リィンとクローゼがデートから戻って来るとアガットさんから傷を負ったクルツさんの乗ったボートが流れ着いたと聞かされた……
ー その夜 ー
ケビン「………とりあえず応急処置は済ませたわ。だけどかなりの怪我や、暫く動かさんほうがええやろ」
ベットにクルツを寝かせケビンが傷の手当てを行い、集まっていた皆に告げた。
エステル「命には別状は無いんだね?」
ケビン「あぁ、そこは大丈夫やしかし………」
アガット「まさかクルツがここまでやられるとはな。一体何があったんだ?」
エステル「確かクルツさんのチームは《結社》の拠点を探っていたって話だったわね。ならカルナさんやアネラスさんも一緒だった筈よ……」
ジン「……まずいな」
シェラザード「宿の通信機でルグラン爺さんに連絡したからすぐに各地のギルドや王国軍にも連絡が伝わる筈よ」
エステル「で、でもこうしている間にもアネラスさん達は……!」
フローラ「落ち着いてください。エステルさん」
フローラは優しくエステルを宥めた。
エステル「フローラさん………」
フローラ「まずは出来る事から始めましょう?」
シェラザード「ええ、フローラの言う通りよ」
アガット「そうだな……問題はクルツを乗せたボートがどこから流れて来たかだ……」
オリビエ「ふむ、確かヴァレリア湖には島や岩場は無かった筈だよね?」
クローゼ「はい、水深が深いのでそれは無いです」
リィン「そうすると湖岸の何処かに流されて来た事になるな」
オリビエ「うん、そうだろうね。最もその場所を特定するのはかなり厄介そうだ」
エステル「うん………大きな湖だもんね。王国軍の警備艇にも応援を頼めればいいんだけど……」
クルツ「……うっ……こ、ここは……?エステル君?、アガット達まで……」
エステル「クルツさん!?」
アガット「ここはボース南部の湖畔にある《川蝉亭》だ。アンタ、ボートに乗ってここに流れ着いたんだぜ」
クルツ「そ、そうか……確か他のメンバーと一緒に結社の拠点に乗り込んで………それから………」
クルツはそれを言ったきり黙ってしまったが
エステル「クルツさん……もしかして?」
クルツ「あぁ……また記憶を奪われるとは……」
オリビエ「どうやら《教授》とやらに記憶を封じられたみたいだね」
ケビン「ふむ………なら俺が解除しましょうか?」
エステル「え?ケビンさん、そんな事出来るの?」
エステルは驚いた顔でケビンを見た。
ケビン「深層心理に刻まれたのは無理やけど記憶を封じられた位なら何とかなる筈や、まだ時間も経ってないみたいやし」
オリビエ「ふむ………?教会に伝えられているという門外不出の法術ということかな?」
ケビン「………ま、そんな所ですわ」
クルツ「ま、待ってくれ、君は一体………?」
置いてけぼりになっていたクルツが声をかけた。
ケビン「あぁ、俺はケビン・グラハムと言います。七耀教会の聖杯騎士をしております。アネラスちゃんから話聞いてたりしてませんか?」
クルツ「おお、君が………」
ケビン「まぁ、多少精神的なダメージ喰らうかもしれへんけど……それでも構わへんですか?」
クルツ「願ってもない、是非ともお願いする」
ケビン「承知」
ケビンはクルツに向けて構えると聖句を詠いだした
ケビン「―――空の女神の名に於いて聖別されし七耀、ここに在り。」
ケビンの手から光が溢れた。
エステル(わわっ……!)
ティータ(わぁ……キレイ………!)
フローラ(背中からエネルギーを検知………やはり、ただの法術では無いわね……)
ケビン「識の銀耀、時の黒耀―――その相克をもって彼の者に打ち込まれし楔、ここに抜き取らん………」
クルツ「………ッ………!?」
ケビンが言い終わると同時にクルツが一瞬苦しんだ。
エステル「大丈夫、クルツさん!?」
クルツ「あぁ……もう平気だ。それよりも………色々、思い出してきた」
ジン「見事だ」
アガット「へっ、ただの不良神父じゃなかったみたいだな」
ケビン「ハハハ……おおきに、それでクルツさん、何を思い出しました?」
クルツ「……ああ、実はヴァレリア湖北西の湖岸に、結社の拠点がある」