーッハッハッハッハッハー!ネコ!久しぶりだなー!来てやったのだ!」
高笑いと共に窓から姿を見せたのはミリム、この国に住むネコリアの友人であると同時に十人の魔王の一人である
「あら、ミリムちゃん。いらっしゃい」
突如、襲来した魔王に驚きもせずに呑気に挨拶を返すネコリア。愛らしい鍵尻尾をふりふりと揺らし、自分を抱き抱えた彼女に笑い掛ける
「わふっ!ミリム様!窓から入るのはおぎょーぎよくないんだぞ!」
「怪我をされますよ。身軽な姉上ならば造作はありませんが」
「魔王は怪我しないのだ!」
「お姉さま。何を言っても聞きませぬゆえ、如何なさいましょう?」
エンカが行儀作法に付いての注意を呼び掛け、ムジナも姉貴分のネコリアとは異なる種の彼女に怪我をすると伝えるが、当の本人は聞く耳を持たず、冷静なイヅナは意見を求め、ソファに寝転がる姉貴分に問う
「別にどうもしないわよ。それにしても珍しいわね?ミリムちゃんがリムちゃんの執務室じゃなく、あたしの部屋に突撃するなんて」
「雪なのだぞっ!リムルは雪かきをしていたがネコの姿が見当たらないので、金角に居場所を聞いたら、ここに居ると言われたのだ!」
普段、彼女はリムルが居る執務室又は庵に入り浸る事が多く、ネコリアの館に訪れる事は滅多にない。故に意外な来訪者に流石の彼女もアーモンド型の瞳を丸くした
「まさか……あたしにも雪かきしろって言うの?この寒い中に放り出すの?」
「大丈夫なのだ!ネコは強いからな!寒さなんて、へっちゃらなのだ!ワーッハッハッハッハッハー!」
「はいはい……仕方にゃいわね……リンちゃん、冬用の服はー?」
根拠もない自信と説得に、何を言っても無駄であると悟ったネコリア。専属職人のカイリンを呼び、冬用の服の所在を尋ねる
「冬服?なら、首を冷やさない為のマフラーに猫耳を冷やさないようにビーニー帽があるぜ」
「ありがと♪」
「「「可愛いですっ!ネコリア様っ!」」」
「はうっ!?アネキのウインクっ!!!」
ぱちりとアーモンド型の猫目をウインクさせるネコリア、その愛くるしさに彼女の虜であるエンカ、イヅナ、ムジナ、カイリンは目をハートにしながら悶える
「お?姐御を寒空の下で見掛けるとはな。珍しいこともあるぜ」
「あら、ヨウムちゃん。英雄がこんなとこで雪かきにゃんてウケ狙いなら、やめた方が良いわよ」
「ハハハ………ウケ狙いなら良かったんだけどな…。こき使われることに慣れちまった自分が情けなくなるぜ…英雄になるって、こういうことなのか?」
「僕はネタに困らないので、意外と好きですよ?こういうの」
「ロンメルちゃんは創作してるんだっけ?ヨウムちゃんの物語を」
「はい。この作品にはリムルさんは勿論ですけど、ネコリアさんも出てきますよ。御二人の役割は英雄に力を与える二人の麗しき乙女です」
「まあ、それは良い役割ね」
「待て。俺は乙女じゃないぞ、あとネコちゃんも見た目は愛らしいけど実年齢は割と高齢だしな」
「そうっすよ。そんなババアをヒロインにするとか気は確かっすか?」
「姐御って幾つなんだ……」
「エンちゃん。ゴブタと散歩の時間よ」
悪口を聞き逃さなかったネコリアが指を軽く鳴らすと、例によって姿を見せたエンカが尻尾をぱたぱたと揺らす
「わふっ!いくぞっ!ゴブタっ!おさんぽっ!おさんぽっ!」
「んまっ!?ちょっ!あぎゃァァァ!!!」
「それからシオンちゃん。リムちゃんが今日から暫くはシオンちゃんの味噌汁を飲みたいみたいよ」
「なんと…!頑張りますね!姉上ェェェェ!味噌汁に合う野菜をください!」
「やめろォォォォ!!俺の身が持たない!!良い子だからやめようか!シオンさん!」
「あと、ヨウムちゃんには不吉な占いをしてあげるわね。あらやだ……これから出会う女の子が悪女って出てるわ、気をつけてね」
「不吉な予言をしないでくれるかっ!?」
