廃人の義姉を名乗る戦闘狂   作:6Vワナイダー

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くそっ…なんだそのギャルしぐさ。どこで覚えてきた!?かわいいね♡


陰キャの初恋、保健室の先生になりがち

 

 あれよあれよとおねえちゃ……ネモの通うグレープアカデミーへと編入させられた。かくして少年少女に混じって授業を受ける事になるのだが……そちらはまだ良い。断然良い。むしろ憩いの時間と呼んで差し支えない。

 

 放課を知らせるチャイムが聞こえると、まず激しい動悸に見舞われ、過呼吸気味になる。だが、その場に留まる事は許されない。何らかの呪縛を施されたかのように俺の足がおね……ネモの部屋へと向かうのだ。

 

 

「待ってたよ♡おとうとくん♡さ、ヤろっか?♡」

 

 

 狂化状態のネモとポケモンバトルを繰り返し、バトルに満足した彼女が絶頂気絶した所でようやく俺の自由時間が始まる。迅速にネモを医務室にぶち込んだ後、俺は残された門限までの時間で、ポケモンの捕獲、ポケモンの育成、孵化厳選を行う。

 

 以下ループ。

 

 そんな感じのオワってる毎日を繰り返していた為、俺という存在が噂として広まるのに大して時間はかからなかった。

 

『連日連夜、生徒会長とポケモンバトルを繰り返し、意識のない生徒会長を医務室に連れ込み、挙句の果ては生徒会長の義弟を名乗るヤベーやつ』

 

 いかんでしょ。

 

 医務室に連れ込む云々は語弊があるとは言え、まあ間違っているわけではない。だが、後半の部分はちょっと許容できる範囲超えちゃっている。

 

 ネモさんサイドが義姉を騙った事はあれど、俺が義弟を名乗った事は一度もないんだが?これもう風説の流布だろ……民事訴訟起こしたら勝てるよ?覚悟の準備をしておいて下さい。慰謝料の準備もしておいて下さい!

 

 人の噂も七十五日と言うが、二か月半もこんな不名誉な噂が跳梁跋扈していては、今後の学園生活は暗澹たるものになる事必至。由々しき事態にも程がある。

 

 編入早々、青春に満ち溢れたアカデミーライフが絶望的な物になりつつあるが、ポケモン育成の方は頗る順調だ。

 

 パモ一匹から始まった俺ではあるが、ネモとの終わりなきポケモンバトルと、ネモが整えてくれた育成環境のおかげで、下手なジムリーダーくらいなら余裕でボコボコに出来る程度には仕上がっている。

 

 現状の主戦力はネモの家の周辺で捕まえたポケモンがほとんどで、いわゆる序盤ポケモンで固めた旅パみたいな様相を成している。が、キチンと努力値を振って技構成も整え、果てには性格もミントで変えているのでそれなりにはやれる。

 

 ネモと戦っていると余裕でレベルは上がっていくし、頼んでなくてもけいけんアメを恵んでくれるのでLv50前後までなら余裕で引き上げられる。

 

 パワーリストなどの努力値振りアイテムはテーブルシティにある『デリバードポーチ』という店に売っているし、こだわりアイテムやゴツメ等の各種道具、果てはぎんのおうかんすら売っている。

 

 そして『ラッキーズ』なる薬局にはマックスアップやタウリンといったお馴染みドーピング系アイテムは勿論のこと、各種性格ミントやポイントアップ、とくせいカプセルまで並んでいると言う、ガチ勢垂涎の品揃えだ。ずいぶんと育成も楽になったものだ。だからみんなもランクマに潜ろうね♡

 

 全て店売りとなっている弊害として、最終的に金策問題だけがつきまとう。が、ネモに無心すれば湯水の如く金は湧いてくるのでなんとでもなってしまうという。

 

 いや、マジで最低な事を言っているのは自覚している。だがこの女、ポケモンバトルに関わる事なら『うんうん♡強くなるのに必要なんだよね?♡はい、おこづかい♡』と、一切の糸目をつけないのだ。

 

 ちなみに、ネコブやタポルのような努力値下げのきのみだけは店で売っていなかった。これらのきのみは、その辺の草原に運良く落ちているのを拾うくらいしか手に入れる手段がないのだ。

 

 しかし、晩飯を食べながら「その辺で拾ってくる程度じゃ到底足りないんだよねハハハ」と談笑した翌日、ネモは家の庭にあった樹木を全て切り倒し、どっかの港町で競り落として来たきのみを片っ端から植えていったのだ。どうぶつの森みたいな感覚で植樹するやつ初めて見たわ。『お嬢様がご乱心だ!!』と、お手伝いさん達がわらわらと集まってきて大騒動である。

 

 怖いよ……お前のその病的なまでの行動力がただひたすらに怖いよ。とくせいパッチ欲しいって言ったら次の日には持ってきてくれるし、入手経路を聞いても『おとうとくんの為なら何でもするよ?♡』としか答えてくれないし……何らかの法を犯していない事を祈るばかりである。

 

 

 そんな海千山千の育成環境で育ったイカれたメンバーを紹介するぜ!!

