無知で無垢な銃乙女は迷宮街で華開く   作:ねをんゆう

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123.vsキャラタクト・ホエール

 基本的に地上において巨大なモンスターを見る機会というのは早々ない。偶然見かけたとしても自分の体の2倍くらいが精々、それ以上に大きな存在となると探索者達に正式な討伐依頼が出る。

 それ以外の場合となれば、それこそ邪龍と遭遇してしまった運の悪いものだけ。その中でも幸いなのか不幸なのか生き残ってしまったものだけが、その規格外を目にすることになるだろう。

 

 ……だが、オルテミスの探索者は違う。

 

 彼等はカイザー・サーペントでその異常な巨躯を目撃する。そしてその後に、それ以上の巨体を持つ"それ"を否が応でも見ることになる。本当にこんなモンスターを倒すことが出来るのかと、そう思わされてしまう。

 

 

「でっっっっっっっっかっ!?!?!?!?」

 

 

 カイザー・サーペントは動けば分かるとは言え、それでも森の中にその姿を隠していた。奇襲も得意としていたし、ダンジョンの階層の大きさと比較すればまだなんとか常識的な範囲だろう。

 

 ……だが、キャラタクト・ホエールは違う。

 

 コイツはそもそも自分の身体を隠すことなんて出来ないし、なんなら階層そのものがこのモンスターのためにあるような地形の作りをしていた。

 

 広大な階層の中央に広がる大湖に、まるで巨大な島のようにドテンと存在している異様な存在。その湖には他の階層と同様にモンスター達が生息してはいるものの、それまでとは違い何処か大人しくも感じてしまう。

 

 しかしまあ、それも当然だ。あんな存在が眠る直ぐ横で、一体どうして暴れることなど出来るだろう。レイン・クロインよりも遥かに大きなその身体は、何処かこのオルテミス近海に眠る最強の邪龍を思い起こさせる。

 

 

「な、なんなんですかこれ……こ、こんなモンスターが居るんですか!?」

 

「なんだ、知らんのかお前達。キャラタクト・ホエールは地上でも目撃例はある」

 

「「「「え」」」」

 

「それこそレイン・クロインに大船が転覆させられた際の話だ。端的に言えば、コイツらは成体のレイン・クロインの餌で、幼体のレイン・クロインはコイツらの餌になる」

 

「「「はぁ!?」」」

 

「お前達があれだけ苦労して倒した幼体も、海の中ではコイツの餌ということだ。まあ相性もあるがな。ブルードラゴン程度がコレに敵うはずもあるまい」

 

「「「え、えぇ……」」」

 

 

 そんなとんでもない話を聞かされてしまえば、恐怖もより一層強くなるというもの。あれだけ苦労して倒した竜を餌にして生きているなどと、それは明確に階層主よりも強いと言われるだろう。

 ……というか少なくとも、間違いなく今のリゼ達にとっては格上の相手である。だってそのレイナ・クロインでさえもラフォーレ達の力が無ければ勝てなかったというのに。彼女も一緒に来ているとは言え、絶対に力を貸してくれないだろうし。一体どうやって倒せばいいと言うのか。

 

 

「ほら、さっさと行ってこい」

 

「う〜ん、相変わらずのこの無茶振り」

 

「流石に無理過ぎます……」

 

「わたし向こうで踊ってるね」

 

「クリアが逃げた……」

 

「お前も氷は撃てるだろう、逃げるな」

 

「うぐっ」

 

 

 しかしそう言われても、いきなりアレに勝てなんて言われても普通に困る。それはもう今からギルド本部をぶっ壊して来いと言われているようなものである。ゴロゴロと寝返りを打つだけでプチっとされてしまうような相手、無闇に突っ込んで勝てる訳がない。

 

 

「どうします?リゼさん」

 

「こ、こんな時は………ててーん!連れ去り際にスズハが手渡してくれた対キャラタクト・ホエール作戦案〜」

 

「やったー!」

 

「いえーい!」

 

「スズハさん素敵!本当に素敵!!」

 

