現代艦しか建造されない鎮守府(仮)   作:秋月艦隊

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第15話 大本営の今【提督side】

 

ブルーリッジ達が出発して早数時間。

俺はキーロフとほのぼの?とオセロや将棋、トランプなどのゲームをして時間を潰していた。

初めの頃こそ周辺の哨戒を行おうとしたキーロフを押さえつけるのに苦労したが、俺が一緒にゲームをしようと誘うと渋々納得してくれた。

 

「あ"ぁ"ぁ"〜裏切り者〜」

 

「上がりだ」

 

トランプで遊ぶ俺たちは楽しく時間を潰していた。

…キーロフは中々勝てずに不満そうにしていたが、まぁ訓練生時代に用務員の人達と仲良くトランプで真剣勝負を日々繰り広げていた俺に隙は無いぜ!!…思い出したら悲しくなってきたな…用務員のおっちゃん達いい人たちだったなぁ、異様に賭け事強かったし。

 

「むぅ〜」

 

「はぁ…散歩でもするか?」

 

「──そうだな」

 

不満そうにむぅ〜と頬を膨らませるキーロフにそう提案すると彼女は頭を左右に数回振るうとやけにキリッとした表情を浮かべ肯定の言葉を発した。

 

「はぁ…大本営にも困ったものだな」

 

物資もよこさなければ人員もよこさない…更にはまともな食料すらない、そんな大本営に呆れとも疲労とも取れる言葉を呟いた。

 

「…提督を左遷するような無能なのだろ?」

 

キーロフは俺の言葉に当然ではと言葉を重ねる。

俺はそんなキーロフの言葉にそうだなと思いながらも少々落ち着かせるような口調で答えた。

 

「そうだな…しかし、少しだけわかる」

 

するとキーロフはムッとした表情を浮かべ俺の顔を真正面から見つめてきた。

 

「…何がわかるんだ?」

 

彼女は少しばかり睨むような動作をしつつ聞いてきた。

 

「──大本営の恐れていることだ

 

大本営は恐れている。

 

俺はそう答えた。

 

──何に?と聞かれれば深海棲艦としか答えられないが…少し昔話をしよう。

 

話は今から1年ほど前のことになる、当時の横須賀・呉・佐世保・舞鶴などの名だたる鎮守府の艦娘が総力を上げてミッドウェー島に存在する深海棲艦の主力機動部隊との決戦を行った事があった。

この時、参加した戦力は各鎮守府から練度60以上の空母全てとある程度の戦力が期待できる戦力は全て投入された一大反攻作戦だった…そう、文字通り全ての戦力が投入された。

日本軍からは艦娘だけではなく残された軍艦や戦闘機の数々、アメリカ・中国に至っては巨大な空母すら投入した人類が集められるだけの戦力を集めた戦いだった…らしい。

 

「らしい?」

 

「その時、俺は後方で訓練を受けてたからな…続けるぞ」

 

この頃の艦娘で練度60の空母はそれ程多くなかった、しかし各鎮守府から捻出して10名程度は確保出来た、そのほかの戦艦や巡洋艦に関しても1部では練度80に届くほどの艦娘がいたらしい。

確か…横須賀の長門と陸奥だったか?まぁ今じゃ海の底だから分からないがな。

 

「…」

 

キーロフは俺のうろ覚えの話を真剣に聞いていた。

こんな話面白くないだろにシッカリと聞いていてくれる事に嬉しく感じながらも俺は話を続けた。

 

「…戦いの結果は惨敗だった」

 

初動こそ人類側の方が優勢だったが、それまでに現れた以上の高練度の深海棲艦が大量に現れたことで戦況は一変、人類側の戦力は初めに通常兵器、次に防御力の低い艦娘や練度の低い艦娘が沈んでいき、そんな艦娘を守るために高練度の艦娘も立て続けに沈んだ。

 

結果として日本軍の艦隊は壊滅し艦娘も八割から九割が撃沈し、帰ってこれた艦娘もその多くが復帰に長期間を有する損害を受けており、しばらくの間、日本は深海棲艦に大して丸裸同然となった。

