無知で無垢な銃乙女は迷宮街で華開く   作:ねをんゆう

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120.不思議な男性

○リゼ・フォルテシア

-所持スフィア-

・投影☆1無

・回避☆1水

・炎打☆2炎

・視覚強化☆3無

・炎弾☆1炎

・軽減☆2炎

 

○レイナ・テトルノール

-所持スフィア-

・投影☆1無

・体盾☆2雷

・雷斬☆2雷

・雷斬☆2雷

・回避☆1水

・炎斬☆2炎

・武士☆3雷

 

○スズハ・アマギリ

-所持スフィア-

・生存☆4無

・軽減☆2炎

 

○シアン・アーリア

-所持スフィア-

・高速☆4光

・光斬☆2光

・速度向上☆2無

 

○クリアスター・シングルベリア

-所持スフィア-

・投影☆1無

・水壁☆3水

・水神☆5水

・回避☆1水

・回避☆1水

・水弾☆2水

・水弾☆2水

・水斬☆2水

・盗賊☆3水

 

 

 

 

「……意外と結構、ありますね」

 

「というより、クリアがこれだけ持っていたことに驚いているよ。中身はかなり偏っているみたいだけど」

 

「水属性のスフィアしか出ないから、偏っちゃう」

 

「……光と闇、ないね」

 

「そう言われると、属性の偏りも酷いですね。私の持っている物も大半はカナディアさんから頂いたものですし、実質的に私達が手に入れたいスフィアは殆ど水属性か炎属性なのでは……」

 

「あ、あはは……酷い偶然だ」

 

 

 一先ず荷物を運び終え、持ち込んだ資材などの整頓を行ってから。リゼは早速思い付いた提案をしてみることにした。それ即ち、今持っているスフィアをもう一度把握し直し、そこからまた何か新しいものを見つけてみたいという提案。

 自分の持っているスフィアは分かっていても、他人の持っているスフィアまで見る機会はこうでもしないとなかなか無い。そういうこともあって改めて持っているスフィアをこうして並べてはみたものの……それは本当に、酷い有様だった。

 

 

「ううん……数はあっても、種類が少ない上に汎用的に使えるものは少ないね」

 

「水属性スフィアが一応全員分ありますけど、結局、私もシアンさんも得意属性で殴った方が強いんですよね。敵に強固な耐性があるのなら別ですけど」

 

「水に弱い敵もここから先は少ないからね〜」

 

「シアンはどうだい?何か意見はあるだろうか」

 

「……うーん」

 

 

 元より、汎用性など叶わないというか、必要のないパーティであることは理解している。しかし今回の主題は、それでも可能性を模索することだ。ここで『やっぱり無いですね』と終わるわけにはいかない。

 

 

「『バリアのスフィア☆1』が欲しいかな……」

 

「バリアのスフィア……確か炎属性の魔法系スフィアですよね。汎用性の高いスフィアとは聞いていましたが」

 

「足場に出来るから、探索にも便利。それに上手く使えば、高速戦闘にも使える」

 

「!……なるほど、その使い方がありましたか」

 

「探索用の足場か、確かに今後必要になることも多そうだ。1つは確保しておきたいね」

 

「水属性のバリアないかなぁ……」

 

「クリアさんの"水壁のスフィア"も、私達のパーティの唯一の防御手段なので外せないんですけどね」

 

「防御手段が無さすぎないだろうか、私達のパーティ……」

 

「無い無いとは思ってましたけど、改めてこう見ると考えさせられるものがありますね……」

 

 

 元々課題の1つではあったけれど、レッドドラゴン等の龍種が扱う広範囲ブレスを思うと、その課題はより大きく見える。せめて小さくとも防御手段を増やしたい。

 なんなら属性縛りの無いリゼが弱いINTを無視して無理矢理使っても意味はあるだろう。リゼはステイタス的に前に出ることも出来るのだし……

 

 

「ふむ。そうなると"バリアのスフィア"は☆1だし、最悪購入も検討しようか。今の私達ならそれくらいは買える」

 

