東方雪月花   作:くらんもち

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大晦日ですね。皆さん如何お過ごしでしょうか。僕は特に予定もなくゴロゴロしてます。話変わって鎧武が来年10周年ってマジ?


50話

「く……!」

 

桜は押されていた。相手が格上で、しかも桜の苦手な近接戦闘。対する火那は炎の槍を用いてこちらを攻め立ててくる。そして、その槍に篭っているのは明らかな憎悪。

 

「よくも、よくも修羅様を……!許しませんわ!」

 

彼女もまた、雪華を慕う者の1人だったのだ。

 

「お取り込み中失礼するぞー。」

 

そんな二人の間に割って入り片手で炎の槍を掴んだのは零だった。

 

「零さん……!」

「誰ですの!?

私の復讐を、邪魔しないでくださいまし!」

「くらんもちに頼まれてな、ちょっくら介入させてもらうぞ。」

「紡ぎ手さんに……?」

「この、離しなさい!」

 

火那は槍を引き戻そうとするも、ビクともしない。

 

「おうよ。ちょっとした条件と引き換えで今回は味方になってやるよ。」

「条件……?」

 

首を傾げる。しかし、火那は槍を消滅させ、新たに生み出して零を襲う。

 

「その取引はくらんもちとやったから気にするな。」

 

零は槍を掴んで、ねじ切った。

 

「なっ!このっ!」

 

炎槍を数多生み出し、それらを発射するが、零はそれを軽く払いのける。

 

「何ですの、この規格外の強さは……!」

「………お前さぁ、やる気あんの?」

「あの御方以外に負けることなどありえない!『智天使』たるこの私が……!!」

 

彼女は怒りに呻く。そう、『彼』以外に自分を下せるものなど有りはしない。そうでなければならない。

 

「……甘いんだよ、その考えが!」

 

零の放った一撃は火那に直撃……はせずにその横にそれた。

その影響で一瞬にして地面が抉れて消し飛んだ。

 

「な……!」

 

火那は驚愕の表情を浮かべた。こんな痕を付けることが出来るのは『彼』しか知らない……、つまり、目の前の男は『彼』と同等、もしくはそれ以上ということ。

 

「向上心はあるようだが、それだけだな。」

「それならば!」

 

この場合の勝ち筋は1つ。

……あの女を、天水 桜を、殺すこと。

 

「……出番じゃねえの?雪華。」

 

走るは銀色の閃光。

音速すらも超え駆けつけた。

しかし、槍は止まらない。それ故に、彼は身を以てそれを受け止める。

 

「え……?」

「雪華、様……?」

 

2人が驚愕の声をあげる。かの槍は、彼の横腹を穿っていた。

 

「そ、んな……。」

 

火那は想い人を傷付けた悲しみに、そして桜は。

 

 

 

かつてない哀しみと、怒りに体を震わせる。

 

「……おっとぉ、これはこれでありか?」

 

「もう、嫌……!」

 

桜から凄まじい魔力が迸る。

それは炎槍を掻き消し、火那を、そして零さえも吹き飛ばした。

 

「ははっ!こいつはすげぇな!」

 

零は笑う。目の前の光景を受けとめて尚、笑みが溢れたのだ。

 

「これは……!」

 

ただ1人、何故か何も無かった雪華は見た。妻の背に、10の光翼を。

『熾天会』の兵士達は、階梯によって翼の数が変わる。第九階梯の『天使』なら1枚、第八階梯『大天使』なら2枚、第三階梯『座天使』なら8枚、第二階梯『智天使』なら9枚。

──そして、第一階梯『熾天使』なら、10枚。

 

「雪華と同じ……楽しみが増えるな、これは。」

 

零はさらに深く笑みを刻む。

 

「…雪華様。貴方は、言ってくれました。『いつまでも、隣に居る』と。だから、もう後ろで護られるのは嫌なんです。

──これからは、私にもあなたを護らせて。隣で、一緒に戦わせて。お願い、私の雪華(アナタ)。」

 

桜は、優しい笑みと共に雪華の隣へ。

 

「……すまないな。もう君はあの時の君じゃない。だが護られるばかりなのは男の沽券に関わる。だから、護られると同時に、僕も君を護ろう。」

 

微笑みを返し、雪銀を構える。

 

びしり。

 

その時、雪銀から音がした。

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