女勇者のお供は僻み系少女   作:てりのとりやき

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旅人時代、二人が喧嘩してからのこと

 

 壊した。

 壊した。

 壊した。

 自分で、壊した。

 愚図とはフニ・フラ・フリペチーノを指す言葉。

 ゴミとはフニ・フラ・フリペチーノに対する評価。

 

「…………………………」

 

 何かを考えようとすると、その事実がフニの脳をダメにしてしまった。思い出すのは昨夜のマーニャだ。ベッドに魔法で押し倒して、見下ろした、美しい(ひと)の顔だ。

 ――弱々しい顔だった。

 ――そそる、表情だった。

 ゾクリと体が震える。散り散りになった思考が全身を熱くさせた。そこまで過去を辿って、しかし次の瞬間に思い起こすのはマーニャのたった一言。

 

『やっぱり、楽しくなかった?』

 

 彼女の薄ら笑いに感じた、胸に大きな穴でも開いたような空しさはなんだったのだろう。どうして自分は、マーニャの側から逃げ出して、悲痛そうな叫びも耳を塞いで、こうしてここにいるんだろう……?

 

「……どう、して」

 

 ぼうっとした丸い瞳に、無数の人々が映り続ける。

 気づけば日の光は高い。広場の時計は12時を指していた。一睡もせずに堂々巡りの思考ばかり回していたのだとようやく分かる。

 街全体が騒がしい。そういえば、今日はお祭りだった。

 

「……」

 

 本当なら、マーニャと共に回るはずだった祭りだ。

 人々の笑顔は楽しげで眩しくて、その中に二人で混ざるはずだったのに、フニは広場のベンチで独り座り続けている。一体どこで間違えた? 一体なにを間違えた? ……原因もその理由もわかっている。――なら、何故こんなところに居る。

 虚ろな瞳は答えにまで行きついても、体を動かす力まで発露しないほどに濁っていた。

 

「む」

 

 ――声はすぐ傍から。フニは自分へ向けられた言葉だと直感で悟った。

 顔を上げる。

 そこには、色素の薄いショートカットの髪に、淡い色の瞳をした女がいた。男勝りのレザージャケットにスキニーパンツ、機能性を重視したブーツの組み合わせは私服の軍人を想像させる。フニは彼女を何度か見たことがあった。

 

「あの時の……」

「いつぞやの少女か」

 

 マーニャと旅を始めた時、王女様を護衛していた女だ。温泉街で出会った女でもある。名は知らないが、“魔法殺し”と呼ぶことは知っている。

 

「な、なんですか」

「いや、別に……」

 

 偶然さほど仲の良くない知人と出会ったときのように、フニも女もよそよそしかった。フニの方は純粋な人見知りだが、“魔法殺し”はどちらかと言うと喜びの裏返しなぶっきらぼうさだ。

 

「……」

「……」

 

 無言は数秒。フニも女も、お祭り騒ぎの喧騒から切り離されたようにその場に佇む。

そして、

 

「いつも側にいた女はどうした」

「お姉さまとは……喧嘩、というか」

「そうか」

 

 “魔法殺し”が頷く。

 彼女の眼差しはいつも通りに冷ややかだ。

 

「人が二人だ。それも歳も違う。すれ違いなど当然で、不理解なんてままあることだ。気に病むことでもない」

 

 気に掛けてくれている、のだろうか。

 フニには考える余裕もなかった。「そうですね」と蚊の鳴くような声で相槌を打つと、また濁りきった瞳で瞬きをするだけになる。

 そんな少女に、“魔法殺し”はやけに親切だった。

 

「お腹、減ってないか」

「……べつに」

 

 言ってから、きゅう、と少女のぺたんとしたお腹が鳴った。子犬みたいな空腹の悲鳴だった。フニの頬が朱色に染まる。“魔法殺し”はホッとしたように微笑んだ。

 

「無理をするな。幸い、今日は祭りだ。何か買ってこよう」

 

  言うが早いか“魔法殺し”はフニに背を向け、広場の屋台を何軒か回り出した。止める隙もないきびきびとした動きに、フニはベンチから腰をあげることもできなかった。

 数分で帰ってきた女は、抱えきれないほどの出店の品々を両手に持っている。串焼き、揚げたポテト、鳥肉のホイル焼き……。

 

「ほら。好きなのを選ぶといい」

「あ、あの」

「む。甘い方が好きだったか?」

 

 別にそういうわけでもないが、食欲が湧かないのだ。何をしても押し倒したマーニャの顔を思い出してしまうから。

 気落ちしたように瞳を伏せるフニを、濃い味付けが苦手だと解釈したらしい“魔法殺し”は「仕方ない」と呟いて買ってきた食べ物をかたっぱしから食べ出した。

 フニよりもふた回りも大きな口いっぱいに頬張るものだから、頬がリスみたいに膨らんでいる。

 “魔法殺し”は、彼女は、いつも優雅に上品に食事を済ませるマーニャとは真逆だった。

 お姉さまは野宿の粗野な保存食ですら高級レストランのディナーにできる――愚図な自分とは違う。

 