「そうですね。スフィアを売るという行為も極力やめましょう。クランを作った以上、今後はメンバー数がどうなるのかも分かりませんし」

 

「全員"回避のスフィア"3つ持ちとか出来るよね。……あ、私は2つか」

 

「極端ですけど、そういうことも出来ますからね。そう考えると、本当にスフィアはいくつあっても良いくらいなんですけど……」

 

「……私が前に持ってたスフィア、何処に行っちゃったんだろう」

 

「今度またレンドさんに聞いてみようか。40年も前のことだし残っている可能性は少ないけど、シアンの知り合いの品なんかはあるかもしれない」

 

「うん……!」

 

 

 ただ、先日の"魔砲のスフィア"の件から分かったこともある。それはつまり、レアリティの高いスフィアは使い勝手が悪いということだ。そればかりを持っていてもどうしようもない。

 特に星の多いスフィアは使用間隔があまりに長く、☆4以上になると戦闘中に1度しか使えない。確かに効果は強いが、戦闘が連続するダンジョン内でこれらを有効的に使うのは難しい。どうやっても対階層主戦で使うのがメインになる。

 

 (……贅沢な悩みだ)

 

 だからと言って、そういうスフィアを売って大量に安いスフィアを仕入れるというのも、なんか違う気がする。こういうことに悩むのも探索者の楽しみの一つであり、優秀になるために必要な経験だ。近道にはなるが、その道で本来得られるはずの経験が得られないのは、正直怖い。リゼがクランのリーダーという立場に居ることもあって、その感覚は尚更にある。仲間達の命を背負っている以上は、なるべく安全を取りたい。

 

 

「なんだか楽しそうですね、リゼさん」

 

「え?ああ……楽しいよ。私はずっとこんな探索者生活を憧れていたんだ。まだまだ先は長いけれど、だからこそワクワクもする。マドカやレンドさん達の居る所に辿り着くには、あと何年掛かるか分からないけどね」

 

「結局、密度ですからね。マドカさんは数年であそこまで辿り着いたと言いますけど、多分あの人は一日中ダンジョンと世界のこと考えてるような人ですし。私達はゆっくり行きましょう。転ばずに走っていける自信はないです」

 

「うーん、それは確かに……」

 

「それに……時々あるラフォーレさんからの無茶振りのためにも、今は地盤を整えた方がいいと思います」

 

「ああ……」

 

「出来ることは確実に、最低限の地力を身に付ける。取り敢えずは基礎を鍛えて、今持っている手札を確実に使えるようにしましょう。『まだこんなことも出来ないのか!』と言われてしまわない様に……」

 

「すごく言われそうだ……よし、じゃあこの機会を利用してみんなで色々と試してみようか」

 

 

 全く課題がない、などということはない。

 むしろ課題だらけである、幸運なことに。

 

 難しいことだと分かってはいるが、せめて次に会った時に彼女に褒められたい。以前のように、努力を認めてほしい。失望されるようなことにはなりたくない。

 

 

「私は一先ず、"武士のスフィア"に慣れることと、フルパワーの"雷散月華"に慣れたいですね。後は高速戦闘、次にマドカさんに会うまでに基礎だけは身に付けておきたいです」

 

「手伝うよ?私も、いろいろ試してみたい」

 

「ありがとうございます、シアンさん」

 

 

「んー、私は……なんだろ?」

 

「クリアは体力付けようか」

 

「えぇ〜……」

 

「というより、それくらいしか不満点ないんですよ。流石にそれなりに戦い慣れてますし、魔法の扱いも上手い。使えるスフィアも水だけですし、そうなると……」

 

「うぅ、仕方ないなぁ……」

 

 

「私は……少し狙撃を調整してみるよ」

 

「え、まだ足りないんですか?」

 

「スナイプ・オクトパスに一方的に勝てるようにならないと」

 

「あれ狙撃するために生まれて来たようなモンスターですけど……」

 

