全てを話終えたクルツはケビンの術の反動もあり、再び気絶する様に眠りエステル達はひとまずクルツの隣室で話し合った。
アガット「……まずは確認だ。クルツの話によればヴァレリア湖北西の湖岸に《結社》の研究施設があった事が判明した」
シェラザード「えぇ、それもかなりの規模みたいね」
オリビエ「しかも、王国軍の哨戒艇も上空からは誤魔化せる技術があるみたいだね」
ティータ「そ、そういう技術は『光学迷彩』とか『ステルス』って呼ばれます。でも理論的には可能でも施設丸ごと隠せるなんて今の技術じゃあ出来ないです。お祖父ちゃんでも無理です」
フローラとリィンは顔を見合わせて僅かに苦笑した。
クローゼ「そこにアネラスさん達が乗り込んだ……でも」
リィン「地上は《霧》に覆われていた。それを抜けて忍び込もうとした処………」
ジン「《執行者》と結社の兵士が待ち構えていてアネラス達は不意を突かれた状態で分断されクルツだけがボートに乗り込み、脱出して俺達に救助されて今に至るという訳だな」
そう言ってジンさんが締めくくった。
エステル「アネラスさん達は囚われたのかな……?」
シェラザード「そう見て間違いないと思うわ」
エステル「なら……助けにいかないと!!」
シェラザード「エステル………分かってるとは思うけど……」
エステル「うん…今までの任務とは桁違いに危険なのは分かってる。でもいずれ《結社》と対峙する事になっていたと思うからその時が来ただけだと思う」
シェラザード「そう、それが分かっているならもう何も言わないわ。フフ……しかし短い休暇ね。フローラから貰ったあのワイン、まだ一瓶空けてないのよね」
フローラ「何言ってるのよ。持ってきた五本中三本を自分で飲んだ癖に」
オリビエ「は、ハハッ………アレ度数高かったのにケロッとしてる君達はなに………?」
その光景を思い出していたオリビエは青褪めていた。
アガット「ま、リフレッシュには充分だろ。さて……乗り込むとするか?」
ジン「待て、大勢で行けば向こうも勘付くかもしれん、此処は少数精鋭でいこう」
エステル「それじゃあさ………私が決めていい?『あの時』みたいに」
リィン「あの時……?」
シェラザード「グランセル城の地下の《封印区画》の時ね。いいんじゃない?」
ケビン「ならその枠に俺が入ってええかな?」
そこに今まで黙っていたケビンが話しかけてきた。
エステル「え……?」
ケビン「いやね?さっきのクルツさんみたいに囚われたアネラスちゃん達が敵の術にかかってる可能性が高いやろ?その時俺なら術を外せるしな?」
エステル「あっ……そっか」
アガット「仕方ねぇな、一人は決まりだな」
他のメンバーも納得して残りのメンバーを決める為エステルは仲間達を見回した。
エステル「じゃあ……アガットにシェラ姉にクローゼ。お願い出来る?」
アガット「へ……ッ!任せときな!!」
シェラザード「フフ、了解よ」
クローゼ「回復は任せてください」
エステル「それじゃあ、即行動だね。居残り組もクルツさんをお願いね」
リィン「あぁ、任せろ」
ジン「気をつけろよ。相手は手練れだぞ」
エステル「うん…!」
そうしてエステル達はアネラス達を救出する為に北西の《結社》の研究施設に忍び込む為に動き出した。