「優秀な頭が居て良かったなお前達」

 

 

 こんな事もあろうかと。

 試案の段階ではあるものの、ここに連れ去られる前にスズハはそれをリゼに渡してくれていた。まさに生命線、一条の光。もしものためにと色々な準備をしていてくれた彼女には、もう心の底から感謝しかない。故に早速リゼはその中を読んでみる。

 

 

「キャラタクト・ホエールと対峙する際に、先ずこちらに有利な点が1つ。それは基本的に彼のモンスターが眠っていることである。つまり確実に先制攻撃を当てることが出来る」

 

「なるほどなるほど」

 

「つまり、レイナの最大火力を脳に突き刺せば終わる」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……あの、それだけですか?」

 

「うん」

 

「そ、そっかぁ……いえ、まあ、そうですよね!属性的な相性も良いんですし!武士のスフィアだって今はあるんですから!なんならリゼさんが撃ち抜いた所に合わせれば皮膚の分厚さだって関係なく……!!」

 

 

 

「炎弾」

 

 

 

「「「あ」」」

 

 

 ラフォーレの掌から放たれた大きな炎弾が、凄まじい速度で飛んでいく。もちろんその行く先はキャラタクト・ホエールのお尻。誰もそれを止めることなど出来ず、と言うか出来るはずもなく。ただそれが着弾し、大きな衝撃と共に爆ぜた後…‥彼等はようやく意識を取り戻した。

 

 

「じゃあな、後は頑張れよ」

 

「な、何をしているんだラフォーレぇえ!!!!」

 

「先制攻撃など許す筈がないだろう愚図が。正面から挑んでボコボコに殺されて来い」

 

「比喩でもなんでもなく本当に死んでしまう!!」

 

「リ、リゼ!起きた!キャラタクト・ホエール起きた!」

 

「どっどどっ、どうすればいいんですかぁ!?あんな突進止められる人ここには居ませんよ!?」

 

「と、とにかく全員散開!!レイナはクリアを連れて行ってくれ!!全員で逃げ回りながら適時攻撃を加えていくんだ!!」

 

「「「りょ、了解ー!!」」」

 

 

 もう直ぐ起床の時間であったこともあり、無理矢理起こされたキャラタクト・ホエールは不機嫌なままにこちらに向けて突っ込んで来る。それは最早、島がそのまま突っ込んで来ているような恐ろしい光景だ。

 そんな中でも咄嗟にリゼが出したその指示は、まあそれなりに適切なものだったろう。リゼも今日まで色々な経験をさせられて来た。少しずつではあるが、こういう場面でも頭が働くようになってきた。

 

 

「シアン!君はキャラタクト・ホエールの注意をなるべく引き付けてくれ!私とレイナで削る!けど無茶はしないように!!」

 

「うん、任せて」

 

 

 レイナとスズハは共に行動しているが、きっと彼等は問題ない。2人でならそれなりに立ち回れる。

 問題はシアンの方で、彼女は体力的に問題がある。そもそもこの階層にはキャラタクト・ホエール以外のモンスターも普通に存在していて、彼等は主の暴走によって大混乱を引き起こしている。故に余計な戦闘をさせるくらいなら、キャラタクト・ホエールの近くにいた方がよっぽど安全だとリゼは判断した。

 

 

「痛ぁっ!?こ、こんな時にスナイプする必要はないだろう!!このっ!!」

 

 

 ……つまり、現状最も被害を受けているのは単独で足も早くないリゼである。今も何故かこの混乱の中でスナイプ・オクトパスから狙撃を受けた。お尻に当たったのは不幸か幸いか。

 

 

「くぅっ……というかそもそも!あんな脂肪の塊のようなモンスターの何処を撃てば良いんだ!?やっぱり同じ箇所に攻撃を集中して脳を狙うのが一番か!?」

 

 

 眼を狙う、というのは簡単だ。

 しかしそれは下策であるとリゼは知っている。

 

