エメス・インフニティア。
アイルと因縁があるらしい、貴族の息子。おそらくはアルビノで、それ故に屋敷から出られず、外の世界に憧れを持つ、とても分かり易く夢見る少年だ。そういった事情から、直接の対面は今回が初となる。
何と言うか、幾度か目にした事がある親父とは、似ても似つかない容姿をしている。奴も子供の頃はこんな感じだったのかもしれないし、母親似なのかもしれないし、もしくは養子なのかもしれないが、この際置いておこう。
――――――いや、流石に養子は無いか。性根の腐っている貴族なんぞが、金を食うだけの穀潰しを息子に迎える訳がない。それこそ、血の繋がりとかでもない限りね。僕の場合がそうだったし。
なので、こいつは正真正銘、あいつの実子だと思う。本っ当に似てないけど。何をどう間違ったら、こんな可愛いショタっ子が生まれるんだよ……。
ま、そんな事はどうでもよろしい。問題なのは、こいつがわざわざ我が家を訪ねてきた事である。それも夜分にお忍びで。護衛も2人しか居ないし。手練れではあるようだが、それにしたって少な過ぎるだろう。2人共メイドやん。(主にベッキーのせいで)メイドに良い思い出が無いんだよ、帰れ。食事中に上がり込むとか、常識は無いのか、常識はー!
「君がアイルさんだよね?」
「……うん」
「いやぁ、本当に会いたかったよ。君の活躍は父上からも聞いてるけど、やっぱり臨場感が違うからね」
「……喋るの、……苦手」
「うん、それは見て分かった。だから、無理に話さなくても良い。こっちから質問するから、頷いてくれるだけでも良いよ」
「……分かった」
だが、アイルが拒絶感を示してないし、何よりエメスが砕けた話し方をしてくるから、断るに断れない。あくまでここの家主はアイルであり、僕たちはオトモに過ぎないからね。実際は逆なんですと言えたら、どんなに楽な事か。
つーか、よくもこんなコミュ障の集いを訪ねる気になったな、エメスくんよ。殆ど彼の独壇場になってしまうんだが、それでキミは満足なんか?
「………………?」
「………………♪」
目と目が合う~♪
――――――ああ、なるほど。こいつ、単純にアイルに現を抜かしてるのか。殆ど同い年で政治とも関係ない女の子なんて、貴族の嫡子からすれば垂涎物だわな。持つ者はお辛いですコト。
しかし、残念だな。アイルにとって、お前は敵の息子。仲良くなるのは不可能と言って良いだろう。だから諦めて帰れ、帰るんだーっ!
この僕の眼前で、イチャイチャぺちゃくちゃするんじゃねぇーっ!
「嗚呼、坊ちゃまが楽しそうですわ!」
「眼福ですね、姉様」
いや、お前らはお前らで何をやっとるんじゃ。人の家で鼻血を垂らすんじゃありません!
うーん、どうにかして邪魔出来ないかな……。
「……ごはん、……食べる?」
「良いのかい?」
「……保存用に、……少し、……多めに、……作った、から……」
「そうなんだ! なら、ご相伴に預かろうかな!」
こいつの飯に毒を混ぜ……たら、流石にメイド姉妹の鉄槌が下るか。嗚呼、クソ、腹立つ!
『ギャオスッ!』
『きゅーん……』
僕の味方はお前だけだよ、シュレイド。一緒にご飯食べような~?
◆ニライ&カナイ
エメスのメイド兼護衛を務める竜人族の姉妹。ショタを見守り育てる事に性的な快感を覚えるアカン奴らで、中々容姿が変わらない竜人族よりも、成長が早い人間の子供の方が好き。感覚としてはペットの飼育に近いのだろう。ただし人でなしという訳でも無く、有事の際には命懸けで主人(ショタ)を守る。可愛いは正義。
ちなみに、ヒノエ&ミノトと同い年であり、細々とした交流があったりもする。
出身地は亡国「ツキトの都」。巫女(女性)が治める国風が大嫌いで、外見年齢が10歳くらいの頃に見切りを付けて脱国した。もちろん、故郷が滅亡の危機に晒された時も知らんぷりしていたし、駆け付ける事も無かった。だってショタじゃないんだもん。カゲロウさんはこいつらをニンジャソードで八つ裂きにして良いと思う。
余談だが、2人共表向きは「チャアク&スラアク」で通しているが、実は「マスターオブニンジャ」が真の得物だったりする。