「雪銀が、主と共に進化するか。」
びしり、びしり。
その音と共に、雪銀にはヒビが入ってゆく。
「…違う、これは進化じゃない。」
「なら、何なんだ?」
びしり、びしり、びしり、ぱきん。
硝子のような澄んだ音と雪銀が割れ、その破片は
「これは、『共鳴』だ。」
その言葉と共に、その剣は桜の目の前へ降りた。
「……あとは任せていいな?」
「ええ、ライガさんを、頼みます。」
ゆっくりと、桜は剣を手に取る。
「行きましょう、『天人剣 雪葉』!!」
「あれね、わかったよ。問題ねえと思うが、気を付けろよ。」
「勿論。桜となら、負けはない。」
「……お前如きが、彼女の隣に居るんじゃねぇぇぇえぇぇぇ!!!」
怒り狂ったライガは、此方へ飛翔。だが。
「おいおい、無視は駄目だなぁ。」
その足を零が掴む。
「…っ!離しやがれ!」
零へ向け雷を放つも効果はない。
「まあまあ、少しは落ち着けよ。」
数秒後、辺りの景色が一転する。
そこは何も無い荒野だった。
「何だよ、ここは!」
「いやぁ、本気で戦って巻き込んだら申し訳ねえだろ?お互いによ。」
「どきやがれ。俺はやつを…、朝霧 修羅を、殺す!!」
「殺す…殺すねぇ…?くくく……ははは!」
「何がおかしい!俺は『雷轟の智天使』、ライガ!どきやがれ!」
怒りの余り、彼は、目の前の相手との力量差が分からない。
「……いい機会だ。」
零が腰の刀を抜刀する。その瞬間ライガの首は跳ねとんだ……はずなのだが、彼の首は元もままくっついている。
「な……!?」
確かに斬られた、首を落とされた。そのはずなのに、自分は何故生きている?抜刀する瞬間も、見えなかった。『熾天会』No.3である自分に。
「この空間は特殊でな…『死ぬことができない』んだよ。どんな手段をもってしてもな。」
その言葉が終わるや否や再び抜刀し、胴体を真っ二つにした。
だがその傷は瞬時に再生する。
「ぐぁ……!
……この!」
例え周りが見えなくなっていても、彼はバカではない。力の差を、理解し始めていた。せめて、せめて一太刀。せめて反撃を。そうして雷の大剣で斬りかかる。
「何だそれ?もっと本気出せよ!」
刀が抜刀と同時に細く鋭いレイピアになりライガの体を音速…いや、それ以上の速さで貫いた。それも1度や2度ではなく何十回もである。
「『雷帝の』………!!」
しかしそれに耐え、奥義を発動する。
「『干渉』。」
その一言で奥義がキャンセルされる。
「何、だと……!?」
自身の最強の奥義。それが、こんな奴に。
「奥義を使うのはいい。だがタイミングが悪すぎる。」
再び抜刀で斬りつけられる。
「くっそぉぉぉぉぉおぉぉ!!!」
死にそうで、それでも死ねない空間で、彼は吠えたのだった。