グダグダ内容+クオリティー
「はぁ……」
今は使われず、倉庫となった空き教室。
そこに佇んでいた俺、
『ずっと前から凪沙のことが好きだった。
もし良かったら、私と付き合ってください』
昨晩、いつも仲良くしていた友人である
簡潔な2文ながらも、自分に好意的な意思の入った告白であることは文面から見ても簡単に理解することができた。
簡単に理解できたからこそ、俺はそのメッセージに悩まされていた。
人からの好意は何度か受け取ったことはある。
が、それは全て友好的な意味合いでの好意だった。
恋愛としての好意を受け取ることは初めての体験であるがために、どのような対応をすれば良いのか分からなかった。
嬉しい事だか、なぜ自分なのか。
ほとに俺のことが好きなのだろうか。
なにかの罰ゲームで嘘告をされているのかもしれない。
そんな卑屈に塗れた疑惑と困惑が頭の中を何度も過る。
そんな状況が何度も続いていた。
「はぁ……」
そんな考えをいつまでもしている自分が嫌になって、またも何度目かも分からぬ溜息を吐いた。
何度も吐いた独りよがりな溜息、俺一人なら誰にも拾われず、そのまま嫌な空気感として俺の周りを漂うだけだった。
まぁ、俺一人なら、だが。
「いつまでそんなに溜息を吐き続ける気なんだい?
そんなに目の前で何度も吐かれてはせっかくのご飯が不味くなるではないか」
空き教室にいたのは俺の幼馴染である
「『相談にのってほしい』と君に頼まれたから、態々貴重な昼休憩を削ってまで、二人っきりになれる場所を探したと言うのに、君は何度も内容を話さずに君は溜息を吐くばかり。
本当に相談する気はあるのかい?」
……返す言葉のない正論をありがとうございます。
告白のメッセージを受け取った俺を見て、どこか様子がおかしい事を察した彩月は、どこか、俺を気にかけながら話しかけてくれたため、俺は彩月に昼休みに相談にのってほしいと頼んだ。
陽向は快く承諾していてくれていたため、現在進行形で相談が起こっていたはずなのだが、結局、俺の口から出てくるのは相談内容ではなく、溜息ばかりだった。
そんな俺を見兼ねて呆れた彩月が、ド正論すぎる言葉を俺に対して投げかけていた。
「うっ……正論を時に人を傷つけることを知れよ、お前は……!」
「そんなこと良いから早く相談内容を話してくれないかい?時間は限られているんだ」
確かに、彩月の言う通り、時間は有限なのだ。
昼休憩の時間の終了時刻は刻一刻と迫ってきている。
俺もいつまでもうじうじしてないで、内容を話さねばならない。
そう思いながら、俺は髪の毛を軽く搔き毟り、ひと呼吸置いて、ゆっくりと口を開いた。
「告白されたんだよ、友達に」
「.へぇ?」
彩月は軽く目を見開き、少し驚いた表情を見せていたが、お得意のポーカーフェイスですぐさま元に戻した。
「それはいつの話なんだい?」
「昨日の夜」
「手段は?」
「メッセージで送られてきた」
「その子は君との関わりは?」
「普通にあるけど……と言うか、なんでそんな質問攻めをしてくるんだよ、なんか意図でもあってやってるのか?」
彩月は俺に対して淡々と質問を続けてしてくるが、何か意図があるのだろうか。
しっかりとした目的のあってのことなのだろうか。
「君は別に気にしなくても良いんだよ?」
「いや、でも質問し続ける意図は知っといた方が「君は気にしなくていい、分かったね?」わ、分かった……」
陽向の謎の圧に呆気なく負けた俺は、引き続き彩月の質問に受けることにした。
「その子は可愛いのかい?」
「まぁ、可愛い部類じゃないかなぁとは個人的には思ってる」
「性格は?」
性格……?陽向の……?
『おーい!!凪沙〜!!暇だよね〜?
暇ならばゲームしよ〜!!せっかくの休日、遊ばにゃ損損!』
元気いっぱい?
『えへへ〜今日はねー、色んな人に褒められたんだよねぇ〜ほんとに嬉しいなぁ〜』
単純なアホ?天真爛漫?
『うぇええ!?に、29点っ!?な、なんでぇ!?』
それともバカ……?
うーん……悩むけど殆ど全部か。
「うーん、元気いっぱい?天真爛漫?
大雑把に言ってちょっとバカっぽい感じの性格かな」
俺は脳裏に陽向の事を思い出しながら、俺から感じ取った陽向の性格を述べた。
「それじゃあ、その子は君のタイプに当てはまる?」
彩月の質問に、俺は押し黙った。
俺はどの女性が好みなのか、今の今まで考えてこなかった。
だからこそ、陽向が俺のタイプなのか、そうじゃないのか。
今この場で早々と回答することが叶わなかった。
「……正直に言って分からない。
今までそんなことを考えたことなんてなかったし」
「じゃあ、今のところ君のタイプではな「でも……」でも……?」
俺は彩月の言葉を遮るようにボソッと一言呟き、そのまま淡々と自分の胸の内に抱いた気持ちを彩月に向かって吐き出した。
「でも、陽向と……その友達と一緒に過ごして楽しいとか、これからも一緒にいたい……って思ってることが好きなタイプの理由に当てはまるんだったら……俺はその友人のような女性がタイプなのかもしれない」
『凪沙とゲームするの……やっぱり私は好きかな』
『あっ!その限定プリン美味しそ〜!