 視界を失ったモンスターは基本的に暴れるし、それが巨体なほど厄介であることもまたリゼはよく知っている。目は人もモンスターも思惑を浮かべやすい。敵の狙いを察知するためにも、そして少しでも思考を残させるためにも、なるべくならば狙うべきではない。

 

 

「よ、よし、こうなったら一度やはり頭を………ごふっ!?」

 

 

 そうして大銃を構えようとした瞬間、脇腹に突き刺さる強い衝撃と、雷撃の痛み。

 

 

「ボ、ボルテクス・スネーク……」

 

 

 雷を纏いながら水面を凄まじい勢いで走るそのモンスターは、やはり今日も今日とてリゼに向かって飛び掛かる。そしてそれに追い打ちを掛けるかのように飛び掛かるデビル・フィッシュ達。

 リゼは何度かそれらを大銃で叩き落として再び走り始めるが、受けたダメージはそれなりに大きい。

 

 

『クエーーッ!!!!クエックエックエッ!』

 

 

「こ、今度はバトル・スワンか。なるほど、これは少し……いや、かなりキツイかな」

 

 

 相変わらずムキムキの筋肉を見せ付けてリゼの前に立ち塞がったそれは、レイナに殆ど対人戦闘をしているようなものだと言わしめた程の実力者である。

 正直に言えば、正面からやり合ってリゼが勝てる保証は何処にもない。バトル・スワンとはそれほどの存在だ。それもこんな、数多のモンスターが大混乱しながら飛び交っている戦場の中で。今だってリゼは飛び掛かってくるデビルフィッシュを蹴ったり殴ったりしながら叩き落としているというのに。

 

 

(ど、どうすればいい?というより、なんなんだこれは?バトル・スワンはともかく、この混乱の中でキャラタクト・ホエールをどうにか出来るイメージが全く浮かばない……)

 

 

 ふと視線を横に逸らしてみれば、そこには必死にキャラタクト・ホエールを惹きつけながら逃げるシアンの姿。更にその奥には、作り上げた氷壁に立て籠りながら、襲い掛かってくるモンスター達をなんとか凌いでいるレイナとクリアの姿。

 ……実際、どこにも余裕はない。そもそもリゼには照準を合わせる時間さえもない。眼だって常に動き続けている。これだけのモンスターを単独で対処出来ているのは、どうやったってこの眼があるからだ。

 

 

 (考えろ、考えろ、考えろ、考えろ、考えろ……!!とにかくモンスターの方をどうにかしないと話にならない!!けど早くしないとシアンの体力が切れる!!シアンが倒れた本当に勝ち目がなくなってしまう!だがこれだけ広大な湖のモンスター達をどうすればいい!?ここには木々だって大してない!使える地形も限られるのに一体どうすれば……!!)

 

 

 

 頭に熱が上る。

 

 これは良くない傾向だと分かってはいるものの、しかし落ち着いていられる時間さえも今はない。

 

 自分に都合の良い奇跡など起きない。状況は自身の力で突破しなければならない。甘えたことは言っていられない、甘えたままでは生き残ることは出来ない。いつだって生き残ることが出来たのは、自分が覚悟をしたからだ。

 生き残るためなら何だってやってやる、何だって飲み込んでやると、それほどの強い意志の元に自分の全てを集約させることが出来た時。

 

 そしていつだって、その引鉄になっていたのは……

 

 

 

 (……ラフォーレだったら、どうする?)

 

 

 

 【星の王冠】【視覚強化】

 

 

 

 スローになった世界の中で、リゼはギョロギョロとその眼を凄まじい速度で動かす。収集するのは地形の情報、そして同時にモンスター達の情報。

 

 それぞれのモンスター達は今どんな状況に居るのか、そしてどんな方針で動いているのか。それはキャラタクト・ホエールだって同じだ。そして仲間達、何より自分の持っている手札の全てをあらためて参照する。

 

 加熱した頭を冷やしたのは、決して頭を加熱させないような人間を模倣することだった。このような状況であっても間違いなく適切な対応をするであろう人間をよく知っていたから、そしてそんな人間の考え方を自分は理解出来た経験があったから。模倣した。

