無知で無垢な銃乙女は迷宮街で華開く   作:ねをんゆう

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111.喰らう欲

「ハァ、ハァ……い、嫌だ!助けてくれ!死にたくない!死にたくない!!ッギィッ!?!?ガァァァアアアアッ!?!?!?」

 

 

 赤に染まる。

 

 突き立てられた刀、切り落とされた片腕。

 

 叫び、足掻き、逃げようとした男の身体は地に縫い付けられた。

 

 

「オイオイ、逃げんじゃねぇよ。テメェが言ったんだろうがよォ?これは死合い、勝ち負けじゃねェ。生きるか死ぬかだ。なら両方生き残るようなことは、あっちゃならねぇよなァッ!?」

 

 

「ヒィッ!ヒィィッ!!」

 

 

「ギャハハハハハ!!テメェも武芸者の1人ならよォ!!死ぬこと怖がって道歩いてんじゃねぇよボケがァ!!!」

 

 

「ァァァアアアアア!!?!?!?アアアッァァァアアアアア!!!!!!?!?!?!?!?!?」

 

 

「安心しろや!!死ぬより怖ェモンを教えてやるからよォ!死んだ方がマシだと思えたら完成だァ!!その時にテメェの頭が動いてるからどうかなんて知ったこっちゃねぇけどなァ!!」

 

 

「ィッギィィイ!?!?ギャァァアアアッッッ!?!?!?ゥァアアアアッ!!!!!ガァァアアアアッ!?!?!?」

 

 

 指を切る。

 耳を切る。

 腕を斬る。

 足を斬る。

 

 けれど殺しはしない。

 

 死なせはしない。

 

 痛みさえも最小限。

 

 しかしだからこそ、絶望は深く、心は割れる。

 

 戻らない、戻せない、戻れない。

 

 失い続け、消え続ける自身への恐怖は、それこそ本当に死んだ方がマシだと思えるほどのそれで……

 

 

「……チッ、面白くねェ。何が東方最強の武芸者だ、まだアイアントの探索者共の方がマシだったじゃねェか。口先だけのゴミ屑共が」

 

 

 眼下に広がる海岸線。

 南方に来なければ見ることの出来ないこの景色は、確かに見応えのあるものであろう。しかし武を嗜む者にとって、特に力を求める者達にとって、この海岸線は全く別の意味を持つ。

 

 

「オルテミスの探索者ってのは、どんな怪物共なんだァ?アァ?」

 

 

 既に心が壊れ、意識を失った男の頭を斬り飛ばすと。頬に着いた血を拭いつつ立ち上がる。この世界で最も強い者達が集まるという街を目指して、歩みを進める。

 

 オルテミスという街は、そういう場所だ。

 

 こうして常に世界中から荒くれ者達が集まる。

 

 彼等に共通しているのは、つまりはまあ……その末に確実に、心を折られるということか。たとえどれほど技術や力に自信があろうとも。たとえどれほど実績を積んでいようとも。それでも。

 

 

 ……上には上が居るのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

「意外とこの街って、道場みたいな場所は少ないんですよ。それこそ長く続いているのは片手で数えられるくらいしかなかったりします」

 

「へぇ、それは本当に意外ね。こんだけ戦闘バカばっかりなんだし、需要はありそうなもんだけど」

 

 

 苦手な人物ではあるけれど、実際にこうして会うと割と普通に話すことが出来る。スズハにとってマドカ・アナスタシアという人間は、そんな存在である。

 

 結局カナディアに勧められた通り、マドカと共にベインが居るという道場へ向かっている最中ではあるものの、しかしどうやら目的の道場は街の外れにあるらしい。歩いて向かっているが、それなりに距離がある。

 

 もし秘石によって身体能力が強化されていなければ、スズハは絶対にこんな風に出歩くことはなかっただろう。身体が貧弱で体力もないスポーツ音痴だったスズハにとって、秘石という未知の技術はそういう意味でも非常に便利なものだった。異世界人の自分でもそれが使えたということもまた、運が良い。