「片手狙撃は出来るんだ、二重狙撃も。ただまだこの銃に指が馴染んでいなくてね、どうも照準までに無駄な動きが多い。せっかくリロードもし易く設計したのに、その長所が活かせていない。完全に私の力量不足だ」

 

「職人かな?」

 

「すごいね。あんなに早いのに、まだ早くなるんだ」

 

「まあ、その辺りはリゼさんに任せます……」

 

「あとは"炎弾のスフィア"と組み合わせてみたい。一応設計上は問題ない筈なんだ。今後は硬いモンスターも増えて来るだろうし、早めに身に付けておかないとね」

 

「応援してますよ」

 

 

 せっかくの機会なのだ。なるべくこの場から動かないようにすることは仕事の内ではあるが、そんな時間さえも無駄には出来ない。とにかく試したい事だらけ。他の冒険者が少ない今を狙って、やりたいことをやるべしだ。

 

 

「あ、そうだリゼ。良かったら水弾で的を作ってあげる」

 

「クリアさんはサボりたいだけでしょう?さあ、私たちと一緒に走りましょうね」

 

「うぁぁ……」

 

 

 

「あ、あはは……」

 

 

 ……うん、やりたいことを。

 

 

 

**************************

 

 

 

「回避!………ぐはぁっ!?」

 

 

「クリアが飛んだ……?」

 

 

「水神のスフィアって回避のスフィアにも影響するんですか!?ちょ、クリアさん!?生きてます!?いや生きてはいるでしょうけど!!」

 

 

 回避のスフィアで後方に吹き飛んでいったクリアを見てアタフタとしているレイナとシアン。けれど取り敢えず頭を打って気絶しただけのクリアも確認して、リゼは苦笑いを溢す。

 

 あれから3日、鍛錬は順調だ。

 

 リゼも弾丸の無駄遣いは出来ないが、3丁の銃の扱いだけはそれなりに慣れて来たと自負している。なにせここ数日、リゼはずっとこの銃達を1人で振り回していた。偶に12階層に行って入口で飛びかかって来るモンスター相手に叩き落としたりもしていたが、水面から跳ねて来るデビルフィッシュがあまりにも鍛錬に丁度いい相手だった。

 

 シアンと一緒に高速戦闘の練習をしているレイナも、手本が目の前に居るからか1人でやっていた時よりも色々と試せているらしい。シアンもそんなレイナに色々と試させてもらっているようだ。

 

 クリアは……まあ、体力など一朝一夕でつくものでもない。本人なりに頑張っているみたいなので、それでいいだろう。色々とスフィアを使えるように試しているようだし。まあそれでも、絶望的な身体能力故にこういう事故も起こすが。取り敢えずは見守る事とする。

 

 

 

 

「ああ、居た。君達、少しいいかな」

 

 

 

「え……?」

 

「っ!?」

 

 

 ふと、背後から声をかけられる。

 

 気付かなかった、この場の誰も。

 

 シアンでさえも。

 

 

「え……?あ、え?」

 

「おや、驚かせてしまったかな。すまない、俺もオルテミスのダンジョンに潜るのは久しぶりなんだ。正直、少し緊張している」

 

「は、はあ……」

 

 

 突然この11階層に現れたその男性は、ダンジョンに潜るには如何にも不相応な背広を着て、そこに居た。

 

 高身長、身なりは良い、顔も酷く整っている。体格も戦士という風貌ではない。年齢は20代後半くらいだろうか。だが当然ながら、この場にいる誰もその男のことを見たことがない。

 

 ……思い返すのは"アルファ"、あの男もこうしてダンジョン内に見合わない服装で飄々と現れた。そして訳の分からないことを言って姿を消した。容姿の良い男ということもあって、よりそれを思い起こさせる。

 

 

「少し聞いてもいいかな」

 

「な、なんでしょう……」

 

「この休憩所は君達が作ったのかい?」

 

「え?ええ、まあ……」

 

