FULL GATE!! -全バ転生者です-   作:猫井はかま

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快晴の東京レース場フルゲート、全バ転生者です

 

 

 ――やってきましたトレセン学園!

 

「ここが日本一のウマ娘養成学校かぁ……!」

 

 まさか一発で受かるとは思わなかったよね! ()()じゃ私編入だったし!

 

「いきなりルート外れたけど……まあなんとかなるか!」

 

 そう、原作。

 私はこの世界が別の世界で語られていることを知っている。

 馬が存在せず代わりにウマ娘という人類の一種族が存在する世界。かつての世界――前世という世界では架空の物語に過ぎなかった場所に今私は立っている。

 異世界転生、前世の記憶付き……にもう一味加えて劇中の登場人物に生まれ変わりました!

 私スペシャルウィーク12歳! 前世持ちの転生者だけど日本一のウマ娘目指してけっぱり(がんばり)ます!

 

「……っし、気合入れ終了。ふぅー……」

 

 あかん。気を抜くとこわい(しんどい)ことを思い出す。

 何故私が中途編入という原作ルートを外れたのか。

 始まりは私が幼く、故郷の北海道の僻地に住んでいた頃――……

 

 

 

 

 

 

 4・5歳だったと思う。

 何をするのも楽しくて、意味もなく走り回っていた。

 お母ちゃんが本当のお母ちゃんじゃなくて、私を産んでくれたお母ちゃんは既に亡くなっていると聞かされ、物語として知ってはいたけど悲しくて悲しくてどうにもならなくなって、そんな時に偶然出会った人に思い切り泣いちゃえとか、走ることの楽しさとか、色んなことを教えられて立ち直ったりして……育ててくれたお母ちゃんと産んでくれたお母ちゃんに立派になる、天国に居ても私だってわかる日本一のウマ娘になるって誓ったりして――暇だなんて一秒も感じない頃だった。

 私の実家である農場に見知らぬ人影が近づいてきた。

 前世はともかく、今世はお母ちゃんと牛を買いに来るバクロウさん、例外のあの人以外とろくに顔を合わせたことがなかった私は怖気づいた。

 なにせ無遠慮というか、初対面であることお構いなしにどんどん距離を詰めてくるのだ。

 4・5歳児とはいえまがりなりにも転生者、お客さんという概念は知っていたのでお母ちゃんにぶん投げようとしたら、ソイツがいきなり私の名を呼んだのである。

 

『お、もしかしてスペシャルウィークか?』

 

 初対面なのになんで名前知ってんじゃ。

 恐怖体験である。

 だが本当の恐怖はそれに続いた言葉だった。

 

『この子が未来の日本一のウマ娘か――!』

 

 ちょっと待てや。

 なんでソレ知ってる。ソレ知ってんのお母ちゃんたちだけやぞ。

 産んでくれたお母ちゃんのお墓の前で宣言して以来誰にも言ってないぞ。

 決して見ず知らずのおっさんが口にしていい言葉ではない。

 怪しすぎる。怖すぎる。完璧不審者じゃんね。

 だから。

 躊躇なく防犯ブザーの紐を引いた私はわるくない。

 

 なお不審者はブザーを聞きつけて現れた近所のヒグマさんに張り倒されうちの農場から駆けつけてくれた牛さんに撥ねられ遅れて参上したお母ちゃんにふん縛られおまわりさんに引き渡された。

 そんなことが以後8年近く続くなんて思いもしなかった。

 最近じゃもう牛の花子が対人制圧のプロだよ。人体のどこ踏めば身動き取れなくなるか完全に理解してるもん。この間なんて三人まとめて取り押さえたもん。

 

 で、小学六年になる頃、多分そういう連中が手配したと思われる中央トレセン学園の入学願書がいっぱい届きました。統制取れてないのかよ不審者共。ここまでくると脅迫じゃん。

 当然お母ちゃんと二人難色を示したけど、どうせなら受けるだけ受けてみようという話に落ち着いた。もし仮に受かればこんなド辺境の田舎とは比べ物にならないセキュリティのトレセン学園寮で生活できるし、なにより私の夢のためには高校編入よりも中学から入って学んだ方が効率的だ。受験のために小学校の遠足以来で札幌に行ったけど、やっぱ都会ってすごいなぁって……話がずれた。ともかく私は半ば強制的に中央トレセン学園行きの選択肢を与えられたのだ。

 

 

 

 

 

 

 ともあれ、私はそうして私以外にも転生者がいることを知った。

 そうなると問題になるのが私である。

 そう、主人公のスペシャルウィークが私ということが問題だ。

 不審者共がそうであったように、転生者ならば多かれ少なかれ私やトウカイテイオー・メジロマックイーンを主人公として見るだろう。なのにお出しされるのは中身が転生者というパチモンスぺちゃんである。私が客だったらふざけんなと返金を迫る。だが返金を求められるのはこの場合私であって、無い袖は振れない。

 いやわかるよ? 前世持ちのスぺちゃんなんて認めがたいって。普通のスぺちゃん出せやと誰もが思うよねって。したって(だって)偽装表示でもなんでもなく私は私なんだもん。

 お母ちゃんたちや牛やヒグマに可愛がられて育った私が偽者だなんて。

 あの愛情が間違いだったなんて、誰にも言わせない。

 パチモンでも偽者でもない。

 今生では私がスペシャルウィークなんだ。

 胸を張ってそう言い切れる。

 

 と、まあアイデンティティに関しては自己解決してるんだけど。

 それでも中身が違うぞとなれば面倒なことになるよね。

 不審者とか不審者とか不審者とか。

 なので極力転生者であることはバレないように過ごしたいんだけど――

 

「大丈夫よ大丈夫……入学式程度でおなか痛くしてるんじゃないわよ……こんなの気のせいよだって私はキング……私はキング……私はキング……! そうよ私は一流のウマ娘になるんだからこんなのなんでもないはずよ……!」

 

 ……門の裏でずっとブツブツ呟いてるの、キングちゃんだよね。馬でも同期のキングヘイロー。しかも言動からして確定転生者。したって(だって)キングちゃんが人前で弱音吐くなんて真似するわけ――いやもしかしてアレ隠れて誰にも気づかれないと思ってやってる?

 いやまさか、そうだとしたらなんまら(すんごい)ポンコツだべ……?

 思わずじーっと見てしまったが周囲の人たちも気になるのか、ちらほらキングちゃんと思しき子を遠巻きに眺めてる。うん、ちょっと放っておきにくい感じ出てるよね。ウマ娘って基本善性の子ばかりだから気になるよね。

 声をかけるべきかなぁと思い始めたあたりでその子は急に立ち上がった。

 丸めてた背もピシっと伸ばし一気に高貴な気配を身に纏う。

 

「――よしっ。さぁ、キングの伝説の始まりよ……華々しく飾ってあげるわ!!」

 

 優雅に、されど力強く翳りなど一切感じさせない歩みで立ち去るのを見送る。

 ……すごいなあの子。一瞬で『キングヘイロー』になった。

 演じてる、って感じじゃないんだけど……ううん、判断が難しいなぁ?

