東方雪月花   作:くらんもち

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23話

「…ここだな」

 

僕達は、蛟がいる池に来ていた。

 

「奴は水底、どうやって戦うんですか?」

 

「当然、引き摺り出しますよ」

 

「え?」

 

そして、僕は魔法を放つ。水面が大きく荒れ、飛沫が飛び散る。これなら蛟にも聞こえるだろう。

そして、予想通りに。

 

『GYAOOOOON!』

 

吼えた。

 

「来る!」

 

「お、大きい…!」

 

体長5メートルはあろうかという巨体だ。これは温存なんてしてられない。

 

「『雪銀(ゆきがね)』!」

 

手の内に雪銀が召喚される。

 

「せいやっ!」

 

脆い箇所を狙い、そこへ食い込ませて鱗を剥ぐ。そうすることで僕を脅威だと認識させ、注意をこちらへ向けさせる。

 

「ふぅ…っ」

 

第3能力を発動。時間を止めて幾重にも斬る。解除すると、一瞬で裂傷ができる。

 

『GUOOOO!』

 

水を圧縮し、レーザーのようにして発射してきた。しかし。

 

「そいやっ!」

 

スキマを出現させ、攻撃を返す。

 

これが僕の最後の能力。

『能力を模倣する程度の能力』だ。

 

 

 

「す、すごい…」

 

私が敵わないであろう蛟を、いとも簡単に圧倒している。鞍馬天狗様でさえ多少は苦戦するだろう。何せ、蛟は転移能力を持つ。彼は、転移をさせる間もなく攻撃をしているのだ。

これが終わったら、彼に剣の稽古をつけてもらおう。近づいてくる獣達を狩りながらそう思った。

 

 

 

 

 

「予想以上にタフだな…」

 

着実にダメージは与えているものの、倒れる気配がない。鞘である雪銀も相当の攻撃力を備えているはずなのだが。

しかし、どうにも気にかかる。先程までは、僕を倒そうとする動きだった。だが、今は忍ぶ動き、つまりは耐久をされているように思えてならない。耐久しているということは、何かを待っているということ。つまりは援軍。だが、妖怪とはいえ蛟が群れることなどあるのか。その疑念が、判断を鈍くした。

 

 

「ぐあっ!」

 

背中に衝撃。なんと、もう一体潜んでいたのだ。僕を吹き飛ばした蛟は、さっきまで戦っていた蛟よりも大きかった。そして、大きい蛟は、椛に標的を移した。まずい、呑まれている。せめて、せめて椛だけでも。そう思い、軋む体を押して駆ける。

 

「間に合えっ…!」

 

 

その時、花の香りが、背を押してくれた。

 

 

 

 

 

 

 

「なっ…!?」

 

彼を吹き飛ばしたのは、先程までのものより一回り大きい蛟だった。血の気が引いていく。もう、ダメだ。せめて囮になって、彼を逃がさないと。

その時、花の香りがした。物凄い速さで駆けてきた彼に、今度は蛟が吹き飛ばされた。

 

 

「え…?」

 

「椛、下がっていてくれ」

 

「髪が…」

 

彼の髪は、瑞々しい緑、そして瞳は、鮮やかな赤。

 

「僕は、風見 夏葉(かよう)

『次代のフラワーマスター』だ!」

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