「…はぁはぁ」
みんなは逃げ切れただろうか?
「ぐっ!あぁぁぁ!!」
敵はあと何隻?
「あ、あぁ」
僕は…帰れるの?それともこのまま沈むの?…怖い、やだよ…沈みたくない。
提督に、みんなにもう一度会いたいよ…。
「あ、ははっ」
殿として、艦隊を逃がすために1人残って最後に思うことがみんなの無事じゃなくて死にたくないだなんて、僕って艦娘失格なのかな?
こっちに群がってくる深海棲艦の数はだいぶ減ったけど、それでも30隻は確実にいる。
…艤装もボロボロ、武器弾薬はもう使い果たした、あと出来ることは敵に体当するくらい…もう、僕には何にも残されてない。
「…あ"…あ"あ"あ"!あき、諦めない!!絶対生き残ってみんなの所に帰るんだ!!」
僕は迫り来る深海棲艦の軽巡ホ級に向かって怒鳴り声とも叫び声とも取れる咆哮を放ち立ち上がった。
もう何も残されてない?そんなの関係ないッ!僕はトラック泊地の駆逐艦時雨だ!絶対みんなのところに必ず帰るんだ!!
「──止まない雨はないさ、ゲホッ…君たちには諦めて貰うよ」
先程とは打って変わって鋭い眼光と共に深海棲艦を睨みつける。
しかし、その姿が虚勢を張っていると見る人が見れば直ぐにわかるだろう。
肩は付け根からえぐられ血が止まらず両足は強く打ち付けられたのか青く変色してしまっている。
決して顔色は良くなく、ほんのりと赤くなっている事を除けば真っ青である。
「…皆は、僕のことを…覚えていてくれるかな?」
そして、その虚勢は長く持つことはなくすぐさま崩れ去った。
上手く動けず足を取られた時雨はバタンと倒れ込むと、憎たらしいくらいに晴れ渡る空を見上げ呟いた。
「──あれ?」
疲労と倦怠感に目を瞑ろうとした時雨は、空の向こう、僅かな雲の切れ間から現れる何かを確かに見た。
横須賀で見た一航戦たちの艦載機とも違う、全体的に大きく鋭利な剣のような飛行機…それは昔、内地で提督に連れられて見た"戦闘機"にそっくりで…。
「─あ」
特徴的なゴォォォォという音が聞こえると、あの飛行機達は続々と深海棲艦に突入し翼面に取り付けられた"鋭利なロケット"を発射しだした。
──ドガァァァァンッ!!──
刹那、そのロケットが意志を持ったように深海棲艦たちに命中して行った。
あっという間の出来事で時雨もよくわかっていなかったが、事実として極めて短い時間で深海棲艦の艦隊が消滅したのは紛れもない事実だろう。
「え…いったい何が?」
僕の周りには、先程の飛行機が飛び回っていて直ぐに自分を守ってくれていると理解出来たが、あの瞬間何があったのか?この飛行機達はどこから来たのか?と疑問は一切尽きず、声が漏れたほどだ。
「──あぁ」
──でも、今確かにわかるのは、僕は助かったということだ。
感想・評価ありがとうございます。
1番初めは時雨にしました…理由?時雨マジ天使(何となく)
太字や点滅などのフォント関係
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これまで通りで大丈夫
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無くて良い
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更新速度あげるんだよあくしろよ