貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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662話 特別編パート3 その7

「……私ってそんなに恐れられてたんですか……?」

「クッソ恐れられてました」

 

端的にいって現役時代のフローラはランページとセットで恐怖と絶望の代名詞と言っても過言ではなかった。ランページが出るダート以外ではほぼ確定でエンカウントする激強エネミー、しかもその強さには波があり、その波は低い方が一切出ない仕様。ハッキリ言ってランページを対策するよりもフローラの方に苦心していたというトレーナーの方が大多数なのである。

 

「俺の場合は基本先頭にいるから最終直線までにどうにか力を温存して最後に差し切るか同じ領域に飛び込んで勝負に勝つっていう二択しかねぇけどさ、こいつの場合はそれらがない、という基本的にセオリーが無いんだからそりゃ悪夢とされるよね」

「そう言えば、言われてみたら割と私へのマークがきつかったような……」

「まあお前がリギルだからってのもあっただろうが……お前を対策する事で当日の俺の調子を洞察する的な狙いもあっただろうからな……」

 

故にフローラの娘というのはある意味で自分の娘以上に警戒の対象なのだとランページは推測している、よく言われる事でもあるが、圧倒的な爆発力があるのはフローラであって、自分は圧倒的に高いステータスで殴り飛ばすスタイルなのである。

 

「だからこそ、お前らの時代の相手はお前らが母親と同類になる事を極端に恐れてるって訳だ。それこそマスコミだって恐れてるから結託してても可笑しくねぇな」

「えっマスコミと、ですか?」

「あいつが俺以上のマスコミ泣かせなのは分かるだろ」

「「「ああ……」」」

「ちょっとなんですかその諦めと納得が入り混じった溜息みたいな声は!!?」

 

ランページもランページで記事は書きにくいだろうが、どっちかというとフローラの方が圧倒的に書きにくいだろう……。それは凱旋門のあれを考えれば当然の事だ。

 

「だからお前らの思ってるそれらは周囲に思い込ませられた幻覚というか錯覚に近いんだ」

「……考えた事も無かったです、ね……」

「うん、全然だよね……」

「予想外っす……」

 

まあ当時のフローラの活躍というのは日本にとっても夢が叶った時の瞬間に、偶然なんかではなかったんだ!!という新たな目標を与えてくれたような物だった。独裁暴君だけが日本のウマ娘ではない、あれを倒そうとしたものならば自分達だって……という活力にも繋がっていた。

 

「……じゃあ、私はもっとお母さんみたいな走りになれば、私に対して色々言ってきたあいつらに仕返しできる……?」

「いやまあうん、実質的には出来るだろうけどこいつその物になろうとすんなよ?俺もなくぞ」

「加減します」

「ねぇだからなんで私の娘なのに基本的にランページさんの方に懐いてんです?母としての威厳というかあれこれ何処に行ったんですか?」

「そこになければないですね」

「ちくしょおおおおおお!!!!」

 

自分達が抱いていたあれこれが周囲から埋め込まれた認識だとされとると、彼女たちの走りが一気に変化する。もう一度走らせてみると、格段に走りが変化する。これまで抑圧されていたであろう物が一気に噴き出していく、その爆発力は本当に現役時代のそれを思い起こさせるそれであり、こりゃ未来は阿鼻叫喚になるんだろうなぁ……とケラケラと笑う。

 

「ランページさん、今更ですけどいいんですか?だってこれ、ランページさんの首絞めたようなもんでは?」

「良いんだよ、そん時はそん時で対処するし。それにどうせ走るなら強い相手がいた方が面白いってもんだろ。無双するのもそれはそれでありだが、毎度毎度ギリギリの戦いをしてくれるような強い相手は望んだところで中々得られないモノだからな……俺の娘たちも幸せもんだ」

「―――つまり、あの子達はランページさんとの子供でもある!!?」

「……桃真さんに全部報告してやろうか?」

「マジ勘弁してください流石にドン引きされかねない!!?」

 

トランザム、ポジトロン、ローラは自分達の走りを見出した。その直後の姿は見えなくなっていた、恐らくだが三女神によって未来に戻されたのだろう。いきなり且つ突然な所業は神らしいな……とも思っていると三女神からの直通通信が入った。

 

『流石俺の子羊君、問題を見事に解決してくれたね』

「(どうでもいいっすけど未来の事を解決してよかったんすか?それこそ未来の俺とかに任せた方が良かったんじゃ……)」

『それも考えなかった訳じゃないけど、そこはほら、将来こっちに来る為の試練って事で』

「(そのためだけに時間軸無視したんすか……)」

『さて、取り敢えずフローラ君の記憶は何とかしようか。手を加えないと面倒な事になるからね……』

 

ああ、やっぱりそういう感じの何だ……と思っているとフローラは突然倒れ込みそうになったのだが、再び立ち上がる。

 

「来た、今天啓が来た!!私とランページさんの同人ゲームならば好き勝手やり放題なのでは!?」

「……俺が許可すると思うか?」

「同人だからいいじゃないですか商業化もしませんし!!よぉ~しデジたんに相談じゃああああ!!」

 

そう言って駆け出して行ってしまう背中を見送るのだが、本当にあいつは何なんだと言いたくなってくる。それと同時にダー様の呆れた声が聞こえてきた。

 

『……全然記憶の消去が出来なかった』

「えっ」

『なんとか記憶の改変とまではいわないけど、封印という形には持っていけたけど……子羊君、君本当に大丈夫かい?流石にあれに感化されたら俺泣くよ?』

「いや、されてたまるかよ……」




という訳で特別編は此処まで、フローラが夢でこんな感じにしましょうよって言って来た感じでした。少しでも自分を美化しようとしない辺り流石だわ。
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