東方雪月花   作:くらんもち

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17話

 

ナイトメア・フィアーとの決戦から数日。彼らは、穏やかな日々を過ごしていた。

 

 

「ふぅ…」

 

僕も、だいぶ回復してきた。あの時、『朝霧 修羅』としての記憶を置いてきた僕だったが、死神たる彼女の温情なのか、彼女に関する記憶はそのままだった。

 

「まあ、死神様だもんな。そんなのが出来ても不思議じゃない」

 

「雪華様。おはようございます」

 

「うん、おはよう」

 

桜も、無事に還ってこれたようだ。…まあ、僕の命と引き換えに秦山府君祭をしたことは泣きながら怒られた。

 

「あの、雪華様…」

 

「ん?」

 

「そ、その」

 

「どうしたのさ」

 

「あのこと、忘れてくれませんか……?」

 

「え?…ああ、あれか」

 

彼女は赤くなりながら頼み事をする。多分、あれだろう。

 

「構わないけれど、僕の話を聞いて」

 

「…はい」

 

「僕にはね、ずっと前から好きだった人がいるんだ」

 

「え…」

 

「その人は、綺麗で、とっても強くて、優しくて。その美しさに憧れて、その強さに励まされて」

 

「……」

 

「その優しさを、愛おしいと、想うんだ」

 

雪華様は、懐かしむように目を細める。

 

「それで、僕のために命を投げ出す馬鹿もやってくれちゃって。でも、それすらもね」

 

「え……?」

 

「…大好きなんだ。だからさ」

 

「…はい」

 

「僕は、桜と共に生きていきたいんだ」

 

だから。

 

「桜。僕と、結婚してほしい」

 

「え………?」

 

「ああ、別に嫌なら嫌って言ってくれ。気を遣わないでいい」

 

「…そんなわけ、ないです……」

 

震える声で、告げる。

 

「忘れてくれなんて言っておいて、こんなことを言うのもダメですけれど……」

 

「私だって、貴方が大好きです…!」

 

涙が、止まらない。でも、これは川のほとりで流した涙じゃない。

 

「ありがとう…」

 

「…えへへ」

 

桜は幸せそうに笑って抱きついてきた。

にへらと頬が緩んでいる。

 

「ありがとう…」

 

私は知っている。その言葉に、万感の想いを込めてくれていることを。

 

「…はい」

 

僕は知っている。その言葉に、抱えきれない幸せがあることを。

 

2人は、お互いにそんな想いを心に宿して、いつまでも抱き合っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深雪の心を、穏やかに融かしてゆく桜花。2人のこれからは、どうなるだろうか。私ですら分からない結末。これからも、どうか私の語る物語に付き合って頂きたい。では、また次のお話で。

 

 

 

 

 

 

…そうだな、仮にも私の世界だ。上等な教会、もしくは、式場でも用意しといてやろうか。彼らの驚く顔が楽しみで楽しみでしょうがない。

 

それに、そこそこの修羅場もあるだろか。彼を想っていたのは1人じゃないからな。まあ、その時はその時だ。

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