アグネスタキオンストーリー第六話の補完です

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タキオンとお弁当

 

 

 

 モルモット君。もといトレーナーが私にお弁当を作ると言い出した。

 

 私が買い出しに時間を割いているのを見て、"サポートすべき"と判断を下したのだろう。

 

 確かにウマ娘はレースで勝利を掴み取ることを目標としている。

 

 彼の言い分はもっともだと、了承した結果がいま手元にあるわけなのだが、さてさていかがなものかな? 

 

 主食の白米に、主菜のミートボール・卵焼き、副菜はプチトマト・ブロッコリー・さつまいも・ひじき煮……

 

 栄養バランスは悪くない。色彩にも気を配っている。容器から伝わるほのかな温かさから、手作りされているのは好感が持てる。

 

 第一印象は、十分合格点といえよう。

 

 研究に没頭していたせいで脳がブドウ糖を欲していたんだ、早速いただくとしよう。

 

 白衣を脱ぎ、箸を握ってさつまいもに手をつけた。

 

 甘い。本来のさつまいもの甘さと砂糖、引き締め役となる醤油がいい仕事をしている。酷使した脳に染み渡っていくようだ。

 

 あっという間に口の中へ消えてしまい、乾いた口に水分を運ぶ。

 

 次はミートボール。これは少々酸味が強すぎる気がしたが、白米をかき込むことで些細なことに。だがあまりに白飯を口に頬張ってしまったがために、残りのおかずとの兼ね合いが取れなくなってしまった。これは由々しき事態だ。最後までミートボールをおいしく食べられないではないか。

 

 いますぐにモルモット君にご飯の手配をさせたいところだが、まあ初回ということで、今回は寛大な処置を下すことにしよう。

 

 ふーむ、卵焼き。関東と関西で砂糖派と出汁派に別れるというが、どれどれ? モルモット君はどちらを選択したのかな? 

 

 んむ、出汁主体のようだ。もっと砂糖を加えた卵焼きならば、私の好みに合致していたのだが。私のトレーナーに名乗り出た以上、好みのリサーチは済ませておいて欲しいものだが、これは次回に期待するものとしよう。

 

 プチトマトは……箸で取りずらい。何度も隅に追い詰めているというのに、球体という形状が摩擦を減らしのらりくらりと逃げ回っている。味は申し分ないのだが、ツルツルと滑って非常に腹立たしい。ふむ、これは明確な報告事由だ。今後、豆など他の挟みずらい食材も考慮して、スプーンかフォークを常備させるのが効率的だろう。

 

 ブロッコリーは塩茹でされているようだねぇ。夕食とはいえ、すぐ食べるかも不明なお弁当にマヨネーズを選択しなかった点は評価に値する。

 

 ひじき煮は、まあこんなところだろうと言った味だな。栄養価が高いので、モルモットくんに頼んで研究所に常備させるよう提案をしてみようか。

 

 総合評価は……概ね満足、といったところかな? 

 

 さて、実験もあと少しで一区切りつく。明日の朝までには仕上げ、トレーナーから朝食を受け取り、合わせて報告もしてしまえばトレーナーの負担も軽減できるだろう。

 

 私は長い白衣の袖に腕を収納し、手を合わせた。

 

 

 


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