 

「──それにアメリカ・中国の艦隊も殆ど壊滅同然の損害を受けたからな」

 

「それがトラウマになったと?」

 

「少なくとも、当時の鎮守府で提督をやっていた奴らは作戦の後、積極的に行動しなくなったからな…例外は大湊くらいか?あそこはその後に設置されたからな」

 

ましてや当時、連戦連勝で日本近海の解放を立て続けに成功させていた大本営にとってはこれ以上ない衝撃だったのは語る必要も無いだろう。

この作戦の結果、貴重な艦娘の戦力だけでなく指揮を執っていた前線での軍人の数が激減し海岸部の都市から人々を避難させなければならなくなったんだ…未だに疎開状態が解除されない理由には未だにその時失った戦力の回復が出来てないからと言う事もある…勿論、それだけが理由じゃないがな。

 

「──だから、大本営の気持ちも分からなくは無いんだ…俺みたいな人間を捨て駒にでもしなければ国を守ることもできない…酷い有様なんだ」

 

ましてや大事に育ててきた艦娘達や共に戦ってきた戦友が一気に死んだんだ、俺だったらブルーリッジやキーロフが沈んだ日には自ら死を選ぶ自信がある。

 

そして、俺の話をあらかた聞いたキーロフの視線は冷ややかだ、俺は何かまずいことを行ったかと身構えたが、彼女はため息を軽く吐くと海の方を見つめて言った。

 

大本営が無能な事に変わりはないな

 

「…」

 

作戦に投入した戦力の壊滅、その後の対応の甘さに提督に対する認識・態度も最悪とくれば…もはや無能以外の評価はできんな

 

「…そうかもな」

 

ほんと、俺は何でこんな最前線にいるんだろうな。

なんで軍内部でもあんなに冷遇されたのに…捨て駒にされかけたのに大本営なんかの指示を聞いて彼女たちを危険にさらさなきゃいけないんだ?奴らは前線に立たないで後ろから指示を出してるだけなのに…いや、俺もそうか、結局艦娘に守られてなければ何もできない存在なんだからな。

 

「――なあ、キーロフ」

 

「何だ提督?」

 

大本営の真意も分からず、軍隊とは何かも理解しきれず艦娘が好きなだけの俺…こんな俺が提督で良いのか?そう聞こうとしたが意気地なしの俺はあえて言葉を濁らせようとし、せめて艦娘に対しては誠意を持って行こうとそのまま聞いた。

 

「こんな…こんな俺が提督で良いのか?」

 

「…」

 

キーロフは暫くポカンと目をしばたかせるとフッと微笑みを浮かべ言った。

 

あなた以外の指揮官(人間)は私達にはいりませんよ…提督

 

これ以上ないほど綺麗な笑みに暫く目を奪われた俺は数分後キーロフの心配そうな声でやっと正気に戻った。

今でもあの光景は夢幻ではないかと思ってしまうが…そこにはキーロフの確かな手のぬくもりがあった。

 

あぁ…そうか。

 

──だから俺は提督を目指したんだな──

 

  ソロモンの夜明けは近い。




感想・評価ありがとうございます!
今回は提督さんがキーロフと打ち解けられましたね(白目)なお、何となく分かっている人も多いと思いますが今作ではミッドウェーでぼろ負けした後、ソロモンに深海棲艦が多数進出してきて本土の安全も危ぶまれる状況が舞台です。
ショートランドは平和だけど他のところではベリーハードな消耗戦を繰り返してて、本格的に末期戦に突入しつつある時期です。
これからの短国提督の活躍に期待ですね(白目)

まぁ…何を言いたいかって言われると…提督さんは大本営に一定の理解を示してるけど不満が溜まっていて、キーロフやらの艦娘には無能な大本営が自分たちの提督を傷つけたと信用は一切無し、それどころか良くて嫌いや無能…下手すれば憎悪を向けられますから(ブルーリッジなど)…頑張れ大本営!!君たちの未来はきっと明るいぞ!!(白目)

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