 

 んー、まあ、あの子はさておき。

 いきなり一人目見つけるくらいに多いんだな転生者……

 これ……バレないようにって、無理じゃねえべか。

 うーん。前途多難。

 

 

 

 

 

 

 そして入学式――本物のたづなさんだ、とか本物のルドルフ会長だーなんて高揚はもう無い。

 

「――であるからして生徒諸君は……」

 

 会長のお話がなっげぇ。

 陽気もあって眠たいわ話の内容が入ってこないわでなんまらこわい(すっげぇつらい)

 会長さんもし生徒と距離を感じてるとしたら理由の大半コレだよ。地元の校長先生より話長くて退屈なんだもん。見れる範囲でも新入生の皆歯を食いしばったり手の甲つねったりしてなんとか意識保ってる状態なのに気づいておねがい。

 会長さんっていうド級の美人さん見てもテンションダダ下がるなんて普通じゃないべさ。

 誰か会長さんに演説上手のスキル渡して……そんなんあるか知らんけど。

 うう、お坊さんの読経の方がまだ刺激あるよう……

 つらい。きつい。ねむい。

 新入生一丸となる願いは天にも地獄にも三女神にも届かずお話は10分以上続いた。

 

「――なので君たちは校訓を胸に精一杯走り続けて欲しい。入学、おめでとう」

 

 ……はっ! 終わった!? よっしゃルドルフ会長が壇上から下りてる!

 思わず拍手してしまったのは私だけじゃなかったようで波打つように拍手が広がっていく。

 ちらっと見えた会長さんの顔は満足げで――……もしかして、毎回これで勘違いしてるのか?

 これ称賛の拍手じゃなくて解放の拍手だってお気づきでない?

 うぐぅ……ッ! だとしてもそれを正面から指摘する勇気は私にはない……!

 私と同じような表情浮かべてるのが視界の中だけでも10人以上いる……

 ――私たちは、無力だ。私たちに――ルドルフ会長は救えない――

 

 

 

 

 

 

 何故か無力感に苛まれる入学式という謎のイベントを乗り越えた私たちは朝鞄を置いた教室へと戻っていた。この後は各クラスごとに学園生活における諸注意の訓示と教科書の配布だ。ただ、講堂から新入生全員の移動ということでしばらく時間が空く。

 机に座って鞄から入学案内を取り出す。

 今日の日程が終わった後のことを調べ直そう。

 ええと、寮は別紙に記載、荷物は入居する部屋に届けられてる……この書類か。

 私は栗東寮。知ってるけどね、入学時期ずれてるから部屋割りまで同じかわかんないけど。

 相部屋はスズカさんなのかなー。違ってたらどうなるんだろ。

 ん? 今気づいたけどこれ結構大きな原作乖離になるんじゃ?

 私のせいじゃないから別にいいけども。

 今必要な情報はこれくらいかな。先生が来るまで待つか。

 背中が張ってる気がして、はしたなくない程度に身体を伸ばす。

 

「思ったより緊張したなぁ……体こわい(きつい)わぁ」

 

 正確に言うなら弛緩しないために緊張せざるをえなかったんだけど。

 ――ん? 今誰かの耳がこっち向いたような……気のせいかな?

 

「いや、はんかくさいこと(ばかなこと)言ってないで初日くらいちゃんと――ひぇッ」

 

 なにあの長い髪が弧を描く勢いで振り向いた子!? ホラー演出!?

 ってすごいスピードで駆け寄ってきたー!?

 

「ねえねえアナタ! それ、それそれホッカイドーベンだよね!?」

「ひええ!? ホッカイドーベンって、ホッカイドー……え? 北海道弁?」

「そうそうそれそれ! ホッカイドーの子!?」

「え、あ、はい。道南出身です……」

「ファンタスティック! アタシニッポンのホーゲンが大好きなの! 特に好きなのがホッカイドーベン! ニッポンで一番キュートデース!」

 

 なんかところどころ発音が怪しいけど、外国の子? 目元だけを覆う赤いマスクをしてる……

 いやそれにしても照れるな。方言褒められたのなんて初めてだしえへへ……って。

 エルちゃん? このマスクとハイテンションはエルコンドルパサー?

 

「あの……」

「こーら」

 

 テンションアゲアゲでわちゃくちゃしてるエルちゃんの頭がこつんと叩かれる。エルちゃんが振り返った先には、絵に描いたような、お淑やかという言葉を形にしたようなウマ娘がいた。

 

「そんな勢いよく行ったら困っちゃうでしょう? 自己紹介もしてないのに」

「Oh、ソーリーデース! 念願のホッカイドーベンが聞けて嬉しくて」

「ごめんなさい、エル……この子ちょっと元気が良くて。でも悪い子じゃないんです」

「あ、いえ、私もちょっと呆気にとられただけで、気にしてないです!」

「ありがとうございます。ほらエルも」

「サンキュ、グラシアース! 自己紹介がマダでしたネー、アタシはエルコンドルパサー!」

「私はグラスワンダー。二人ともアメリカ出身で、こちらの常識に疎いのでご容赦ください」

「は、はい! 私はスペシャルウィークです! 北海道出身です!」

 

 うわーうわー! 生グラエルだー!

 エルちゃんの方がところどころ引っかかる言動してるけど本物だー!

 世代最強格の二人! フランスG1を獲り、未だ遠き門である凱旋門賞でもあと一歩まで迫ったエルコンドルパサー! 多くの怪我に悩まされながらG1四勝を挙げさらに私、馬だった頃のスペシャルウィークを完封したグラスワンダー……!

 まさかいきなり会えるなんて……その後は名前長いからエルとグラスでいいですよ、私は地元でスぺと呼ばれてました、なんて会話を続け順調に関係を構築した。

 

「ホッカイドーはゴハンが美味しいって聞きマース!」

「住んでたから実感はあんまりないけど海産物、シーフードが美味しいってよく言われてるね」

「シーフード! ホッカイドーのウミノサチでピザ作りたいデース!」

 

 エルちゃん本当に北海道が好きみたいで、何話しても喜んでくれる。

 よかったぁ……正直アニメ初登場時のちょっといじわるなエルちゃん苦手だったんだよね。

 今思えば入学より厳しい編入で入ってきた子なんてライバル確定だから軽いジャブ打つくらいして当たり前だよなってわかるけど。いやまあエルちゃんが北海道好きなんて描写アニメにもアプリにも無かったろって考えてますけどね。転生者の確率高いよねこのエルちゃん。ビミョーに言動がメキシカンというよりアメリカンだし。

 んなことより故郷褒められるってうれしいよねうへへ。

 エルちゃんがガンガン喋ってグラスちゃんはタイミングを計りかねているのかチラチラこちらを見ては相槌を打つに留まっている。あーイメージ通りだなー。言うべき時でもないと出しゃばらないグラスちゃんって。キングちゃんとエルちゃんの例があったからちょっと身構えてたけど流石にこの子まで転生者ってことはなさそうだ。エルちゃんも不審者共とは違って警戒しなくてよさそうだし。……にしても私ってそんなに方言使ってるかな? 自覚ないんだけど……?

