「さ、くら……?」
主が死んだことで
「なん、で……!」
「なんでって、当、たり、前、です……。私、が、貴方を、愛、して、いる、から…………」
「……!」
包帯を出し、傷を固く縛る。だが、それでも血は止まらない。
「まだ、だめか……!」
「もう…、そんなに、しな、くて、いい、のに」
「ダメ、生きろ、生きてくれ、桜…!」
「ああ…、とって、も、楽し、かった、です……。あり、がとう、ござい、ま、した………」
そして、彼女は微笑んだ。胸の赤いものが、広がるのをやめる。
「桜…………!!!」
彼女の亡骸を、力いっぱい抱き締める。
「なんで、こんなこと………!」
絶対に、死なせない。
「桜…」
桜、君は知らないだろう。僕もまた、君を想っていたことを。
「死なせて、たまるものか……!!」
君は知らないだろう。僕は、いや、俺は。朝霧 修羅は。執念深いということを。
「赦せ……」
お前は知らないだろう。お前と過ごしたことで、徐々に記憶が戻っていたことを。
「謹んで勧請奉る…」
お前は知らないだろう。いつか、お前と笑い合える日を待ち望んでいたことを。
故に、愛しき者の魂を、
「帰ってきてくれ……、桜………」
「秦山府君、彼の者の魂を、現世へと戻したまへ……」
そして、彼は彼女を抱き締めたまま。
気がつくと、河原に居た。
「なるほど。三途の川ってやつか」
「お前さん、どうしたんだい?」
「え?ああ、ちょっと、色々ありまして」
「そうかい?お前さんは川を渡るには随分若いじゃないか」
「まあ、大好きな人の、身代わりとして、死んじゃいまして」
「そうなのかい」
「貴女は?」
「あたしは、小野塚 小町。死神さ」
「へぇ〜…、死神って本当に鎌持ってるんだ…」
「飾りだけどね」
「え?ならなんで?」
「いや、今のお前さんみたいに、亡者の方が喜んでくれるんだよ」
「死神って、随分とサービス精神高いんですね……」
苦笑する。
「まあ、ね」
「さて、舟はどこかなっと」
「は?何で舟に乗るんだい?」
「だって、死んだから…」
「お前さんを乗せることはできないよ」
「な、なんでです?」
「ほら…」
彼女は、後ろを指した。
見ると。
光が、灯っていた。
「お前さんは随分と人気なんだねぇ。あんなに強い
「……」
涙が、零れ落ちた。
「そいつらを、置いていっていいのかい?」
「悔いはないけど、未練は、やっぱりありますね……」
涙が、止まらない。
「本当のところは、どうなんだい?」
「…置いて行って、良いわけないじゃないですか……!!」
「なら、戻りな。ただし、大切なもんと引き換えにね」
「大切なもの…。分かりました。では、『修羅』としての記憶を」
「うん、これならまあ、いいかな。じゃあ、ね」
「…はい!」
そして、彼は駆け出した。
そして、1人残された死神のもとへ、小柄な影が。
「わわっ!?あたしはちゃんと役目は果たしましたからね!?」
「ええ。渡るべきでない命は還す。よくやりましたね、小町」
「…明日は雪かなぁ」
「なんですかその言い草は!」
「お説教は勘弁してください!……映姫様のめっちゃ長いから」
「なにか?」
「いえなんでも!」
目を、開けると、みんながいた。その中の1人に向けて、微笑む。