「たくさん……食べるんですね」

「この職はストレスが溜まるからな。む、このチキンうまいな……」

 

 口の周りを脂で照ら照らしている女を見ると、フニも少しだけ食欲が湧いてくる。

 

「あの、わたしも……」

「ん」

 

 骨付きの鳥もも肉を渡されるフニ。焦げ目のついた香ばしい匂いの鶏肉を小さい口ではむはむと食べるが、どうしても口周りにべたべたとソースや脂がついてしまう。出来るだけ丁寧に食べようとして悪戦苦闘する少女を、口端に肉のかけらをつけた“魔法殺し”は涼しげに笑い飛ばした。

 

「むぐ、ぐ……」

「ははは。口が小さいな」

 

 言いつつ、女は取り出したハンカチでフニの口周りをぐいぐいと拭いていく。わざわざ除けるのも面倒でされふがままでいたが、相手の意思を尊重しない行為に、つい、むっとした言葉が漏れた。

 

「子供扱いはやめてほしいです」

「あの女は違うか?」

 

 ――喉奥に骨が突き刺さる。

 そう錯覚するほど、鋭い一言だった。

 フニの表情に悟ったのだろう。“魔法殺し”はやはり冷涼に頬を緩める。

 

「君を一人のレディとして扱ったんだな」

「……たぶん」

 

 そうか、と。それだけしか女は言わなかった。

 深く踏み込もうとしない彼女の静かな冷たさが心地よかった。

 

「私はあの女がどうにも好かん。あいつはいずれ、恐らく人類の敵になる」

「……そんなの誇大妄想です」

「そうかな。私のセンスは割と当たるよ」

 

 当たり障りのない、場の空気を柔らかくするための茶化す言葉だ。表層を僅かになでる程度の上手な人付き合いをしてくれる“魔法殺し”との会話は、正直に言って気楽だった。

 けれども。だからこそ気づくこともある。

 

「あなたに……」

 

 ああ、そうだ。

 ずっと忘れていた。

 自分は人間嫌いの卑屈な小娘なんだと。他人に近寄られたくないはずの捻くれ者だったのだと。求めていたのは、まさに“魔法殺し”が気を遣ってくれるような距離感――それでもたった1人だけ、我がままに求めてしまった(ひと)がいる。

 もっともっと踏み入ってほしいと。

 フニという人間を理解してほしいと。

 ――自分だけのお姉様になって欲しかった。

 

「あなたに、お姉さまの何がわかるんですか」

「……さてね。どうだか」

 

 肩をすくめる“魔法殺し”は、唐突に話題を変える。

 

「私は、名をアニー・アララト・ホルルと言う。ホルル家の末女だ」

「ホルル家、ですか……」

 

 有名な軍人の家系だ。英雄とさえ言われる血族。

 ホルル家の翁……“軍神”ゲド・カサルル・ホルルには旅の途中で出会っている。ということは、年齢的にも彼女はゲドの孫娘ということなのだろう。

 

「私には姉が十人いてな。すごいだろ。男が一人も生まれなかったんだ。誰一人」

 

 だから、弟も妹もいないのだと“魔法殺し”は付け加える。ふいに見上げた女の淡い色づきの瞳には年頃の娘へと向けられた優しさ以上の好意が見え隠れしていた。

 

「もしも妹がいたら、君みたいな背丈で、私を見上げてくれたんだろうかと思うと……」

「……」

「あー。いや、別に深い意味はない。ただ、そう、君が丁度いいと言うだけの話なんだ」

 

 自分で言って、自分で自爆している。あせあせと落ち着きのない動きをぼんやり眺め続けていると、意を決した様子の“魔法殺し”が片手を差し出した。

 

「な、なあ。よかったら頭を……なでさせてくれないか?」

「はあ」

 

 気の無い返事をしてから、フニは彼女の優しさの理由に思い当たる。

 

「あの。ひょっとしてそれがわたしを気にかけてくれる理由なんですか?」

「ぐ、むぅ。まあ身も蓋もない言い方をすればそうなるが……」

 

 意外と自分の欲求に素直な女だった。

 なるほど。やけに“魔法殺し”がマーニャを毛嫌いするのはそんな嫉妬もあるからか。

 

「ふーん……。あなたは、わたしを、自分の妹にしたいんですね」

「まあその、君みたいに小さくて可愛い子は好みだしな」

「ふーん。そうですか……」

 

 フニは少しだけ、ほんの少しだけ得意げな気持ちに浸っていた。目の前の女は、自分のために尽くそうとしてくれる人だからだ。

 無限の愛を捧げても得られない高嶺の花を追うのに少し、疲れたのかもしれない。フニは小さく頷いていた。

 

