眩しい日差しが差し込む執務室、その中心で深々と座る男が1人…まぁ、俺だ。
そんな俺の目の前には数日前に建造した2人の艦娘が来ていた。
「さて、早速だが2人に考えて欲しいことがあるのだが…」
「「問題ありません」」
「う、うむ」
この2人なのだが…最近イエスマンみたいになってきて少し困っている、尽くしてくれることは嬉しいのだが作戦の計画をしている時とか意見を聞いているのに「提督の采配ならば何も問題は無いでしょう」とか言って意見を言うのを拒否してきたりと、こちらが本当に困っている時は甘えさせてくれなかったりと中々にスパルタだ。
ソロモン海で敵を撃滅してからこうなってしまっているので俺が何か致命的なミスを犯してしまったのかと思っていたが、後になって提出された報告書にはそのような旨は書かれていなかったため、これも艦娘たちに認められるための登竜門として頑張っている。
「…考えて欲しい事というのは、我が鎮守府の戦力拡充内容についてなのだが「「提督!」」…?」
「すぐにアーレーバーク級を量産しましょう、更にアメリカ級とニミッツ級も多数建造するべきです」
「いや、直ちにアドミラル・ゴルシコフ級とスラヴァ級とアドミラル・クズネツォフ級を建造するべきだ!ついでにキエフ級も建造すると良いぞ!!」
今回も自分で考えろと言われるかと思っていたが、念の為意見を聞く事にしようと2人を呼び出したが、俺がその旨を伝えると2人は水を得た魚のように自分の知らない艦艇についてのプレゼンを開始した。
そんな二人の間にはまるで電撃が走ったような緊張感があり、まさに龍と虎と言えた。(もしくは犬と猿?)
「──と、とりあえず、落ち着け」
「…それもそうですね」
「全くだ」
俺が落ち着くよう言うと2人は矛をおろしたが、それでも凍てつくような重圧は収まるどころか増していくばかりで一切安心できなかった。
まぁ、2人がオススメするくらいだから相当優秀な船たちなのだろうが流石に最前線のショートランド泊地にそれだけの艦娘を一斉に建造し運用する能力は無い、出来れば穏便に済ませたいんだが…。
「──一斉に戦力を拡充させる前に遠征用の艦隊を編成したいんだが」
その時、俺はまさに天啓を受けたようだった。
ミサイルやらイージス艦、原子力空母と言った俺の詳しく知らない艦艇を建造する前に、まずは資源を安定供給できるようにならねば何も始まらない。
「…それならばインディペンデンス級などはどうでしょう?」
「…うぅん、遠征向きの艦艇は中々思いつかないな…強いて言うならソヴレメンヌイ級か?…どちらにしても戦闘特化だからな」
「ふむ…ならば、そのインディペンデンス級?を建造してみよう…ブルーリッジ、そのインディペンデンス級の同型艦は何隻いるんだ?」
とりあえずは、目下建造するべき艦艇が決まった事を喜ぼう。
後は何隻建造できるかを確認することだ、それによっては幾つ艦隊を編成するかが変わってくる…何せ軍艦というのは作戦行動を共にするために砲や速力をある程度均一にする特徴があるからだ、よって同じ能力を持った同型艦の数によって編成も変わってくる。
さぁ!こい!何隻だろうが俺は驚かないぞッ!!
「12隻ですね」
…およ?すごい平均的な数だ、アメリカの船ならもっと大量に建造されていると思ったんだが…何か特殊な船なのか?
疑問はいくつか浮かんでくるがとりあえずは普通な感じで助かった…これなら建造される艦娘の方も期待が持てる。
「…そのインディペンデンス級の媒体はあるのか?」
今更ながら、ブルーリッジに聞く。
勿論、勧めてくるのだから媒体も用意済みなんだろう、あの几帳面で書類仕事も得意なブルーリッジがそこまで用意してないとは思えないからな、彼女が生まれてからずっと一緒にいた俺には分かる!あるんだな!ブルーリッジ!!
「──ありません」
「…そうか」
苦渋を噛み殺したような表情で報告するブルーリッジの姿を見て何となく察した俺は冷静に返した。
何となくそんな気はしていたんだ…これは、媒体なしの建造をする時が来たのかもな…。
1度もやった事が無いから不安ではあるが、ゲームではできたんだし大丈夫、だよな?
