明けた夜に(大人悪魔ほむら×大人さやかシリーズ)   作:さんかく@

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語り合うほむらと初老の女性―

初老の女性は「笑う絵画」https://syosetu.org/novel/302421/7.htmlそして「THE LOVERS」(R18)に登場しているオリキャラです。この二つの作品の内容が会話の中に出てきますので、拙作ですがそちらも読んで頂ければ更に楽しめるかと思います。





素顔

「それじゃあ、三月末にはあなたの「いいひと」も一緒に私の別荘に来てくれるのね?」

「いいひとって、教授…」

 

ほむらの整った顔に困惑の表情が浮かぶ。それを見てさも嬉しそうに初老の女性が微笑んだ。手にしたコーヒーカップをゆっくりとおろして、あらあら、と囁いた。

 

「私は決してからかっている訳じゃないのよ?」

「わかっています…」

 

こうして暁美ほむらが困惑するのはかなり珍しいことだ。この退官間近の初老の教授はその卓越した知性と叡智で、人外である彼女をただの人間として扱うことのできる唯一の存在なのだ。優しい灰色の瞳に戸惑ううら若い女性が映る。

 

「暁美さん、あの客船での話覚えている?」

「はい、覚えています。」

 

OGとして参加した豪華客船のゼミ旅行で、ほむらと教授はゆったりと語り合う時間を持てた。その時に教授は彼女にとって「美樹さやか」がどういう存在なのかを示してくれたのだ。

 

「かけがえのないひとよ、あなたにとってあの子は」

「……愛」

 

言いにくそうに口を紡ぐ教え子を、初老の女性はただ微笑んで辛抱強く待つ。彼女が研究室にゼミ生として来た頃からそうだったように。

 

「愛しているひとが…別にいてもですか?」

「あなたがありのままでいられるのは、あの子の傍よ?」

「はい、それは……わかります」

 

進歩している、と清子は思った。彼女自身は自覚していないが、蒼い髪の女性の存在を受け入れ、自然に肯定しているのだ。思わず清子の口元が緩んだ。

 

「暁美さん、愛しているひと以外の傍にいるからといって罪にはならないのよ?」

「………教授も、愛しているひとは…」

「ええ、私が愛しているのは妙子唯一人よ」

 

ふ、と一瞬寂しげに教授は微笑む。彼女もまた、幼馴染であった「女性」を他の誰よりも愛していた。

 

「そうねえ、質量で語ることはできないから難しいけど…私は妙子を誰よりも愛していたわ、深く、深くね…でも主人も必要だった。」

 

ゆっくりとコーヒーを口に運んで、そうして、ほお、と息をつく。

 

「…主人には恋をしていたわ」

「恋…」

 

ほむらが反応する。あら、と清子は子供のように目を輝かせた。

 

「そこは自覚しているの?」

「教授…!」

 

珍しく、そう珍しくほむらが顔を赤らめた。うふふ、と店に入ってはじめて清子は声をあげて笑った。

 

「あら、あなたのそんな顔初めてみた…長生きってするものね」

「………」

 

だんまりを決め込んだ教え子に向かって清子はウインクする。まるで少女のようだ。

 

「ほらほら、ふてくされてないで、コーヒーのお代りいかが?まだ話し足りないわ」

「ふてくされては…」

 

ウエイターが注ぐコーヒーを見つめながら、照れたようにほむらが呟く。

 

「ところで、あの元気な子はまだ○署にいるの?転勤はないの?」

「ええ、もうすぐ人事異動があるようなんですけど、出張が多くて…」

「そうなの?」

「そうなんですよ、それで…」

そうしてほむらは語りだす、美樹さやかが最近出張が多いこと、なんだか仕事で疲れていること。

 

――あらあら

 

清子はあきれたように微笑んだ。必死に隠しているようでいて、それでいて蒼い髪の女性のこととなるとさも嬉しそうに語るのだから、これでは惚気もいいところではないか。

教え子の意外に単純なところを垣間見て、初老の女性はさも嬉しそうに目を細めた。初老の女性と美しい教え子の「お茶会」はそれからしばらく続いた。

 





うちの捏造設定ですが、このオリキャラである初老の女性にほむらはなぜかまどかを重ねています。それはもちろん外見ではなく、内面…精神的な部分でどこか似ている部分があると感じて。そのため敬愛しているという設定です。だからこそ、普段見せない顔をこの初老の女性には見せるのかもしれません。
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