無知で無垢な銃乙女は迷宮街で華開く   作:ねをんゆう

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93.お祝い

レッドドラゴン討伐後、3人は一度11階層を覗いた後、特に何かをすることもなく真っ直ぐに地上へと戻って来た。それはスズハからも言われていたことであり、なんとなくあまり長くダンジョンに居るとまた余計な何かに出会してしまいそうな気がしたからである。

その甲斐もあってなのか帰り道もレイナが武器を無くしてしまっているとは言え、異常事態に巻き込まれることもなく、無事に帰ることが出来た。

 

強いて特筆すべきことがあったとすれば、それは……

 

 

「みなさんお疲れ様でした!それと、おめでとうございます!」

 

「はいおめでと〜う」

 

「あ、あはは……ありがとう、マドカ、スズハ」

 

 

ダンジョン2階層で遭遇した意外な2人。

まさかスズハまでダンジョンに来ているとは夢にも思わず、出会した際にはそれは驚いたものだった。どうやら一度くらいダンジョンに入ってみた方がいいと言われて来ていたらしく、リゼ達が見つけた時には2人で花畑の近くで野兎と戯れていた。美人が2人そんな風に小動物と遊んでいる姿はリゼとしても非常に目に心地の良い光景だったりもしたのだが、それはともかく。

 

「……なるほど、討伐に失敗したレッドドラゴンですか。それは私も盲点でしたね、申し訳ありません」

 

「い、いや!別にマドカが謝ることじゃないさ!」

 

「いえ、ですがリゼさん達の話を聞くにこれはかなり危険な話です。私としたことがその検証を忘れていました、直ぐに対応策を練ろうと思います」

 

実際のところ、自身の身体を顧みることもなく4度もブレスを吐かれてしまえば、どうにもならない。マドカの言う通り、これからレッドドラゴン討伐を行う探索者が増えてくることを考えると、早急に対応が必要な案件ではあるのだろう。幸いにもこのような事態に遭遇したのは、リゼ達が最初だった。運は悪いけれど、運は良かったと言える。

……それに、そもそもリゼ達はマドカが示した方法を殆ど実行していないし、シナリオもかなり自由なものだったりするので。誠実にマドカの教えを遂行したかと言われると微妙なところだ。その点だけはリゼも少し寂しく思っている。

 

「えと、今は取り敢えず喜びましょうか。皆さん無事に帰ってくることが出来ましたし」

 

「そうですね、これからはこのレッドドラゴン討伐を当たり前のようにしていかないといけないんですけど……」

 

「ああ、そういえばそうなるのか……ワイアームのように行きと帰りで2回も……」

 

「改めて考えると上位の探索者って頭おかしいわよね、どんだけ階層主倒してんのよ」

 

「ある程度の戦力が確保されると、レイナさんみたいな高火力を持った探索者が重要視されるんです。レイナさんを守りながら確実に一撃を当てて倒す、結局チマチマ戦うよりそれが一番効率良いですからね。慣れるとそこらのモンスターと変わらない気安さで討伐していくようになります」

 

「ワイバーンみたいな?」

 

「ええ、そんな感じです」

 

「確かに‥‥私も最初は苦戦したけれど、今は一撃で倒せるようになったからね」

 

初めてマドカに着いてダンジョンに潜った時、ワイバーンとはそれは必死に戦ったものだ。それこそ思わず貴重な弾丸を使ってしまうくらいに。

それが今や最初の強襲を見切り脳天をかち割るか、弾丸を叩き込んで終わりである。自分の成長もあるが、何より大きいのは単純な慣れだった。

ワイアームについても最近は苦手意識も無くなって来て、1人でも問題なく倒せるようになって来た。そうして繰り返していくうちに、レッドドラゴンも同様に容易く倒せるようになっていくのだろう。今自分達が思っているほどに困難な道ではないのかもしれない。‥‥もちろん、単純に道中が長くなるというだけで苦しいことは間違いないが。