「…大丈夫だブルーリッジ」
「ですが、提督…」
「俺に妙案がある。心配せずに待っていてくれ」
そう言うと俺は軍帽をクイッと深く被り目元を隠すと工廠に向けて歩き出した。
2人には目ぶり手振で着いてこなくていいと合図を出しておいたから、多少醜態を晒しても問題は無いだろう。
───と言うか、自信満々でやって失敗しましたとか、目の前でやったら恥ずかしさと情けなさでもう死ねる…だから1人、いや妖精さん達とだけでいいんだ、いや それが良い。
「…」
静かな廊下をゆっくりと歩く。
特に何も持っていないが…いや、懐中時計と護身用の短刀を持っていたな。
懐中時計はかつて訓練生時代にあの老兵から、短刀は軍内部で飼い殺しにされていた頃、お世話になった上官から「お前は恨みを買うことも多いだろう」と言われて渡されたものだ。
当時はよく分からなかったが、今ではよく分かる…その頃から俺はこのふたつだけは必ず持ち歩くようにしている、いざと言う時自分自身だけでなく"彼ら"も守れるように…。
「…ん?もう着いたのか」
端から端まで歩いたらそこそこの距離がある鎮守府内を歩いていたら何時の間にか目的の場所に着いたようだった。
「おーい!いるか〜」
「いるよー」
「どしたの〜」
「かいはつー?」
「こうくうきはまだですか〜」
なんだか1人増えてる気もするが、まぁ良いだろう。
俺は建造ドックの隅でトランプ?をやっていた妖精さんたちに近ずいて 軽く手を振った。
「あぁ、建造をしたくてな…あと開発も航空機もまだかかりそうだ、艦娘の頭数が揃ったら着手していくから今は許してくれ」
「うーん、まぁいいよ」
「わかった〜」
「ゆるそ〜」
「えぇ〜うらぎりものー」
「…とりあえず、建造してくれるか?」
なんだか心配になってきたが…妖精さんは自由奔放な性格だからな…増えたり減ったりするのも何時の間にかの出来事だからな。
───あれ?そういえば俺、妖精さんが増えたことはあったけど減ったことは無かったよな?
「だれをけんぞうするんですか?」
「だれー?」
「くうぼー?」
「くうぼー!」
「あぁ、インディペンデンスと言う艦娘を建造して欲しくてな」
俺が最初に聞いてきた妖精さんの質問に答えて建造したい艦娘の名前を伝えると、妖精さんたちは目を見開き眩いばかりに輝かせ駆け回った。
そんなに嬉しかったのか?と俺が思い微笑ましく思っていると妖精さん達は必要な物資を引っ張って建造ドックの準備を開始した。
「…媒体がないんだが、建造できるのか?」
「あたりまえです!あんな"むりやり"なやりかたより、こっちのほうが、いいんですよ!」
「ふむ…そういうものか」
建造について妖精さんから教えて貰えたのは助かるが…なんだか入れる資源が多くないか?キーロフを建造した時より多いぞ?もしかしてインディペンデンス級ってのは相当な大型艦なのかもしれないな。
「さぁ!あとはていとくさんのきもちしだいです!!」
「きっとこたえてくれます!」
「くうぼー!くうぼー!」
「ついにせんとうきにのれる…」
「?あ、あぁ…頑張るよ」
不思議な応援を受けて俺は建造を開始した。
─10:00:00─
「長いな」
建造時間を見て俺は純粋に突っ込んだ。
キーロフですら8時間だったのを考えれば異様に長い…遠征向きの艦艇にしては異様にデカイんじゃないか?俺は一途の不安を感じながらも高速建造を開始した。
「…なぁ」
「やったぁ〜!」
「さすがていとくさん!」
「しっかりけんぞうできましたね」
「はじめての"くうぼ"だ〜」
高速建造の炎が消え、白いモヤが消えた後にたっていたのは薄い空色のミディアムヘアをし軍服の上着を羽織った美しい女性だった…ブルーリッジやキーロフよりも下手したら大人びて見える彼女は髪の色と同じアクアマリン色の双眼を開きこちらを見つめてきた。
──だが重要なのは彼女自身ではなく、その右肩に見える巨大な"飛行甲板"であった。
「──あなたが私の指揮官?」
「あぁ」
現実逃避したくなる自分を押さえつけると、目の前の彼女の問に答えた。
「──俺が君の提督だ」
何故、こんなにも俺の建造は上手くいかないんだろう。
そんな俺の心の声に答えてくれる存在はどこにも存在しなかった。
感想・評価ありがとうございます!
本当は沿海域戦闘艦を建造させようかと思いましたが、とある事をやりたかったので空母を建造させることにしました。
太字や点滅などのフォント関係
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これまで通りで大丈夫
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無くて良い
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更新速度あげるんだよあくしろよ