 

「北海道といえば海鮮。間違ってないけどジャガイモを挙げないのは感心しないわね」

 

 聞き覚えのある声が割って入る。

 朝見かけた確定転生者、キングちゃんの声だ。

 

「ジャガイモ?」

「エル、ポテトのことよ」

「ポテト……フムム? ベジタブルも何か違うんデスか?」

「ジャガイモは成長具合を気候風土に左右されるの。北海道で育ったジャガイモは火を通した際の仕上がりが図抜けてホクホクするのよ」

「ホクホク……! よくわかりませんが美味しそうデース!」

 

 知らなかった……! うち農家とはいえ酪農メインだし!

 じゃがバターとか聞いたことはあるけどあって当たり前というか、狙って食べようとまでは思わないし……名産には名産の理由があるんだなぁ。地元民の方が知らないことって多いのかも。

 私が転生者だとバレたら前世と今世で人生二回分道民やってるのに、って言われそう。

 いやでもねほんと地元民って名産品に手を出さないんだよ。露店なんかも観光客向けだなって他人事と捉えちゃうし。お値段も観光客向けっていうかぼったくりっていうかアレだし。

 ……そもそも北海道以外のジャガイモ食べたことないな? え? ホクホクしてないもんなの?

 

「スぺちゃんスペース背負ってるけどダイジョウブ?」

「今の会話に宇宙を背負う要素あったでしょうか」

 

 はっ、意識がジャガイモに吞まれてた。

 私が十勝平野の向こうに行ってる間にキングちゃんは自己紹介を済ませていたらしく、改めて私も名を告げる。

 

「それにしても北海道に詳しいんだね。実家があっち?」

「我が家で取引してる農場がそちらにあるのよ。北海道産の食材は一流だもの」

 

 個人宅で農家と契約ってなにそれすごい。

 キングちゃんの実家がお金持ちらしいとは知ってたけどそこまでとは。

 しかしそのお金持ちっぷりをひけらかすでもなく北海道を立ててくれるあたり本当に『キングヘイロー』だなぁ。演技っぽくないのがすごい。前世も庶民じゃなかったんだろうか?

 

「えっと、それで――」

「話しかけた理由、かしら?」

 

 おっと先手を取られた。

 

「あなたが良いライバルになりそうだったから、ではダメかしら。入学試験次席さん?」

 

 へえー次席。ってことは新入生全体で2位かすごいなー。

 エルちゃんとグラスちゃんどっちだろ……って、なして(なんで)私を真っ直ぐに見てるのキングちゃん。

 

「……へ? え? 私!?」

 

 うそ!? そんないい点取れてたの!? 不審者共の不正とかじゃないよね!?

 再び宇宙を背負った私に普通は公表されないけど伝手があれば順位はわかるとか、それを知って未来のライバル候補と会いたくなったとか色々教えてくれてるけどあんま頭に入ってこない。

 勉強頑張りはしたけどそこまで報われるなんて思わなかった。いやまあ友達ほとんどいなかったから勉強するか農業手伝うかしかしてなかったけどさ。トレセン落ちたら地元の農高目指すべと幅広くやってたのがよかったのだろうか。それともあれか、お母ちゃんのトレーニングがめっちゃ効果的だったとか? 比較対象がほとんどいないから自分の走りがどの程度なのかわからない。

 

「キング~、そう畳みかけちゃ気の毒だよ。純朴そうな子じゃない」

 

 混乱した頭にへんにょりした声が滑り込んでくる。

 その姿を知っている。ぽやぽやした雰囲気の下に冷徹な策士の顔を隠した芦毛のウマ娘、セイウンスカイ。ただ――入学初日ということを考慮に入れると、妙にキングちゃんと距離が近い。

 

「紹介するわね、先ほど友人になったセイウンスカイさんよ」

「セイちゃんでもスカイでもお好きにどうぞー」

 

 ふんわりとした態度ながらキングちゃんの横をキープしてる。

 自然に話してるようでチラチラとキングちゃんに視線を向けてるのを私は見逃さない。

 これは、アレだな、うん。キングちゃん好きの転生者だな。

 誤魔化してるつもりなんだろうけど所作の端々からキングちゃん好きが漏れてる。

 グラスちゃんたちも何かを察して笑みがぎこちなくなってるよ。

 …………初見で見破れる転生者多いな。ほんとに隠す気あるんだろうか。

 

「スぺちゃん入試次席なんて凄かったんですね。流石です」

「じ、実感がわかないなぁ……なんて」

「ohケンソンってやつデスか? オクユカシイデスねー」

「二人とも落ち着いて心なしか体積減ってる感じで小さくなってるからその子」

 

 何かから話を逸らすように話題を戻したグラスちゃんたちを止めてくれてありがとうほぼ確転生者のセイちゃん! でもね! 原因あなたです!! 見てよグラスちゃんたちの微妙な顔! 10秒に一回ペースでキングちゃんに視線向けてるのみんな気づいてるんだよ! 指摘するのはちょっとアレだなってみんなで頑張ってるんだよ! 矛先が私だったのはちょっと辛かったけどさ!

 なんで私たちがアイコンタクトもせずに一斉に話を逸らしたかといえばキングちゃんがもう露骨としか言えないセイちゃんの挙動不審さに全く気付いてないからだ。これが私に向けられてたら防犯ブザー鳴らす確信があるほどに怪しいというのに。察するにキングちゃんは純粋培養。こういう危機感を覚えずに済むほどに大事にされてきたのだろう。ならば守護らねば……! 世俗のヤバさを知らないお嬢様にいきなりコレはハードルが高すぎる!

 ちらとエルちゃんに目で合図する。

 話変えよう。

 エルちゃんは瞬きで応える。

 ネタ切れデース!

 っく! 焦ってるから頭が回らない!

 だがそこにグラスちゃんが机に手をつくサインを出した。

 私が行きます。

 控えめなグラスちゃんが斬り込むだと!?

 

「人も増えたことですし、改めまして……私はアメリカ出身なのですが皆さんはどちらから?」

 

 無難・オブ・無難。

 そうだよ視聴者はそういうの求めてるんだよ!

 ――落ち着こう。なんだよ誰だよ視聴者。

 ころころ変わる話題に気勢が削がれたのかセイちゃんの視線は次第に外れていく。

 教室内のウマ娘の様子を窺ったり私の鞄を二度見したり――なんで二度見した?