「別に。いいですけど。頭を撫でるくらい」

 

 投げやりな言い方に“魔法殺し”は胸をなでおろす。そうして彼女が差し出したままの片手をゆっくりと近寄せるので、フニもつい気構えて首を縮めてしまう。

 そういえば、マーニャはよく頭を撫でてくれた……。

 ふいに思い出した事実が、マーニャへの不義理を責め立てるようで、余計にフニはきつく目を閉じて頭を撫でてくれる女にだけ集中しようとした。

 女の手は、薄皮一枚ほどの近距離まで来ていて、手から熱すら感じられる。

 不思議なじれったさだった。

 そして少女の柔らかな栗毛に女の手が触れて――するりと。“魔法殺し”の手は虚空を撫でた。

 

「――」

 

 愕然と、“魔法殺し”の顔を見上げる。

 穏やかに微笑む淡い色素の瞳は、その視線は、どこ(・・)か曖(・・)昧に(・・)ぼや(・・)けて(・・)いる(・・)

 

「まさか……眼が……?」

「先天的な視覚障害なんだ。私の両目は……魔法ばかり、魔力ばかりが鮮明に映る」

 

 それを、人は魔眼と呼ぶ。

 通常不可視の魔力を捉えてしまう特異体質は、偶発的に発生するものではない。それは人が魔法で肉体組織に手を加えた際に生じる歪みの一例なのだ。

 ――ホルル家は、かつて最強の因子を得ようとしたという。

 

「遺伝子操作の魔法は、既に遺失したと……」

「ああ。だから、果たしてホルル家初代当主が最強の力とやらを得られたかは分からずじまいだ。けれどその代償に私達は皆短命なのさ。10人いる姉も、既に8人は子を作り他界した」

 

 一部例外もいるが、まあ、私も恐らく30を前に死ぬ。――自らの死期を語るにしては、冷めすぎた微笑みだった。

 

「でも、どうやって日々の生活を……」

「音の反響を聞いている。私の耳は魔法で補強しているせいもあって、波のように音を捉える」

 

 全盲に近い女に、フニの表情は辛苦で歪んだ。在り方は違えど“魔法殺し”とマーニャは同じなのだ。

 フニにはないものを持っている人だ。

 けれど、誰もが持つ当たり前を持てない人だった。

 自分はその痛みを理解することが出来たのだろうか。

 

「……苦しく、ないんですか」

 

 ぽつりと。

 この言葉が目の前の女へと訊きたい言葉ではないのだろうと、よく分かっている。

 

「人とは違う生き方に、苦痛はないんですか」

「ないさ」

 

 女は即答した。そしてフニの瞳に描かれるマーニャの幻想も即答していた。

 “魔法殺し”もマーニャも、自身の生に納得できるだけの自信があるのだ。

 

「私は軍人だ。けれど一度も最前線を経験していない。一度だけの力を、くだらない臨場感で使ってはいけないからだ」

 

 何故と問うより先に女は続ける。

 

「私には“力”がある。誰にも使えない、私だけの力だ。この力がある限り私は私の生に不満はない。全盲であろうとも、呪われた家の生まれでもだ」

 

 “魔法殺し”は存在自体がある種国宝なのだろう。

 彼女は、そんなモノとしての運命を誇るように語る。

 

「私は、心臓と脳幹の破壊を代償にある魔法を起動できる」

 

 それこそホルルという血族が連綿と織り成してきた奇跡の完成形――。

 

「硬度無効、

 速度無効、

 距離無効。

 以上三つを兼ね備えたホルル家が宿願、

 

 

 

究極魔法(グスタフ)】。

 

 

 

 貫けぬ装甲はなく、届かない領域もなく、そして速度と言う概念を超過した確実な抜刀――私がたった一度だけ振るえる刃は、存在しないはずの神も、恐らくこの宇宙全体すらも、一切呵責の道理なく切断する」

 

 それは謳うような口上。

 自らの存在意義全てを詰めた、夢見がちな言葉には力があった。女の満ち満ちた自信が力を与えていた。

 “魔法殺し”。

 それは国の要。人類防衛がための絶対剣。

 

「……力とは在り様だと私は思う。解放したその一瞬で一生の価値全てが決まる。なあ、君の力はなんだ? その力で何を成せる? 何なら成したい?」

 

 アニー・アララト・ホルルという女は、“魔法殺し”としての自分に納得している。そんな彼女の言葉は力強くフニの胸を打った。

 

「どこへなら、誰とならば、望む世界へ行けると思う――」

 

 行きたい世界などない。

 彼女が傍にいる、いてくれる世界ならばそれだけで良かったのだ。けれどフニは壊してしまった。罪を背負うべきは自分だと思っていた。

 