 

「あ、そうだマドカ。実は私とレイナの分のスフィアが出てね」

 

「初回討伐の証ですね、何が出たんですか?」

 

「うん、さっきヒルコに見てもらったんだが……【炎斬のスフィア☆2】と【軽減のスフィア☆2】だったんだ」

 

「……どんだけ軽減したいのよアンタ」

 

「いや、私も好きで手に入れた訳では……」

 

「炎斬のスフィアは使えそうですね、レイナさんが持っておくといいと思います。軽減のスフィアは……一先ず保管しておいていいと思いますよ。もしかすれば何かに使えるかもしれませんし、お金が必要になった時の保険にもなりますから」

 

「な、なるほど」

 

「……あんたもそうやって保険作ってんの?」

 

「う〜ん……確かに私はたくさんスフィアを持ってますけど、基本的にお金に変えるつもりはありませんね。持っておくだけで可能性になりますし、流通を広めるより必要な方にお渡ししたいので」

 

「……つまり、あんたマジで金無かったのね」

 

「ふふ、お金がないのは本当です。本当に必要な時にはスフィアを売ってでも捻出はしますが、自分の食費のために売りはしません」

 

「難儀な人間ね」

 

そんな姿勢のおかげで周りの人達から助けて貰えているのだから、マドカとしてはそこまで難儀している話でもなかったりするのだが。

それはさておき、レッドドラゴンを倒したことで色々と変わることも増えてくる。今回マドカがわざわざこうして講義室を借りてまで彼等を集めたのは、それが理由でもあった。……そう、つまりは講義である。これはいつものマドカからの授業でもあった。

 

「さて、レッドドラゴン討伐を果たした探索者さんには一つ特別なご褒美があります」

 

「特別なご褒美……?」

 

「端的に言えば、二つ名が貰えます」

 

「あ、そういえばそういうのあったね」

 

「クリアさんはもう持ってますからね」

 

「うん、持ってる」

 

「へえ、あんたはどんな二つ名なのよ?」

 

「"神の子"」

 

「…………」

 

「…………」

 

「ま、まあ、なんとなく分かるような分からないような」

 

「LUK特化ですからね、クリアさんは……」

 

レッドドラゴンを討伐した探索者はギルドの広報に載り、更に関連組織との定期的な会合の中で二つ名が決定される。そしてその名前を元にレッドドラゴンを討伐出来るほどの力を持った将来有望な探索者を広め、支援し、商売へも利用していく。過去に探索者の情報を扱う関係でギルドと商人達の間で問題が起きてしまったため、であれば最初からギルドと相談の下で扱って貰おうと生まれたのがこの会合の起源でもあったりする。

決して格好付けのために付けられるものではないのだ、単に名前で呼ぶよりもよっぽど認知度が高くなる。もちろん代表達の遊び心や好奇心があることも確かではあるのだが、それによって実際に探索者達の個人個人の名前が広まり、探索者を目指す者が増えたこともまた事実。

 

「それにしても、二つ名ねぇ……他にどんなのがあるのかしら?」

 

「そうですね、例えば私の二つ名は"白雪姫"です。これはお母さんが"灰被姫"という二つ名でしたので、髪の色とかの関係でそこから来ています」

 

「他には?」

 

「カナディアさんは"聖の魔女"という二つ名で、これはカナディアさんが以前は"聖の丘"で活動していた代表的な探索者であったことが由来です。同じく団長のレンドさんは"聖の栄漢"、副団長のエミさんは"聖の陽影"と呼ばれています」

 

「セルフィはどうなんだい?今はカナディアの代わりに副団長をしているのだろう?」

 

「セルフィさんは"万華鏡"ですね。本人はあまりお好きではないようなので、もしかすれば今後変わることもあるかもしれませんが」

 

「変えることもできるんですか?」

 