 すると一歩キングちゃんから離れ、セイちゃんはウィンクを二回した。明らかにサインだ。

 微妙な表情や態度から読み取ると――ゴメン、浮かれすぎた。

 ……そうね、入学式だもんね。12年待ってようやく推しに会えたんだもんね。

 冷静になれるだけマシだ。脳内の危険度評価を下方修正する。防犯ブザーは要らなそう。

 

「こうして並べると国外のアタシたちはさておき、スぺちゃんが一番遠くデスね」

 

 出身地談義も一回りして総括に入る。

 沖縄出身でもいなければ北海道が一番遠いよね。

 道民視線で言わせてもらうと道南出の私なんてそこまで遠い自覚ないけど。

 

「物理的に距離があるとちょっと二の足踏んじゃいそうになりますねぇ。遠くから来たお三方的にはどーです?」

 

 落ち着いたセイちゃんに水を向けられる。

 

「私は両親の影響もあって日本に興味がありまして……そういう意味では特に」

「アタシは一度走ったコースト、西海岸の芝が脚に合いまして。似た感じで走れるっていうニッポンで学んでみたかったからデスね。パパも納得してくれたからテイコーカン? はなかったデス」

 

 おお、グラスちゃんは知ってたけどエルちゃんはそういう経緯だったんだ。

 多分転生者っぽいから原作でもそうなのかは知らないが。

 芝に合わせてかぁと感心してると視線で先を促される。

 

「あ、えっと私は目標があったから……故郷を離れる寂しさはありましたけど」

 

 目標という言葉にキングちゃんの目が輝く。

 なんだろう、妙に私の評価高くない?

 期待されてるというか、好かれてる……にしても慣れた不審者のソレとは違う。

 キャラクターとしてのスペシャルウィークを知ってるから、では、ない?

 長年不審者共から一方的な好意を向けられていたからこそわかる。

 キングちゃんの感情はあいつらとは違う。

 どう違うのか、とは説明できないけど。

 

「目標ね、いいじゃない。よければ聞かせてくれない?」

 

 一瞬言い淀む。

 私のそれは原作と似ているようで大きく違う。

 おそらく彼女が望むような崇高なものじゃないし……

 それ以前にあんまり口に出したいものでもない。

 でも、誤魔化しようがないし……知っててもらった方がいいだろうしなぁ。

 

「それは夢のためと……えーと……ぶっちゃけ身を守るため、かな……」

 

 案の定会話が止まる。

 うんちょっとね、軽い話の流れで出す言葉じゃないよね。

 

「夢はわかるけど……?」

「身を守るって、物騒ね?」

「うん、実はね――」

 

 かいつまんであの日から始まった抗争の歴史を語る。

 最初はリアクションもしてくれたのだが段々と相槌さえ減っていく。

 5年目を越え防犯ブザーを10個常備するようになったあたりで沈黙の帳が下りた。

 わかるよ。ブザーを鳴らして逃げた先で二人目三人目の不審者が現れるとかホラーだよね。

 ヒグマさんの乱舞技がなかったら今こうして無事でいられたかどうか。

 

「Oh……そんなことが……」

「鞄につけてる防犯ブザー多くね? と思ってたけどそんな理由があったとは……」

「多分北海道で一番防犯ブザー使ってる子だよ私」

 

 エルちゃんとセイちゃんが若干引いてるけど今更なので。

 なんなら地元の小学校でも引かれすぎて裏返り普通に心配されるレベルなので。

 ついでに言うと制服にも3個防犯ブザー仕込んでるよ。

 

「変質者に狙われ続けるなんて……許せないわ……!」

 

 実害にまでは至ってないんだけども。

 とは怒髪天を衝いているキングちゃんにはとても言えない。

 だからボディーガード雇うってウマホ出すの待ってください多分大丈夫だから。

 どこぞの殿下じゃないんだから分不相応ですってあいあむ農家。

 人件費払えないからほんと思いとどまっておねがい。

 私が払う? ダメだって友達に金銭的負担を押し付けるなんて出来るわけないじゃん!

 

「ま、まあスペシャルウィークさんがそこまで言うのなら……」

「トレセン学園の警備は厳重だって話だし大丈夫でしょ。許可されたマスコミ以外は入れないって有名だしさー」

 

 何故か機嫌を上方修正したキングちゃんをセイちゃんが追撃で宥める。

 あとはずっとだんまり決め込んでるグラスちゃんなんだけど……

 

「スぺちゃん……スぺちゃんを守るためなら私、人を、斬ることになっても……ッ」

「ストップグラスちゃんその覚悟決めちゃあかんやつ!」

 

 現代日本で斬り捨てるって表現が許されるのはレースで末脚発揮した時くらいじゃないかなぁ!

 ノーモアウォー! ノーモアウォー!

 みんな心にブレーキ付けよう!? これだけは外付けじゃダメだと思う!

 

「それでも心配デスね……ニッポンってGUN持っちゃダメでシタっけ?」

「対処法がアメリカン」

 

 多分きっと抑止力として提示したんだろうけどブレーキ壊れ気味でセイちゃんが引いた。

 これには流石にキングちゃんも参戦して防犯ブザーが社会的に致命傷与える自衛武器みたいなもんだからとアメリカ組を説得した。治安の悪化は避けねばならない。

 エルちゃん9㎜じゃ止まらないかもしれないから45口径がおススメって言われても困るよグロック36が良いって言われてもわかんないよ。グラスちゃん脇差なら許可が下りる筈ってそれは江戸時代の旅人だよお伊勢参りしてんじゃないんだよ私。

 銃と剣が混在するってここは幕末の京都か大航海時代のカリブ海か――落ち着け私、ここは東京都府中市で時代は現代21世紀……!

 もう何度目だって感じだけど話変えよう!?

 くっそキングちゃんにアイコンタクトするけど気づいてくれねえ!!

 セイちゃんのアシストが全部空回って変な踊りする人になってる!

 

「スカイさん、なんで急に創作ダンスを……?」

 

 今ツッコむべきはそっちじゃないんだよなぁ!

 ほらぁ! セイちゃん顔真っ赤にして蹲っちゃったじゃん!

 ヒトだったら耳まで赤くなるやつだよこれ耳ふっさふさでわかんないけど!

 

「それにしても先生遅いわね。欠席者の関係かしら」

 

 よし話逸れた! と喜ぶと同時に疑問が浮かぶ。

 欠席者? 見回せば皆座ってたり立ってたり自由で席が埋まってるかどうかもわからないのに。

 問えば小耳に挟んだと答えられる。事情通なんだろうかキングちゃん。

 

「そういうわけで新入生はもう一人いるみたいよ」

「もう一人? みたいって?」

「風邪を引いたらしくて病欠なの。先生方が話してるのを聞いたわ。ツルマルツヨシって子」

「あー……」

 

 転生者疑いのかかるメンツの『あー』はツルちゃんだからなぁ……の『あー』だろうね。そっか……入学式で早速躓いたんだツルちゃん……本物か転生者かわかんないけど。取り繕うためか風邪ならしょうがないよねと話していると、蹲っていたセイちゃんが動いた。

 

「ツヨシがやらかしましてね」

 

 ぶっほっ!!

 ちょ、まっ、卑怯だろそれぇ!? 言いたくなるのわかるけどさぁ!

 キングちゃんもグラスちゃんも撃沈してるじゃん! エルちゃんはネタがわからないのかきょとんとしてるけど……このネタが通じないってことは純アメリカ人? 国が違えば仕方ないよね。

 ――グラスちゃん?

