「誰を?」
「…」
指揮官の声に耳を傾けていた私は”襲う”という言葉につい声を出してしまった。
別に指揮官が問題のある行動をするとは思っていません…ですが、ブルーリッジの件がある以上、可能性はゼロとは言えませんから。
「――敵の輸送船団だ」
「…そうでしたか」
しばしの沈黙の後、指揮官はハッキリと答えました。
私は自分の考えていた事と違ったことにホッとすると共に、気恥ずかしさを感じ目をそらした。
「標的は?」
邪念を振り払うため話を進める。
「サボ島周辺からツラギ付近の深海棲艦前線基地」
「…確実なのですか?」
距離としては大したことない場所。
私達、艦娘や深海棲艦なら7〜8時間で向かえるほどの距離…到底、事実だとは思いたくない。
いくらこの鎮守府が最前線だとしても目と鼻の先、仮に真実だとすれば喉元に銃口を突きつけられているのと変わらない。
「あぁ」
「なぜ前哨基地があると言えるのですか?」
私自身、深海棲艦との戦いは軍艦時代を含めても3度だけ――1度目は物資の輸送中に受けた空襲、2度目は深海棲艦の水上打撃群との近距離砲戦、3度目は鎮守府とトラックの行き帰り時の戦闘――ですが、深海棲艦はそこら中の海に現れては付近の艦船や航空機を攻撃していきます。
それらの情報を知っていれば敵の基地があるとは到底断言できないはず…そこまで考えて、一旦冷静になった私は指揮官の言葉を待った。
「トラック・ショートランドの両鎮守府がほぼ同時間に深海棲艦の攻撃を受けている」
「それは…確かなのですか?」
「我が鎮守府はブルーリッジ・キーロフの活躍で早々に殲滅できたがトラックは未だに戦闘が終了していない」
指揮官はそう言うと大本営からの物と考えられる電報を差し出してきた。
――トラック攻撃サル 一五二〇――
「――攻撃を受けた日の夜には送られて来たものだ。時刻も10分程度の差しかない」
「…」
――最も10分遅ければ鎮守府は空襲を受けていただろうがな――
指揮官の言葉を噛みしめる。
深海棲艦が同時に攻撃を仕掛けてきた…これで敵にある程度の知性や戦略性があることがほぼ確定した。
更にこれまで確認されてきた深海棲艦の拠点――ハワイ・ミッドウェイ・サモア・アラスカ・シンガポール――に加えてソロモン方面にも敵の拠点が進出してきた事になる。
トラックだけならミッドウェイやハワイから攻撃も考えられるが、トラックにしてもショートランドにしても東南からの攻撃だったと確認できた。
サモアからの攻撃はトラックもラバウルもこれまで確認されていない、ショートランド泊地だけならばまぐれも考えられるが深海棲艦の行動パターンを考えるとサモアからの攻撃は考えにくい。
「――それで敵の前哨基地ですか」
「杞憂であれば構わないが…あれ程の規模をここまで近づけるまで世界が見逃すとは思えない」
指揮官は改めて真剣な表情をする。
「インディペンデンス…艦隊の準備を」
「はい。指揮官」
私はすぐさま他の艦娘と話をするため執務室を離れた。
――この時の私は柄でもないのに使命感に燃えていた――
なお提督の心の中。
――提督side――
危なかった…事前に妖精さんが用意してくれた資料に書いてあった事を覚えておいてよかった。
厳重な資料に書いてあったから問題ない前提だったけど、これで前哨基地が無かったら後が無いな…あれ?ノリで進めたけど案外不味い状況?…いやいやいや!!深海棲艦の活動範囲的に考えてもソロモン方面かオーストラリアに拠点が無きゃおかしいはずだ!?オーストラリアにあったら流石に分かるだろうし…とにかく問題ないはずッ!!!
そう自分に言い聞かせ、提督は現実逃避することにした。
追記:続きはありません。
次、建造する艦艇
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