「さて、じゃあもう帰るね。彼女が心配してるだろうし」
「またね」
「うん。椛さんも、また」
「ええ、またいつか」
そんな言葉を交わし、僕は家に向けて飛び立った。彼女があんなことになっているとも知らずに...。
十数分後、家に着いたが、やけに静かだ。いつもなら、迎えてくれるはずなのに。
「桜〜?」
桜を呼んでも、反応がない。この家はあまり広くないから、呼びかければ聞こえるはずなのだが...。
家中を探しても居なかった。お手洗いにも入っていない。
まるで、何かに連れ去られたように。
「どこだ...?」
そして、台所に行ってみると、食事を作っていたのであろう。そこには寂しく放置された作りかけの料理と、調理器具があった。どこかに連れて行かれたのは間違いない。しかし誰が、何のために。彼女を自分のものにせんという輩だろうか。
「聞いて回らないと......」
そして、里の全て家を同意の上で捜索し、店という店も確認した。なのに居ない。
「桜、どこに...」
神隠しだろうか。なら、あの人が知っているはず。
「紫さん...」
「何かしら?...どうしたの。そんなに憔悴して、何があったの?」
「桜が、居ないんです。何か、ご存知ではありませんか...?」
「残念だけど、私ではないわ」
「じゃあどこに...」
「そうね、本来は禁忌なのだけど」
「え...?」
「桜は、あの子は今、異世界に居るわ」
「異世界...?」
「『あっちの』私からの情報だから、確かよ」
「なんで...」
「それは分からないわ」
「僕を、連れて行ってください!彼女のもとへ!」
「本来なら不可能ね」
「そんな...!?」
では、もう二度と彼女とは会えないのか。
「『本来なら』、ね。私ならあなたを連れて行けるわ」
「お願いします」
「即答ね。いいわ。その愛に免じて、1度だけ、禁忌を犯してあげる」
「ありがとうございます...!」
「ただし、何が起きるかはわからないわ。十分に気をつけなさい。それと。」
「そんな顔で行ったら、桜が心配するでしょう?もっとしゃきっとしなさい」
「...はいっ!」
自分の頬を叩き、気合いを入れる。
「マシな顔になったわね。じゃあ、5秒だけスキマを開くわ。一気に行きなさい!」
「はい!」
そして、異界への
駆け抜けた先にあったのは、異様な光景だった。燃えたぎるであろう炎が、凍っている。そして、そこに居たのは、パチュリーと、母さん。僕は、2人を助けるために。
「桜華、抜刀…!!」