「そい!」
「「「……ッ!」」」
と、ベッキーが閃光玉を叩き付け、エメスたちの目を晦ませる。流石は元メラル、遣る事が汚い。
「それじゃあ、さようなら♪」
当然、視力が回復する前にケリを着けようとするベッキー。
『きゅるぁああっ!』
「チッ……瞬膜か!」
しかし、僕には通じないのよ。瞼の代わりに瞬膜があるからね。
むろん、追撃は阻止させて貰いますとも。こいつらを死なせる訳にはいかないからな。
「ならば!」
「「「ゲホゲホ!?」」」
すると、今度は毒煙玉をボフンボフンと振り撒いてきた。光が駄目なら毒を食らわすとか、本当に厭らしい奴だな。ついでに毒霧で視界が遮られるから、煙幕にもなってるし。
『きしゃあっ!』
「くぅっ……!?」
だが、残念ながらピット器官で丸見えだ。ガブラスはあらゆる餌を見逃さない、生き意地汚い種族なのよん。他の連中は知らんけど。ま、漢方薬は持ってるだろうし、そこは頑張ってくれ。
「シッ!」『きゅきゃっ!?』
と、お次は無数のナイフを投擲してきた。何処までも一方的な攻撃がしたいんだな。慎重と褒めるべきか、臆病と罵るべきか、判断に困る。
その上、ナイフの刃には、ガララアジャラの麻痺毒が塗ってあるらしく、ちょっと掠っただけで身体が痺れ出す。
『……
「なっ……馬鹿な!?」
なーんて、馬鹿な事があるか。お前が本物のベッキーを屠った時と同じように、僕も状態異常に対する耐性を上げておいたんだよ。お前に出来る事は、僕にだって出来るのさ。
「こんの……クソ蛇がぁ!」
『うぺぁっ!?』
しかし、ベッキーの往生際の悪さは筋金入りだった。何とUNK玉をぶん投げて来たのである。室内で汚物をぶち撒けるな、
「死ねぇっ!」
無力化を確信したベッキーが、漸く接近戦を仕掛けてきた。他の3人も目晦ましと毒と臭気で行動不能になってるし、僕に対抗する手段は、
『
「がっ……!?」
その瞬間、世界が凍り付いた。時間が止まってしまったかのように、ベッキーの動きが止まる。
そりゃそうだろう。何せ、
……僕の翼は未だに開かず、むしろ鳥竜種に近い形態に変化し始めている。
しかも、翼自体は畳まれていても大きいから、千刃竜「セルレギオス」の如く、爪を地面に突き立てる疑似的な四足歩行になっている。
つまり、通常のガブラスよりも尻尾を自由に使える、という事だ。
その結果、僕の尻尾は太く強靭な作りとなり、その上、先端が槍状に変化し、刺突武器として扱えるようになった。毒と俊足ぐらいしか取り柄の無い僕にとっての、新たな武器である。
『きゅっ!』
「あっ……私、何で……?」
尻尾を引き抜くと、ベッキーは何が起こったのか、そもそも、
「……ケホケホ。終わったようだね」
「すいません……ケフッ、まるで役に立てず……」「ケフン! ……面目ないです」
おっと、煙に巻かれていたエメスたちが、漸く復活したか。幾ら人を殺し慣れた奴らとは言え、本当の殺人鬼には無力だったようだな。人間相手にモンスター用のアイテムを遠慮容赦なく使うとか、完全にアウトな戦法だもんね。マジであり得ない。
だが、これで終わりだと思っているのなら、大間違いだよ諸君。
『
さーて、そろそろ向こうも
◆アルビノの靭尾
特異な進化を遂げたアルビノ・ガブラスの尻尾。鳥竜種のように長く、飛竜種の如くしなる。先端が槍状になっており、相手に突き刺し、毒を注入する事が出来る。これを武器に用いれば、緩急の激しい攻撃を繰り出せ、相手に逃れられぬ死の呪いを掛ける。