 

 

パーモットLv60[でんき/かくとう]

ようき/ちくでん/きあいのタスキ

H4 A252 S252

でんこうそうげき

インファイト

マッハパンチ

さいきのいのり

 

 あの日拳で語り合ったパモ。毎日一緒に散歩していたら、ある日急に進化した。『でんこうそうげき』は『もえつきる』のでんき版のような技で、恐らくはこいつの専用技だろう。『さいきのいのり』というPPが1しかない代わりに瀕死の味方を復活させる、とんでも技まで持っている。こいつがパーティの中で一番レベルが高い。でもやっぱり耐久はペラいので襷運用。

 

 

マスカーニャLv53[くさ/あく]

いじっぱり/へんげんじざい/こだわりハチマキ

H4 A252 S252

トリックフラワー

はたきおとす

じゃれつく

とんぼがえり

 

 ネモと一緒にピクニックした時、どさくさに紛れてネモのニャオハからたまごを入手、孵化させた。パルデア御三家の草担当だと思われる。脳筋フルアタでも余裕でエースを張れる、大正義高速アタッカー。専用技のトリックフラワーは必中確定急所と使い勝手が良い。あの御三家最強と名高いゲッコウガと同じ『へんげんじざい』を特性に持つが、場に出てから一度しかタイプが変わらず、特性そのものが弱体化していた。強すぎたから仕方ないね。ちなみに、御三家お馴染みの 1/8という低確率を突破して生まれてきたメス個体。なんか妙にエロい。

 

 

ドオーLv50[どく/じめん]

わんぱく/ちょすい/くろいヘドロ

H252 B252 D4

じしん

どくどく

じこさいせい

ステルスロック

 

 ヌオーのリージョンフォームと思しきポケモン。ぽにょぽにょと移動する姿は非常に愛くるしい。耐性が優秀で、耐久もそこそこあるが鈍足低火力。この世界ではレート戦のような見せ合い3対3ではなく6対6がほとんどなので、ステルスロックを撒けるというだけで値千金の活躍をする。

 

 

マリルリLv50[みず/フェアリー]

いじっぱり/ちからもち/オボンのみ

H244 A252 D12

アクアブレイク

アクアジェット

じゃれつく

はらだいこ

 

 みんな大好きうさぎの悪魔。もはや説明不要。

 

 

ヒートロトムLv48[でんき/ほのお]

ひかえめ/ふゆう/こだわりメガネ

H4 C252 S252

10万ボルト

ボルトチェンジ

オーバーヒート

トリック

 

 じめん技の一貫を切りつつ、殴ったり、こだわりを押し付けたり、対面操作したりと何でもできる器用なやつ。とりあえずの様子見で投げられる事が多いのでダメージを貰いがちという、ちょっと損な役回り。

 

 

ワナイダーLv45[むし]

わんぱく/ふみん/メンタルハーブ

H252 B252 D4

ねばねばネット

とびつく

おきみやげ

ともえなげ

 

 中間進化かと疑いたくなるゴミみたいな種族値、むし単タイプというカスみたいな耐性、愛嬌のあるタマンチュラの進化ポケモンとはにわかに信じがたいクソみたいなビジュアルと三拍子揃ったクソオブクソ。生意気にもスレッドトラップ*1という専用技を持っているが、想像以上にしょうもなかったので採用していない。いや、技ではなくこいつ自体がしょうもないだけか。アメモースという上位互換の存在が確認できたので、リストラされる日はそう遠くない。

 

 

 以上だ!!

