東方雪月花   作:くらんもち

24 / 57
24話

「僕は、風見 夏葉!

『次代のフラワーマスター』だ!」

 

 

髪色は瑞々しい緑、そして瞳は、鮮やかな赤。

しかし、声と顔は。

 

「雪華さん…?」

 

「これが、僕の本当の姿だ」

 

「雪華さんの、本当の…」

 

「下がってて、椛。僕がやる」

 

「でも…!」

 

「大丈夫。力も、解放されている」

 

そう言って、彼は霊力、魔力、そして妖力を放った。彼は人間のはず。なのになぜ?

 

「なんで、ただの人間が妖力を…」

 

「それは、僕が半人半妖だから。妖怪を母に持つ、それが僕さ!」

 

それなら、合点がいく。どうして、ただの人間があれ程までに強いのか。彼女もまた、ナイトメア・フィアーとの戦いに参加しており、彼の力を目の当たりにしている。

あんなに強い理由。それが半人半妖。そして、風見という名字。まさか。

 

「居るんだろ、()()()

 

「さすがね。ちょっと油断してたわ」

 

「風見 幽香…!」

 

「あっちの小さいほう、よろしく」

 

「ええ、任せて頂戴」

 

「桜華、抜刀」

 

雪銀から桜華を抜く。

 

「参る!」

 

あれでも、まだ抑制された状態だったのか。私の目の前で、壮絶としか言い様のない戦闘が始まった。

雪華改め夏葉が、幽香が、それぞれ蛟達を蹂躙する。

幽香は花を模した弾幕で。夏葉は刀と桜の弾幕で。これまでと比にならないダメージを与えていく。

そして、数十秒後には、瀕死の蛟達があった。

 

「とどめだ。行くよ」

 

「勿論よ」

 

夏葉は刀を、幽香は傘を構える。

 

「「『万花繚乱・デュアルスパーク』」」

 

光線が絡みあい、蛟を嬲る。

そして、大きな光が止んだ頃には。

2つの大きな骸があった。

 

 

「……!」

 

私は絶句した。目の前に示された力が、強大すぎた。

そして、その力に、恐れを抱いた。彼自身ではない。

彼の力に、だ。勿論、普段の彼は優しく、暖かい人なので、彼は怖くない。だが、その力を、私に向けられると思うと、ぞっとする。

 

 

 

 

 

 

 

「夏葉…」

 

母さんは、僕の名を呼んだ。

 

「うん。ただいま、なのかな。母さん」

 

「ええ…、お帰り、なさい…!」

 

そう言って、母さんは抱きついてきた。

 

「ちょっ、母さん!?」

 

「お願い…、もう少しだけ、こうさせて…」

 

「…しょうがないなぁ」

 

その言葉とは裏腹に、彼はとても嬉しそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、雪華宅…

 

「雪華様、早く帰ってこないかな…」

 

もうお昼に近い。お腹も減ってきた。

 

「ご飯作って待ってようっと」

 

美味しそうな音と匂いがし始めた頃。

 

「…え?」

 

自分の身体が透けていることに気づいた。

 

「嘘、なんで!?」

 

止まらない。

 

「雪華様っ…!」

 

そして、寂しく調理器具のみが残された。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。