女性が好きな男性にチョコレートを送る日とされているが、実はこれ日本だけの風習。聞くところによると、とあるチョコレート店が儲かるために『バレンタインデーにはチョコレートを送ろう!』と宣伝したところ大反響でそれが日本中に広まったとのこと。外国とかじゃあ男性から女性に花とか色んなの送るらしい。
話はそれたが、幻想郷のバレンタインデーを見ていこう。
…恋愛弱者の僻みみたいなもんだが。
「ふわぁ…。」
「おはよう、桜。そして、誕生日おめでとう。」
「ありがとうございます。」
そう、今日2月14日は桜の誕生日。なので、昨日のうちからかなり張り切ってケーキを作っていた。
「誕生日だし、欲しいのはある?」
「う〜ん…。今は思い付きません……。」
「じゃあ、出来れば今日中に。」
「分かりました。」
「誕生日だが今日も開店だ。頑張ろう。」
「はい!」
ちなみにその日はさくらんぼ&チョコレートフェアだったとか。
そして夜……
\ピンポーン/
「はーい!」
ドアを開けると、そこには早苗がいた。
「あ、桜さん……。雪華さんは居ますか?」
「居ますよ。雪華様〜!」
「早苗じゃないか。どうしたんだ?」
「え、ええっと…。今日はバレンタインですので……。」
「あ、そういえばそうだっけ。」
「こ、これ!受け取って、ください!!」
「これは…?」
薄緑の包み紙に包まれた、小さな箱。
「ち、チョコレート、です……。」
「ありがとう。嬉しいよ。」
「じ、じゃあこれで……!!」
「あ、ああ…。」
「あら、どうしたの?早苗がものすごい勢いで走っていったけど。」
「レミィ。」
「何かあったんですか?」
「いや、特筆すべき事は…、いや、チョコレートもらった。」
「先を越されたわね…。」
「そうですね…。」
「まあ仕方ないわ。これ、あげる。」
「私からも、これを。」
それぞれ紫と灰色の包み紙の小箱。
「これもチョコレート?ありがとう。」
「喜んでもらえたようで何よりよ…。じゃあ、渡すものも渡したし、帰りましょうか。」
「はい。」
その直後、紅魔館の自室でさながら茹で蛸のように赤面しているレミリアと咲夜が目撃された。一部の妖精メイドは雪華に言ってやろうかとも考えたが、2人の脅迫まがいの懇願(咲夜に至っては本当に脅迫した)によって思いとどまったという。
「雪華さん…。」
「颯香様。どうなさいました?」
「その、これ!」
桃色の包み紙の小さな箱。
「ありがとうございます。颯香様。」
「えへへ、頑張って作りました。」
「ありがたく、受け取らせてもらいます。」
「そうしてくれると助かります。」
「あやや…?颯香様!?」
「文じゃない。どうしたの?それに椛まで。」
「あはは…、これは時を改めたほうがよさそうですな……。」
「構いません。渡すものがあるのでしょう?」
「では、失礼して。雪華さん、義理ではありますが、これを。」
「ああ、さんきゅ。」
「私からも…。」
「ありがとな、椛。」
「…いいえ。」
「じゃ、戻りますよ、椛。」
「私も戻ります。じゃないと、貴方の一番大切な人に怒られそう。」
笑いながらそう言って颯香様も文と椛を連れて飛び立っていった。
「いっぱい、ですね……。」
「そうだね。嬉しいけど…。」
「けど…?」
「内緒だ。」
「ええ〜っ?」
君がくれるのならそれが一番嬉しい、ということは黙っておく。
「ま、それはそれとしてだ。誕生日プレゼントは決まったかい?」
「え、ええっと…。何言っても、嫌わないでくださいね…?」
「ああ、勿論。」
「じ、じゃあ、まず部屋に行きましょう?」
「…?分かった。」
そして導かれるまま寝室へ入ると、いきなり抱きついてきた。
「桜?」
「私は…、雪華様が、欲しいです……。」
桜の唇を奪ってすぐに離す。
「ふぇ……。」
目がとろんとしている。
「僕は手加減なんて器用なことが出来るような奴じゃない。
それでも?」
「……はい。」
「なら何も言わない。ただ、覚悟しとけよ。」
そうして長い長い夜は更けていった。
…尚、悪戯してやろうと思った紡ぎ手が来たが、声を聞いて慌てて退散したのは内緒だ。
更に余談だが。つい先程魔理沙が2人の食事に媚薬を盛ったことが判明し、ぶん殴ってやると言わんばかりに追い掛けられている。そして分かりやすい巻き添えを食って現在進行形で紡ぎ手のくらんもちも逃げている。解せぬ。