それは、ある日の朝に起きた。
「お前がアルビノ・ガブラスかぁ!」
『きゅぁっ!?』
逃げる僕、唸る「バレットシャワー・蛇」。至近距離で散弾が発射され、放散弾が逃げ道を着実に塞いでいく。僕史上、最大のピンチ!
やぁやぁ、皆さんお早う。僕だよ、アルビノ系ガブラスの元村人だよ。
さて、早速だけど、朝起きたら、ハンターの家で別のハンターに襲われた。何を言ってるのか分からねーと思うが、僕にも分からねー。寝起きを弾丸でぶち抜かれて、頭がどうにかなりそうだ。
不意打ちがどうとか、そんなちゃちなモンじゃねー、もっと恐ろしい物の片鱗を味わったぜ!
……じゃなくて、いきなりどういう事だってばよ、これは。何故に見知らぬガブラスマニアっぽいハンターに、僕の爽やかな朝をぶち壊しにされなきゃならないのか。まるで意味が分からんぞ!
「へっへっへっ、追い詰めたぜ、白蛇ちゃ~ん♪」
とか言っている間に壁際に追い詰められ、頭に狙いを定められた。これは不味い。
「止めだぁっ!」
『プキィーッ!』
「ぐわばーっ!?」
だが、ハンターが散弾の速射をする前に、メルちゃんのファンゴアタックが頭に直撃。ハンターは錐揉みしながら外まで吹っ飛ばされ、畑の肥溜めにダイブした。ナイスだ、メルちゃん。
『フェーフェーッ!』『クァクァッ!』『ヒュィイイイッ!』
「ちょ、おまっ……や、やめ……YAMEROOOOOOOOOO!」
さらに、フルちゃん、サーちゃん、ホロちゃんが追撃を仕掛け、糞の中で溺れるハンターに次々と石が当たる。一部は出したてのUNKである。これは酷い……というか臭い。そのまま死ねば良いのに。
「ああ、やっぱりこうなっちゃったか……」
すると、家の主たるビスカが登場。たぶんだけど、お前の知り合だろ、何とかしろ。燃えない生ゴミは年がら年中土に還しておけ。
「ビ、ビスカ! 見てないで助けろ! こいつらが邪魔するんだよ!」
「そりゃそうでしょうよ、ヴリアちゃん。その子は我が家のアイドルなんだから」
私は除く、と言いた気だね、ビスカさんや。
まぁ、それはどうでもいいから、そいつの事を話しやがれ。意味不明な理由で襲ってきていた場合、容赦なく劇毒をぶち撒けてやる。
「ああ、紹介するね。この子はヴリアちゃん。私の幼馴染で、同業者だよ」
「あっぷ……ライバルだぁ!」
「アライバルだってさ。で、見ての通りガブラスを斃して戦利品にする事に生き甲斐を見出してるハンターだよ。だから、物珍しい君を素材にしようとした訳だ」
何じゃそりゃ。密猟者と変わらないじゃん。ガブラスの何処がそんなに良いんだか。
……自分で言ってて悲しくなってくるな。考えるのはよそう。
『きゅー』
ま、良いさ。何れ壊れる物だと分かっていたし、そろそろ潮時だとも思っていた。平穏な日常とはおさらばさせて貰うとするよ。
『きゅぁー』
という事で、僕はヴリアとかいうハンターが肥溜めを抜け出す前に、さっさと家を去る事にした。幸い今日は曇り空だし、少し無理をすれば出歩けない事もない。
『プゥー』『フェー』『クァー』『ピィー』
メルちゃんたちの寂しそうな眼が心苦しいけど、こればかりは仕方ないだろう。所詮、人間とモンスターは分かり合えないのさ。
「あ、テメ、この待ちやが――――――」
『『『『キィイイイイイイイイ!』』』』
「ぐげぁあああああああああああああ!?」
そして、性懲りもなく僕を襲おうとするヴリアと、それをボコボコにするメルちゃんたち、それから複雑な顔でこちらを見るビスカを尻目に、僕は数日間を過ごしたビスカ家を後にするのだった。
それじゃあ、また会う日まで、皆バイバ~イ♪
◆フェニー
雲羊鹿「ムーファ」の幼体。元々大人しい草食種で、特に子供の頃に人慣れさせておくと非常に懐く為、プーギーやグークなどと同じく昔からペットとして愛玩されてきた。名前通り「フェー」と鳴く。可愛い。