 

 

「端的に言えば、普通の武道は探索者にはあまり需要が無いんです。対人戦闘の技術が不要という言い方をした方が分かりやすいでしょうか」

 

「ああ、そういうこと」

 

「基礎的な技術なら大抵の人が教えられますし、龍種やモンスター相手の立ち回りなら下手な達人より私達探索者の方が知っています。つまり小さな道場に行くくらいなら、"青葉の集い"に入って老齢の探索者に直接指南を受けた方がよっぽど良い」

 

「なるほど、あそこのクランはそういう強みもある訳か。普通はそういう大手で下積みを積んでから独立するってのが一般的なのね」

 

「そうなります、だからリゼさん達は割と特殊なんですよ。……話が逸れましたが、そういう事情があるので、逆に言えば今も続いている道場にはそれなりの強みがある訳です。そこでしか身に付かないものがあるとか、そういう需要がある」

 

「特殊性、ってことね」

 

 

 これならなるほど。確かに大手の下積み経験もなく、下の者に技術を教える経験も実績もないリゼ達にとっては、道場というのは今後必要になってくる可能性はあるのかもしれない。

 少なくとも一時的にでも、そういう場所で教えを受ける経験をしておくことは、今後クランの運営を長くしていくことを考えれば決して無駄にはならないだろう。

 

 

「で?今から行くところはどんな特殊性があるのよ?……クイズ形式とかは良いから、普通に教えて」

 

「ふふ、先手を打たれちゃいましたか。……そうですね。簡単に言えば、先生がとても優秀なんです」

 

「……割と普通な理由なのね」

 

「ええ、でもだからこそです。あらゆる武具に精通し、以前は探索者として活動していたこともありました。40年前の邪龍討伐にも参加し、生き残り、多くの有名な探索者達に教えを施した程の人ですから。すごい人なんですよ」

 

「へぇ、じゃあアンタもその人から教えを受けたわけ?」

 

「いえ、私には教えたくないと言われてしまいましたので。……別に嫌われてる訳ではないみたいなんですけど、教えたくはないんだとか。世間話とかは普通にするのに、不思議な話ですよね」

 

「……」

 

 

 どうせまたなんかやったんだろうなぁと思いつつも、特に指摘することなくスズハは道を歩く。この女の頭がおかしいことは既に分かっている。普通の人間面してるだけの異常存在だということも。故に最早変にツッコミを入れる気にもならない。

 

 そう、そんなことよりだ。

 

 それほど優秀な人物であるというのなら、人柄次第では直ぐにレイナに紹介しても良いのではないだろうか?彼女も槍の扱いには長けているが、そこでならまた新しい何かを掴めるかもしれない。紹介する意義はある筈。

 

 ……正直に言えばリゼも道場に入れたいという気持ちはあるものの、彼女に関してはなんとなく触れづらいところがある。それはリゼの成長についてはあのラフォーレが関心を寄せているのが理由であり、横から変な口を出せば面倒なことになる可能性が高いからである。それはきっとマドカも同じで……

 

 

「ねぇアンタ、リゼに自分から教えるつもりないでしょ」

 

「……!」

 

「やっぱり。あんだけ慕ってる子に対して、酷い先生も居たものよね」

 

「……ふふ。そう言われてしまうと言い訳の余地もないのですが……でもきっと、今の状態が良いと思うんです。お母さんにとってもですけど、何よりリゼさんにとって。私が付きっきりで教えていたら、自分で調べて考える力や、リーダーとしての精神性なんかは身に付かなかったでしょうし」

 

「……まあ、それは確かにね」

 

「時には人を頼ることも必要ですけど、人に頼れないことの方が多いのが人生です。なんでも自分でやる必要はなくても、大抵のことは自分で出来た方がいいに決まってます。その点、お母さんはその辺りをしっかりとリゼさんに叩き込んでいましたし。私ではここまで育てられませんでした」

