結論から言おう。ホルクに滅茶苦茶なつかれた。
……は~い、おはよう皆。西の都ヴェルドを目指す道中でホルクを拾った、元ガブラスの村人だよ――――――って、逆だよ、元村人のアルビノ・ガブラスだよ。
で、さっきも言った通り、拾ったホルクに無事なつかれました。甲斐甲斐しく世話したからね。わざわざ森林限界まで下山して、生肉とかもゲットしてきたし。数日経った頃には、スッカリ元気溌剌でしたよ。
それにしても、ホルクの食性って凄いなぁ。状態異常が全く効かないという体質からか、毒虫だろうが毒キノコだろうがドクガスガエルだろうが、平然と食べちゃうんだもん。究極の雑食って感じ。
さらに、食べ物によって属性を操る特性も発揮され始め、毒属性と龍属性を操るようになり、外見にも変化が生じた。本人の好みと、僕の与えていた餌のせいなんだろうけど……何かガブラスみたいなカラーリングになったな。黒い身体に赤いラインが入っているのが、まさにそれっぽい。
あるいは、僕の故郷を滅ぼしたアイツのようでもあるが、考えるのは止めておこう。胸糞が悪くなる。
まぁ、それはそれとして、次はこいつの教育だな。オトモとして扱うなら、やはり知恵を付けて貰わないと困る。幸い「ホルク文字」という彼ら独自の言語体系は予習済みなので、後は如何に便利な小間使いに育て上げるかだ。
それには先ず、このホルクの適性を調べなければならない。誰しも向き不向きはあるからね。この子は一体何が出来るのかなー?
『きゅきゅ』
『ケェン!』
とりあえず、新米らしく採取クエストをさせてみよう。流石に無いとは思うが、これすら出来ないのなら、採用する意味が無い。
という事で、早速ホルク文字を使って採集へ向かわせた。内容は「龍殺しの実」と「毒テングダケ」の納品。ようは己の餌は自分で集めろ、という事である。
『キュァン!』
『きゅ~♪』
結果は上々。お使いのメモ通りにアイテムを集めてきた。よしよし、偉いねぇ~♪
さて、きちんとお使いを果たしたホルクには、最高の“料理”を振舞ってやろうかな。これでも簡単な物くらいは作れるのよん。先ずは火薬草で火を起こして、龍殺しの実と毒テングタケをギッシリと詰め込んだ生肉を焙っていく。
パチパチパチパチ……とっても上手に焼けました~♪
これぞ「こんがり肉スパイスP」。猛毒と龍属性に満ち溢れた、黒紫色のこんがり肉だ。
『ガツガツムシャムシャ』
見るからに物凄く不味そうだが、普段から食べ慣れている味付けだからか、ホルクは大喜びでガッツいている。よく食えるな、そんな毒物。僕なら絶対に食べない。
まぁ、喜んでいるのなら何よりである。作った甲斐もあるよね。
『キィイイイイン!』
おおっ、龍属性ブレスを吐けるようになったか。イビルジョーかよ。毒も吐けるみたいだし、この分ならそう遠くない内に、オトモホルクとして使う事も出来そうだな。頑張って育てて行こう。
という事で、お次はお勉強だ。幾ら賢いと言っても、あくまでホルクはモンスター。無教育では人の小賢しさには勝てない。ハンターのような奴には特にね。
だから、狩猟のノウハウと様々なモンスターの知識を叩き込む。実践するのはそれからである。
『きゅきゅ、うきゅきゅきゅー』
『クァゥ!』
――――――何か、妹に勉強を教えていた頃を思い出すな。とても懐かしい気持ちになる。
『うきゅ!』
そんなこんなで、お勉強する事、約2時間。この子について分かった事がある。
“彼”は元々メゼポルタで生まれた個体だが、その出自故に外の世界への強い憧れを持ち、オトモとなる前に脱走したのだという。幼い頃より聞かされていた、世界各地の様々な情景に心を奪われていた事も大きい。
しかし、外界は彼が思う程に美しく優しいだけの場所ではなく、飛び出して早々に大型モンスターに襲われ、命からがら逃げ延びた末に現大陸へと渡り、その後も彷徨い続けた挙句、ここヒンメルン山脈に辿り着いたのだとか。
だので、基礎的な知識はあるが、実戦経験は無いに等しく、自分でも何が得意なのかは分からないのだという。
一応、オトモ見習い時代に「お前は目敏いから採集や隠しエリアを探すのに適性がありそうだ」と、“教官”に言われた事があるらしい。初めてのお使いを難なく成し遂げた所を鑑みるに、教官の目利きに間違いはないだろう。
うーむ、そうなると適性通りにサポート重視で育てるべきか?
だが、この子には将来的に僕の護衛役を頼みたいので、どちらかと言うと攻撃的な行動パターンを習得させたい。実に悩ましい事だ。
幸い、技術を習得するのに必要な「学びの書(ホルク文字で書かれた秘伝書)」の内容は、以前読んだ本で全部覚えているから、ゆっくりと教え込んでいこう。
いやー、楽しみが増えるって良いねぇ。それが己の保身に繋がるのなら尚の事。これからも頑張って行こうな、ホルク!
『きゅきゅきゅ!』
『ケェアアアン!』
……そう言えば、この子の名前どうしよう?
◆学びの書
ホルクがサポート行動を覚える為に必要な巻物。独特の文字が掛かれており、完全に読み解けるのはホルクのみだという。内容は分かり易い物からピンポイント過ぎて使い道がない物、必殺技染みた物まで、様々な事が書かれている。
アルビノ・ガブラスは体質と引き換えに天才なので、ホルクに口頭で教えられる程に読み解けていたりする。