「わたしはただ……お姉さまと旅ができればよくて」

 

 ――その願望すら嘘だ。

 フニは、ただマーニャが自分だけを見てくれる世界を望んでいる。他の誰もマーニャが必要としない、二人だけで完結できる“世界”。

 言い換えれば全生命が死滅した世界で、永遠のままごとを彼女とだけで繰り返したいという、そんな幼稚な願いだった。けれど少女が羨望と敬愛の念で見上げる女は、あまりに豊かな才で溢れていて。

 全てから愛されていた。

 そして何より、マーニャはフニではない。

 気付いていたはずだ。そんな当然の事実がわからないほど愚図な小娘ではなかったはずだ。それでも……浅ましく『自分だけのお姉さま』を求めてしまう自分にフニは吐き気がこみ上げた。

 傲慢。

 不遜。

 最愛の人ですらモノ扱いか。

 だからゴミだと言う。

 

「わたしは……だめな人間だ……」

「――そんなことはない」

 

 言葉は冷涼。頬を切り裂くような冬の寒さよりも鋭い即答に、フニが顔を上げる。

 枯れ葉が風に巻き上げられて空間を満たしながらカサカサと舞う。そんな中で“魔法殺し”は笑っていた。

 

「人は……頭でそれなりの思考ができる社会性の命は、同種も異種も関係なくすべてを傷つける。魂がそういう形をしている。だから二つあれば地獄しか生じ得ない」

 

 痛み。僻み。憎しみ。哀れみ。そうした果てに戦争をする。だから人は人と居ればそこに地獄があるのだと“魔法殺し”は言った。そして、「それでも」とも。

 

「そんな地獄で、それでも寄り添いたいと思えるなら……それは愛だ」

「あ、愛、って……お姉さまとわたしはそんなんじゃ」

「概念すら断つ私の力でも、恐らくそれは切れまいよ」

 

 自信を持って“魔法殺し”は嘯いた。自分とマーニャの間に愛があると言われ、途端にフニの顔は赤くなる。

 

「……実を言うとな」

 

 そんなフニに当てられてから、“魔法殺し”が暖かな顔をした。

 

「君は私と数度しか会っていないかもしれないが、私は君を何度も見ていたんだ」

「……それは何故、ですか?」

「ある御仁からの密命だ。だから知っている。君が陽だまりで咲く向日葵のように、可憐な笑顔の似合う少女だと」

 

 そんなことはないとフニは小さく首を振った。後ろで結ったひとつ縛りの栗毛が、子犬の尻尾のように揺れる。自信を持てない気弱な動き。“魔法殺し”は、いいや、と同じく首を振る。

 

「傷つけたのなら謝ればいい。泣いたのなら求めればいい。私たちには言葉がある。それは争いよりも救いあるやり方だろう?」

 

 この人は、昨日の出来事を知っている――。

 “魔法殺し”が受けているという密命、その発令者への疑念を膨らませる余裕がフニにはなかった。少女の濁りきった暗い瞳は、かすかだが小さな輝きが灯りつつある。

 

「忘れないことだ。君が幸せなだけで救われる人間がいる。自分でも気づかぬ内に地獄に慣れきった者ほど、救われやすい」

 

 行けよ、と“魔法殺し”はぶっきらぼうに言った。

 力ある言葉でフニの足に力がこもる。魔法補助を掛けずに動かす足は頼りなくて、世界は恐ろしく不安定に歪んでいる気がした。二本だけの足で立つことにフニは初めて息苦しさを覚えていた。

 

「君をあんなにも満面の笑顔に出来るのは、きっと世界中であの女だけなのだろう」

「わたしは、そんなに……笑顔でしたか?」

「ああ」

 

 フニは魔法において天才だ。

 だから、未来(・・)予知(・・)の魔法(・・・)すら作れる自信がある。そのために必要なモノが何であるか知っている。つまり無尽蔵の魔力と、そして…………。

 魔法とは、万能の力。

 宇宙創造と共に溢れだした可能性の源――その恩恵を得られない人がいる。

 フニでは決して理解できない感覚を、知りたいと思った。

 

「……」

 

 目を閉じる。すう、はあ、と呼吸をする。――そうして試しに、自身に掛かっているあらゆる魔法補助を止めた。

 瞼を上げる。

 

「――。」

 

 そこには地獄が広がっていた。

 精神を害する魔法への基礎的な外壁すら持たないという事は。

 いつだって誰かの悪意で心を砕かれる世界ということだ。いつだって誰かの悪意で肉体を砕かれる世界ということだ。

 マーニャだけだ。

 マーニャだけが全てを剥き出しにして生きる事を強要されている。誰に? 全てに。

 

「……!」

 

