「ふむ、この辺りですかな?」
時空の裂け目から一人の男性が現れる。
「全く、あの御方も無理を言いなさる。」
唐突に命令された回復薬の調合は、少々手こずった上に終わらなかった。
無理もない。本来は身体能力向上系の薬を扱うのだ。
分野が違う。
結局永琳先生にたのんで試作ではあるが回復薬を貰った。ついでに結果も見てきてくれと頼まれてしまった。
「…やれやれ。」
「動くな。」
「ん?」
気がつけば周りに何人か兵士達がいた。
「見慣れない奴だな……ここで何をしている?」
「ふむ。」
おそらくだが、彼等は敵だ。
ならば、やることは決まっている。
「くっくっく………。」
「何が可笑しい?」
「いやいや、貴殿方のような素人を見るのは初めてでしてね。」
男は懐から注射器を取り出し、自身の腕へ刺す。
すると、みるみるうちに男の体の筋肉が発達していく。
「なっ!?」
「久しぶりの実戦だぁ……楽しませてもらうぞ!」
「はぁ…、はぁ……むきゅ〜……。」
「少しは、体力、つけなさいよ……。」
後方、医務エリア。そこでは、スタミナ切れのパチュリーと、怪我で戦闘不能となったアリスがいた。
「ムッフッフ、お困りのようだな御二方!」
「……誰よあんた。」
冷ややかな視線を向ける。
そこでアリスは驚愕する。
そこにいたのは顔はおそらく80~90の老人の筈なのに、体は筋肉ムキムキの老人(?)だったからである。
「え、キモ……。」
思わず率直な感想を述べてしまう。
「キモいとは何だキモいとは!折角助けに来てやったと言うのに!」
「だって、ねぇ?」
「そうね、正直ちょっと。」
「まあそんなことはどうでもいい!これを飲め!」
それは紫色の液体がはいった試験管だった。
「これ、どうなの?」
「見るからに胡散臭いわね、あんたもこの薬も。」
「問題はない、何故ならばこの薬はかの有名な名医である八意先生の監修の元に作られたからである!」
「永琳に?」
「……ホントでしょうね?」
「もちろん!この薬を飲めばたちまちに傷が癒え、回復する!」
「……じゃあ私が飲んでみる。その方が分かりやすいでしょ。」
「アリス!?」
「さぁ、ぐいっと飲むがいい!」
「……頂きます。」
アリスがそれを飲むと、言葉通りに傷が治っていった。
「そら、私が言った通りだろう?」
「凄いわね、さすが永琳。」
「ええ、永琳クオリティはやっぱり凄いわ。」
「当然だ!八意先生の製薬術は世界一ィ!不可能などぬああぁぁい!!」
「何処の漫画のネタかしら。」
「パチュリーそれどういう意味?」
突如意味不明なことを言うパチュリーにアリスは困惑していた。
「さて、回復したなら私は行くぞ!新たな患者を救いにな!」
無銘の戦場、回復。