「なるほど、なかなか良い出来だ。女性だけのクランが出来たとは聞いていたが、確かに特別扱いはしていないらしい。これを見るに器用な女性が居るのかな」

 

「……器用というより、経験があって。私は山生まれの山育ちと言いますか、家屋の修繕とかもやらされて」

 

「ふむ、となるとやはり重要なのは幼い頃の環境と経験か。孤児院の授業内容に幾つか取り入れてみるかな」

 

「?孤児院……?」

 

 

 そんな如何にも怪しい人物から飛び出した、"孤児院の授業"などという言葉。それを聞いた瞬間に、なんとなくでも警戒が解けてしまったのは、流石に警戒心が幼過ぎるだろうか。その証拠に、未だレイナだけは警戒心を解いていない。

 

 

「ああ、俺が出資している孤児院があってね。そこでは子供達に色々な授業を施して、つまりは人の成長について研究をしている」

 

「……研究というと、あまり良い聞こえではありませんが」

 

「レ、レイナ」

 

「はは、まあそう聞こえても仕方ないか。いや、気にしなくていい。実際、やっていることは変わらない。行く宛のない子供達を集めて、俺の発案をその人生を使って証明して貰っている。彼等が成功しても、失敗しても、20になれば追い出すつもりだ」

 

「…………あれ?意外と普通?」

 

「普通、なんですかね……?」

 

 

 そんな自分とレイナの反応を見て、男は口元に手を当ててクスクスと笑い始める。そうして笑っている姿すらサマになっているが、どうやら自分達は遊ばれていたらしい。

 

 

「いや悪かった、俺もオルテミスには数年ぶりでね。今の探索者達がどんな人格を持っているのか、巷で有名なクラン"星月の海"で見てみたかったんだ」

 

「そ、そうなんですね……」

 

「……ああ、分かりました。この人は多分、スズハさんと同じタイプの人です。つまり敵に回したら駄目です」

 

「そ、そうなのかな……」

 

「俺と似た女性が居るのか、それは興味深いな。……どうにも今のオルテミスには優秀な女性が多い、それも少し過剰な程に。だが中間層は男性の方が多い。その理由も知りたいところだ」

 

「……それは、なんでなんでしょうね?」

 

「さ、さあ。カナディアは『女性の探索者を男性の探索者が庇ってしまう事が多いから』と言ってたけど」

 

「それにしても、今の幹部陣の女性率は明らかに異常だ。偶然として片付けるのは簡単だが、そこに理由を見つけられれば、今後の女性人材の育成に役立つ」

 

「な、なるほど……」

 

「実は逆に連邦の方では女性人材が足りていない。他都市もそれほど多くはない。やはりギルド長が女性なのが大きいのか?いや、それならグリンラルもそうか。となると……」

 

「「………」」

 

 

 なんだか色々と考えているというか、考えることが好きそうな人というか、その性質には親近感もある。ただその真っ黒な髪の下にある蛇のような雰囲気は、それでもやはりこちらに緊張感を抱かせる。

 

 

「……リゼ・フォルテシア。君はマドカ・アナスタシアについてどう思う?」

 

「え?」

 

「彼女の教え子だと聞いた、どう思う?」

 

「……」

 

 

 レイナの警戒心は益々増すばかりだ。

 何せ彼は未だ自分の身元さえも明かしていない、どう考えても怪し過ぎる。しかしそれを尋ねたところで、まともに答えてくれるタイプでもないだろう。

 

 

「えっと……素敵な人?」

 

「……」

 

「マドカのためになりたい、マドカの力になりたい……早くマドカに頼られるようになりたい。本気でそう思っています」

 

「……ああ、いや」

 

「マドカは私の憧れなんです。いつかは私も彼女のようになりたいし、彼女にもっと信頼して貰える存在になりたい。それは確かに驚くほどに優秀な人ではあるけれど、だからこそそんな彼女を、その、1人にしたくないというか……」

 

「……ええと」

 

 

「あーすみません、この人"マドカ信者"なので」

 

「マドカ信者……」

 