 フニは、恐ろしさのあまり一秒と経たずに魔法補助を再開してしまった。

 魔法は万能すぎて、赤子にすらナイフを握らせる。

 児戯の振りかざす暴力(まほう)を大人は自衛できるから、ここには豊かな世界があるのだ。――マーニャだけはきっとそんな戯れで死ぬ。

 

「お姉さまは、素晴らしい人だから、誰にでも愛される――そうじゃない」

 

 愛されているから、彼女は生きられた。

 愛されないのなら、彼女は死んでいる。

 フニが泥酔の末に感情を爆発させてマーニャを魔法で押し倒した事実は、つまり、

 

「ああ……」

 

 あの時(・・・)自分は(・・・)お姉(・・)さま(・・)を殺(・・)した(・・)

 胸に穴が開いたような喪失感は、自身の内にあった理想のマーニャを自分で殺した事から来るもの。

 つまり。

 ――フニは、弱いだけのマーニャに失望したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 マーニャは、聡明な人間である。

 だから一体自分の何がフニを泣かせたのか、何となく見当はついていた。そしてフニが姿をくらまして一夜が明け、街中をどれだけ歩き回っても少女を見つけられない自分の無力さに嫌気がさし、場末の賭場で酒を飲む自分のふがいなさも分かっていた。

 それでも、琥珀色の蒸留酒を喉奥に流し込む作業が止まらなかった。マーニャは問う。自身にだ。

 『この街にあの子を泣かせるほどの価値があったのか』。

 『この祭りに、それほどの価値はあるのか』。

 そう。

 祭りだ。

 この街は今日、祭りに浮かれている。表通りは人と露店で溢れ、賭場ですら酒と熱狂が渦巻きうねりを帯びる。まるで街全体がひとつの生き物にでもなったみたいな“揺れ”だった。そんな中で、“揺れ”の一部になれない自分は、一体何なのだろうかとマーニャは自問を続けていた。

 そんな彼女の目元は赤い。そこに、男がふらりと近寄って、声を掛けた。

 

「やあ」

 

 爽やかな声にマーニャが首を巡らすと、サングラスを掛けて目元を隠した金髪の男が1人。口元は綺麗な弧を描いている。自信に溢れた笑顔だった。

 

「一人かな?」

「そう見える?」

「だから声をかけたんだ」

「ナンパならもう少し上手な言葉があると思うわ」

 

 「それもそうかもね」、と男は苦笑してマーニャの隣に気安く座る。

 

「愚痴でもなんでも聞くよ。もちろん奢ろう」

「……そう」

 

 口元を淡い笑みが象る。

 別に、男に気を許したわけでもなかった。マーニャとて魔法を使えない身で生きる方法は心得ている。見知らぬ男と呑んで酔いつぶされる程馬鹿ではない。――フニの笑顔ひとつ守れない愚図だとしてもだ。

 

「二人で旅をしてるのよ」

「へえ。旅を」

「私にはないものを持ってる少女だった」

「君はなんでもできそうだけどな」

「何にもできないのよ」

 

 自嘲の笑みを浮かべるマーニャの前に、澄んだ青色のカクテルが置かれる。男の奢りらしい。

 

「喧嘩できるっていうのはさ、それだけ詰められる距離があるってことじゃないかな」

「……」

「理解しあえないからこそ諍いがあり誹りがある。でも裏を返せば、歩み寄れる隙間があるってことだろう?」

 

 まあつまりだね。

 長々と話した後、男は最後にこう締めくくる。

 

「わからないって事は尊いことさ」

 

 大仰に両腕を広げておどける男の姿。マーニャは小さく笑った。

 

「……あなた、私に似てる気がするわ」

「そうかな。ひょっとして気に入られちゃった?」

「馬鹿言わないで」

 

 鼻で笑ってから、グラスの縁をそっと撫でるマーニャ。賭場の喧騒も冷めるような言葉を吐いた。

 

「他人への言葉に熱がないのよ」

「……」

 

 世の中を、どうでもいいと思っている。自分の命も軽んじられる。そういう生き方を他人から見るとこんなにも虚ろなのかと、マーニャは憮然と頬杖をした。

 

「捻くれているね」

「そういう気分の時もあるわ」

「勿体無いね。君みたいな美人がそんな暗い顔をしてるなんて」

「……下らない」

 

 吐き捨てて、にしても、とマーニャは思う。

 ――この男は何なのだろう?