 

「はあ、耳の痛い言葉ね。まあ私は『出来ることを増やす努力が出来る力』の方が大事だと思うけど」

 

「なるほど、それはそうかもしれません」

 

「よし、勝った」

 

「……結構負けず嫌いですよね、スズハさんって」

 

「アンタにだけよ」

 

「ふふ、それなら光栄ですけど」

 

 

 そんなことを話していると、いつの間にか目的としていた道場に辿り着いていた。

 

 その道場はそれなりに大きくはあるものの、しかし決して名門などというイメージのものではなかった。

 木造建築で雰囲気はあるし、今も10人弱の男女が中庭で木刀などを使って素振りをしているが、そこになんらかの特別性も見出すことは出来ない。チラとマドカの方を見てみても、彼女はなんとなしに頷くだけ。ここであることに間違いはないようであるが、それにしてはなんだか普通で。

 

 

「さ、入りましょうか。……すみませ〜ん!マドカです〜!お邪魔しま〜す!」

 

「え、そんな軽い感じでいいの?」

 

 

 インターホンのようなものもないので、発展した街でもこんな原始的なことをしなければならないことはさておき。この調子なら確かにマドカは偶にここに顔を出しているのだろう、なんとなく慣れている様子が見受けられる。

 

 ……まあ慣れていないのは素振りをしているような探索者達の方かもしれないが。マドカの名前を聞くと素振りをやめて顔を見にくるのだから、彼等はきっと経験の浅い探索者なのだろう。そんなことをしなくても今はギルドに行けば会えるのだし、わざわざ見に来る必要もないとスズハは思ってしまうのだが。

 

 

「……なんじゃ、また来たのか。マドカ・アナスタシア」

 

 

 道場の中では、ヘトヘトになって休憩をとっている門下生達と、1人の老人がその中央に立っていた。

 白い髭を長く伸ばして、覇気もそれほどなく、けれど腰は曲がっていない。木刀も何も持っていなくとも、その門下生達の相手をしていたのがこの老人であると、素人のスズハでも確信出来る。

 

 そしてそんな老人はマドカを見ると、なんとも微妙そうな顔をして出迎えた。嫌そうとまでは言わないが、呆れるというか。複雑そうな、そんな雰囲気。

 

 

「こんにちは、ゾルゲンさん。こちらはスズハ・アマギリさんです。以前にお話したリゼさんのクランで、作戦立案や研究調査なんかを担当しています」

 

「あんまりハードル上げないで。……スズハ・アマギリです、今日は道場の見学に来ました。うちには槍使いの女と、魔法系がカッスい女銃士が居るので、お世話になる機会もあるかなと」

 

「ほう、話は聞いとる。レイン・クロインを討伐したと聞いたが、今更学ぶことがあるのかのぅ」

 

「さぁ、私は戦闘なんて分からないので。ここで見たことをそのまま伝えて、判断は任せます。細かい話はその時に直接して下さい」

 

「……マドカ・アナスタシア。どうしてお主の周りの女はこうも気が強いんじゃ」

 

「あ、あはは。リゼさんは控えめな方ですよ?素直で誠実で、直向きな可愛らしい方です」

 

「なぜその女子を連れて来んかった……」

 

「あん?どういう意味よ」

 

 

 まあ実際、スズハやエルザやラフォーレのような気の強い女性が目立つことは仕方ないにせよ、そういう女性がリゼやマドカの側に多いことは事実。

 そういう女からリゼのような今時珍しい素直で純粋な女が気に入られるのもまた、当然の話。

 

 

「それで、ベインはどこに居るの?一応挨拶に来たって名目で来たんだけど」

 

「ん?あやつなら寝とるぞ」

 

「は?鍛錬中じゃないの?なんで呑気に寝てるわけ?」

 

「正しくは気絶しとるな」

 

「………」

 