「そうですね、どうしても探索者を続けていく中で最初と今のイメージが変わることはありますから。探索者側から変更を申請して、それが通れば変更してもらうことが可能です。どちらにしても私達ではどんな名前が付けられるのかは分かりませんが」

 

「……変な名前だけは付けられたくないわね」

 

「ふふ、大丈夫ですよ。あちらも商売がかかってますから」

 

「なるほど」

 

そしてそういえばと思い出すが、リゼ達はまだクラン創設の申請を出してはいない。一先ずレッドドラゴン討伐を終えてから進めていこうと思っていたが、この場合はマドカのようにクランの名前とは関係のないものが付けられるのだろうか。

なんとなくリゼの中ではカナディアのようなクラン名に関係のある名前で揃えていくのが羨ましく感じていただけに少し残念ではあったりするのだが、しかしそれは同時に師匠のマドカの二つ名の要素が取り入れて貰える可能性が上がったということでもある。

‥‥正直、今からワクワクが止まらない。

カッコいい名前をつけてもらいたい。

 

「さて、それともう一つ」

 

「ま、まだ何かあるのかい!?」

 

「私からのお祝いです」

 

「え」

 

まだ他に何か貰えるものがあるのか、と思えば……意外にもそれはマドカからリゼに対しての、本当に個人的なプレゼント。成長した教え子に対してのお祝いの品。レイナにもスズハにもクリアにもない、マドカからリゼに対してだけの、贈り物。

 

「こ、これは……」

 

「リゼさんは何が喜ぶのかと悩んだのですが、エルザさんから私とお揃いの物が一番喜ぶと聞いたので。私が普段身に付けている唯一の防具である、この外套を」

 

包紙の中から出てきたのは見覚えのある形をした黒いコート。彼女の物とは色が違うが、それでも形は間違いなく同じ物だ。魔法に強くて、簡単には武器の刃を通さないほどには強靭で、そして軽い。

……ああ、エルザは間違っていない。

本当に何も間違っていない。

他のどんな贈り物より、リゼはこれが一番嬉しい。

二つ名より、スフィアより、何よりこれが一番喜ぶ。

 

「〜〜〜〜!!!!あ、ありがとうマドカ!!!」

 

「ふふ、本当に喜んでくれるんですね」

 

「喜ぶもなにも!……さ、早速着てみたいのだが!!いいかな!?」

 

「それはもちろん、私も嬉しいです」

 

なんとなく冷たいレイナとスズハの視線に気付く様子もなく、今着ているジャケットを脱いでそれを羽織るリゼ。若干リゼの適正よりも大きめのサイズではあるかもしれないが、それでも決して見苦しいほどではない。むしろ彼女はまだ成長中、今後のことを考えれば丁度いいくらいだろう。

 

「ふふ、リゼさんは私とは違って前を閉めない方がカッコいいかもしれませんね」

 

「え?そ、そうだろうか」

 

「ええ、カッコよく着こなしてください。リゼさんはカッコいいですからね」

 

「か、かっこいい……ふふ」

 

「ニタニタしてんじゃないわよ」

 

マドカの真似をして首元までしっかり閉めようとしたのを止められて、マドカの手で前を開けられていくことに少しの照れを感じながらも、カッコいいと褒められてデレデレに顔を解かすその姿は、スズハが思わず突っ込みをいれるくらいにはみっともなかった。

……しかし、こうして出来たリゼの姿がかっこいいと表するに値することは、この場にいる誰もが同意している。

よく似合っている。流石にスタイルと顔が良過ぎるだけはある、それは思わずレイナが抱きつきに掛かろうとする自分の体を一瞬本気で理性で捩じ伏せる必要があったくらいだ。

 

「ど、どうかなレイナ?」

 

「す、すっっごくいいと思います……!!!」

 

「顔がガチ過ぎる……」

 

「クリアも、どうだろう……?」

 

「最高」

 

「あ、ありがとう……!」

 