 

 

 

 (………あれだ)

 

 

 

 視線の先に見つけたそれに、そしてその光景から導き出した結果に、リゼは迷うことなく実現のための行動を繋げる。咄嗟に手に持っていた大銃の設定を最大威力まで引き上げ、角度を変えるために直走った。スキルとスフィアで全てのモンスターによる攻撃を捌き切り、同時に全体への状況把握も忘れない。

 

 

『……そうだ、それで良い』

 

 

 何処からともかく聞こえた気のするそんな言葉も無視して、リゼは目的の場所に辿り着いた。これが本当に正解かどうかは分からない。けれど少なくとも今の自分にはこれしか思い浮かばない。ならばこれをやるしかない。リゼ・フォルテシアの精一杯を、ここでやるしかない。

 

 

「全員!!その場にしがみつけぇええ!!」

 

 

「「「っ!!」」」

 

 

 大声と共に、引鉄を引く。

 

 瞬間、生じたのは爆発。

 

 けれどそれはキャラタクト・ホエールに生じたものではなく。この混乱の最中、元々の習性なのかは分からないが、湖の一端に奇妙なほどに固まっていた【ロスト・タートル】の群れに対して生じたもの。

 

 

『それで?肝心のお前はどうする?』

 

 

「言われなくても!!」

 

 

 最大威力の狙撃は、それなりに成長した今でさえも反動は大きい。……けれど、それがどうした。撃たなければならないのなら撃つまでだ。何発でも、何十発でも。この身体が動く限り。

 

 

「2発目!!」

 

 

 大量のロスト・タートルが空中を舞い、次第にそれが周囲の空気を吸い込み始めているのを見ながら、その全てを通り抜ける軌道を作り上げ、2発目を撃つ。

 

 目標はキャラタクト・ホエール、その頭部。

 

 そして当然、それで手を止める訳ではない。

 

 赤口の滲んだ両の手、反動で痣が出来てしまった自身の胸元、そんな全てを無視して震える手で3発目の弾丸を大銃にぶっこむ。

 熱によって自身の手が焼けようが関係ない。ここに来て初めての最大威力の3連続射撃。それを成さなければ、あの怪物は倒せない。

 

 

「クリアァァア!!氷でレイナの足場を!!」

 

 

「!!」

 

 

「3発目ぇえ!!」

 

 

 最低限の照準、最低限の反動抑制。

 残りの体力全てを注ぎ込んで放った3発目に、リゼの身体は大きく後方へと吹き飛ばされる。それを完全に抑え込めるほどの力は当然に無くて、けれどその弾丸を確実に届けるだけの力は今の彼女にはあった。

 

 

 

 ――――――――――――――――ッ!!!!!

 

 

 

 一切の無駄のない動きで放たれた2発の弾丸は、キャラタクト・ホエールの頭部に間髪入れずに突き刺さる。若干の着弾地点のズレは当然ながら生じていた。しかしそれが若干で済んでいるのは、まごうことなき職人技。

 

 響き渡る悲鳴、溢れ出る血流。そしてそんなキャラタクト・ホエールとは無関係な場所で生じた、大量のロスト・タートルによる問答無用の大量吸い込み。これこそがリゼの思い付いた、彼女なりの最善策。自分という駒を最大限に活かして役目を終える、一瞬の煌めき。

 

 

「レイナ!!行って!!」

 

「っ、行きます!!」

 

 

 大氷弾を何発もダンジョンの壁面に向かって撃ち込み、クリアはレイナのための足場を作る。それはロスト・タートルの吸い込みから避けるように配置されたものであり、そして同時に彼女を巨大なキャラタクト・ホエールの頭部まで届けるために必要なものであった。

 

 キャラタクト・ホエールはそれほど頭の良いモンスターではない。全く知らない銃のような武器で突然に狙撃されて、これほどまでに甚大なダメージを受けて、彼は混乱どころか半ば意識を飛ばしてさえいた。

 

 ……けれど、当然それは一瞬だけだ。そしてその一瞬を逃してしまえば、きっとまた状況は変わってしまう。

 

 

 (走れ、走れ、走れ……!!氷を、それとも壁面を!!)

