東方雪月花   作:くらんもち

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40話

「………。」

 

「……朝霧 修羅。なぜ俺から桜を奪った。なぜ貴様などが彼女の隣にいる。貴様は華を愛でるような奴じゃない。返せ。桜を。貴様が散らしてしまう前に。」

 

「ライガ・グレムレート。僕はお前から奪ったつもりはない。此処に居るのは、彼女自身の意思だ。お前が彼女を奪うつもりなら、僕は剣を取ろう。桜を、妻を護るために。」

 

「妻、だと……、貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

──────────────────────────

 

「また、会いましたわね。天水 桜。」

 

「紅、火那様……。」

 

「あの方を連れ戻せば、まだ陛下もお許ししてくださるはず。さあ、降りなさい。あの御方を、修羅様を、返しなさい。」

 

「………私独りなら、そうしていたかもしれません。私も、貴女が彼を慕っていることを知っています。ですが、私にだって、私なりの意地がある。彼を……、夫を、渡しはしません!」

 

「何ですって…………!?」

 

──────────────────────────

 

「「全軍、かかれ/かかりなさい!!」」

 

「迎え撃て!」

 

熾天会と幻想郷、2つの軍が激突する。兵の練度、実力であれば、こちらが上。"座天使"未満の下級天使程度ならば天狗や玉兎でも倒せる。その予想は正しかった。だが、物量が想定外だ。あちらは4万を超える大軍、大してこちらはナイトメア・フィアーの時と同じく1万5千。倍以上戦力差がある。

 

「桜、やるぞ!」

 

「はい!」

 

負ける可能性も十分にある……、だが、それではダメだ。何としてでも勝たなくてはいけない。

 

(だが、やはり強くなっているか。)

 

熾天会を離れてから約1年。目の前の金髪の少年……、"雷轟"の智天使、ライガ・グレムレートは、以前よりも少し強くなっている。殺す気はないが、それでも本気を出していることには変わりない。しかし、以前であれば為す術なかった攻撃を防御している。少なくとも脅威だ。すぐに戦闘を切り上げて援護に向かわなくては。

 

「させねえよ!」

 

「……。」

 

そうは問屋が卸さない。彼の力の使い方も上手くなっており、的確に雪華が援護に向かうことを阻止する。そして、雪華には、ライガが何か思い詰めているかのように見えてならない。

執着(あいじょう)、なのだろう。それも桜に対する。それは先程の発言からも伺えた。だから、彼女を奪った雪華が許せない。おそらくではあるが、ライガが強くなっているのはそれもあるはずだ。

 

だが、こちらとて負けるつもりは微塵も無い。いくら精鋭とはいえ、圧倒的な戦力差によりこちらの兵は着々と数を減らしている。救援を要請したいがアテはない。己の力で勝たねばならない、そんな絶望にも似た感情が、幻想郷の兵達に広がっていた。




「……マズイな。仕方ない、行くか。」

「何処へ行くの?」

「援軍の要請。心当たりというか、縁ならある。」

「……頼むわよ。」

「分かってる。」
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