翼を下さい   作:ディヴァ子

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今回はタネ明かし回。


夢を見ていろ

 はい、それじゃあ、そろそろタネ明かしをしようじゃないか。

 ……ハ~イ、僕だよ。色々と切羽詰まってた、アルビノなガブラスだよ~♪

 いやー、ネームレス女子は強敵でしたね。どんだけ自分だけ甘い汁啜りたいんだよ、あの女。正真正銘の化け物め。

 しかーし、僕は負けない!

 何故なら、あいつのする事は大体予測が付いていたからだ!

 という訳で、色々とネタバレをしようかね~。

 先ず最初に言っておくと、あいつの下に帰したヴリアは、本人ではない。元々始末する予定だった、インフニティア家の女中を1匹捕まえて、洗脳した上で中身を挿げ替えていたのである。遣り方はあいつと一緒。この世の地獄を味わわせて人生をリセットしてから、ヴリアの人格を植え付けて、お土産を持たせて送り付けたのだ。プレゼントはもちろん僕の鞣皮。アイルに協力して貰って、剥いだ傍から食べて、回復したらまた剥がしての繰り返しだったもん。滅茶苦茶痛かったよ。

 だが、背に腹は代えられない。奴が確実に動く為にも、少しの痛みぐらい何のその。おかげで、あいつは自分で始末を付ける為に行動を開始した。

 さて、ここで皆はちょっと疑問に思うだろう。どうやって奴の動向を把握し、対処したのかと。

 その答えは、野良のガブラスたちにある。彼らは僕の発するフェロモン的な物でコントロールされ、あいつを監視していたのである。具体的なタイミングは、僕がミナガルデを離れた時点から。あの時、奴に吹き掛けた液体は毒ではなく、“こいつは要観察対象”としてマーキングする為の物だったのだ。

 だから、あの女が誰と入れ替わったのかを知るのは容易だったし、対処するのも簡単だった。

 ただし、あくまで町中に放っておいたガブラスの情報を又聞きしていただけであり、何より奴の事なんかどうでも良かったので、話半分に聞いていた為、今回のような不意打ちを食らう破目になった。油断大敵、情報整理、とても大事。

 しかし、ヴリアの襲撃により目が覚めた僕は、「手を出さなければ放置」なんて甘い考えは捨て、徹底的に不安の芽を摘む事にした。やっぱり、四六時中誰かの襲撃に怯えるなんて、不安でしかないもんね。

 だので、僕は此度の1件で送り込まれたヴリアを利用し、カウンターでKOしてやると決めたのである。

 その際、大いに役立ったのは、あいつが……というかベッキーが飼っていた、白いホルクだ。あの雌は基本的に長い物に巻かれる主義であり、主人の事も“金持ちで強い上に餌をくれて遊んでもくれる良い奴”程度の認識だった。だからこそ、家のシュレイドを遣って、早々に篭絡してしまう事にしたのである。

 ちなみに、気付いたのはヴェルド入りの直後、アイルを攫った時だ。すっかり僕のファンになってしまったガブラスたちが、「上空で何かを探している白いホルクが居る」って言うもんだから、即座に捕獲してスーパーレ○プタイムでしたよ。あのアバズレ、結構なヤリ○ンな上にドMだったらしく、シュレイドの(色々な意味で)激しい責め苦で完全に堕ちてしまい、モスより酷い雌豚になってしまった。おかげで楽は出来たけど、何だかなぁ……。

 その後は“真実を交えた嘘の報告”を延々とさせていたのだけれど、ここで重要になってくるのは、「シュレイドの存在」である。

 そう、実は白いホルク(名前はハーケン)もヴリアも、最初はシュレイドを真面に目撃していないのだ。ヴリアに至っては、初対面が一連の出来事が全て終わった後だし。むろん、僕が送り込んだヴリア(偽)にもシュレイドの情報は一切与えていない。どうせ拷問して白状させようとするだろうから、その対策である。

 それが功を奏したのか、あいつは最後までシュレイドの存在に気付けないまま、足元を掬われた訳だ。アイルを昏睡玉から救ったのも、シュレイドの龍属性ブレスを封入した胸パットのおかげだし(倒れた拍子に袋が破け、龍属性エネルギーの特性により、状態異常を含む属性ダメージを遮断した)。結局、脇が甘いんだよ、お前は。

 

「それで、これからどうするんだよ、そいつを?」

 

 と、今は例の女中――――――アリスという名のメイドになったヴリアが、気絶したドリスだった誰かさんを見下ろしながら尋ねてくる。

 ここはミナガルデにおける、奴の自宅。あの後、僕はシュレイドとアリス(ヴリア)を伴い、秘密裏に入場して、無力化した奴を運び込んだのである。アイルたちも、もう少しで到着するだろう。

 

「つーか、よくそいつを捕まえられたな。毒も何も効かないんだろ?」

 

 不思議な顔のアリスだが、おかしくも何ともない。だって、人間は“自分の免疫”というどうしようもない猛毒を持っているのだから。

 以前注入された毒素や病原体に対して、免疫機能が過剰なまでに反応するアレルギー反応――――――所謂、「アナフィラキシーショック」だ。発熱や呼吸困難、意識混濁を伴い、重度の場合は死に至る、恐ろしい病である。

 世に出回っている解毒薬や漢方薬は、毒の分解を補助すると同時に、ショック症状を抑える成分が入っている。だから、毒に対する免疫を上げただけでは自爆してしまう。

 まぁ、ハンターは大概身体が化け物なので、そこら辺の抑制も自然と出来ているのだが……僕の毒を舐めないで貰いたい。前回の毒素を再現しつつ、ショック症状(・・・・・・)の抑制作用を(・・・・・・)抑制する成分(・・・・・・)を含ませる事ぐらい、朝飯前だ。あいつの血液サンプルは持ってたしね。

 

「難しい話はよく分からんが、とにかくお前が恐ろしい奴だった事は分かった」

 

 うんうん、それで良いよ。存分に畏怖したまえ。反逆心なんて、芽生えもしないくらいにね。

 

「……着いたよ」「お邪魔します」「「失礼」」

 

 おっと、役者が揃ったか。頼んでおいた“荷物”もある。舞台は整った、という訳ね。

 

『うきゅきゅきゅ♪』

 

 さぁ、始めようかしら♪

 死んで終われるとでも思った?

 甘い甘い、ハチミツより甘ったるい。閻魔様の下へなんて、行かせてやらないんだから♪

 

 お前はこれから、死ぬまで地獄を見るんだよ。




◆アリス・イワン・ダラード

 インフニティア家に仕える女中の1人。仕事は何でも卒なく熟すが、実はかなりの野心家で、何時かエメスを寝取って貴族のご婦人になる事を夢見ていた。元は騎士の家系だった。
 しかし、体格と髪色がヴリアと似ていたばっかりに、ガブラスによって身代わり人形にされてしまう。とは言え、始末される者の中にリストアップされていたので、結局は殺されていただろうが……。
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