音楽上の現実と歴史上の出来事~ 両王朝期の音楽家のささやかな評伝   作:フォン・セテム

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銀河帝国学芸省芸術音楽院総長ヴィルヘルム・フォン・ウンヴェルツァークト・ウント・ティールマン「高等芸術音楽と人類の音楽の歴史」

「高等芸術音楽と人類の音楽の歴史~記憶の断絶と記憶の再構築」

 

 

序文

 

芸術は永く、人生は短し。

 

 

ゴールデンバウム王朝と新王朝における音楽の歴史においては、芸術はともかく、人生は短いようだ。

 

歴史上、芸術家の人生は望むと望まるとにかかわわらず短いようだ。

 

この古代の格言の意味するところは正確な評論であると考えざるを得ない。

 

だが、そうではない場合も歴史上よくあることではある。芸術と体制。これはテーゼ、アンチテーゼではなく、しばしばアウフヘーベンするケースがある。永続的な政治体制は皆無だが、件の政治体制が滅びた後も件の政治体制と関連が強い音楽芸術が、当の政治体制より長い命脈を保つこともままある。

 

人類の歴史のなかでもとりわけ音楽芸術の歴史において、上記のような事態は古代も現代も数限りない例証に彩られているようだ。

 

 

ここでは古代の地球時代の音楽芸術の歴史は他書に譲るとして、銀河連邦以降の特にゴールデンバウム王朝時代の音楽芸術の歴史とその発展について叙述したいとおもう。

 

記憶の断絶の中、いかにして形の上でも連続性をものしたか。戦火と迷妄による破壊による断絶のなかから、この美しき文化の連続性が保たれたか。

 

ゴールデンバウム王朝下の歴史のなかから、現在の音楽状況はいかなる思考的力学で、そうなったか。

 

芸術に関する考察だけではなく、歴史的思考による考察の一序になれば幸いである。

 

音楽は人類にとって必要な要素だ。人類が生存する上で音楽は必要な要素である。これに関しては異論は認めることはできかねる。

本稿にて、いかなる戦役でもいかなる政治体制でも音楽は欠かせない要素であり、いかなる音楽においてもあらゆる戦役やあらゆる政治体制においても有形無形の影響を及ぼすと言う命題を証明できたらと思う。

 

 

新帝国曆13年

帝都フェザーンにて記す。

 

 

 

抜粋版の出版に際しての前書き。

 

この度学芸省より拙著「高等芸術音楽と人類の音楽の歴史」の抜粋版の出版を仰せつかり、編集と校正を今終えたところだ。

拙著の内容で、譜例などを駆使した専門の音楽家向けの記述を外し概要のみを抽出し再編集した。

 

此度の抜粋版の出版は音楽教育のための小冊子として一般にも手にとって人類の音楽の歴史を手軽に学べるようにとの配慮からなされた。

 

願わくは各種教育機関ならび一般の音楽愛好家にも読んで頂けたら、音楽教育の啓蒙のために役立つと確信するものである。

 

新帝国曆15年

旧都オーディンにて記す。

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