 目元を隠すサングラスのおかげでどうにも胡散臭い。飄々とした態度からは邪気も害意も感じないが、男はマーニャを待ち構えていたような気もする。

 ……と。

 ふいに賭場の端から歓声が湧き上がる。

 音につられて視線を向ければ、小さな人だかりができていた。どうやらポーカーをしているらしい。プレイヤーの1人が珍しい役を出した事で盛り上がっている。

 ぼんやりとディーラーの配る札を見ながら、マーニャはぽつりと。

 

「あれ、イカサマよね」

 

 手品本に凝っていた時期がある。その知識を元にすれば、ディーラーと客の2人はグルだ。カモの男は血の昇った顔で更なる賭けへと性急になっている。

 マーニャは酒に浸った体をゆっくりと立たせて、人だかりへと歩き出した。慌てた様子でサングラスの男も立ち上がる。

 

「ちょっとちょっと。わざわざカモにされに行くつもりかい? 有り金全部とられるよ」

「大丈夫。私、知ってるから」

 

 一体何を知っているというのだろう。

 少女ひとり絶望させるだけの愚図が、何を……?

 アルコールで鈍くなった脳では、彼女自身にすら分からない。けれどマーニャが浮かべた笑顔は男を黙らせるほどに美しかった。

 そしてマーニャは静かに人だかりの出来たテーブルへと近寄り。

 ――重要なのは抑揚とタイミング。

 ――声に艶を、酒乱の熱気を切り裂くような知性を。

 

「ねえ」

 

 さざ波ひとつない水面には、小石を投じるだけで揺れが生じるように。

 声音のみで、その場の全員がマーニャを見た。

 たった一声だ。

 それだけで場を支配した女の才に、サングラスの男が息を呑む。

 

「私も混ぜて?」

 

 僅かに傾いだ小首の角度は、酔いと無知の印象を植え付けるには十分だった。ツキのある席に寄ってきたカモ(・・)だとディーラーが判断するのは何ら間違いではないだろう。それほどにマーニャの演技は完璧だった。

 空いた一席を案内されて、マーニャは「ありがとう」と言いながら周りの人々に完璧な笑顔を振りまく。美しい女の笑顔に周囲の空気も緩んでいた。

 役の倍率を説明するディーラーに頷き、マーニャはニコニコしながら何度か賭けに乗り(ベッドして)賭けに降り(ステイして)、そうしてマーニャの財布が幾らか軽くなった頃。

 ディーラーが彼女を含めて4人のプレイヤーに札を配り終えた時。

 

「――65万分の1」

 

 唐突に、マーニャはそう言った。

 酔いの匂いすらない声音だった。

 

「一度起きたとして同じゲームで二度目はあり得ない。それが数十万分の一という世界」

 

 唐突に何の話を? と白けた眼差しが一斉にマーニャを貫く。彼女がカードを見せ終えない限り、次のベットに移れないプレイヤーの苛立ちは酔いもあってか黒く歪んで見えるほどだった。

 マーニャは気にした様子もなく続けた。

 

「でも、世の中は確率だけで決まるとも思わない」

 

 一枚目。

 マーニャは配られた手札をめくる。

 ――ダイヤのA。

 

「不作の時。天災の時。誰かの不幸を嘆いた時。人々はいつもいつだって天を仰いで、そこには居ない神へ縋るのよ。神などいないとしても、“神に近い何か”は応えてくれると……誰かが庇護してくれるのだと本能的に理解している」

 

 二枚目。連続して三枚目も。

 マーニャは順を追って表に返す。

 ――ダイヤのK。

 ――ダイヤのQ。

 

「それは私達だけが持つ、“神ではないが神らしき何か”への期待」

 

 誰かがぽつりと、疑問を口にした。彼女に与えられた役への、『ひょっとしたら』という期待を。

 一人が口にした囁きは、周囲へと波紋を呼んだ。最初は軽い冗談のつもりだった疑念は、半信半疑の憶測になり、そして何より凛と背を伸ばす彼女の姿に、いつしか誰もが口を閉ざしていた。

 そうしてマーニャの声だけが朗々と響き渡る。 

 

「“存在しないはずの神”を人間が存在証明しているこの矛盾こそを、私達はこう呼ぶの」

 

 四枚目。

 既に周囲に音は無い。

 ――ダイヤのJ。

 

「『祈り』と」

 

 ひゅ、と誰かの喉が掠れる音が小さく響いた。

 誰もが女の声に、女の細く長い指が触れるカードに、我を忘れていた。

 

 

 

 

 

「祈りは通じる。

 神はいない。――けど(・・)

 それでも私はそういうものに確信している」

 

 

 

 

 

 そうとも。

 

「神様は、私達が祈るからこそ、誰かに微笑む奇跡を許されるのよ」

 

 そして五枚目。

 マーニャは淡々とひっくり返す。

 ――ダイヤのA、K、Q、J、10。つまりはそこに神の一手が揃っていた。

 

「65万分の1の現実はこうして私を愛してくれたわ」

 

 剣を振るったわけでもなければ魔法を撃ったわけでもない。しかし賭場全体が、マーニャの魔法以上に魔法じみた幻想で殺されたように静かになっていた。

 ようやく鳴り響いたのは、サングラスの男が叩く拍手の音だけだ。

 