 こちらでもあちらでも同じ事件は起きたけど、年齢的に、出身国的にグラスちゃんがこのネタをリアルタイムで知った可能性はほぼゼロだ。極東のアイドルが起こした泥酔事件を揶揄した深夜番組なんてどう考えても知りうるはずがない。いくら日本文化に傾倒するグラスちゃんでもアングラスレスレの日本ネット文化にまでは辿り着かないだろう。

 こちらのグラスちゃんが知り得ないとするなら、情報源はあちらに限られる。

 年代も地域も飛び越えた知識の持ち主。

 つまり――グラスちゃんは、転生者。

 こっそり窺えば、セイちゃんがひどく冷めた目でグラスちゃんとエルちゃんの反応の違いを検めていた。ぞっと背筋に冷たいものが走る。ごく自然な流れで、当たり前の会話一つで探りを成功させた。セイちゃん、アメリカ組を狙って謀った、の? 狙い撃ちで――正確に仕留めたんだ。

 ……私だけじゃなかった。

 転生者という自覚を持ち、他の転生者を探ろうとしているのは。

 緩んでいた気持ちを今一度引き締める。

 私たちが立っているのは薄氷の上だ。

 いつ崩れ落ちてもおかしくない舞台の幕は上がってしまった。

 誰もが与えられた『役』を演じねばならない。

 演劇の裏で何を考えているかなんて見透かせない。

 嘘つきだらけの仮面劇。

 演じた仮面を剝がされた時、どうなるのか……誰も、知らない。

 

「いやホントに来ないデスねティーチャー」

 

 ネタが通じなかったからだろう、どこか気まずげにエルちゃんが話を戻す。

 セイちゃんに感づかれぬよう便乗する。狙いは私ではなかったとはいえ、油断できない。

 次にあの氷のような視線を向けられるのが私でない保証なんてどこにもないんだ。

 

「まだ講堂に誰か残ってるのかな?」

「流石にそれは……貧血でも起こさないとあり得なくない?」

「いくらなんでも遅すぎるわね……」

「何か問題でも」

 

 起きたのでしょうか。そう繋げるはずだったグラスちゃんの声はハウリングを起こしたスピーカーに遮られる。クラス中がなんだどうしたと固まった瞬間、怒声が放送された。

 

『緊急事態発生!! 全職員に第一種警戒態勢を発令! ゴールドシップがアグネスタキオンの製造した薬剤を奪い逃走中! 追撃部隊以外は各教室に籠城せよ!!』

 

 え、なに戦争?

 新入生みんなぽかんと口を開けてたら教職員と思われる人が「誰が来ても開けないように!」と言いながら教室の扉を施錠して去って行った。

 マジでテロリストかなんかへの反応じゃん。内容が意味わかんなすぎて危機的状況に対処し慣れてるアメリカ組でさえ棒立ちだけど。

 ……まあ転生者なら知らないはずがない『ウマ娘』における2大トリックスターであるゴールドシップとアグネスタキオンの名前を一度に出されたから、かもしれんけど。

 っていうかさらっと知らない情報が出てきたな。なにさ追撃部隊って。

 

「えーと、時間できたみたいだし何か話してよっか」

 

 七色に光りたくないから関わりたくない、とは言えずに会話を再開させる。

 君子危うきになんとやらという考えは皆同じなのか、放送へのツッコミは一切無く話題探しが始まった。ちらと視線を巡らせれば他の子たちも放送の件に言及してない。生存本能が働いたかな。

 

「適性がはっきりしてる子っているかしら? どうも私はわからなくて」

 

 話の方向性はキングちゃんのそんな発言で定まった。

 

「適性って距離とかバ場?」

「ええ、スペシャルウィークさんははっきりしてる? 次席なのだし」

「そう言われても……芝も砂も試験の時しか走ってないからあんまり……」

 

 故郷の山を駆け回った時間の方が圧倒的に長いんだよね私。

 地元の学校は私以外ウマ娘が通ってなかったからヒト用のグラウンドしかなかったし。

 

「意外ね。あれだけの成績を示したのだからもう専門教育を受けてるのかと思ったわ」

 

 本当に意外そうにキングちゃんは言う。

 あーこれ、もしかしたら『スペシャルウィーク』のことあんまり知らないのかな?

 だとすると正直に言うのちょっと恥ずかしいな……お金持ちのキングちゃんにうち貧乏だからトレーニングとか全部自前ですーって当てつけみたいだし。やっかむ気持ちとか無いから余計に恥ずかしくなっちゃうなぁ……

 

「あっと、適性はアタシもわからないデース!」

 

 言葉に詰まる私の気持ちを察してくれたのか、エルちゃんが強引に割り込んだ。

 ちょっと不自然だったけどキングちゃんは気づかずあら貴女も? と意識を逸らす。

 ……ごめんねエルちゃん。助かりました。今回ばかりは転生者の事前知識に感謝だよ。

 

「あー、適性は無理に判断しないってのが地元流でシタ」

「あらエルも?」

「グラスもですか。アメリカじゃこれがスタンダードなのカナ?」

「どういうこと?」

 

 その場しのぎの話題なのに私も気になる。適性を判断しないってなんでだろう。

 

「ええと……」

「ザックバランに言うとデスね、どーせ『本格化』でシッチャカメッチャカになるんだから子供の時に調べても意味がないってカンジデース」

「え、本格化ってそんなに変わるんだ」

「地元のコーチの話だとダートで育った子が本格化が来たらターフしか走れなくなったナンテ極端なのもあったそうデスよ」

「流石にそれは稀だと思いますけど……」

「いやー、この話した時の『適性ってわかんねえな』ってコーチの顔が忘れられないデース」

「なるほどねぇ。それこそ極端な話、現役時代どころか引退しても適性わかんないまんまなのにG1は勝ってるってバケモノみたいなのもいるくらいだし」

 

 ん、適性わかんないG1バ?

 それって……

 

「あらすごいじゃない。なんて選手かしら?」

「あー……ちょっとド忘れしちゃったなーあははセイちゃんうっかりー」

 

 忘れるわけねえだろ私の最推しだよ目の前に居るんだよォッ!!!

 って目が語ってるよセイちゃん……熱量凄すぎて火になってない? どこぞのステイヤーみたく目から火が出てない? 私の錯覚かな……キングちゃん無反応だし。

 いや錯覚じゃねえわエルちゃんとグラスちゃんが引いてるじゃん。顔に出るくらいドン引きじゃん。なんで気づかないんだよキングちゃん。ラノベ主人公かよ。

 そういやあったな、キングちゃんみたいな優しいけど鈍感なお嬢様が主人公の女の子向け小説。

 ……もしかしてそちらの世界から来てらっしゃる? いやまさかね……

 

 

 

 騒動はまだ治まってないのか先生が来る気配はない。

 緊張感も長くは続かず教室内はダレた空気が蔓延していた。

 ついでに言えば初対面が多いのだろう、話題が少なく会話が続かないのだ。

 それは私たちのグループにも言えて晩御飯なんだろうね、なんて話になってしまっている。

 重要だけどね晩御飯。晩に限らず三食全部。

 アニメで見たニンジンハンバーグ食べたいなぁ。お母ちゃん食べやすいようにってニンジン切っちゃうからあのまるまる一本ブッ刺すニンジン見たことないんだよ。利便性もわかるけどさ、見た目のロマンとかさ、そういうのが欲しい子供心ってあるんだよね。

 

「スぺちゃんがどこか遠く見てマース」

「緩んだ口元から垂れるよだれを見るにおなか空いたんじゃない?」

 

 ばっちり見抜かれちゃった。

 隠してないんだけど……いや隠した方がいいのかな普通。一応花の女学生なんだし。

 うんまあいいや。晩御飯楽しみだよね!