「……あの、また無茶な鍛錬を?」

 

「うむ、じゃがまあ止める必要もなかろう。身体の丈夫さが売りのような男よ。……そも、女を取られて死ぬ気になれんような男なら、ここまで世話を焼いてやることもないわい」

 

「へぇ、まあそれは良いことね」

 

「よ、よくないですよ。気絶するまで鍛錬に打ち込むなんて、危ないです……!」

 

「こう言う時ばっかりまともなこと言ってんじゃないわよ。男なんて意地張ってなんぼの生き物でしょうが」

 

「そうじゃそうじゃ。図体のデカい男を過保護にするでない、気絶するくらいが丁度ええわ」

 

「えぇ……」

 

 

 そんな風に珍しいこの機会にと2人でマドカをいじめていると、突然外から大きな物音が聞こえて来る。

 いくつかの悲鳴と打撃音、スズハにとっては全く聞き慣れない、あまりよろしくないもの。只事ではない、それくらいのことは察することは出来る。

 

 

「スズハさん、私の後ろに」

 

「っ……ほんと、こういう時は頼りになるわよね」

 

 

 目を細めながら歩いて来るゾルゲンと、スズハを自分の背後に隠すように立ち位置を変えるマドカ。この女の得体の知れなさを知っているからこそ、この女が味方であることに何より安心感を覚える。……逆になった場合など考えたくもないが、それはさておき。

 

 

「マドカ・アナスタシア」

 

「ええ、問題ありません」

 

「ひぅっ!?」

 

 

 扉を貫通して来た刀の刃が、スズハの眼前で止まる。

 

 スズハにはそれが飛んで来たことさえも認識することが出来なかったのに、自分の前に立つ女はそれを片手で軽々と掴んでいた。これが実際にダンジョンで戦っている者と、そうでない者との違いというところか。似たようなことはリゼだって出来るかもしれないが、それがいざ命を奪われかける瞬間となれば捉え方は全然違って。

 

 

「ぃよぅ、クソジジイ。元気にしてたかァ?」

 

「……なんじゃ、デパルか」

 

「お知り合いですか?」

 

「昔の教え子じゃ。教えたことをなんでも飲み込む天才的な才覚の持ち主だったんじゃが、調子に乗りやすい愚か者でのぅ。碌なことにならんと徹底的に扱いておったんじゃが、途中で逃げ出して、それきりよ」

 

「チッ?だからこうして顔見せに来てやったんだろうが、あァン?」

 

「デパル、外の者達はどうした」

 

「殺してねェよ。……つっても、オルテミスの探索者ってのも大したことねェなァ?所詮こんなもんかよ、無駄に期待させやがって」

 

「うわぁ、如何にもって感じ……」

 

 

 ……正直に言えば、武道も何も分からないスズハにとってしてみれば、目の前の男はそこまで強そうには見えない。チンピラとヤクザとホームレスを混ぜたような、そんな見た目。ベインのように如何にもというほど筋骨隆々ではないし、覇気のようなものではなく、単純に人として近寄りたくないという感覚。

 

 小物っぽいと言ってしまえばそれまでだが、しかしこの老人がそこまで言うということは、実力と才能自体はあるのだろう。その丈を見抜くだけの眼力をスズハは持ってはいないが。

 

 

「外で素振りをしていたのは、まだ経験の浅い探索者さん達です。……これから花開こうとしている方々を一方的に攻撃しておいて、その言い草ですか。確かに少しお調子者なところがあるのかもしれませんね」

 

「………オイ、今なんつったクソ女」

 

「一目見て相手の実力が分からない程度の武人なのですね、と言っただけです」

 

「ブッ殺されてェか女ァ!!!」

 

 

 

「……不味いのぅ」

 

「結構怒ってるわね……まあいいんじゃないの、身の程が知れるでしょ」

 

「いや、デパルが叩き潰される分には別に構わんのじゃが……」

 

「?」

 

 

