東方雪月花   作:くらんもち

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10話

紅魔館…

 

「そうなのね…」

 

「ほぼ確実と見ていい。やつは曇りの日に行動する。雲を見る限り、今日の昼が予想時間だ」

 

「分かったわ。厚かましいとは分かっているのだけど……」

 

「勿論。そのために来たんだから。任せてくれ!」

 

「ありがとう。感謝するわ」

 

「そうだ、咲夜か美鈴と手合わせをしてもいいかな?」

 

「いいけど…、なぜかしら?」

 

「『切り札』の状態を確かめておきたい」

 

「分かったわ。存分にやりなさい」

 

「ありがとう」

 

 

 

 

 

 

そして、昼。

 

僕は紅魔館を巡回していた。今のところは何もない。すれ違う妖精メイド達に挨拶をして、たまに仕事を手伝っていた。

そして、やつは突然に現れた。

 

「この魔力は…!」

 

間違いない、来た。能力を使い、魔力反応のもとへと瞬時に移動。

 

「やっぱりか!」

 

「雪華!」

 

「レミィ、そいつに近付くなよ!」

 

剣を生み出し、斬る。斬った先は霧散したものの、瞬きする間に再生する。

 

「…あれじゃないとだめか」

 

そして、『切り札』を召喚する。

 

「来い!雪銀(ゆきがね)!」

 

それは、明らかに異質な剣だった。見た事もないような金属で形成され、刃の根元には光る何かがある。しかし、見事な白銀で、とても美しい。

 

「はぁっ!」

 

刃が一閃し、靄を切り裂く。しかし、今度は再生しない。

 

『グォォォォォォォォ!』

 

「お前だったか、『ナイトメア・フィアー』」

 

『お前は…、修羅!』

 

憶えている。覚えていなくとも、憶えている。

 

「僕は、霜月 雪華だ!」

 

『騙されぬぞ!その剣、その闘気!我が知るものと寸分と違わぬ!』

 

「生憎、記憶を喪ってしまってるんでね!」

 

連撃を繰り出す。奴の纏う瘴気を、確実に剥がしてゆく。

 

「彼女の、桜の両親を、何処へやった!」

 

『ふん、教えるほど愚かでないわ!』

 

反撃を紙一重で回避。だが、ナイトメア・フィアーはレミィに目標を変えたようだ。

 

『動くなよ、小娘!』

 

「させるかよ!」

 

能力を使い、回り込む。

 

「ちょっと我慢してくれよ!」

 

「え!?せ、雪華!?」

 

弓手でレミィを抱える。

 

「レミィは大切な友人なんでね!易易と渡してたまるかよ!」

 

『ならば、人間、お前だ!』

 

今度は咲夜へと。

 

「させないと言っているだろう!」

 

能力を使い、咲夜の前の空間数ミリの時間を止める。時が止まった空間は、最強の壁となる。

 

『おのれ……!』

 

そこで、奴の体が透け始めた。

 

『覚えておれ、修羅!』

 

そうして、消えた。

 

「ふぅ……」

 

「雪華…、その……」

 

「あ、ごめん!」

 

慌ててレミィを下ろす。

 

「怪我はないか?」

 

「え、ええ…」

 

「咲夜は?」

 

「大丈夫です…」

 

「なら良かった。儀式は、失敗だ。籠目は意味を為さなくなる」

 

 

 

「……」

 

まだ、心臓が早鐘を打っている。とても驚いたが、腕の中から見る彼は、とても格好良かった。顔が熱い。だけど、兎に角今は。

「ありがとう…」

 

 

 

 

「あ……」

 

美しかった。舞うように戦い、お嬢様のみならず自分まで守ってくれた。強い。美しく、強い。気付けば、彼から目が離せない。

 

 

 

 

「うん、レミィ達に怪我がなくて良かった。…まぁ、さすがに館のことまで気にしてる余裕はなかったのだけど」

 

「全然、構わないわ。直せばいいもの」

 

「いや、それじゃ僕の気が済まない。…これでどうかな」

 

能力を起動し、時間を戻して瓦礫を元の場所に戻し、魔法を使って固定する。

 

「とりあえずはこれでどうかな?」

 

「お見事の一言に尽きるわね…」

 

「そりゃ光栄だな」

 

悪戯っぽく微笑んだ。

 

「…さて、そろそろ帰るよ。桜も心配してるだろうし」

 

「…ええ、分かったわ」

 

少し残念そうだ。どうしたのだろう。僕は何もしてないと思うのだけど。

 

「なら、送らせて。私だけじゃなくて、咲夜まで守ってくれたんだもの。それくらいしないと罰当たりなんてものじゃないわ」

 

「あー、分かった。ありがとう」

 

「いいのよ、別に」

 

「私も同行致します」

 

「咲夜まで?私は構わないけれど」

 

「ありがとうございます」

 

 

そして、僕は時折レミィと咲夜と談笑しながら、紅魔館を後にした。

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