 

「初日だし定番のカレーかハンバーグってところですかね~」

「アスリートの専門学校なのだしがっつり肉! でくるでしょうね」

「お? キングはハンバーグ予想かぁ。いっちょ賭けてみる?」

「アタシもノりマース! ステーキにベット!」

「エル、ハンバーグかカレーか二択よ……いえ、バイキングということは?」

「賭けてもいいけど食堂は食べ放題ってパンフレットに書いてあるわよ」

「えっ、学生の定番おかずを賭けて勝負ができないじゃん」

 

 割と真剣にセイちゃんが残念がる。策士としてはやっときたいよねそういうのわかるよステーキおいしいもんねポークのしか食べたことないけどバイキングも一度行ってみたいんだよねどんくらいまで食べてもいいのかなぁ。

 

「あの、あまり食べ物の話を続けるとスぺちゃんが……」

「言葉の代わりによだれが出てるわね…‥」

「セイちゃん話題チェンジ頼みマース」

「うえっ無茶振り」

 

 スープ鍋一杯くらいまでなら許されるかなぁ都会じゃドリンクバーってのでカレーが食べ放題らしいしそっちもいいなぁいやいやここはやっぱりお肉でいきたいよね食べ放題お肉2ごはん3の黄金比ならいくらでも食べられる自信があるよサラダとフルーツもバランスよくいきたいよね――

 

えーと、体作りも大事だけど重要なのは戦略だと思うんだよねー!」

 

 んぉ。

 いつの間にか話題変わってたんだ。いけないいけない、無視しちゃうところだった。

 戦略かぁ。入試の範囲内くらいしかまだわかんないなぁ。

 レース中の試行錯誤だけじゃなく盤外戦術――特定の相手を避けてレースを選ぶのも戦略だ。

 クソローテとも謂われる過密スケジュールに敢えて挑むなんてのもあるらしいけど。

 正直そこまでいくとトレーナーさん任せになりそうだなーって気もするね、と口に出す。

 ……なしてみんなほっとしてるべさ? え? 戦略で攻めてくるタイプに見えてた?

 

「皆はさー、狙ってるレースとか戦法とかってあるの?」

 

 これまたセイちゃんらしい話題の振り方。

 後々のための伏線ともとれる誘導は策士セイウンスカイとしても、転生者を探るセイちゃんとしても両立できる。将来のライバルの傾向を知るためとも、原作との差異を見極めんとしているともとれる。実際、両得の策なのだろう。それくらいこのセイちゃんならやりかねない。

 

「狙いなんてないわ。全てのレースで華麗に活躍してこその一流よ!」

 

 まあキングちゃんには効かないけどね。

 これにはセイちゃんも苦笑い。

 仕方なしなのかセイちゃんがダービーとか菊花賞とか取りたいよねーと繋げばエルちゃんもグラスちゃんも三冠は狙いたいですねと続ける。そして最後に残ったのは私。

 気負わず、小さなころからの夢を口にする。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 つい、とセイちゃんの片眉が上がった。

 

「ジャパンカップ――はわかるけど、幻惑逃げ? また、珍しい戦法だね?」

「憧れた人の勝ち方なんです。ずっとずっと……憧れてる」

 

 原作のスペシャルウィークが語る筈のないことを私は告げる。

 キングちゃんは動じず、エルちゃんとグラスちゃんが「憧れ……?」と小さく首を傾げた。

 本来、というか原作ではトレセン学園に来る途中でスズカさん――サイレンススズカのレースを観て憧れを抱く。だがこの世界ではスズカさんはまだデビューすらしていない。さらには大逃げではなく幻惑逃げというスズカさんに重ならない条件。不可解ですらあるだろう。

 バレてはならないと気を引き締めた直後の原作乖離。

 別に、矛盾しない。

 要は『私がスペシャルウィークだ』と納得してくれればいいのだ。

 スズカさんの前に憧れた人がいる私がいたって何もおかしくはない。

 この世界のスペシャルウィークは私。それは揺るがないんだから。

 

「ジャパンカップ……幻惑……まさか()()()()()()()?」

 

 セイちゃんの呟きにがばっと顔を跳ね上げる。

 

「知ってるの!?」

「え、あいや、詳しいわけじゃないけど」

「あ、ごめん。地元じゃあんまり知ってる人いなくて……」

「ああ……ジャパンカップ優勝してすぐに引退しちゃったからねえ」

 

 それにしてもとセイちゃんは続ける。

 

「スぺちゃんと何か接点あるの? 大分昔の選手だけど」

 

 当然の疑問だ。

 彼女が活躍したのは私たちが小学校に上がる前。

 たとえテレビで見たとしても薄れてしまうような記憶でしかないだろう。

 だけど、私にだけ向けられたあの優しい笑みは……忘れられない。

 

「うん、私が小さい頃にね――すごく、悲しいことがあって……落ち込んでる時に、偶然あの人が通りかかったの。今思えば引退後の旅行中だったのかな。大きな旅行鞄持ってて……泣きそうで、泣けなかった私の手を握ってくれた。それで思いっきり泣いてすっきりしよう! とか走れば悩んでる暇なんかなくなるよ! とか色々してくれて、本当に……助けられたんだよ」

 

 皆私のお母ちゃんのことは知ってるのだろう、一様に辛そうな表情を見せる。

 

「あの人のおかげで悲しいに整理がついたんだ。あの人に救われて、私は立ち上がれた。私が笑うのを見てあの人は去って行ったけど、名前だけ教えてもらってたから後で調べたんだよ。そしてあの人が走るジャパンカップを見た。言葉に出来ないくらいかっこよかった」

 

 これが私の始まり。

 これが私というスペシャルウィークのオリジン。

 

「初めて世界のウマ娘に勝った人、初代『日本総大将』カツラギエース。私の恩人で、私の憧れの人で、私の目標なんだ」

 

 誰にも恥じない、誰にも否定させない、私だけのユメ。

 言い切って――訪れた沈黙に、ほんの少し胸が痛んだ。

 彼女たちは違和感を抱いただろう。確証は得られなくても何か違うぞと気づいたはず。

 『皆の知るスペシャルウィーク』との差異は、見逃せるものじゃない。

 ……結局はエゴだってわかってる。

 皆が求めるのは『私』じゃなくて『スペシャルウィーク』だから。

 どれだけ虚勢を張っても認められない人は『私』を認めないだろう。

 それでも私は……

 

「……~~羨ましいデース!」

 

 うぇっ。

 

「え、エル?」

「子供の頃にチャンピオンに会えるなんて誰もが夢見るシチュエーション! アタシもやってみたかった!! セクレタリアト*1あたりで!!」

「あたりでって言うにはビッグネーム過ぎよ!? というかエルさん! 重い話よこれ!?」

「おぉ……あの流れでそう行くかぁ……」

「エルっ、スぺちゃんに失礼でしょ……っ。――まぁ私はアファームド*2さんにお会いしたことがありますけど」

「窘めるか煽るかはっきりしてヨー!?」

 

 ……え、えーと?