 

 

 

∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮∮

 

 

「日々のバトルで成長しているのはおとうとくんだけじゃないんだよ……?♡ノコッチ、はねやすめ♡」

 

「そう簡単に好き勝手やらせる訳ないでしょ。ロトム、トリック……うわ、しんかのきせき持たせてるのか。そんな害獣使ってて恥ずかしくないの?」

 

「あっ……♡」

 

「もうはねやすめしかできないね。ロトム、ボルトチェンジ」

 

「っ♡うそぉ♡♡そんなぁ♡♡おとうとくんは……いつもわたしの想像を超えてくるんだから♡はぁ…♡ほんとに……あっ」

 

 お、今日は意外と早く落ちたな。嬉しい誤算だ。毎回これくらい早く気絶してもらえると厳選作業も捗るってもんだ。

 

 地面にぶっ倒れる前におねえちゃ……ネモの体を受け止めるのも慣れたものである。そして、流れるようにおんぶして医務室へ。最初の頃は、俺の背中に当たるおっぱいに全集中していたものだが、今となっては介護か何かをやっているような気分である。

 

 周囲の生徒に奇異の目を向けられていた道中も、誰ひとりとして見向きもしなくなった。もはや『またやってるよあいつら』程度にしか思われなくなったのだろう。喜ぶべきなのか悲しむべきなのか……俺には判断がつかない。恥じるのが正解だと思うよ。

 

「よーこそ……って、あれ?義弟くんと生徒会長じゃん」

 

「こんにちは。今日も生徒会長の勾留よろしくお願いします。……あとその呼び方やめてくださいって、いつも言ってますよね?」

 

 第三者からの義弟呼びはやめろ。その技は俺に効く。

 

「どーしたの?今日は珍しく早いね」

 

 医務室のミモザ先生が、魅惑的なおっとり垂れ目をキョトンとまんまるにして、俺たちの来訪に驚いた様子を見せる。はぁ……先生、何でそんなに可愛いんです?その魅力で一体どれだけの善良な生徒を保健室登校の沼に引き摺り込んだのか教えてもらいましょうか。

 

「こだわりメガネをかけたノコッチに興奮してぶっ倒れました」

 

「全然意味分かんない。ウケる」

 

 来室理由の欄には適当に『発作』とでも書いておいて、ネモをベッドに寝かせる。一生そこで眠ってろ。

 

「今日も派手にポケモンバトルしてたんでしょ?あんたけっこー有名になっているよ?やれ、あのポケモンバトル好きな生徒会長が嫌がるくらいバトルを強要してるだとか?」

 

 は?両目にどんな節穴つけてたらそんな構図に映って見えるんだよ。マジで親のダイヤの結婚指輪のネックレスを指にはめてぶん殴るぞ。

 

「やれ、スター団の子達が泣いて謝罪するまでボコボコにしているとか?」

 

 いや、誓って俺からは喧嘩売ってないから。二度と絡んでこないように完膚なきまで叩きのめしているだけであって、そこに加虐の意思はないから。つーかあんな不良生徒どもをのさばらせているアカデミーサイドさんに問題があるのでは?しかしながら「おつかれさまでスター」と相手を労う姿勢には、日本人の奥ゆかしさが見てとれる。いや、ここパルデアだから日本人じゃねぇわ。

 

「やれ、ラッキーズで怪しげな薬とミントを買い占めているとか?」

 

 それについては事実でしかないので弁明の余地もない。文字に起こすと職質かけられても文句言えない所業で草生える。

 

「やれ、放課後に言語学のセイジ先生と……その……誰もいない教室で二人きりでいる所をよく目撃するとか?」

 

 おい、誰だ!そのとんでもない誤解を招きそうな噂を流している奴は!俺がこの世界の文字を読めないから個別指導をしてもらってるだけだからな!俺が迷惑を被るのは構わないけど、セイジ先生巻き込むのやめろや!マジで良い人なんだから!最初めっちゃNTRしてきそうな見た目してるなとか思ってて申し訳ありませんでした!

 

「入学したばっかりなのにけっこー話題の人だよ?ここにいるだけでも色んな話聞くから退屈しないよ」

 

 もうやめて!俺のライフはもうゼロよ!この有様で充実したアカデミーライフを送ろうとか笑っちゃうんすよね(諦観)

 

「でも実際問題さ、何でそんなにポケモンバトルしてるの?」

 

「いや、ぼくはネモさんに付き合わされているだけですから……」

 

「あはは、謙虚だねー。手加減しているとは言え、生徒会長に勝てるくらいなのによく言うよ。ポケモンバトルって嫌々やって強くなれるものじゃないでしょ?ポケモンって、そーいうとこ敏感だからさ」

 

 この親しみやすいキャラで先生として諭してくるの反則すぎんか?学生時代にこんな先生いたら性癖捻じ曲げられるわ。親御さんもビックリだよ。ゲーフリは猛省しろ。

 

「やっぱり義弟くんも義姉ちゃんみたいな……」

 

 っ!!??やめろ!!俺を前に『義姉』というワードを出さないでくれ……頭が……頭が割れそうになる……ッ!!