凪沙凪沙!!私にも一口っ!!ひ〜と〜く〜ち!!』
『な、ななな、なにかな!?わ、私は優秀だから勉強をする必要は……ごめんごめん!分かったからあたまぐりぐりしないでぇ〜!!』
言葉を述べてる時、脳裏に浮かんできたのは陽向と一緒に馬鹿していた日々の光景。
その浮かんできた日々の思い出が、より一層陽向のことを強く思わせるように感じ始めてきた。
「そうか……つまり、君はその友人の事が好きなんだね?
それも
「そう……なのかもしれない」
「…………」
彩月の問いに、俺はボソッと自信無さげに呟く。
誰かに愛情を向けた事も、向けられた事もない、恋愛に物凄く出遅れている俺には、好きとか、そっち系の感情はあまりにも鈍いが、彩月の言葉を聞く限り、この胸の高鳴りはやはり、好きと言う感情であり、俺が陽向の事を好んでいることを自覚せざる負えないであろう。
ならば、陽向が送ってくれたメールに対して送る言葉は一つだけであろう。
自分のやるべき事を見つけた俺は目の前で、鋭く、真剣な眼差しで俺を見つめる彩月に礼を述べることにした。
俺が陽向のことが好きと自覚できたのも、彩月と言う存在が助言をくれた事がきっかけだった。
だからこそ、その張本人である彩月には頭が上がらない。
俺は精一杯の感謝の言葉を告げながら、頭を下げた。
「ありがとう彩月、相談に乗ってくれて。
おかげで返し方を分かっただけじゃなく、自分の気持ちにも気づくことができた。
この仮は後でしっかりと返すことにするよ」
頭を下げてから数秒の沈黙、その沈黙を切ったのは彩月だった。
「いや、感謝するのは僕の方だよ。
僕も君のおかげでやるべきことが見つかったよ」
彩月はそう告げた後に、俺に対して下げた頭を上げるように促した。
「君の話を聞いてて改めて実感した。
君は自分事に対して少し、いや、大きく視野を広げて言ったほうがいい」
「視野……?視野なら割りと広いほうだぞ?」
俺はそう言いながら手を広げて自分が視野の広いことを体を使って表現した。
そんな俺の姿を見ていた彩月は「はぁ……」と額に手を当て溜息を吐き、呆れたような視線を投げつけてきた。
「物理的な意味合いじゃないよ……
もっと周りの人が君をどのように思っているのかを知っておこうと言っているんだよ……」
「でも、周りがどう思ってるかを知るのは少し難しくないか?
こんな感じだろーなーって考えるのは楽だけど」
俺がそう返すと、彩月はまた呆れ混じりの視線とともに溜息を吐いた。
「そうやって楽観的な考えから生み出した憶測で、君は今日みたいな状況を引き起こしていた事を理解したほうがいい。
難しいから、とか言い訳して逃げていては、また今回のような事が繰り返し起こってしまうではないか」
たしかに、彩月の言う事は最もな事だ。
曖昧な俺の考えが今回のような状況になったことが分かる。
でも、知る手段が思いつかない。
「でもどうやって知れば良いんだ?直接本人に『俺ってどう思ってる?』って聞くのはあまりにも不自然だろ?」
「いや、君のような単純な馬鹿にはそっちの方が簡単で分かりやすいのかもしれない」
「んだよ馬鹿って、んじゃあ彩月は俺のこと、どう思ってるんだよ?」
俺みたいなバカには簡単で分かりやすいだろうから、さぞ答えてくれるだろうと皮肉的な考えを持ち合わせながら問いかけた。
「あまりにも唐突すぎてビックリだよ。
もう少し試す人間を考えたほうがいいんじゃないか?」
「うっせー、ほら、早く答えろよー」
彩月は俺を見て「仕方ないなぁ……」っと首をやれやれと横に振りながら気だるげな態度になりながら、ゆっくりと口を開いた。
「君のことをどう思ってるか?
それはもちろん……
当然、好きに決まってるじゃないか」
「……は?」
彩月が告げた言葉に、俺は呆気なく間抜けな声を出すことになった。
いや、は?好き?好きって、ええ……?
「それはどっちの意味でだ……?」
「どっちの?勿論、loveの方に決まってるじゃないか」
「ら、ラブの方!?」
え、ら、ラブの方って事はつ、つつまり、愛情的な意味……だよな……?
じゃあ彩月は俺のことを愛情的な意味合いで好き……?