 マドカ・アナスタシアだって怒る時は怒る。想像通り、それは怒鳴り付けたりするようなものではなかったとしても。特にそれが未来の芽を摘むような行いであるのなら、アルファの時と同様に彼女は容赦しないだろう。

 

 ……ただ今回に関しては、恐らくきっと、スズハが想像している以上の何かがそこにはある。

 

 

「ふぅ……もうよい。マドカ・アナスタシア、後は頼んだぞ。儂は表の者達を見て来る」

 

「え?あ、はい」

 

「オイ!!待ちやがれジジイ!逃げんのか!!このクソ女の次はテメェだぞ!!」

 

「勝手にせぇ、どうせお前はその娘には勝てん」

 

「ンだとォ……?」

 

「逃げる、というのは間違っとらんがな。小心者の儂にはこれから起きることを直視する勇気はない」

 

「……アァ?何言ってんだァ?」

 

 

 そんな意味深な言葉を残して道場を出て行くゾルゲン。他の門下生達も連れて行き、残されたのはマドカとスズハとデパルだけ。

 あまりにもあまりなその対応に困惑しているのは誰よりもデパルであったし、スズハは逃げるタイミングを逃したことに後悔をしていた。こんなことならリゼでも連れて来れば良かったと。何故自分はこんな女と2人きりで行動してしまったのかと。面倒なことに巻き込まれるのは明らかだったろうに。

 

 

「チッ、まァボケたジジイのこたぁどうでもいい。それよりテメェだクソ女、死ぬ覚悟は出来てんだろなァ?」

 

「いえ、そういう覚悟をするつもりはありませんので……一先ず、木刀でどうですか?」

 

「アァ?」

 

「せっかく天才剣士さんにお手合わせ願えるのですから、一太刀二太刀で終わってしまっては勿体無いですし」

 

「……木刀なら殺されねェとでも思ってんのか?そりゃ考えが甘ェだろ」

 

 

「いや、もうやるならさっさとやってくんない……?どうせ負けるんだから」

 

 

「ンだとゴルァ!!!!」

 

「ひぅっ……マ、マドカ!!もうさっさとやっちゃってよ!!」

 

「ふふ、分かりましたから。ただ少し私にも時間を下さいね?……本当にこんな機会、滅多にないんですから」

 

 

「「っ」」

 

 

 きっと、デパルが目の前の女の異常に気が付くことが出来たのは、そこで漸くであった。そして逃げることが出来る最後の機会もまたその瞬間。

 

 それでも彼が望んだのは……

 

 

「……っ、やってやろうじゃねェか」

 

 

 彼は強者に飢えていた。

 放浪の最中、技術を身に付け、実力を身に付け、多くの勝ちを得て。自分よりも強い人間を求めるようになった。そして確実に自分よりも強い人間が居るであろうこのオルテミスへと辿り着いた。

 

 ……だが、やはり彼は間違えたのだ。

 

 多くの技術を身に付け、その天才的な才能によって最上まで昇華させることが出来た彼だからこそ、絶対にその女とは出会ってはいけなかったのだ。あまつさえ、手合わせなどすべきではなかった。

 

 

「よろしくお願いしますね、デパルさん。……一先ず軽く、6時間程度は付き合って貰えると」

 

「「………え」」

 

 

 女は技術に飢えていた。

 

 戦闘の技術ではなく、武道における技術を。道場を営んでいる師範達が彼女を避け始めたことによって生じた、その欲望が。今正に、あらゆる技術を身に付けた世間知らずな男に叩きつけられようとしていた。

 

 

 

 

 最後まで見ていたスズハは、こう語っている。

 

 それは正に、技術を貪り食らっているようであったと。

 

 他者の努力と才能を、それを身に付けるために費やした時間も気力も労力も、何の容赦もなく喰らい尽くしていたと。

 

 スズハのマドカ・アナスタシアに対する苦手意識が増したのは、もう言うまでもない。

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