最近、とある事件が多発している。神隠しとも違う、行方不明事件。釣りに行った親が、帰ってこない。用水路を見に行っただけの許嫁が、帰ってこない。生きているのか死んでいるのかも杳として知れない。しかし、たった1人だけ、目撃者がいた。彼の証言では、黒い靄がさらっていったように見えたという。それを受け、自警団は博麗神社に協力を要請。霊夢も捜査に参加しているとか。不思議な事件、何事もなく終わればいいが……
どうにも嫌な予感がする。皆に何も起こらなければいい。笑い話にでもしてやろう。
「何も無ければいいけど…」
「おや、雪華さん」
「文。おはよう」
「おはようございます。まだ卯の刻ですよ?」
「普段からこのくらいさ。いつもは店に引っ込んでるけどね」
「なるほど。あ、これ朝刊ですー」
「お、ありがとう。…やっぱり一面は失踪事件か」
「ええ、この頃急速に被害が広がってますからね」
「!これは…」
「どうかなさいましたか?」
一面を見て顔が強ばった。文はそれに気づいたようだ。
「…文」
「は、はい」
思わずどきりとした。彼は相当に好い人だ。真剣な声で呼ばれれば、女性なら誰だってこんな風になるだろう。
「事件が起きた現場を教えてくれ」
「ええ、構いません。ええと、此処と此処、それと…」
事件が起きたのは5ヶ所。何れも、湖の周辺で起きている。
「…やはりか」
「やはり、とは?」
「これは単なる人攫いじゃない。何らかの儀式だ」
「え?」
「現場を線で繋いでみてくれ」
「逆三角形が1つに、V字の線…?あ、もしかして」
「そう。これは六芒星…、籠目だ。つまり」
「犯人は、何かを封印しようとしている?」
「だろうね。そして、次に狙われるであろう場所は…」
地図の上を彼の指が滑る。
「ここ。…紅魔館だ」
「そんな、命知らずがいるんですか?紅魔館には、かなりの戦力が…」
「思い当たる節がある。もしそいつなら、恐らく紅魔館の面々でも歯が立たない」
「そ、そんな…」
「念の為、天狗達にも紅魔館に近付く者が居ないようにして」
「分かりました」
「さてと、行かなきゃ」
「どこへ?」
「紅魔館に決まってるだろ。僕には、そいつを退ける手段がある」
「そうなんですか!?」
「ああ。だから少ししたら向かう。
…桜には寂しい思いをさせてしまうけれど」
「ああ…、確かに」
「まあ、少しだからね」
「では、天狗達に知らせてきますね」
「頼む」
そして、彼女は山へと飛び去っていった。
「…そういえば」
雛は元気だろうか。一段落したら様子を見に行こう。