しかもこう、その見た目に対して嬉しそうに、それに少しだけ恥ずかしそうにしているところもまた趣深い(レイナ談)。うちの団長が一番可愛いしカッコいい、あの姿でまた姫抱きされたい、心の底からそう思う(レイナ談)。

 

「ちなみになんだけど、あのコートってどんな代物な訳?」

 

「以前に精霊族の隠れ里へ行った際に生地を頂きまして、それで作って貰いました。色々と希少な素材で作られているそうです」

 

「……希少?」

 

「私もよくは分からないのですが……クリアさんは何か知っていますか?」

 

「うん?あ〜…………なんかあった気がする。歴代の里長が一生かけて作ってるみたいなの」

 

「………………リゼ今の聞いてた?」

 

「え?なんの話だい?」

 

「なんでもない、忘れなさい」

 

「???」

 

とにかく、なんかやばい物を使っているということは分かったのでこの話はここで終わっておく。

この辺りの話は白髪で青眼の人間であれば誰でも信仰する女神に見えてしまう精霊族のイカれた悪癖と、その精神性の美しさに惹かれてしまう習性故に起きてしまった諸々の事故が原因であったりもするのだが、そこはまた別の機会に。

 

「でも本当に良かったです。皆さん大きな怪我もないようですし、英雄試練祭は問題なく参加出来そうですね」

 

「そう!それなんだ!それが楽しみなんだ!」

 

「全員で参加されるのですか?」

 

「私はもちろん!!」

 

「ん〜、私はリゼの見てればいいかなって」

 

「……私は、マドカさんにだけ挑戦したいと思っています。他のお二人は見るだけで」

 

「スズハさんもですか?」

 

「それ聞く必要ある?やるわけないでしょ」

 

「ふふ。一応ですよ、一応」

 

そうして全員に配られる小さな冊子、つまりはパンフレット。この祭りのためにギルドと印刷所が必死になって最短期間で仕上げたそれは、今早速、商人達の手によって各地に配られているという。流石に既に3日後にまで迫っていることもあり他の街から挑戦者を集めるということは難しいが、投影のスフィアによって配信を見ることは可能だ。これもあって会場は主にダンジョン2階層になり、地上の訓練場で待ち受けるのはマドカだけである。これがギルド長が譲歩した最大の配慮であり、もちろん警備は万全だ。そして悲しいことに道中の安全を確保するためにワイバーンくんは拘束されて吊るされてしまうことになる。当日は3階層以降への侵入は一部の依頼をこなす探索者以外は禁止されるとのこと。

それと……

 

「なにこのスケジュール……あんたここで死ぬんじゃないの?」

 

「ふふ、祭の日は一日中こう頑張らないといけませんね」

 

「確かに、マドカさんへの挑戦者は多そうです」

 

「だ、大丈夫なのかい?」

 

「やばそう」

 

それこそ朝から晩まで、逐一休憩を入れていくとは言え、常に挑戦者の相手をし続ける必要がある。そんなスケジュールになっている。元よりそれほど体力があるわけではないマドカ、これは本当に大丈夫なのかと誰もが心配すること間違いないだろう。それこそやる気になっていたリゼも、途端に顔を青くして様子を伺う。

 

「ちなみに次のページに私やレンドさん、アタラクシアさんの詳細が書かれてたりするんですけど」

 

「マドカだ!!」

 

「リゼ、珈琲溢れてるよ」

 

「子供かお前は。……で?」

 

「ここに書いて貰ってるんです。休憩時間中は自慢の教え子達に頑張って貰います、って」

 

「………可哀想なリゼさん」

 

「またボコボコにされるのね」

 

「き、聞いていないんだが!?」

 

「もう、流石にそんな酷いことしませんよ。これを引き受けてくれたのはステラさんとリエラさん、つまりは私の最初の教え子さん達です」

 

「ああ、あの姉妹」

 

「最初の教え子……」

 