死のお散歩へと旅立つゴブタ、地獄のフルコースを阻止しようとするリムル、自らに下された不吉な発言に血の気が引いていく
「見て。クウ、ネコ様の雪像を作った」
「フウは手先が器用……クウも…リムル様の作ったけど……上手くない…」
「大丈夫。クウも上手、フウの妹が下手なわけない」
「おぉ!妹たち!なかなかの芸術センスであるな!流石はシス湖随一の美術家である我が輩の妹たちだ!」
「「兄者」」
雪遊びに熱中していたフウとクウに呼び掛けたのは、兄のガビル。彼は名を得る前は芸術家として名を馳せていた、故に審美眼に関しては確かなモノがあるのだ
「見よ!我が力作!ネコリア様&リムル様だ!」
「兄者すごい。流石はフウの兄者」
「そこ…クウ
兄の芸術センスの高さに、えへんと胸を張るフウ。その一部分が気に食わなかったクウがすかさず、訂正の突っ込みを放った後に、ガビルを褒める
「やだ。私ったら、なんて子供っぽい事を……………ふふっ…」
「姉者がソウエイさんの雪像を作ってる」
「姉者も上手」
「なんと!ソウカよ!流石は我が妹!芸術センスまで似るとは!」
「んなっ!!どっから沸いたんですかっ!!兄上!!」
「ごふっ!?」
突然、姿を見せたかと思えば、芸術センスを褒めたつもりのガビルは衝撃を受けるが、即座にソウカが遥か彼方に吹っ飛ばす
「うふふ、そっくり〜」
「トレイニーちゃんって、冬は苦手じゃないのね。なんか意外だわ」
御機嫌な様子で雪像を作っているトレイニーを見つけたネコリアは、自分と同じように冬が苦手と思っていた彼女が御機嫌な姿に意外なモノを見たかの様に呟く
「よく言われるのですが実は違うんですよ。確かに、森の木々は活力を失っているように見えますけど………………葉を落とした木も、今は休んでいるだけなのです。木々だけではありません。地面には植物たちの種子が、地中には同じく根が……」
「にゃるほど、つまりは雪に覆われていても、確かな命の息吹を宿し、じっと待っているのね?春の訪れを」
「流石はネコリア様。見事な解答です」
トレイニーの答えに何かを悟り、ネコリアが話に補足すると、その的を射た発言に彼女は優しく笑う
「行き遅れのネコリア様はともかくとして、トレイニーさんの春はいつ来るんすかね!」
「仙法・
言ってはならない禁句、それを聞き逃さなかったネコリアは両手をぱんっ、と打ち鳴らし、出現させた木の蔓で拘束されたゴブタ、同時にトレイニーが出現させた巨木の上に吊るされた
「な、なんだ!?急に木が生えたぞっ!?まさかネコちゃんとトレイニーさんの仕業かっ!兎に角!ゴブタを降ろしてあげなさい!」
「イヤ♪」
「右に同じくです」
突如、現れた巨木に驚きながらも天辺のゴブタを降ろすように命じるリムル。然し、その答えは清々しいまでの綺麗な笑顔で拒否された
「………で、にゃにこれ?かまくら?」
「おう、ミリムやココブたちと一生に作ったんだ。どうだ?ネコちゃんも流石に実物を見るのは初めてだろ!」
「子どもの時に飽きるくらいに作ったわよ?あたし、雪国育ちだもん。寒いのはキライだけど」
「初耳な情報とそれすらも霞むくらいの怠惰な発言だな。然し、雪国育ちにしては根気がないよなぁ」
「引きちぎるわよ」
「なにをっ!?」
謎の文句にリムルの突っ込みが寒空の下に冴え渡る。またしても降り注ぐ雪を見上げ、ネコリアは優しく笑う
「案外……悪くにゃいかもしれないわね。ネコもはしゃぐ銀世界……にゃふふっ」
これはある日の日常。まだ二人が魔王になる前の平和でありふれた日常を綴った日記の一頁である
次回は普通に本編を………寒い日々が続きますが皆様も体調にはお気をつけください……この台詞も五回目だな
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