 

「だ、大丈夫……?」

 

「いえ、少々トラウマが……話を遮ってしまって申し訳ございません。もう大丈夫です」

 

「そ、そう……無理しないでね?……で、生徒会長みたいなチャンピオンクラスを目指してるかんじ?」

 

「目指しているわけではないですけど、結果としてチャンピオンは倒す事になると思います。通過点と言ったらしっくりきますかね」

 

 ミモザ先生は鳩が豆鉄砲を食ったような顔になると、堪えきれなくなったように腹を抱えて笑い出した。

 

「あははははは!あんた真顔で面白い事言うのやめてよ!チャンピオンを通過点呼ばわりする子初めてみたんだけど!あー笑いすぎてお腹痛い……」

 

「そうなんですか?チャンピオンクラスに上がったら他の地方のチャンピオンとも戦う機会があると思ってたんですけど……そっかぁ」

 

「……え、もしかして今の本気で言ってた?」

 

「別に冗談を言ったつもりはないです……」

 

 ミモザ先生は呆気に取られたような顔をすると、その年齢詐称とも言える童顔から笑顔を引っ込めてどこか物憂げな表情へと変えた。

 

「……そっか。笑ったりしてごめんね。そっか……凄いね。あたしが想像できないくらい大きな目標があって、そこに向かって毎日何かを頑張ってて。あたし知ってるもん……あんたが生徒会長と戦う時はいつも違う戦い方をしているとか、ポケモンと仲良くなる為にいつもポケモンと一緒に歩いてるとか、図書館でポケモンの事いっぱい調べてるとか、苦手な言語学を自分からお願いして勉強してるとか……色んな先生があんたの事、いっぱい褒めてたから」

 

「……そんな立派なものじゃないですよ」

 

「ううん、立派……すごく立派だよ、あたしなんかより。……あたし実はさ、学校保健師なんだ。授業とかできないやつ。養護教諭の試験、何回も落ちちゃってさ……ずっとここで燻ってるかんじ。ダメだよねあたし。……なんか暗い話になっちゃったね、ごめん」

 

 ミモザ先生は困ったような表情ではにかむと、てへっ……と小さく舌を出した。本当は辛いくせに生徒の前だからって強がりやがってよ。今宵の月のように。

 

 自己肯定感の低い女の子って良いよね。どん底まで落ち込んでいるとこをぐずぐずに甘やかしたい。(メンヘラ製造機)

 

 俺は固く握りしめられた先生の手を取り、まっすぐに彼女の目を見つめた。そして、優しくも力強い声色で先生に語りかける。

 

「たくさん挫折を味わった人は誰よりも強くなれますし、たくさん苦しい思いをした人は誰よりも優しくなれます」

 

 因みにそれらを乗り越えられなかった者は、もれなく人に厳しく自分に甘いという吐き気を催すクズになる。ソースは俺。コンスタントに月100時間を超える残業を乗り越えられる人材がいたら至急メールくれや。二つ名色厳選を君に任せる。

 

「だから、先生なら誰よりも素敵な先生になれます。諦めずに頑張ってください。あ、でも本当に辛くなったら頑張らないでください。その時はぼくがいつでも先生の愚痴を聞きます。嫌な事って誰かに聞いてもらうだけで少し楽になれるんですよ。だから、またこうやって医務室に来て先生といっぱいお喋りさせてください。こんな事でしか力になれないぼくですけど、先生の事ずっと応援してますからね」

 

 オラッ!とどめの純真無垢ショタスマイルッ!勝ったな。

 

「……やっぱり義弟くんは凄いよ。この短い間に、あたしはたくさんの力をもらっちゃったんだもん。もう一回頑張ろうって気持ちになっちゃった」

 

 ミモザ先生は不意に俺の手を離すと、日々の仕事で少し荒れた手の平で俺の顔をガシッと固定する。

 

「えっ?」

 

「これは先生を励ましてくれたお礼。それと、先生に生意気な事してくれた罰♡」

 

 ふわっと甘い香りに包まれるや否や、俺の(ひたい)にムニュっと柔らかくもしっとりとした感触が押し付けられる。

 

 

 

「ふふっ、せんせーの口紅ついちゃったね♡応援しててよね、養護教諭になったら今までできなかった分、たっくさん保健の授業したげるから♡」

 

 

 

 あっあっあっあっあっあっ(性癖が捻じ曲がる音)

 

*1
直接攻撃を防いだ時、相手の素早さを1段階下げる。




ここまでネモが昏睡している傍らでの出来事

細かいバトル描写需要ある?

  • いる
  • いらない
  • そんな事よりおねを供給しろ
  • もっとネモネモしろ
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