東方雪月花   作:くらんもち

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11話

 

「…紫さん。居るのでしょう?」

 

「あら、お見通しだったのね」

 

「あれだけ派手に妖力ばら蒔いといてですか?」

 

「うふふ」

 

「まあ、それはともかく。幻想郷の有力者達に、言伝をお願いできますか?」

 

「いいわよ。それで、どんなこと?」

 

「簡単なことです。戦力を貸して頂きたいと」

 

「なぜ?」

 

「ナイトメア・フィアーは、軍を率いている。この前紅魔館に現れたのは、奴の影です」

 

「…分かったわ。だけど、彼女達は一癖も二癖もあるから、あまり期待しないでね?」

 

「それでも、全力を尽くして下さるのでしょう?どうか、お願いします」

 

「期待するなと言ったでしょう?全く、みんな妖怪(ひと)遣いが荒くて敵わないわ」

 

そう言って、苦笑しながら彼女はスキマに消えた。

 

「指揮はそれぞれの長にして、総指揮として紫さんを据えるか…?」

 

比較的親交が深く、指示を通しやすいというのが理由だが、それでも紫さんを信頼している。

 

「霊夢や魔理沙、レミィ、早苗と妖夢にも協力してもらいたいが……」

 

桜は連れて行かないほうがいい。何故かそんな予感がする。

 

「出来れば、天狗も戦力として数えたいな……」

 

文次第だが、紛れもなく幻想郷の一大事だ。

 

「さて、そろそろあいつらの本拠地を探るか」

 

雪銀を召喚し、『抜刀』する。そして剣を水平に構え、全方位を探る。

 

「こっちか」

 

指したのは東北。鬼門とされる(うしとら)だ。

 

「…そろそろ寝るとするか」

 

剣を雪銀へと納め、元あった場所へと転送する。

 

そして、寝具へと入り、寝息を立てる彼を見ている者がいた。

 

 

 

「雪華様、何をしようとしてらっしゃるのかな…」

 

桜だった。戦力だの総指揮だの物騒なことを呟いていたのだ。彼女としては心配で心配でしょうがない。

 

「どうしよう……」

 

実は、悪夢を見てしまった。毎日のことなのだが、最近気づいたことがある。この前、あの方の腕の中で眠ってしまったが、あの時だけ、悪夢を見なかった。だからというわけではないけど、まあそんな風に思い、部屋へ来てみたが。

 

「やっぱり、ダメよね…、いや、こうなったら!」

 

みんなあの方を狙っているのだ。ここで攻めねばいつ取られてしまうか分からない(尚、桜のものではない)。

 

「んーと…」

 

ごそごそと彼が眠っている寝具の中に入る。熟睡していらっしゃるのか、気づかれずに入りこむことができた。

 

「えへへ…、暖かい…♪」

 

そして数分後、気持ち良く眠りについた。

 

 

「……」

(なんでいきなり入ってきたんだ!?)

 

そう、実は起きていた。狸寝入りをしていたというわけではないが、寝付こうとし、敢えて寝た時と同じ呼吸をしており、眠っているように見えたというわけだ。目を開けて注意しようとしたら。

 

「えへへ…、暖かい…♪」

 

こんなのを聞いて注意できる馬鹿がどこにいる。

 

(まあ、今日くらいは良いか…)

 

明日、しっかり注意しよう。

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