 

 

 全てのスフィアを発動させる。

 

 シアンに教えて貰った高速戦闘を基に、壁面走りを敢行する。一歩間違えれば全てを台無しにしてしまう、けれどこれを成功させなければリゼの無茶が報われない。

 

 だからなんとしても、なんとしてもここで仕留め切る。無防備に吹き飛ばされたリゼを早く迎えに行くためにも。疲弊したシアンにこれ以上の無理をさせないためにも。今ここで、必ず……!!

 

 

 

 【高速】

 

 

 

「っ、シアンさん!?」

 

 

「あと、お願い……」

 

 

「!!……はい!!」

 

 

 一瞬、壁面の凹凸を踏み間違え、足を滑らせて姿勢を崩しかけてしまったところを……高速のスフィアを使って直下から追い付いて来たシアンによって立て直される。

 

 たった1人でキャラタクト・ホエールの気を引き続けていた彼女の疲労は明らかに色濃くて、それでも確かにこうして自分を見て、自分を支えてくれたことに。より一層の信頼が湧き上がる。

 

 

「【雷斬】【雷斬】【武士】……!!」

 

 

 武士のスフィアは、10秒の待機時間の後、次の攻撃の威力が跳ね上がるという効果のスフィア。つまりは跳躍から落下までの10秒間を作り出す必要があり、その一撃に全てをかける集中力を作り出す必要もある。そして10秒という極めて長い時間を生み出し、確実に余裕のない中でも最善を尽くせる柔軟性も。

 

 ……けれどその時間は、リゼとクリアが作り出してくれた。そして今もシアンがレイナを守るために近くに居てくれている。後は自分の努力だけ。全ての条件は揃っていた。心配すべきことなど、もう何一つとしてない。死力を尽くす、ただそれだけで良い。

 

 

「【極致・雷散月華】ァァア!!」

 

 

 自身の身体さえ焼き尽くしかねない程の雷撃を、レイナはその巨体に向けて叩き付ける。それはレイン・クロインを討伐した時を更に超えるような、渾身の一撃。

 ダンジョンの中に凄まじい雷が落ちたような、そんな驚異的な衝撃が付近の階層にまで響き渡る。

 

 

 ……いつの間にか、レイナはこのパーティの中で火力役を担っていた。それこそリゼの銃になんて敵うはずが無いと思っていたのに、敵が強大になるほどに、自分の力は求められ、そのためにリゼさえも尽くすようになっていた。

 

 

 それでも改めてこうしてみると、自分に求められている役割を改めて自覚する。これが自分に出来ることなのだと、自覚する。せざるを得ない。

 

 

 雷撃はリゼが空けた大穴からモンスターの体内にまで侵入すると、そのままその巨体を貫くようにして内部から焼き尽くした。斬撃、爆発、焼失、様々な破壊が濁流のように流し込まれ、その破壊は脳を叩く程度では終わらない。

 肉体を貫通し、湖全体にまで雷撃は広がっていき、そこに住まうモンスター達の命さえも奪っていく。元よりリゼの仕掛けたロスト・タートルのばら撒き故に大量のモンスター達が飲み込まれていたというのに、そうして生き延びていた者達さえもレイナの雷撃は焼き払った。

 

 

 

 

「そらみろ、出来ただろうに。お前達は自分を甘やかし過ぎだ」

 

 

「……そうかなぁ」

 

 

 荷物のようにラフォーレに担がれたリゼは、苦笑いをしながらも、シアンとクリアに抱き付かれているレイナを見た。……だがまあ実際、リゼだって信じていたとも。

 

 自分が倒れても、きっと彼女達はやってくれると。

 

 一緒に今日まで努力して来たのだから。

 

 命を預ける信頼など、とうに出来上がっている。

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