翼を下さい   作:ディヴァ子

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神:『なら、叶えて進ぜよう! オラクル☆ケミカル★ミラル~ツ♪』


飛んで行けないよ

 やぁやぁ、こんにちは、皆さん。古龍に殺された末にアルビノのガブラスに生まれ変わった、元村人だよー。

 ……うん、本当に何がどうしてこうなった。生まれ変わらせるなら、せめて飛竜種にしてよ。何故わざわざ「災厄の使者」である翼蛇竜にしたんだ。何が悲しくて、臭い汚い危ないの三拍子が揃ったスカベンジャーにならなきゃならないんだよ。

 あれか、前世が同じくアルビノで、ロクに外に出られない穀潰しだったから、今度は自然の掃除屋として竜車竜の如く働けってか。

 だとしたら、普通に黒い蛇体にして欲しかったのだが。アルビノのままじゃあ、結局は曇りの日か夜くらいしか外に出られないじゃん!

 ――――――というかね、現状で既に詰んでる気がする。

 だってさ、ガブラスって子育てしないんだもん。生まれて直ぐに野生下に放り出され、短い手足で木や壁を攀じ登り、翼が開くまではそこで暮らすしかない。むろん、手足が弱い個体はそこで脱落する。

 ……で、僕の手足は貧弱であった。

 

『きゅー』

 

 弟妹たちが互いに蹴落とし合いながら、手近な樹木を攀じ登っていくのを見上げながら、途方に暮れる僕。これからどうしよう……。

 

『きゅっ!』

 

 ええい、悩んでいても仕方ない――――――というか二度も死んで堪るか!

 ガブラスだろうとアルビノだろうと雑魚だろうと、僕は絶対に、今度こそ生き延びてやるぞぉっ!

 

『きゅきゅきゅ……』

 

 という事で、何処か小さい穴は無いかと探す。とりあえず、身を隠す場所を見付けないと。

 

『うきゅっ!』

 

 おっ、アレはもしかして、クンチュウの掘った穴の跡か!?

 持ち主はもう居ないようだし、あそこを仮の宿にさせて貰おう。

 

『しゃーっ!』

『……きゅぅ』

 

 しかし、似たような事は、他の弟妹も考えているもの。棲み処の確保に失敗した、同じ穴の狢が行く手を阻む。ここは自分の物だ、と。

 ――――――仕方ない。こうなっては、殺してでも奪い取るしかないだろう。さもなくば僕が死ぬ。そんな事は絶対に認めない。

 僕は今度こそ、生を謳歌するんだぁっ!

 

『きゅきゃぁーっ!』

『くしゃしゃーっ!』

 

 2匹の足有り蛇が絡み合う。片や白く、片や黒いが、交わったとて朱には染まらない。真っ赤な血が流れるだけである。

 

『うっ……!』

 

 相手の牙が肩の辺りに食い込み、同時に毒が体内に流し込まれる。出血毒が止血作用を阻害し、骨格筋を融解させる事で着実に僕の命を削っていく。

 だが、モンスターには耐性という物が備わっている。急速に進化する抗体と言ってもいい。元々ガブラスは毒を扱う種族であり、耐性を獲得するのに然程時間は必要なかった。

 

『がぶっ!』

『ぎぎっ……!』

 

 お返しとばかりに、僕の毒牙をお見舞いしてやる。赤紫色の牙が弟(妹?)の鰓下辺りに突き刺さり、毒が注入されていく。

 

『ぎぇ……』

 

 すると、弟(仮)は耐性を得る処か数秒と持たずに、血の泡ぶくを吐きながら息絶えた。まるで前世の僕みたいだ。

 どうやら、僕の毒は“猛毒”であるらしい。これは他の弟妹たちへのアドバンテージとなるだろう。少なくとも、同族同士で穴倉の奪い合いに発展したとしても負ける事は無い、という事である。

 

『………………』

 

 それはそれとして……食べるしかないよね、(これ)。元人間として毒蛇を生食するのはどうかと思うが、今の僕はガブラスだから問題ない。というか、食わないと次の餌にありつけるのが何時になるか分かった物じゃないし、最悪そのまま飢え死にしてしまう。特にアルビノで活動時間の短い僕にとっては死活問題だ。

 だから、ちょっと……いや、かなり嫌だけど、食べてやる。

 

『………………』

 

 うん、微妙。一応「ガブリブロース」として食用にされる身とは言え、あくまで肉食性のモンスターという事か癖が強く、僕はあまり好きになれない。

 まぁ、贅沢は言っていられないか。腹が減っても困るし、残さず頂こう。むしゃむしゃむしゃ。

 

『………………』

 

 そう言えば、ガブラスって顔は蛇そのものなのに、咀嚼出来るんだよね。どうでもいい事だけど。

 

『きゅ-』

 

 さて、ガブラスを丸々1匹平らげた事だし、そろそろ寝ようか。僕が勝ち取った、この穴倉の中でね。




◆ガブリブロース

 翼蛇竜ガブラスから剥ぎ取れる生肉枠の素材。割と美味しいらしいが、草食竜たちのそれには劣るのだとか。スカベンジャーの肉なんてそんな物だし、そもそも寄生虫や感染症は大丈夫なんだろうか……。
 一番欲しい皮系統よりも優先して剥ぎ取れてしまう為、ハンターからは忌み嫌われた挙句、後の作品ではトレジャー系統のアイテムとなり、存在その物が無かった事にされつつある。
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