転生したらネコちゃんだったから自由に生きていきます。 作:田中滅
「んん〜〜っ……!よ〜やく、解放された〜!ああいう堅苦しいのは肩が凝るわね」
「何処がだよ、自由にしてたのは何処の猫だよ」
「それはこのあたし!可愛いネコちゃんこと、ネコリア=テンペストに他ならないわ!にゃーっはっはっはっ!!」
「あーうん、そうだな。可愛いネコちゃんだな」
相も変わらずに自己主張の激しい彼女に、慣れた様子で軽めに遇らうリムル。長きに渡る付き合い故に彼女の扱い方を心得ており、呆れた様子でため息を吐く
「ネコリア様!御帰りをお待ちしておりましたわ!」
「わふっ!ネコリア様が帰って来たんだぞ!」
「ネコリア様!魔王たちの蔓延る魔窟からの帰還を成さるとは、流石です!このライメイ!剣として、我が主人に仕えられることを喜ばしく思います!」
「ネコリア様の愛らしさに魔王たちも形無しだったようですね」
「ネコ様はすごい」
「ネコちゃん様は今日も可愛い」
「アネキの活躍は轟いてるぜ!さっすがだな!」
「姉上!帰還を心から祝福させていただきます!」
「お姉さま!御無事で何よりゆえ!」
歓楽街に足を踏み入れた瞬間、矢継ぎ早に姿を見せたのは、彼女に仕える九人の幹部を筆頭とした配下たち。リムルは首都の方で同じように手厚く出迎えらている筈、そう思いつつ、配下たちの間をゆっくりりと歩き、振り返る
「あら、出迎えしてくれるの?ありがと♪」
「「「「可愛いですっ!ネコリア様っ!」」」」
「「可愛い」」
「はうっ!?アネキのウインクっ!!!」
ぱちりとアーモンド型の猫目をウインクさせるネコリア、その愛くるしさに彼女の虜であるスイヒョウ、エンカ、ライメイ、カイリン、ソウカ、ムジナ、イヅナは目をハートにしながら悶える。フウとクウは表情に変化はないが僅かに頬が紅潮していた
「………はっ!悶えている場合ではありませんわ!皆者!整列!」
真っ先に愛らしさの極地から脱したスイヒョウは我に返ると悶える配下たちを一括し、規則正しい配列で並ばせ、彼女の前に傅き、頭を垂れる。その瞳に映る敬愛すべき自らの主人の帰還を待ち侘びていたと言わんばかりに、彼女を見据える
「我々、配下一同。我が主人の御帰還を心より待ち侘びておりました、御無事で何よりでございます」
「………ふふっ、何時の間に練習したの?でも…嬉しいわ、ありがとう」
配下たちに魔性の笑みで笑いかけ、愛らしい鍵尻尾をふりふりと揺らしていたが、歓楽街の象徴でもある迎賓館に設けられた自室に入った瞬間、彼女の金色の双眸が鋭さを増し、魔性の笑みは参謀長としての表情に切り替わる
「我等が魔王陛下であるリムル
「異論などがあるはずもありません。兄上基我等が魔王陛下ならば、ジュラの大森林をより豊かに導いてくださるとこのムジナは信じております。隠神刑部族の長代理として、姫足るボクが隠神刑部族の忠誠を御約束致します」
「無論!このイヅナも敬愛すべきお姉さまがお望みなれば、九尾の姫として、兄さまの傘下に降ることを確約させていただきますゆえ」
「流石は我が妹たち……その忠誠を陛下に代わり、あたしが受け取るわ。これからも精進なさい」
「「姉上/お姉さまの為ならば…!」」
優しく微笑み、其々の一族の代表し、忠誠を捧げると約束する妹たちの忠誠を首都で会議に追われているであろう相棒の代わりに受け取る。傅きながらも相も変わらずに敬愛する自分に対する想いは何方が上かと、火花を散らす二人を見据え、他に発言する者が居ないかとネコリアは視線を巡らせる
「スイヒョウ。今回の〝
「ネコリア様のお側を離れるのは非常に残念でなりませんが、私の事を信用していただいた貴女様の御慧眼に恥じぬように、その御役目を務めさせていただきますわ。私が不在の間のネコリア様の御世話はハルナに任せますわ」
「はい、姉さんの代わりにきちんと御世話させていただきますね」
「ふふっ、頼みましたわよ?ハルナ」
「わふ?くんくん」
「にゃに?エンちゃん」
仲睦まじく笑い合うスイヒョウとハルナを見詰めていると、自分の体を嗅ぐエンカの姿が目に入った。いきなりの行動に疑問に思いながらも、ネコリアは優しく問う
「ネコリア様から知らない匂いがするんだぞ。でもなんか、ちょっとイヅナにも似てるよーな匂いだぞ!」
「イヅナ………ああ、そうだったわ。クマラのことを紹介しなきゃよね。ほら、起きなさい」
