東方雪月花   作:くらんもち

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48話

「おいおい、どこ行くんだよー!」

 

ずるずると連行された魔理沙は、そんな愚痴を零す。

 

「んー、ここら辺ですかね?」

 

少年はそう言って魔理沙から手を放す。

底はあまり目に付かない様な木陰だった。

 

「いやいやいや、どこだよここ!」

「見りゃわかるでしょ、木陰ですよ。」

「いやなんで此処に連れてきたんだよ!」

「だって紹介中に襲われたら嫌じゃないですか。」

「くそ……、早く戻らないと……。」

 

魔理沙は焦っていた。2人がかりでも押され気味だったのだ。霊夢1人ではあまり持たないだろう。あの男が一体何れ程の実力を持っているかは知らないが、それでも苦しいことには変わりない……、そう考えていた。

 

「そんな貴女にこれです!」

 

そう言って少年が取り出したのは黒っぽい筒だった。

 

「な、なんじゃこりゃ?ミニ八卦炉とも違うようだが……。」

「ここっすよ、ここ。」

 

彼が指差す場所にあるのは見覚えのある八角形の穴だ。

 

「まさか、ミニ八卦炉のオプションパーツ!?」

「そうです!もちろんモットーは『弾幕はパワーだぜ!』です!」

「そんなものが……、よし、こいつ借りるぜ!」

 

すぐさま相棒(ミニ八卦炉)に取り付け、霊夢の元へ向かおうとする。

 

「あー、今行かない方がいいですよ?」

「は?どういうことだ?」

 

何故そう言っているのかは分からない。だがそれ程強いのなら、親友が巻き込まれてはいないか、それが心配なのだった。

 

「執行者さんの攻撃は対象選別式なので巻き添えにはなってないと思いますが、その後の光景はさすがにショッキングですからね。」

「……そういうことか。」

 

何となく納得した。

 

「じゃあ私らは暇だな。」

「……そうでもないようです。観察者さんから別方向からの進軍を確認したと情報が来たので、そっち行きましょう。」

「分かった、こいつも試してみないとな!」

 

不敵な笑みを浮かべ彼について行く。

 

「あ、それでいつもの出力しないでくださいね?」

「え?そんなに?」

 

軽く引いた。当然である。いつもの出力を出せばマズイ程ブーストがかかっているわけで……。

 

「いやいや、それ中に『拡散装置』や『補正機構』入ってるんですけど、その中に『増幅器』も入ってるので。」

「拡散装置……。」

 

つまりマスパをノンディレクショナル並の弾幕に出来るわけで。

 

「いつもの10%で本来の100%分出せます。そうすることで継続戦闘時間を大幅に延ばしてるんです。」

「うわすご。」

 

語彙力どこ行ったとツッコミが入りそうではあるが、それだけ凄いのである。そして魔理沙はドン引きしていた。

 

「なのでそれで最大撃とうものなら爆発します☆!」

「当たり前だわ。」

 

こんな頭おかしいもの誰が作ったんだ……、そう思わずには居られない魔理沙であった。

 

「ちなみに注文は僕の方の世界の魔理沙さんですよ。」

「だろうな!」

 

ミニ八卦炉のオプションパーツといい、コンセプトといい、やったのは異世界の私としか思えない。そしてあちらの私はどんだけ頭おかしいんだとちょっと引くのであった。

 

「何でも霊夢さんと肩を並べるためだそうで。」

「あっちの霊夢はそんなに強いのか……。」

 

こっちの霊夢とは肩を並べるまではいかないものの、雪華を特訓に付き合わせたおかげでだいぶ差は無くなった。

 

「霊夢さんはうちのボスを除けば最強ですからね。逆に霊夢さん以外ではボスに歯がたちません。」

 

少年は何かを用意しながらそう言う。

 

「さて…と。魔理沙さん、何か魔力媒体みたいなのってありませんか?」

「キノコならあるぜ!」

 

さっとキノコを取り出す。

 

「……出来れば魔理沙さんの魔力が篭ってる物がいいんですが。」

「ん?それならマジックアイテムがあるが……。」

「何個くらいあります?」

「さっきまでのでかなり使ったから……、5個ってとこだな。」

「それだと少し勿体ないですね。……仕方ありませんね。」

 

そう言うと彼は地面に伸びる自身の影に手を突っ込んだ。

数秒後、半透明の結晶を5、6個取り出した。

 

「な、なんだこれ!?」

「増幅と保存の魔術式が刻まれた魔力媒体です。少しでいいのでこれに魔力を注いでください。」

「おう、分かったぜ!」

 

手を当て、慎重に魔力を注ぐ。

 

「……よし、充分です。」

 

魔理沙がすべての結晶に魔力を注ぎ終わると、それらは黄色い光を放ち始めた。

 

「あとは…これに装着すれば完成です。」

「できた!」

 

八卦炉を起動させると、媒体である結晶を装着させたパーツが魔理沙の周りを囲むように浮き始めた。

 

「こいつは、すげぇな……!!」

 

魔力充填、完了。試しに普段の10%で撃つ。

 

「わわっ!?」

 

マスパは普段と同じ出力で発射された。

もう少し右側に向けていたら少年に当たりそうではあったが。

 

「ああっすまん!難しいが、その分燃えるじゃねーの……!!」

 

魔力充填、再開。このじゃじゃ馬を絶対に乗りこなしてみせる。

 

「その調子です!」

 

そう言いながら魔理沙の方を見る少年の顔はどこか嬉しそうだった。

 

「行くぜ……、『魔砲-ファイナルスパーク』!」

 

アタッチメントによる増幅を考慮、コントロールにも細心の注意を払いつつ、自身の最強のスペルカードを放つと、目の前の天使達は一瞬で蒸発した。

 

「おー!流石ですね。」

「まあな、魔理沙様ならこの程度軽い軽い!」

 

誇らしげに胸を張る。

まあ張る胸もなi(殴

 

「この調子でどんどん行きましょう!」

「ああ!」

 

そうして、魔理沙達は迫り来る天使の撃退を開始した。

 

 

 

 

第七の戦場、開幕。

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