いや、待て待て待て、冷静になるんだ。
彩月が俺のことを好きだからなんだ。
俺は陽向のことが好きなんだ。
もし、これが彩月からの告白まがいの言葉ならば、彩月には悪いが今のうちにしっかりと断らなければならない。
「彩月、俺のことが好きなのはありがたい。
でも、俺は陽向の事がすk……んん!?」
俺はしっかりと彩月の言葉を断ろうとした。
現に進行形で言葉を述べていた。
が、何か、柔らかい物が俺の口を塞いで、その言葉を止めた。
その柔らかい物が一瞬、何か分からなかった。
が、視線のすぐ先に彩月の顔を捉えた途端に、それがなにか気づいた。
俺の口を閉ざした柔らかい物の正体、それは彩月の唇だった。
彩月の唇が俺の口を唇を塞ぐ……
つまり俺は彩月とキスをしている状況だった。
そのことに気づいた俺は目を見開き、驚いた様子を見せて、すぐに彩月の唇から自分の唇を急いで離そうとした。
が、彩月の手が俺の頭を固定させたが為に、彩月の唇を自分の唇から遠ざける事はできなかった。
なんなら、「ふふふ……」と不敵な笑みを浮かべる彩月に貪るようにして唇に吸い付かれた。
徐々に、その柔らかい唇の感触に溺れそうになっていたが、なんとか死にかけの理性と、ずっと唇を塞がれていることで呼吸困難気味になった体の生存本能のお陰でなんとか溺れずにすんでいた。
彩月とキスをすること数十秒、次第に彩月も呼吸がしづらくなったのか、名残惜しそうにしながら、俺の唇から自分の唇を遠ざけた。
彩月とキスをした数十秒間は、なぜかいつもより長く感じられた。
「ファーストキス……君にあげちゃったよ」
唇を軽く指先で触れながら目を細め、優しく微笑む彩月。
俺は、なぜそんなことをしたのか、とにかく意図が知りたかった。
「おい彩月……急にキスなんかしてなんのつもりだよ……!」
「……?言ったじゃないか、君の事が好きだって」
彩月は俺の問いかけにぽかーんとした顔を浮かべながら、当然のことと言わんばかりに言葉を告げた。
「好きって……でも俺は陽向の事が好きだってお前も今さっき知っただろ?!」
そう、つい先程には陽向のことが好きだと俺は理解した。
他の誰でもない、彩月のおかげで。
だからこそ、俺が陽向の事が好きなのをわかってなぜキスをしてきたのか、疑問でしかなかった。
「好きだから……何?それが僕のキスをしちゃいけない理由にでもなるの?」
俺の疑問に対して、彩月の出した恋は、一つの疑問だった。
「だ、だって俺は陽向のこと好きだし、陽向も俺のことが好きなんだから、無闇矢鱈にそういうことは……」
彩月の疑問に対して俺はなぜか謎の焦りを感じてたどたどしくなりながら返答をした。
そんな俺を見た彩月は、やはり呆れていた。
「だからなんだい?君が陽向さんのことが好きだから?
陽向さんが君のことが好きだから?
それが僕がキスをしちゃだめな理由には一切ならないじゃないか」
彩月は俺に向かって人差し指を向け、そのままゆっくりと俺の方に近づいてきた。
その時、また俺は謎の焦りを感じていた。
「いいかい?君は一つ勘違いしている。
君と陽向さんは別に恋人って訳では無い。
ただの両片想いなんだ」
「だから、僕が付け入る隙が無いわけでもないし、僕がその隙間に入っちゃいけないわけでもない。
そこのところを君は理解した方がいい」
コツコツと小気味よい音を立てながら徐々に近づいてくる彩月。
その様子に何故か焦りを感じて一歩後退る俺。
だが、一歩後退った先は無機質な壁だった
「さて、ここまで聞いて君はどうするんだい?
君は私を振って陽向さんと付き合うか、はたまたその逆か。
敢えてどちらも選ばずか、それともどっちも選ぶか……」
徐々に俺の元へ近づいてくる彩月の姿。
その距離は僅か数センチにも満たさなかった。
「どんな結末かを決めるのは、最終選択者は君だ。
だが、一つだけ頭を入れておいた方がいい。
私は欲深いし、嫉妬深い。
このまま私を無様にフったとしても私はあなたをいつまでも執着する……
まるでそれは……そう、死を招く死神のように……ね?」
彩月はそう言いながら俺との僅かしかない距離を更にに縮めてきた。
それも、先程のキスのときと同様にお互いの鼻と鼻がぶつかり合うくらいの距離感で。
「だから、君は慎重に選んだほうがいい……」
俺はその言葉で何故かまあ謎の恐怖感が生まれ、体が震え始める。
そんな俺の様子に彩月は気づいたのか、優しく抱擁する。
そして、俺の耳元に唇を近づけながら妖艶に微笑み、優しく呟いた。
「君は、誰を愛すべきなのか……ね?」
そう言ってより一層強く抱きしめる彩月。
いつもなら安心する抱擁、何故か今日はより一層恐怖感を煽いでいるのであった。
ご愛読ありがとうございました。