「お金はいらないわ」

 

 つまらなさそうにそう言って立ち上がる彼女を誰も止めない。マーニャはゲームに参加した時のように完璧な微笑みをする。

 

「つまらないイカサマなんてしないことね」

 

 どの口が、と言いかけたディーラーの顔が憤怒の赤から血を失った青へと急変した。彼女の言葉を噛み砕けば、騙されていると分かって騙し返されたのがディーラーの方だと分かるからだ。

 マーニャは誰にも邪魔されないまま賭場を後にした。軽くなった財布では、今日の宿泊費すら払えないだろう。思った以上に飲んでいて、思った以上に賭けに興じていたのだ。

 馬鹿らしい。

 そんな風に冷めて酔うマーニャへと、背後から男の声が投げかけられる。

 

「いやあすごいね。まったく分からなかった。どんな手品なんだい?」

 

 先ほどからマーニャの側に居るサングラスの男だった。

 

「別に何もしてないわ」

「じゃあ幸運だけで引き寄せたと。そっちの方が凄いや」

 

 男のはしゃぐ声に喜びもわかない自分がいた。

 本当に褒めてほしい少女が傍にいない。ただそれだけで、自分は誰だって呪えるのだろう。

 夕焼けに差し掛かった茜の空から落ちてくる、枯れ葉の幾つかを死んだ目で眺めながら、ぽつりと言った。

 

「『やれる』と思った。だから『やった』わ。そして『やれた』の」

 

 ……なんとなく思う。酷な言葉なのだろうな、と。

 振り向いて見た男の、愕然と動きを止めた全てを見ていると余計に。

 

「ねえ、聞いてよ」

「……いやだ。聞きたくない」

「何でも出来る自信があるわ」

 

 マーニャは男の呻くような声を無視した。

 

「傲慢じゃない。世の中を舐めてもいない。ただ、私には、そんな確信がある。私はきっと、すごく恵まれた才能があるんだって」

 

 『私は世界だって救える』という圧倒的な自信がだ。

 子供の時からそうだった。何でも覚えられると思っていた。だから一度読んだ本の内容を忘れたことはない。何でも出来ると思っていた。だから見聞きした内容をすぐに真似できた。魔法が使えなくとも、きっと何かを成せるのが自分なのだと、そういう予感があった。

 ――神様になれるだけの才が自分にあると仮定しよう。

 それでも。

 それでも、フニに対して無力だ。

 

「傍にいて欲しい人を泣かせるだけね」

 

 びゅうびゅうと冷たい風が黒髪を揺さぶり頬を叩く。そういえば、もう冬だったのだ。賭場の熱気が忘れさせてくれた底冷えするような冬の厳しさに、体は震えた。

 男を見やる。サングラスに隠れた表情は、寒さでか、何かに畏れてか、唇まで真っ青で。

 

「……ああ。君は、神様に愛されているんだね」

 

 男は冷めた様子でそう呟く。先ほどまでの熱っぽい言葉とは真逆な態度に疑問が浮かんだ。訝し気な視線を受けて、男は言う。

 

「何でも出来ると思うよ。何だってやれる。だから僕は何だってやった。そうして、今、ここにいる」

「……何の話?」

「グロリアス・ヒューズ・マグヌス・ヒュッケス」

 

 男は唐突に、この国の直系王族第一子の名を言った。

 

「それが僕の名だ」

「……妄言にしては洒落にならないわ」

 

 第一王子は人前に姿を現さないことで有名だ。酒の席で自分こそが第一王子であるとホラを吹く男なんてごまんといる。誰も信じるはずがない。

 男は、マーニャのような態度に慣れているのだろう――よっぽどの詐欺師らしい――同じく冷めた様子で続けた。

 

「君は自虐の癖があるね」

「――」

 

 マーニャは、自身の胸骨が砕ける錯覚がした。

 声が……出ない。自分の一番隠すべき卑しいところを剥き出しにされた恐ろしさに、一瞬、自分が立っているのかもわからなくなる。

 自虐の、癖と、男は……グロリアスは言った。

 

「――そんなこと」

「ないって? あるよ。君は誰もが持つものを持っていない。だから、そんな自分を軽んじているし、そう嘯く」

「……!」

 

 ――この男は、魔法不全だと知っている。

 ゾッとした。

 未来が閉じていく気がする。

 

「そうすることで君の周囲の誰かが君を心配するんだろう。君はそうされるだけの価値ある人だ。そうして自身の存在を認められた瞬間に、君は愛情を感じられる。生を許されてようやく安堵できる」

 

 それは、生命を脅かされ続ける生き方に等しい。

 

「――野獣と変わらないな」

 

 違うかい。

 

「飢えているんだね。満たされない飢餓にずっと苦しめられている。だから君は孤独なフリをする。愛してくれる人をずっとずっと求めている」

 