意外にも、そう意外にも、リゼは今日までその最初の教え子、つまりは自分の先輩に当たる人物達に会ったことがなかった。

以前にマドカと共にグリンラルから帰って来たとは聞いていたが、それ以降は特に話を聞くこともなく、自分達のことでいっぱいいっぱいで挨拶にもいけていない。それこそレッドドラゴンを討伐してからにしようと考えていたのだが、丁度ここで彼等の話が出て来た。

 

「最初の教え子……エルザさん達より先なんですよね?戦闘に秀でていると聞いたことがあります」

 

「ええ、そうですね。もう少しすれば私を追い抜くと思います」

 

「そ、そんなになんですね」

 

「見た目とか性格は結構子供よ、ってかあいつらそんなに強かったの?」

 

「強いですよ、もう10年もすれば間違いなく都市最強の席に座ると確信しています」

 

「私知ってる、龍殺団の団長に勝ったんだって」

 

「アルカにかい!?」

 

「ですから、私の代わりを十分に果たしてくれるはずです。むしろ挑戦者さんが増えてしまう気もしますが、それはそれで好ましいことですし」

 

「そりゃまた献身的なこって」

 

実際、マドカ流の高速戦闘を会得しているのは彼らだけであるという話はリゼも何度も聞いた。ラフォーレも認めるほどの強い意志を持ち、グリンラルにもオルテミスの代表として派遣されていたほど。つまりはマドカの言葉が多少の期待による誇張があったとしても、それでもそこに立てる実力と自信を持っているのは間違いない。

……正直、少し不安な部分もある。

マドカの教え子なのだから酷い人だとは思わないが、エルザ達ほど優しく面倒見の良いイメージが湧いて来ない。そしてそれは実際にこうして今日まで一度も顔を合わせていないこともまた証明している。……もちろん、あちらが先輩なのだから本当ならばリゼの方から顔を見せに行かなければならないのだろうが。それくらいには相手方もリゼに興味がないということに他ならない。

 

「お祭りは3日後ですから、それまでは身体をゆっくりと休めて下さい。明日からは私も少し忙しくしてしまうのでお相手出来ないんですけど、ステラさんとリエラさんにお会いしに行ってもいいと思います。家はスズハさんが知っているはずですから」

 

「まあね」

 

「なるほど……そうだね、そうしてみるよ。カナディアやエルザも忙しいのかな?」

 

「そうですね、特にエルザさんはずっとギルド長と当日の調整をしていますから。もし急ぎの用があるのでしたら、私から伝えておきますが」

 

「いや、そこまでの話じゃないから大丈夫だよ。祭が終わってから労いと共に話してみるさ」

 

単にクラン作りについて聞きたかっただけの話、別に今直ぐに必要な話でもない。それにある程度慣れて来たら、レッドドラゴン討伐にユイとエルザも誘いたいとリゼは思っていた。その辺りのことも含めて一度腰を据えて話す機会が欲しい。……というより、そういうことを茶でも飲みながら和やかに会話したいのだ。リゼは当然ながらエルザやユイのことも大好きなのだから。

 

「……そうだマドカ、今度久しぶりに一緒に食事でもどうかな?なんだかこうして話していても物足りないんだ」

 

「ふふ、勿論構いませんよ。私もリゼさんとまたのんびりとお話ししたいですし」

 

それはもちろん、マドカとも。

2人きりで話したい、食事がしたい、笑い合いたい。

 

「場所は『ナーシャ』でどうですか?」

 

「え"」

 

……その場所については、本当に、望んでいなかったのだけれど。

 

「リゼさんが来てくれないって、リコさんが悲しんでいましたから。良い機会ですから一緒に顔を出しに行きましょう?大丈夫です、お食事代くらい私が出しますから」

 

「え、あ、え………………うん」

 

その瞬間にリゼの頭に浮かんでしまった光景が実現してしまうまで、あと数日。

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