 急に変わった雰囲気に固まってたら、キングちゃんが一歩前に出た。

 ふんぞり返る勢いで胸を張り、勝気な笑みを私に向ける。

 

「素敵じゃない」

「へ?」

「あなたが何を悲しんでいたのか知らないけど、表情でとても辛かったというのは察せるわ。だけどそれを乗り越え、世界に勝った人を目標に据えるなんて弱い子に出来ることじゃない。あなたは強く立派なウマ娘よ――あなたと共に走れるのが誇らしいわ」

「キング、ちゃん」

「スペシャルウィークさん。あなたをこのキングの好敵手として認めてあげる」

 

 全肯定、だった。

 スペシャルウィークらしくないところを見せたのに、微塵も疑っていない。

 彼女はまっすぐに『私』を、外見や転生知識といった全てを無視して『私』だけを見ている。

 認め、られた……? 原作らしくない、私、を……?

 呆気に取られていると、にゃはは、と気の抜けた笑い声が耳に届いた。

 

「言いたいこと全部キングに言われちゃったねー」

「負けませんよキング! かっこよさでも最強はこのエルデース!」

「ふふ、ジャパンカップ……日本総大将。スぺちゃんの素敵な夢を聞けて嬉しいです」

 

 ――どこかで、諦めていた。

 私は私だけど認められないだろうって。

 それでもと心に決めていたけれど、こうして正面から認められるのは、嬉しい。

 お母ちゃんとあの人以外で『私』を真っ直ぐに見てくれたのは初めてだから。

 

「……ありがとうキングちゃん」

 

 ありがとう、みんな。

 

「私、一生懸命走る! その背に追いつき追い越せるように!」

「ふふ、それでこそ一流に相応しいライバルよ」

「皆で有マを走りまショウ! 最強決定戦が今から楽しみデース!」

「おぉ~、セイちゃんはも少し気楽にいきたいですねぇ~」

「そう言って隙を突くおつもりでしょう? そうはさせませんよセイちゃん」

 

 転生者がどうとか関係ない、ここにいるみんなは最高のライバルだ。

 一緒に走りたい、そして、勝ちたいと思わせてくれる無二の友達だ。

 改めて――私のレースはここから始まるんだと、実感する。

 

 

 ――……ふと、皆の視線が熱いものじゃないことに気づいた。

 あれ? ここってライバル同士がバチバチやるような感じじゃないの?

 なしてみんな揃って微笑ましいものを見る視線で……?

 

「ただねぇスぺちゃん」

 

 困ったようにセイちゃんは頬を掻く。

 

「え、どしたの」

「お気づきでない様子。あのさぁ、レース指定で幻惑逃げってバラしちゃダメだよ?」

 

 ――? …………ッ。

 

「……あっ!?」

 

 幻惑逃げ。幻惑というようにそれはレース参加者全員を騙す緻密極まる作戦だ。

 知られてては効果は半減なんてもんじゃない。普通に磨り潰されて終わりである。

 あの人だってそれまでのレースで一度も見せなかった逃げの戦法で全員を出し抜いたのだ。

 それを正直にやりたいと口に出すってもう、うん、ダメじゃん!!

 気づけばみんな優しいというか生温かい目でこっち見てる。

 うっわぁいたたまれない……!

 

「え、あ、その、違くて」

「うんうん」

「これは、ほら、幻惑逃げ使うぞってブラフで、だから」

「いや安心するわ」

「スぺちゃんにペテンは向いてないデース」

「その様子であんな高等戦術を使うと宣言されましても……」

「事前に苦手分野を知れてよかったじゃない」

 

 優しさが! 痛いッッ!!

 みんなの気遣いが針の筵!!

 そんな優しい苦笑い見たくなかったぁ!!

 

 

 

 上を向いていられないくらい顔が熱くなってる内に先生が来て、解散となった。

 

 

 

 

 

 

 放課後。

 放課も何も今日は入学式だけだったけども。

 キングちゃん以外みんな美浦寮でキングちゃんも用事があると先に行ってしまった。

 なんだかんだ濃い一日だったな、と一人残った教室で息を吐いた。

 受け取った教科書類を入れた鞄を持ち上げる。ほんの少し重くなった鞄がジャラリと10個の防犯ブザーを揺らし帰宅を急かしているようだった。

 帰宅、か。今更だけど自宅以外で寝るのって初めてだなぁ。

 小学校の修学旅行は流行り病で中止になっちゃったし友達いな、少ないからお泊りなんて縁がなかったし。これが物語ならカツラギさんが私の師匠になって修行だーとかそんな感じでお泊りイベントなんかもあったんだろうか。レース映像見る限り参考になりそうな気がするんだよねカツラギさんの走り方。ド田舎の一般ウマ娘とジャパンカップ覇者じゃどー考えても無理筋だけどさ。

 昔から幾度も考えた妄想を適当に流し廊下を進む。

 夕日が差し込む校舎は薄暗くて、とても走れたものではない。

 これ、我慢できず走る子が出たら危なくないかなぁ。

 入学式しかない日ではやはり人気も途絶えるのかすれ違うこともなく歩き続ける。

 そんな日に何してたんだゴールドシップ。考えるだけ無駄か、ゴールドシップだし。

 流石に照明が充実してる玄関ホールに辿り着き門へと向かう。

 何メートルか歩いて、何の気なしに振り返った。

 夕日を浴び陰影の濃くなった巨大な校舎を見上げる。

 

「……?」

 

 何故、だろう。

 朝見た時とはまるで違う印象を受ける。

 どうして私は、この校舎に対して不気味だなんて感じたのか。

 首をひねりながら校舎に背を向ける。夕暮れ時だから変なことを考えてしまったのだろう。

 歩を進め学校から離れるほどに思考は移ろい今日の出来事を想起していく。

 ああ楽しかった。嬉しかった。

 友達が出来て……とても、心があたたかくなった。

 今日話した子、転生者ばかりだったな。

 総勢2000人を超えるトレセン学園で転生者ばっかと会うなんてすっごい確率――

 

「あはは――――え?」

 

 有り得るのか。一人二人ならともかく私含め5人が5人とも偶然転生者だなんて。

 

「ま、さか」

 

 普通じゃない。そんなのが有り得るとするなら、膨大な母数が必要になる、はずで、

 

「まさか――」

 

 膨大な母数。

 それが意味することは、一つ。

 

 振り向いた先で、巨大な校舎が鐘を鳴らした。

 

 

 

 

 

 

「トレセン学園、全員――転生者、なの」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

FULL GATE!!