 男は、マーニャを痛めつけるための言葉を選んでいた。だというのに彼の口元に悦はなかった。ただひたすらな虚無が、自虐(・・)の冷たさだけがあった。

 

「君は弱者の自分が大好きなんだろう。無力な自分を愛しているとさえ言える。……愚かしいとは言わないさ。そういう弱さが人間だ」

「あなたは……」

 

 ようやく自分の口から出た言葉は枯れていた。酒のせいか。そう思おう。でなければまともに息もできない。

 

「……あなたは、なに?」

「ただの無能だよ。なんら能のない、つまらない人間だ」

 

 「ただし」、と、男は二の句を告げて。

 静かにサングラスを外す――その双眸は歪んでいた。

 

「人とは違う、眼を持っている」

 

 美しき黄金の虹彩はしかし人の円ではなく。

 歪にして醜悪な、不定形の六角形。

 “忌み子”グロリアスは醜悪故に姿を見せない――まことしやかに囁かれる噂の真実を、マーニャは知った。だとしても(・・・・・)

 

「――それくらい、どうしたと言うの」

 

 マーニャは、自分でも不思議なほど怒りが湧いた。

 たかが(・・・)眼がイカれている程度で自身の境遇を嘆く男に、王子様に、マーニャは嫌悪を覚えたのだ。

 

「あなたは、あなただけが、不幸だとでも言いたいの?」

 

 生まれつき魔法が使えなかった。

 それでも未来を諦めたくなくて、学園に入った。

 世界には自分が持てない才能を十全に振るう天才達が居て、マーニャはそんな彼ら彼女らと同じ土俵には立てないのだと知った。未来への万能感が根こそぎへし折られたのは12歳の時。それでも、本を読むことだけは止めなかった。

 

「痛みや苦しみが自分だけのものだとでも言いたいの」

 

 魔法を使えないからと嘲っていた教師が、マーニャの知識量に尊敬の念を浮かべるようになったのは15歳の時。

 実技講習で常に最下位なマーニャを笑っていた貴族令嬢が、座学で学年どころか全生徒中一位であり続けたマーニャに教えを請うたのが16歳の時。

 最初は異物を見る目ばかりだった学園中の誰もが、自分へ親愛の表情をしてくれるようになるまで、9年は掛かった。――そうしてフニと出会うまでの数年間、友と呼べる人が出来た気はしなかった。 

 

「孤独は……あなたの特権ではないのよ」

 

 言ってから気付く。

 これでは愚かな不幸自慢でしかないと。マーニャはそれでも、かの“忌み子”王子よりも自分の方が救えない立場にあると自覚したかった。

 

「誰とも違う特徴を、欠陥を、誇るように生きるなんて出来るはずがなかった」

 

 ……違う。

 本当な目の前の王族を相手にしているわけでもない。

 フニを泣かせるに足るクズだと思い込みたいだけだ。

 

「私に何を期待しているのか分からないわ。私に出来る事なんて限られているのに。歩くことしか出来なかった……あの子の役に、私は立てていないでしょう?」

 

 気づけば寒くなかった。風は同じように冷たく、茜の空はこの身を一人にして、体は凍えているというのに。

 ただ、ぼろぼろと涙が溢れて止まらないから。

 だから寒いとは思えなかった。

 

「それでもね、あの子はきらきらとした目で私を見上げる。私はそれだけで嬉しい。それだけでよかった。なのに、それ以上を求めたのは私だった」

 

 きっと旅など求めていなかったのだろう。

 旅ではなく、少女との時間こそを求めていた自分は、『冒険』なんて甘い言葉で少女を誑かしたのだから。

 

「旅なんてしなければよかった……」

 

 少女ひとりの時間を一年借りた。

 彼女の慈しむべき一年を浪費させた。

 その上で、フニに涙を与えるような旅なら――する必要はなかったのに……。

 

「私は一体何を期待されているの?

 私はどうすれば『お姉さま』なの? 

 私は……あの子との旅を許されていいの?」

 

 静かな激情は、『私は』という言葉からしか始まらない。

 父は恐ろしく慧眼だ。

 結局、マーニャという女は、『私は』という言葉からしか何もかもを始められない嵐じみた存在なのだと見抜いていた。

 

「私は…………どうして」

 

 生の不幸のすべてに起点を置くなら。

 それは間違いなく、この一言に集約される。

 

「私はどうして、魔法が使えないのに生きてるの」

 

 マーニャはそうして11年ぶりに泣いた。

 12歳の時、実家から学園へと向かう馬車で静かに泣いた夜以来一度も流していなかったはずの涙は、ただ、目の前の男も放って彼女の表情を鋼鉄に固めてしまった。

 赤い世界。夜は近い。そういえば、ああ、営火は広場で上がるのか。

 思う。

 ――フニに会いたい。

 

 

 

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