東方雪月花   作:くらんもち

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33話

「吹き飛べ。」

文字通り、雪華は一瞬にして後方の壁まで吹き飛ばされた。

 

「ぐっ……!!」

 

何とか叩きつけられることなく止まることができた。

…言霊だろうか。

 

「……終わらせてやろう。」

 

男が腕を振るう。

その向きと同じように、雪華は壁に叩きつけられた。

 

「げほっ……!」

「雪華様!」

 

桜が悲鳴を上げる。

 

「………。」

 

男は手に力をこめる。それと連動し雪華の腕が軋んだ。

 

「ぐ……!!」

 

このままでは腕が持っていかれる。

……やむを得ない。

仕方なく、雪華は一気に8枚の光翼を解放、彼にかかった圧が弾け飛ぶ。

 

「……無駄だ。」

 

男は手を離しているはずなのに圧迫感は消えない。

 

「…粗方弾いたが、まだ残ってるな。」

 

しかし、戦闘行動に影響はないと判断。全力の12%程の速度で斬り掛かるが、それは先程までとは次元が違った。

 

「……潰れろ。」

 

雪華の上から圧がかかり、地面に叩きつけられる。

 

「ちっ。」

 

桜華を一振りすると、重圧が消滅する。これが桜華の力。『異能破り』、と呼称しているものだ。

 

「……切れろ。」

 

その一言だった。雪華の腕から力が抜け、脱力してしまう。指一つ動かせない。

 

「くそっ……!」

怒りに呻く。しかしそれでも魔法や霊術を用いて弾幕を放つが効果はない。

 

「……いい加減、終わらせようか。」

 

男の体から発せられた光が雪華を包む。しばらくすると完全に力が使えなくなってしまった。

 

「お前は充分に戦った。終わらせよう。」

 

「…まだだ。まだ、終われない……!!」

 

思念を用いて桜華を操作、自らの腕を僅かに斬ると、雪華は立ち上がり、桜華を構える。

 

「………まだ足掻くのか。」

「諦めは、悪いんでな……!!」

 

片足を引き、桜華を腰に。

壮絶な霊力、魔力、妖力、神力が渦を巻く。

 

「おかしいな。我の性質上、こんなことは有り得ないのだが。」

 

男が手をかざすと、そこに無色透明の巨大な剣が現れた。

 

「この気持ちが、『高揚』なのだろうな。こんなのは初めてだぞ、霜月雪華。」

 

狙うは起死回生。

眼前の敵全てを屠る、滅亡の(ヒカリ)

 

「熾天翼全開放、『終焉』のもとに跪け!」

 

男が剣を構え、声高らかに宣言する。

 

「『万物は無より出で、天に昇り無へと帰す。』我が名の元に全てを滅ぼせ!」

 

「『天を灼く熾天の光刃(ブライト・オブ・セラフィム)』!!!」

 

「『万滅無天』!」

 

互いの攻撃は、それぞれに向かって突き進み、戦場は爆風に包まれ、その中で雪華と桜の意識は闇に沈んでいった。

 

「…………生きてる。」

 

うっすらと意識が戻った雪華が聞いたのは、幼い少女の声だった。

彼等の戦いを、遠巻きに見ていた者が二つの影。片方は深紅の髪と同色の眼の男、もう一人は男と同じように瞳と髪の色が同一の少女だ。もっとも、彼女は青色だが。

 

「……終わったみたい。」

 

少女が呟く。

 

「遠目に見ても、()()と殺り合って相討ちに持ち込むとか、お相手はかなりの手練れだったみたいだな。」

「……女の人、無事かな?」

「さあな。見に行ってみよう。御主人の容態確認と回収しなきゃ行けねえし、相手が敵対してきたら………始末しなきゃだからな。」

 

男の言葉に少女は頷いた。彼等は準備を整え、怪物達の戦場に向かった。

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