『ゴギャヴォァアアアアアッ!』
怒れる邪龍「ミラバルカン」が、雄たけびを上げながら襲い掛かってくる。さっきまでとはまるで違う、殺意剥き出しの突進だ。
「散開!」
アルメリアが叫び、全員が散らばる。
――――――ドゴォオオオオオオン!
そして、ミラバルカンが着地すると同時に地面が爆発……否、噴火した。高熱で沸騰した鉱物が矢継ぎ早に炸裂しているのだ。おかげで奴の周囲が湯立ち、溶岩のようになっている。これが怒れる邪龍の力か!
しかし、それしきの事で逃げ出すような奴は、この場に居ない。
「どらぁああああっ!」
「てぁあああああっ!」
アルメリアと、王国騎士筆頭――――――フィオレーネが跳躍し、ミラバルカンの胸部に盾を叩き込む。凄まじい轟音と爆発が起きて、ミラバルカンがよろけた。どんな馬鹿力だ貴様ら。
「アハハハハハハッ! 気ン持ち良いィイイイイ!」
「ルーチカさん、頭は大丈夫ですか!?」
「黙れ! ぶっ殺すわよ!」
「ごめんなさい!」
さらに、王国騎士でも実力者であるルーチカ(♀)とジェイ(♂)が、弾幕の雨あられと滅多斬りを食らわせた。
「ドハハハハハ!」
「バハハハハハ!」
「「オレたち、無敵のヘルブラザーズの力、たっぷりと味わいなぁ!」」
そして、アグナ系統のヘビィボウガンをぶっ放す、「ヘルブラザーズ」こと赤鬼と黒鬼。まさに有名な凄腕たちのバーゲンセールである。他にも実力者がチラホラ居るし、これで安心……とはいかないんだろうな。何せ標的はミラバルカンだ。油断して良い相手じゃない。
『ゴァアアアアアアヴォォォッ!』
すると、更なる怒りに燃え上がったミラバルカンが、口から
「あぐっ……!」
「ヴリア!」
この一撃でアリスは左腕が蒸発して、避け損ねたハンターや騎士たち、ガーディアンズが大気に還った。……化け物め!
『キェアアアアアッ!』
と、シュレイドが怒り狂いながら、ミラバルカンに突撃した。
『きゅあ……』
見ると、ハーケンが右半身を失って死んでいた。きっと、シュレイドを庇って被弾し、焼かれたのだろう。シュレイドが激昂するのも仕方がない。
だけど、駄目だ、シュレイド! 怒りに任せて勝てる程、ミラバルカンは甘い相手じゃない!
『ギャヴォァッ!』『ギッ……!』
案の定、シュレイドは蠅の如く、ミラバルカンの尾に叩き落された。
しかも、ミラバルカンは熱を集中させ、真下からバーナーしようとしている。僕の脚なら駆け寄る事は出来るが、直後に諸共お陀仏だろう。
くそっ、この翼さえ、開けていれば……!
『……キュァアアアアアアアア!』
否、やるしかないんだよ、馬鹿野郎!
開け、開け、開け、開け、開け、開けぇっ!
――――――バサァッ!
『………………!』
がむしゃらに走り、シュレイドを咥えた所で、遂に僕の翼が開いた。都合が良いとか、理由なんて、どうでも良い。
……僕は飛べる、飛べるぞ!
『キェアアアアッ!』
『ゴヴァアアアッ!?』
さらに、僕は飛翔した勢いのまま、ミラボレアスの眼前に近付き、奴の右目に尻尾を突き刺してやった。もちろん、古龍すらも殺す猛毒を流し込んでやったよ。失明は免れない。今まで散々僕の大切な物を奪い、今もまた奪い取ろうとした、悪者への罰だ、クソ野郎!
「くたばりやがれぇっ!」
「このクソッタレがぁ!」
その上、ノアが撃龍槍を、アリスとビスカが移動式連射バリスタを使い、ミラバルカンを文字通り蜂の巣にする。
ざまぁみさらせ! これが「英雄の証」って奴だ!
『……ヴゴギャァヴォァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!』
すると、怒髪天をぶっ貫いたミラバルカンが、命の焔を大炎上させた。名実共に最終形態らしいな。
◆『分類及び種族名称:根源破滅天魔神=ミララース』
◆『弱点:存在せず』
さぁさぁ、終わらせてやるよ、クソ野郎が。僕たちの戦いは、これからだ!
◆ミララース
ミラバルカンの怒りが天元突破した最終形態にして、文字通りの憤怒の炎で全てを滅ぼす「赤き伝説」。彼の者が永い眠りから目覚めた時、運命は解き放たれ、世界に真なる終焉が到来すると言われている。
ここまで来ると最早生物の概念を完全に超越しており、神の如き怒りを身に纏い、灼熱の紅炎と深緋の流星を以って全てを灰燼に帰してしまう。