「明らかに異常なくらい優秀なマドカさんに、ベロベロに心酔した人達に私が個人的に付けている名称です。特にこちらの方、リゼさんはもう手遅れです。マドカさんの役に立つためだけにクランを設立して、挙げ句の果てに幼体とは言えレイン・クロインまで倒した頭のおかしい人です。極まってますよ」

 

「極まって……そうか、なるほど。面白いな」

 

「頭のおかしい人……」

 

 

 しかしまあ、側から見れば普通に頭のおかしい人である。間違いない。他人の役に立つためだけにクランを立ち上げて、人間を集めて、普通そこまでやろうとも思わないし、実際にやらないだろうに。

 

 

「……いいな、面白い」

 

「え?」

 

「リゼ・フォルテシア、君は今のこの街についてどう思う?」

 

「この街、ですか?」

 

「ああ、君はこの街に来たばかりだと聞いた。全く何も知らない世界からこの街に踏み入れてみて、君はどう思った?何か困った事はなかったか?」

 

「困ったこと……」

 

 

 そう言われてみて、考えてみる。こんなことをどうして聞いてくるのか不思議な話ではあるが、聞かれたからには答えたい。けれど、よくよく考えてみれば。この街に来てから困ったことなんて、そんなの……

 

 

「いっぱいある……」

 

 

 いっぱいあった……

 

 

「クランを自分から作ろうとすると最初の1人が集まらないし、物価が高いから貯金が全然出来ないし、なんか戦いたくもない強化種とか階層主と無理矢理戦わされるし……」

 

「最後のは完全にリゼさんの不運とラフォーレさんのせいですよね」

 

「クランも、普通は下積みを積んでから作るから……」

 

「貯金もクランに入ってれば結構貯まるかな〜、リゼはクラン作るための資金貯めてたからじゃない?」

 

「……あれ?待ってくれ。私もしかして、自分から大変な道を進んでいたのかい?」

 

「う〜ん、今更」

 

「下積み無し、友人無しでクランを作ろうとするのは流石に猛者過ぎると思います」

 

「そ、そうだね……そうだね……そうか……そうだ……」

 

「あ、特に不満は無いそうです」

 

「みんな優しいし、マドカは凄いし、支援もあるし、ラフォーレも厳しいけど指導してくれるし……文句無いです……」

 

 

「はは、それは良かった」

 

 

 改めて自分の選択が如何に大変な道のりに進むものだったのかと思い返してしまい、別に後悔をしている訳ではないが、なんだか妙な脱力感を感じて膝をついてしまったリゼを撫でる。

 レイナは知っている、リゼが色々と苦悩していたことを。特にカナディアからの支援はあったものの、なるべくそれに頼らないように自分の稼いだお金だけで生活を安定させつつ、クラン設営のための貯金を貯めようとしていた。結果それはあまり上手くいかずに泣く泣く支援で受け取ったお金に手を付けてしまっていたけれど、そんな彼女の真面目過ぎるところをレイナは知っている。

 

 

「いや、それが聞けただけで俺は満足した。これからも大変な事は多いと思う、けれどめげる事なく頑張って欲しい」

 

「え?あ、はい」

 

「じゃあ、俺はこれで帰るよ。……またそのうち会える、その時にもこうして和やかに話せるかは分からないけどね」

 

「へ?」

 

「それじゃあ、また」

 

 

 そうして、その男性はまた階段を登って行った。

 結果、名前も何も聞き出すことが出来ずに、どころかその正体さえも明かすことなく。本当にリゼのその言葉を聞きたかっただけのように、帰っていく。

 

 

「……なんだったんでしょう」

 

「……よく分からないけど、多分アルファのような人ではないと思うよ。勘でしかないけど」

 

 

 結局、マドカ達が遠征から帰ってくるまで、リゼ達にそれ以上の出来事が起きることはなかった。あの男性がもう一度こうして目の絵に姿を現すこともなく、ただ平和に時は流れていく。

 

 

 

 ……マドカ達が帰ってくるまで、は。

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