――時は少しばかり遡る――
提督が離れた工廠の一角には、静かに すずづき・ふゆづき の2人を睨みつけるブルーリッジの姿があった。
「…気まずいな」
「えぇ…そうですね…」
そんな中、私はキーロフと共にことの成り行きを見守っていました。
…彼女たちが睨まれている理由もブルーリッジの怒りも知っている私は敢えてキーロフと共に事態を静観することにしました…睨まれている彼女たちも事態を理解できてないキーロフにも申し訳ないと言う気持ちはありますが、私は同郷の友人の為に止める気は一切ありません。
「…」
隣りにいるキーロフは更に険しい表情を浮かべた。
私は表情だけで空母打撃群を殲滅できそうだなぁ…と場違いにも考えてしまいました。
「なぜ、私達は睨まれているのでしょうか?」
膠着状態の中で睨まれている少女達の片割れ、ふゆづきが意を決して声を出す。
その言葉は静かな工廠内で嫌によく聞こえた。
これで事態が良くなるかと空気が一時的に和らいだ用に思えた…。
しかし、私は”良くなるわけがないと”半ば達観した思いで身を引き締めた。
「なぜ?」
――次の瞬間、ブルーリッジの冷徹な声が場の空気を凍らせた――
その声色は凍てつくようであったが、内に抑えきらない激情を孕んでいた。
キーロフは先程以上に不穏な空気を感じ取り一歩前に出た。
「…少なくとも、私達がそのような敵意を向けられる言われはありません」
ふゆづきが苛立ちを隠すことなく反論する。
強張った姿から彼女たちもこの状態を理解していないのが改めて理解できた。
「…”言われが無い?”正気ですか?第7艦隊を見殺しにしたくせに?」
しかし、彼女は ふゆづきの言葉に侮蔑を隠すことなく毒を吐く。
流石の2人もこれには驚愕を隠せないのか、目を見開き一瞬呆けた表情に変わる。
「なッ!?そんなわけがない!!」
「へ?なに、それ?」
しかし、次の瞬間言葉の意味を完全に理解したのか2人は揃って否定の意を示した。
ふゆづきは”ありえない”と険しい表情を更に深め、すずづきは懐疑的な目でブルーリッジを見た。
「…はぁ、武士道精神の欠片もありませんね」
「なんだとッ!?」
まさに一触即発。
ブルーリッジが彼女たちの逆鱗を叩き、それに激怒した少女が今にも掴みかからんと前に出る。
…さすがの事態に私とキーロフはお互い前に出る。
キーロフは ふゆづきとすずづきの前に立ち、私はブルーリッジの前に立った。
「なッ!?」
「…」
…さすがのキーロフも私がこの状態でブルーリッジの前に立ったのは衝撃的だったらしく目に見えて体を硬直させる。
当たり前だが事前に話を聞いていた私がブルーリッジ側に立たないと言う選択肢はすでになく、ブルーリッジも当然のように事態を涼しい視線で見守りました。
「…どういうつもりか知らんが、現状は余りに目に余るぞ」
『…』
「聞いてるのかッ!!ブルーリッジ!!」
キーロフの断罪するかのような言葉が重くのしかかる。
しかし、私達はどこ吹く風でその言葉を無視する、それに怒号を含んだキーロフの声が更に重なる。
現場にはピリピリとした空気が張り詰められていった…更に、この場にいる全員が一騎当千の実力を持ちうる艦娘であることが事態を余計に悪化させていた。
「これは私達とそこにいる2人の問題です。部外者は引っ込んでください」
「いいや、これは私達全員の問題だ。最前線のショートランド泊地に決定的な破局をもたらしかねない話…私とて無関係では無いだろう」
平行線をたどる言葉の繰り返し。
事情を理解している私達と理解していない彼女たちの決定的な違い、本来ならばしっかりと説明をする私もお互いが熱くなっている状況では意味がないと静かに時を待つ。
「何も話さないのか!それが提督の艦娘なのかッ!」
「余計なお世話よ!もう、ほっといて!!!」
人一倍大きな声が工廠に響き、全員の音が消える。
次は何が始まるのかヒヤヒヤしていると、不意に音が聞こえる。
―コツコツ―
コンクリート製の床に聞き慣れた軍靴の音が聞こえてくる。
徐々に大きくなる音、嫌によく聞こえる息遣い。
全員が音のなる方へ視線を向ける。
「何があった?」
そこには深々と軍帽をかぶり、表情が一切伺えない提督の姿があった。
…うん、何このシリアス。
あと、次でシリアスが終わりそうに無いのでしばらく続きます。
次回更新は未定です。
次、建造する艦艇
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アーレイ・バーク(イージス艦)
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タイコンデロガ(巡洋艦)
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ワスプ(強襲揚陸艦)
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ジャン・バール(戦艦)
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アドミラル・ゴルシコフ(フリゲート)
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バージニア(原子力潜水艦)