初めて建造を成功させた俺は、新たに生まれた艦娘を連れて執務室に戻った。
「とりあえず、俺はこのショートランド泊地の提督だ。これからよろしく頼む」
「はい、よろしくお願いします」
執務室の机に深々と座り、前のめりになりながら目の前の見たことない艦娘をよく観察する。
プラチナの長髪に磨きあげられたアメジストのような瞳、真っ白なロングコートに漆黒の軍服は所々金細工が施されており、軍隊で見かければひと目で高い地位にいると分かるレベルの姿をしている。
その容姿は他の艦娘と同じく恐ろしい程に整っており、少しでも笑いかけられればそれだけで勘違いする男が続出する程だろう。
…しかし、俺は彼女のような艦娘を見たことがない。
「幾つか聞きたい事があるんだが…まず名前を聞いていいか?」
「はい、私は【Blue・Ridge】かつてはアメリカ第七艦隊の旗艦を務めていました。よろしくお願いしますね提督」
「う、うむ」
微笑みを浮かべながら挨拶を行った艦娘はブルーリッジと名乗った。
一瞬、呑み込まれそうになるも持ち直し曖昧な返事をすると【ブルーリッジ】と言う艦艇について考え始めた。
まず初めに、アメリカ第七艦隊と言えば数年前に壊滅したが、太平洋戦争の頃から活動していた歴史のある艦隊だ、つまりそれだけ旗艦の数も多い…まぁ、順当に考えれば空母や戦艦が艦隊旗艦としては妥当だが、展開されている艤装は巡洋艦程の艦艇に搭載されている連装砲が二基とミサイル発射管と思しき物が二基見て取れる。
更にはレーダーなどの電子機器も搭載されているところから、非常に高い電子戦能力を持つ可能性が高い。
総評としては、大淀と似たような船か?と言うものだ。
俺はブルーリッジと言う艦名を聞いたことがなかったし、後で調べてみることにしよう。
「ふむ、とりあえず君の兵装を教えてくれ」
「はい!私の武装はMk,33連装速射砲を2門・Mk,25シースパロー発射機2基・SH-3Gシーキング2機を搭載しています」
「ふむ…?」
とりあえず、「ふむ」と言っておけばどうにかなるってネットの掲示板に書いてあったからな、とりあえず「ふむ」って言っておく。
だが、色々とツッコミたい所がいっぱいあったぞ。
提督になる上で必要な知識は第二次世界大戦の頃の海軍知識だから俺は正直軍艦についてそこまで詳しくないが…明らかに太平洋戦争の頃にあっては行けない兵装が2つほどあったぞ?
まず初めに【Mk,33連装速射砲】こいつはいい、普通に巡洋艦なんかにも搭載されているような普通の艦砲だからな。
しかし【Mk,25シースパロー発射機】と【SH-3Gシーキング】こいつらはダメだ、ミサイルにヘリコプターとかありえないだろ、1部例外的にあきつ丸がヘリもどきを搭載していたらしいがそれだってこんな本格的じゃなかったはずだぞ。
「ふむ…さすが第七艦隊旗艦、素晴らしい兵装だな」
「ありがとうございます。しかし私などの兵装よりも最近は空母や駆逐艦の皆さんの方がすごいんですよ?」
「ふむ、それは…なんとも楽しみだ(白目)」
「はいっ!」
なんだか、もう疲れた。
別にミサイルを積んでいようがヘリを搭載していようが彼女が可愛くて強いのは確かなんだし何にも問題なんてないだろう。
「──それはそうと、私は何をすればよろしいでしょうか?」
「ん、そうだな、とりあえずは近海の調査だな」
「近海の調査ですか?」
俺がやるべき事を言うと、ブルーリッジは不思議そうに首を傾げ目を瞬かせた。
そして少し眉をひそめて俺に何か言いたそうにしていた。
「発言してもよろしいでしょうか?」
「あぁ、好きにしてもらって構わない」
「…では、まず私を使って近海を調査する理由がよく分からないのですが?正直、ソロモン諸島ならば偵察機をあげるべきではないでしょうか?」
「うむ…その通りなのだがな…」
「?それはどう言う?」
ブルーリッジが更に困惑したようにこちらを見てくる。
別に責められている訳でもないのに、とんでもないレベルの圧力がかかっているように感じる。
「ないのだ」
「はい?」
「だから、航空機も陸上戦力も船も全てないのだ…あるのはこの鎮守府と俺という提督が1人いるだけだ」
「──は?」
俺がここの真実を告げると可愛らしい姿に似合わず背筋が凍るような低い声が聞こえた。
その顔にはありえないといった表情がありありと浮かんでおり俺は失望させたかと身構えた。
「どうして、ですか?提督のように優秀な人物が何故このような場所に?」
「…そうだな、俺は要するに左遷されたんだ」
震えた声で俺に聞いてくる。
それに俺は現状の理由を説明することにした。
司令部から無能とされた事、体裁が悪いからこの最前線の絶海の孤島に送り込まれたこと、今の自分には日本に居場所がないこと…などなどだ。
「提督…」
「…」
ブルーリッジは静かに俺がぽつりぽつりと話す内容を聞いてくれた。
話し終わった後にブルーリッジは俺の目の前に歩いてくると俺の手を握りこちらの目をしっかりと見つめてきた。
「提督、大丈夫です」
「ブルーリッジ…だが」
「このショートランド泊地から見返してやりましょう!提督ならば出来るはずです!私は信じます!」
弱気になっていた俺だが、ブルーリッジから励まされた。
情けない話だが俺はまだまだ提督として未熟なのだ、今は生まれたばかりのブルーリッジにすら気遣われている。
「ブルーリッジ…そう、だな、ここからだ俺たちはここからスタートするんだ」
「はいっ!お供します!」
花のような笑みを浮かべるブルーリッジにほんわりしながら俺は決意を新たにした。
「…それはそうと建造しましょうか提督♡」
「…うむ?」
前途多難であるが。
はい、ノリと勢いで書きました。
あと感想は嬉しいのでバンバンください。
太字や点滅などのフォント関係
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これまで通りで大丈夫
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無くて良い
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更新速度あげるんだよあくしろよ