知らない匂い、その言葉に思い当たる節があったネコリアは抱き抱えていた一匹の小狐基クマラに呼び掛けた
「ん〜………どうしたでありんすか?ネコリア様……」
「……………お姉さま!その子狐はもしや!?」
名を呼ばれ、目を覚ましたクマラ。その声に誰よりも早くに反応を見せたのは、他ならぬイヅナである。彼女は狐耳を立たせ、両眼を見開いた
「…………姉君?姉君でありんすか!?」
「我が妹!二百年前に行方知れずとなった我が妹ゆえ!」
「姉君!」
互いに二百年振りの再会を噛み締める狐姉妹は抱き合い、その存在を確かめ合う。長い時間、離れていたが故に再会出来た喜びは感動を超え、感極まっているのだろう。イヅナは久しく触れていなかった小さな体を抱き締める手に力を込める
「お姉さま……妹を見つけていただき誠にありがとう存じます…!このイヅナ、お姉さまには返しきれぬ大恩の数々を我が一族の未来と忠誠を賭け、御役に立つと此処に宣言しますゆえ!」
「わちきもおんなじ考えでありんす!姉君と共にネコリア様のお役に立つと、賜った〝
「ふふっ…愛いわね。隠神刑部族も同じ気持ちかしら?ムジナ」
「先程も申し上げた通り、ボクは姉上と兄上に忠誠を誓います。無論、隠神刑部族の姫足るボクの言葉は隠神刑部族全員の結論と捉えてもらって構いません」
「誇り高き種族の姫君たちよ。その揺るがぬ忠誠を我が魔王陛下に代わり、参謀長の名の下に正式に受理します。今後も陛下の庇護の下に揺るがぬ忠誠を捧げよ。さすれば、貴公等の一族の未来は安泰であると、このネコリア=テンペストが確約致そう。全ては我等が陛下の名と御心の下に……」
忠誠を盟主である魔王足る相棒の代わりに受け取るネコリア。その眼差しは正に参謀長と呼ぶに相応しく、それでいて、美しさと気品に満ち溢れていた。魔王の一柱に名乗りを挙げてはいないが、彼女もまた〝
「わふ……ネコリア様がすっごく綺麗なんだぞ…」
「流石はネコリア様ですわ…!美しく、可憐なだけではなく、懐まで深いだなんて…!私はネコリア様の書記官である事を誇りに思いますわ!」
「大地に降り注ぐ太陽の日差しの如き優しさ…!このライメイ、ネコリア様の剣として、より一層精進する所存!これからもなんなりとお申し付けくださいませ!」
「龍人族の長と破門中の兄に代わり、アビルが長姉のソウカが御約束を。我々の未来は貴女様と魔王陛下の御心のままに」
「姉者に同じ」
「以下同文」
神々しくも見える美しさの前に配下一同は傅き、頭を垂れる。その瞳たちが見据える先には愛らしい鍵尻尾を揺らし、艶やかな黒髪を掻き上げる一人の魔人。天井知らずの美しさは気品に溢れ、誰もが目を奪われる程に完璧で究極の唯一無二の愛らしさが其処には佇んでいた
『ネコちゃん。折角の配下たちとの時間を邪魔しちゃうけど、今って大丈夫か?』
「にゃに?リムちゃん」
頭の中に響いた相棒の声に、ネコリアは小首を傾げると問いを投げかける。十中八九、如何なる連絡ではあるかは理解しているが、一応は聞いておこうと思い、その声に耳を傾ける
『ヴェルドラのヤツがな……ディアブロに情報を流してたみたいでな。しかも、よりにもよって、講和の条件を読み上げている時に声を掛けたらしくてな』
「そう……スイヒョウ」
「はい?なんでしょうか」
頭に浮かぶ高笑いする親友の姿に軽くため息を吐き、書記官の名を呼ぶと彼女は首を傾げながらも、ネコリアが口を開くの待つ
「あたしはちょっと行かなきゃいけないとこがるから、後はお願いね?ハルナに引き継ぎとかしてあげるのよ」
「かしこまりました」
「行くわよ、エンカ」
「わふ!」
名を呼ばれるとエンカは直ぐに狼の姿に変化し、ネコリアが跨るのを確認すると勢いよく部屋から飛び出していく
「アネキも大変だな」
「今に始まったことではないですが、ヴェルドラ様にも困ったものですわね」
この後、ネコリアはヴェルドラに二時間にも及ぶ説教を行った後に当面の甘味禁止を言い渡すのは語るまでもない
新たなる王、新たなる国、未だ見ぬ二つを創り上げる為に世界は動き出す。魔物の国に住まう王と重臣並びに神の呼び名を与えられし竜。その先にある未来とは……
NEXTヒント 変革
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