「おーい、メルちゃーん、何処だーい?」
その日、私――――――ビスカ・メルホアールは、「森丘」へ来ていた。ただし、何時もの採集クエストではない。些細な事で喧嘩をしてしまい、家出してしまった、我が家のマスコットたるプーギーの「メルホア(通称:「メルちゃん」)」を探しに来たのである。
ライバル(自称)曰く、「森丘の方へプーキー泣きながら走って行った」らしいが、一向に見付からない。一体何処まで行ってしまったのだろう。
彼女に何かあったら、私は……!
と、その時。
『プー! プキーッ!』
ああ、あの声は!
発声源に向かって走って行けば、そこには魅惑的なピンク色の服を着た、可愛い可愛い子豚ちゃんが。間違いない、メルちゃんだ!
「メルちゃん! 探したよー! さっきは本当にゴメンね、何でもするから許してお願……い……?」
しかし、歓喜のダッシュは、途中で止まってしまった。
『きゅぅ……』
何故なら、メルちゃんの目の前に、この辺では珍しい、翼蛇竜「ガブラス」がいたからだ。それも真っ白な。半分開いた目が美しい淡紅色なのも鑑みるに、所謂「アルビノ」だと思われる。普通のガブラスは真っ黒なので、実に珍しい個体である。
ただ、何者かに斬り付けられたのか、背中に深い傷を負っており、今にも息絶えそうな状態だった。
『プーッ! プゥーッ!』
そんなアルビノ・ガブラスを助けて欲しそうに、必死に鳴くメルちゃん。その顔に、さっきまでの不機嫌さ欠片も見当たらず、彼女が心の底から懇願しているのが分かる。
どういう風の吹き回しだろうか?
メルちゃんは割と人見知りが激しいし、何より
「……はい、回復薬グレートだよ」
少し迷ったが、私は回復薬グレートをポーチから出した。ガブラスは
『プゥ~♪』
私が回復薬グレートをアルビノ・ガブラスに掛けると、メルちゃんが大喜びで擦り寄ってきた。もうさっきの事は許して貰えた、という事かな?
『……ZZZzzz』
ガブラスの方も回復薬グレートで持ち直したようだし、帰るとしようか。
『プー』
「えっ、連れて帰れって?」
すると、メルちゃんがガブラスを連れていけと鳴き出した。えぇ、本当にどうしたの……?
まぁ良いや。このまま意固地に置き去りにしたらメルちゃんに嫌われそうだし、怪我が完治するまでは世話してあげよう。
……村長たち、怒らないかなぁ?
◆ビスカ・メルホアール
ココット村在住のハンター兼農家。むしろ農業の方がメインまである。
採取をメインに活動するハンターで、新人時代からコツコツと進めてきた貯金と研究の成果により、今では広大な農場を有する大地主になっている。特に「ドスビスカス」の品種改良に余念が無く、上位種にして変種である「ヴァリアビスカス」をココット村でも自生させようと画策している模様。もちろん、装備は「メルホアSシリーズ」で武器も「クラシーフレグランス」。
子供の頃に出会ったプーギーの「メルホア」は一番の心友で、そのきっかけとなったガブラスは一番のトラウマである。