 

全バ転生者です

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
米国三冠ウマ娘。比較対象にヒトを当てようとするとヘラクレスとかそのへんになる控えめに言ってUMA。

*2
米国三冠ウマ娘。鬼強い。






~登場人物紹介~

・スペシャルウィーク
 前世はウマ娘ライトユーザーの道民。今世も道民。
 主人公たるスぺに生まれたことにプレッシャーを感じているが今世の出会いと別れで転生したことへの折り合いはついており、自分なりに『日本一のウマ娘』を目指している。
 育てのお母ちゃんや牛やヒグマに『主人公のスぺ』ではなく『今この場にいるあなた』として愛されたので自己肯定感が良い意味で強い。
 幼い頃より不審者(転生トレーナー)に目をつけられていたので絶対正体がバレたらあかんと思い込んでしまっている。おかげで害意には非常に敏感で邪まな視線を向けられようものなら本人から見えない位置だろうと即座に防犯ブザーを鳴らすレベル。
 憧れの人は幻惑逃げで世界への扉を開いた同郷のウマ娘『カツラギエース』。
 バレてはいけないと思いつつもスぺエミュするつもりは全く無く、行動の規範がスペシャルウィークらしく、ではなくお母ちゃんたちに恥じないウマ娘、であるためカツラギエースに憧れるなどの本家スぺから外れる行動も平気でとる。
 私はこういうスペシャルウィークなんだ、と生きてるメンタル強々ウマ娘。

・キングヘイロー
 前世はウマ娘ガチ無知勢。前世からのナチュラルポンコツ。
 ガチで無知。つまりキングエミュは一切してない。素である。
 メンタルが弱いようで強く人気のないところでよく泣く(バレてる)が立ち直りも早い。キングヘイローのことは知らないがキングというからには立派でなくてはと思い込み「私はキング私はキング」と人気のないところでよく自己暗示をかけている(バレてる)。
 今世の実母にその弱いんだか強いんだかわからないメンタルを心配され原作乖離のやわらかな教育を受けて育った。その結果「おかあさまが喜んでくれる立派なキングになる!」と反骨心ゼロで原作通り一流のウマ娘を目指すようになる。仕事に忙しいお母様との仲は良好。
 この人はほっといたらあかん、と思わせる天才。
 周囲の転生者(実母含む)に一切気づいていないし、自分自身モデルとなった誰かが居るとは知らない。仮に知ったところで天然の光属性なので折れることはないだろう。
 無知であるが故にスぺを色眼鏡なしで見ており、スぺからの好感度が高い。

・エルコンドルパサー
 前世はウマ娘ファンのアメリカ人。日本オタで方言萌え。
 エルを演じなければ、という気負いはほぼ無い。成り代わり転生文化に疎かったからである。
 エルに生まれて、は? メキシカン? いや知らねーよマサチューセッツ育ちなんですけど!? となった。前世も今世もニューヨーカーに憧れておりラテン趣味はあんまりないが、父のマスクは受け継いだ。目下の悩みは辛いの苦手なのにエルなら使うよな……とうっかり買ってしまったデスソース。コレ、食べなきゃダメデース……?
 アメリカでトレセン受験時に出会ったグラスはアニメのグラスよりも脆く儚げな印象だった。手折ればすぐにでも枯れてしまいそうな儚さに衝撃を受けながらもリアルだとこういう子なんだ、と受け入れ転生者だとは思っていない。が、その観察眼が節穴というわけではなくグラス以外に不審な行動をとった者は転生者であると見抜いている。
 グラスに抱いた感情の名をまだ知らない。

・グラスワンダー
 前世はスぺちゃん単推しガチ勢。スぺちゃんの勝負服のレプリカ一式を揃えるレベル。
 前世と今世で生まれた国が違い、文化の違いに耐えきれず縋るように前世の母国である日本文化へと手を伸ばした。趣味嗜好だけ見れば本家グラスと同じような道を辿っているが本質は真逆とすら言えるほどに繊細でか弱い子。武道を学んだのも恵まれた身体スペックと精神の脆さのアンバランスさを自覚し心を強くしたいがためだった。
 この身体に生まれたのならばいつか出会えるかもしれない、と前世の激推しスぺちゃんを心の支えにして生きてきた。その愛は良くも悪くも大きく重く育つ。
 中途編入でなく入学時点でスぺと出会えたことには驚いたが、より長く一緒にいられると素直に喜んだ。エルが転生者であることには気づいているが他のメンバー、特にスぺが転生者であることには気づいていない。グラスにとってスぺは己に無い強さを持つ永遠の憧れ。崇拝の対象である。
 エルは手がかかる妹のような子だけどいつも私を気遣ってくれる優しい子。
 本物じゃないと知っているけれど私にとってのエルはこの子だけ。

・セイウンスカイ
 前世はキング同担拒否ガチ勢。ウンスキンが地雷。
 性格はともかく口調は完全にセイウンスカイエミュである。素の口調は荒い。
 セイウンスカイのことは嫌いではないどころかむしろ好きだがキングと恋愛的に絡むのだけはNGだった。のに何の因果かセイウンスカイとして生まれてしまう。
 キングに会えるのは嬉しい、しかしこの身体で絡みに行くのは辛い。という二律背反に苦しんでいる。中身が自分なら正確にはウンスキンではないのでは? と薄々気づいてはいるが、びびりの口実にもなってしまうため改善の兆しは見えない。要は恋愛クソ雑魚ウマ娘である。
 キングコールは心の中でになるがしたいので取り巻きーズ早く来てくれ(後輩なので最低でもあと一年は来ません)。その内耐えきれずキングコールしだす。
 前世から策士タイプの性格をしており、周囲にキングに手を出しそうな者が居ないか普段から探っている。転生者は容疑者として上位に位置するので要警戒対象だが、グラスはスぺ一筋、エルは無害で対象外と判断した。スぺは核心となる疑惑の隠蔽が上手いので見極めかねている。
 ただ一人キングが転生者であることに気づいていない。恋は盲目である。

・ツルマルツヨシ
 病欠。



・不審者
 大半は転生トレーナー。たまに転生ウマ娘。男女比率は6:4。
 おおむねスぺの幼馴染になろうとして撃墜された者たち。
 無思慮に牧場敷地内に入るのでスぺからは「酪農ナメてんのか」と嫌われている。
 トレセン学園では互いの牽制とたづなさんの眼力で身動きが取れない。
 普段は真面目にトレーナーやレース走者をやっている。





・カツラギエース
 ジャパンカップ初代日本人覇者。
 転生者か現地民かを含め個人情報は不明。
 産みのお母ちゃんを除けばスぺが初めて出会ったウマ娘。
 引退後実家に帰る途中で沈んでる幼スぺを見かけ励ました。
 シンボリ家から多額の懸賞金がかけられている賞金首。ONLY ALIVE(生捕りのみ)。






全員転生者(アウトレイジポスターっぽく)

カツラギエースの初代日本総大将の称号についてですが、実際にジャパンカップに置いて「日本総大将」と呼ばれたのはカツラギエースが優勝した翌年のシンボリルドルフが最初です。なので厳密に言えばルドルフが初代なんですがここの世界だとJC日本人覇者の称号ということで前年優勝者のカツラギエースにも遡及し「初代」と呼ばれたということでひとつ。

猫井でした。
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