東方雪月花   作:くらんもち

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37話

紅葉を引き取って数日。彼女も大分慣れてきたようで、僕を「おとうさん」、桜を「おかあさん」と呼ぶようになっていた。

初めて呼ばれた時のグッとくる感覚は忘れまい。霊夢達にも紹介し、初めは人見知りしていたものの、すぐに懐いて、特にレミィとフランに関しては「レミおねえちゃん」、「フランおねえちゃん」と言って慕っているようだ。

だが唯一困るのは、紅葉が僕の傍を離れないこと。普段ならいい。しかし店を開ける時はどうしても奥に居てもらわないといけない。だから、店の時だけフランに来てもらい、遊んでもらっている。そんな日が続いたある昼下がり。

 

「おとうさん、あのね…。」

「ん、紅葉、どうした?」

「おにんぎょう、こわれちゃった……。」

「ああ、そういうことか。分かった、父さんが直してあげるよ。」

「……!ありがと……!」

 

この家に来てから、笑顔を見せてくれるようになった。それが愛らしくて、ついつい撫でてしまう。

 

「ん……♪」

「おー待たせーい。……と、紅葉ちゃんじゃないか。お父さんに遊んでもらってたのかい?」

「紡ぎ手か。…ということは。」

「おう、御望み通り創ってきたぜ。」

 

紡ぎ手が取り出したのは明るい灰色のタキシード。なるほど、僕のイメージカラーを反映したらしい。

 

「桜のは?」

「それは本人に渡すつもり。お楽しみは最後まで分かんないほうがいいだろ?」

「……変なもの創ってないだろうな。」

「んなしょーもないふざけ方するかい!安心しろ、神に誓って、真面目に創った。」

「じゃあ違えた場合死刑な?」

「怖いけどお好きにどうぞ。本当に真面目に創ったから。」」

「……嘘はないみたいだな。」

「最初からそう言ってんじゃん。」

「ならいい。ありがとな。」

「おうともさ。たまにゃあ良いこともしないとな。」

「ま、大助かりしたのは事実だな。」

「だろー?」

「……ねえ、きつねのおにいさん。こっちきて。」

「んー?良いけど。」

「うちの娘に変なことするなよ。」

「誰がするか!!」

 

紡ぎ手が連れてこられたのは雪華達の寝室。

 

「どしたの紅葉ちゃん、何かあった?」

「ううん、あのね……。」

 

そして、紅葉は彼女が幼いながらも必死に考えたサプライズを話した。

 

「成程、そいつはいい。お父さん達も喜ぶだろうね。」

「じゃあ……!」

「狐のお兄さんが手伝ってあげるよ!一緒に頑張ろうな!」

「……うん!」

 

その後、彼らは使われていない部屋に移動し、『サプライズ』の準備をするのであった。

尚、これを通して紅葉は紡ぎ手とかなり仲良くなったようで、出来上がる頃には彼を「くらんおにいさん」と呼び、雪華が衝撃を受けたのは余談である。




「紡ぎ手じゃない、どこ行くの?態々『道』まで作って。」
「紫か。
……くらんもち郵便、行って参りまーす。」
そして、彼は『道』を通り、異世界へ向かうのであった。
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