「吹き飛べ。」
文字通り、雪華は一瞬にして後方の壁まで吹き飛ばされた。
「ぐっ……!!」
何とか叩きつけられることなく止まることができた。
…言霊だろうか。
「……終わらせてやろう。」
男が腕を振るう。
その向きと同じように、雪華は壁に叩きつけられた。
「げほっ……!」
「雪華様!」
桜が悲鳴を上げる。
「………。」
男は手に力をこめる。それと連動し雪華の腕が軋んだ。
「ぐ……!!」
このままでは腕が持っていかれる。
……やむを得ない。
仕方なく、雪華は一気に8枚の光翼を解放、彼にかかった圧が弾け飛ぶ。
「……無駄だ。」
男は手を離しているはずなのに圧迫感は消えない。
「…粗方弾いたが、まだ残ってるな。」
しかし、戦闘行動に影響はないと判断。全力の12%程の速度で斬り掛かるが、それは先程までとは次元が違った。
「……潰れろ。」
雪華の上から圧がかかり、地面に叩きつけられる。
「ちっ。」
桜華を一振りすると、重圧が消滅する。これが桜華の力。『異能破り』、と呼称しているものだ。
「……切れろ。」
その一言だった。雪華の腕から力が抜け、脱力してしまう。指一つ動かせない。
「くそっ……!」
怒りに呻く。しかしそれでも魔法や霊術を用いて弾幕を放つが効果はない。
「……いい加減、終わらせようか。」
男の体から発せられた光が雪華を包む。しばらくすると完全に力が使えなくなってしまった。
「お前は充分に戦った。終わらせよう。」
「…まだだ。まだ、終われない……!!」
思念を用いて桜華を操作、自らの腕を僅かに斬ると、雪華は立ち上がり、桜華を構える。
「………まだ足掻くのか。」
「諦めは、悪いんでな……!!」
片足を引き、桜華を腰に。
壮絶な霊力、魔力、妖力、神力が渦を巻く。
「おかしいな。我の性質上、こんなことは有り得ないのだが。」
男が手をかざすと、そこに無色透明の巨大な剣が現れた。
「この気持ちが、『高揚』なのだろうな。こんなのは初めてだぞ、霜月雪華。」
狙うは起死回生。
眼前の敵全てを屠る、滅亡の
「熾天翼全開放、『終焉』のもとに跪け!」
男が剣を構え、声高らかに宣言する。
「『万物は無より出で、天に昇り無へと帰す。』我が名の元に全てを滅ぼせ!」
「『
「『万滅無天』!」
互いの攻撃は、それぞれに向かって突き進み、戦場は爆風に包まれ、その中で雪華と桜の意識は闇に沈んでいった。
「…………生きてる。」
うっすらと意識が戻った雪華が聞いたのは、幼い少女の声だった。
彼等の戦いを、遠巻きに見ていた者が二つの影。片方は深紅の髪と同色の眼の男、もう一人は男と同じように瞳と髪の色が同一の少女だ。もっとも、彼女は青色だが。
「……終わったみたい。」
少女が呟く。
「遠目に見ても、
「……女の人、無事かな?」
「さあな。見に行ってみよう。御主人の容態確認と回収しなきゃ行けねえし、相手が敵対してきたら………始末しなきゃだからな。」
男の言葉に少女は頷いた。彼等は準備を整え、怪物達の戦場に向かった。